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有吉 佐和子
/ 新潮社
(2007-10) /
780円
/ ISBN:9784101132082
時代は大正から昭和の戦後にかけて。 文楽の三味線弾きに惚れた1人の女性、茜の物語。 17歳の大店のお嬢さん、茜を揺さぶった「一の糸」の響き。 (色彩と音を鮮烈に想起させる、この物語冒頭の描写がお見事) その出会いからさまざまな曲折を経て物語が進む過程で、それは茜の身体 から離れることがなく、茜の生き方と、この物語の中心を貫いている。 読んでいるこちらの体の芯にも一の糸の音が響いているかと錯覚するほど、 見事にこの物語に浸食されてしまった。 わがままなお嬢さまとして育ち、決して人に好かれる性格とは言えない茜が、 ときにみっともなく騒ぎながらも惚れた男に賭けて生きる姿が強くて、可愛い。 今どきこんな女性の生き方は流行らないし、古き良き時代の女性像ではある けれど、茜の母親といい、昔の女は筋が通っていて強いわ。 21世紀の今は今なりに、こういう矜持を持てるだろうか。
川端 康成
/ 新潮社
(1968-08) /
420円
/ ISBN:9784101001210
京ことばがまたはんなりしてうっとりするほど。 だけどどうも違和感がぬぐえません。 川端康成ってこんなだっけな、と、21~2歳の頃に読んだ『雪国』の記憶 を必死で思い出してみて思いましたが、氏が女性を見る目がイヤなの かもしれません。美しいお人形を愛でるかのような、愛情と距離感と ある種の冷たさが。それを「透徹な美意識」として好む人は好きなの かもしれません。 また、対女性だけでなく作品全体がひたすらに「美と哀切」、 ただそれだけに思えました。
フランソワーズ サガン
, 朝吹 登水子
, Francoise Sagan
/ 新潮社
(1955-06) /
460円
/ ISBN:9784102118016
鴻巣 友季子
/ 新潮社
(2005-10) /
714円
/ ISBN:9784106101380
ソフトウェアでずっとやってきた」という話があるらしい。それ以前から当然 翻訳は行われていたけど、翻訳の文体の流れができたのがこの頃とのこと。 この本は、その明治20年代(1887年~)の日本の翻訳事情を、英文学の翻訳家 が軽いタッチで綴ったもの(著者によると「正史というより寄り道史」)。 軽いと言っても、当時の翻訳文学の出版事情や現代の翻訳者と変わらない翻訳 の苦労話など、大層おもしろかった。 この頃の日本人の外国文学に触れたいという渇望は激しいものがあり、それに 応じて今読むとギョッとするようなやっつけの翻案や抄訳もたくさんあったとか。 長い鎖国後の好奇心の爆発と新しい文化に触れた驚き、それが行き過ぎた結果 の節操が無いほどの西洋熱、それとは逆に、仏文学やパリ滞在を通じて触れた 西洋の近代化と相容れなかったらしき永井荷風など、いずれにせよ時代がフツフツ 沸騰してる。 翻訳技術的な話で印象的だったのは、まず、森田思軒の、できればその言葉の 姿の西洋と東洋と違っているのを、違っているまま幾分か見せたい、という言葉。 それから「肉体の翻訳」が求められる戯曲の話。明治期ではないけど、俳優の 江守徹氏が翻訳時に「声帯の震える回数」まで気にするという話は、なんかもう 驚愕です。 |
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