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三浦 しをん
/ 双葉社
(2007-11) /
1,575円
/ ISBN:9784575235944
結構ポップだし、文体もあっさりしているのに、物語が進むにつれ、修行に 励む主人公の健大夫が芸や恋愛に悩みながら「文楽を生きる」姿が立ち昇って きて、熱量が高くなっていく。文楽愛あふるる一冊。 『日高川入相花王』という演目を気楽、と思っていた健が恋に落ちた瞬間、 「われは蛇体となりしよな」という清姫のセリフが血肉をもって耳の奥で轟く シーンが好き。 それと、登場人物のことが理解できず、師匠に「すぐに動機や心理を考えるんは、 悪い癖や」と怒られるところ。『女殺油地獄』で与兵衛がお吉を殺すのは 「ウンコしたかったら、急いで便所行くやろ。それと同じや。」ですと(笑。 いやいや実に奥が深い。 脇役のキャラクターがそれぞれ良くて、漫画やドラマにしても楽しそう。
中沢 新一
/ 講談社
(2003-01) /
1,575円
/ ISBN:9784062582605
贈与 - 交換 - 純粋贈与、の3つの輪が主人公。 社会を見る視点に大きな変革を強いられるようで、知的に刺激的で脳天が痺れた。 以前モースやレヴィ=ストロースなどの文化人類学についてどこかで読んだときに 「人間はモノを交換する。なぜか。それが人間というものだからだ!」 みたいな話が印象的で、自分にとってはそれを発展・深化させてくれた本とも言える。 大学での講義をベースにしているので文章は平易だけど、前書きに書いてあった、 「野生の思考」の宗教による抑圧 -> 形を変えて「科学」として復活 -> その次の「形而上学革命」はどんなものか? という問いからして既にスケール が大きいです。 美術好きとしては、ラスコー洞窟の壁画の考察もとても興味深い (無から有の創造。つまり形而上学の誕生)。 ただ個人的には後半は失速・・・ 今後への処方箋が明確ではないから。 自分の中で答えを見つけるべきなのでしょう。 とにかく、資本主義とは、グローバリズムとは、というマクロなこと、 それから個人にとってお金とは、働くとは、ということ、 その両方の根源的な部分を考えさせられた一冊。
有吉 佐和子
/ 新潮社
(2007-10) /
780円
/ ISBN:9784101132082
時代は大正から昭和の戦後にかけて。 文楽の三味線弾きに惚れた1人の女性、茜の物語。 17歳の大店のお嬢さん、茜を揺さぶった「一の糸」の響き。 (色彩と音を鮮烈に想起させる、この物語冒頭の描写がお見事) その出会いからさまざまな曲折を経て物語が進む過程で、それは茜の身体 から離れることがなく、茜の生き方と、この物語の中心を貫いている。 読んでいるこちらの体の芯にも一の糸の音が響いているかと錯覚するほど、 見事にこの物語に浸食されてしまった。 わがままなお嬢さまとして育ち、決して人に好かれる性格とは言えない茜が、 ときにみっともなく騒ぎながらも惚れた男に賭けて生きる姿が強くて、可愛い。 今どきこんな女性の生き方は流行らないし、古き良き時代の女性像ではある けれど、茜の母親といい、昔の女は筋が通っていて強いわ。 21世紀の今は今なりに、こういう矜持を持てるだろうか。
ジャック・ケルアック
/ 河出書房新社
(2007-11-09) /
2,730円
/ ISBN:9784309709413
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