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なかなか暮れない夏の夕暮れ
江國香織 / 角川春樹事務所 (2017-02-10) / 1,728円19 users
読了:  2017年07月18日 星4つ
江國ワールド全開という感じの作品。★3.5。ふわふわしていて甘くちょっと背徳的な感じのする描写が続き、登場人物が入れ替わり立ち替わりその舞台にやってきては、静かに去っていき、また戻ってくる。ストーリーがあるようでないようで、好き嫌いのはっきり分かれそうな感じ。私はこの人のこういう作品が好きだけれど、「どんな話だったの?」と誰かに聞かれたら、説明のしようがない。
登場人物がとにかく多くて、途中で読むのを止めたらもうついていけない気がしてしまい、一気読み。
ずっとむかしに英語の授業で教わった例文を思い出していた。女のいない男は水のない魚のようで、男のいない女は自転車のない魚のようだ、というのがその例文で、当時は意味がわからなかったが、いまならばわかる。要するに、男には女が必要だが、女に男は必要ないということだ。 (P78)
ラブレターは、よく考えて書きなさい、お礼状は、考える前に書きなさい。死んだ母親は、よくそう言っていたーー。 (P86)
正直に言えば、テレビを長時間見る人間は暇で孤独か知性がないかのどちらか(あるいは両方)だと決めつけて、内心軽蔑していた。だから夫が休みの日は終日(平日も毎朝、毎晩)テレビを見ることに、最初はひどく戸惑った。でもいまは、それはある種の優しさだと感じられるようになった。すくなくとも、本ばかり読んでいられるよりはずっとましだ。テレビならば夫がいま何を見ているのかわかるし、一緒に見ることもできる。 (P104)
でもーー。
夕風の渡るビアガーデンで、残りすくなくなっていたビールをのみ干した淳子は、いったいなぜ稔ごときのために、自分が人生の充実度をアピールしなければならないのかと、腹立たしくなった。 (P128)
 さやかは、若い人をうらやましいとは全く思わない。やっとここまで来たのだ。若いころなんて、いやなことばかりだった。自分の居場所がどこにもないような気がしていた。 (P230)
 夫婦というのはグロテスクだ。結婚して以来何度も考えたことを、渚はまた考えてしまう。互いに相手の考えていることがわからなくても、それどころか、相手の存在を疎ましく感じるときでさえ、夜になれば一緒に眠り、朝になればおなじテーブルにつく。小さな不快さも言葉のすれちがいも、何一つ解決されないまま日々のなかに埋もれ、夜と朝がくり返され、夫婦以外の誰とも共有できない何かになってしまう。世間では、それを絆と呼ぶのだろう。だから、絆というのは日々の小さな不快さの積み重ねのことだ。 (P256)
さやかは仕事に行っているので、アパートには、自分以外に誰もいない。日常、とチカは思った。さやかのいない部屋のなかには、さやかがいるとき以上にさやかの気配が感じられる。どうしてなのかはわからないが、チカはそれが気に入っている。さやかのいない(けれどさやかの気配のある)部屋のなかが。本人が知ったら怒るだろう。 (P295)

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