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TPP 知財戦争の始まり
渡辺惣樹 /草思社 (2012-02-11) / 1,620円29 users
読了:  2014年01月03日
 TPPを推進する米国の意図を、「自国の知的財産権を最大化することで、米国に売上と雇用をもたらす」ためだと看破した見事な本。米国が説く"自由貿易の拡大"がまやかしだということは知っていても、農業や工業製品や、金融分野ですら無く、一番の目的は知財だというのは驚きだった。
中国への対抗策、包囲網という意味では、ペルー来航と構図は同じという、近現代史専門家ならではの指摘は鋭い。コンテンツビジネスに関わる人は、目を通すべき本だと思う。
 21世紀に国際社会のパワーゲームで日本がどういう立場に居るのかよくわかる。その象徴的かつ代表的な分野が知的財産権になるということを音楽プロデューサーとして肝に銘じたい。大ピンチだし、すごいチャンスがあるのが、今の日本のコンテンツ業界なんだなと改めて思った。
TPPに対する判断を本書だけでするのは危険かもしれないけれど、確実に持つべき視点の一つだ。コンテンツビジネスに関わる全ての日本人に激しくオススメしたい。
 善悪、是非の二元論では無く、米国のルールを取り込みながら、中国との間を取り持つようなスタンスがとれるのが日本にとってベストシナリオなのだろうけれど、現状の政府の力は難しそうだ。

<以下、読書メモ>
 平成の日本開国と言われるTPP交渉への日本の参加は、アメリカの強い圧力の下で決定された。〜アメリカの狙いは、日本国内で手厚く保護されているコメや酪農製品の市場であり、まだ十分に開放されていない金融市場や規制の多い医薬品の市場だと考えられている。〜実は、平成の開国もアメリカの狙いは、中国マーケット攻略を年頭に立案された壮大なゲームプランの一環にすぎないようなのだ。
 平成のアメリカの狙いは、中国に訃報に蚕食されている目に見えないアメリカの知的財産権を保護するための、防衛の意味合いの強い戦いのようんだ。 (P14)

日本開国計画を立案したのは、アーロンHパーマーというニューヨークのロビイスト。〜 パーマーが日本開国提案書を時のテイラー政権に提出したのは1849年のことであった。そこには、日本の開国は「サンフランシスコ上海を結ぶ蒸気船の石炭補給基地を提供するために必要であることがはっきりと記されている。(P19)

 アメリカの南北戦争の本質は、合衆国から離脱を表明した南部連合と、リンカーン大統領率いる北軍とのあいだで戦わされた経済戦争であった。決して奴隷解放をめざした戦いでは無く、関税政策をめぐる対立であった。〜 自由貿易を主張する南部連合と保護貿易で工業化を図り国内マーケットの拡大をめざすリンカーン政権との戦いだった。(P32)

 もはや関税のそうされ経済は活性化しない?
 日本政府はTPPによる無関税化での経済成長は2.7兆円と試算した。(内閣府2011年10月25日)これは10年間の累計の数字だという。1年でわずか2700億円程度の成長である。
 それでは、日本を完全に自由化させることで、アメリカはどの程度の成長が見込めるのだろうか。国際貿易を経験している者は、直感的に日本の数字を2.5倍する。アメリカの人口が約日本の二倍強の3億人だから、おおよそそうした数字になるのだ。(P35)

 アメリカは農業分野(穀物生産)が、国家の安全保障上の観点からも、きわめてセンシティブな問題を抱えていることを重々承知している。
アメリカの人口にアイルランド系が占める割合はおよそ12%(2007年統計)、ドイツ系の17%に次いで二番目の数字。アイルランド人のほとんどが、1845年から49年に発生した大飢饉から逃れるためにアメリカに渡ってきている。
 この大飢饉でアイルランド人は150万人が餓死し、100万人がアメリカに新天地を求めたのだ。人口800万人の国アイルランドを襲った未曾有の飢饉は、当時の宗主国イギリスが、穀物の関税を撤廃したことが密接にかかわっていることをアイルランド系の人々は知っている。(P40)

 日本の将来のあるべき農業の青写真ができあがっていれば、TPPという外圧を能動的に、そしてクリエイティブに利用することは可能である。(P43)

 日本の専門家の分析からも高関税がかけられている米国産農業産品の日本向け輸出にアメリカが大きな期待を掛けているはずが無いことは明らかだ。
 「日本の米国からの輸入の75%は無税であり、米国が輸出増加を期待する有罪の農林産品は、12.5%とシェアが低く、米国の輸出の0.6%に過ぎない。(P49)

 アメリカ政府はじっくりとサービス分野の研究をした。〜 その研究を通じて、知的財産権の輸出はまだまだ増やせると結論づけた。
 その研究の成果は、「The Prioritizing Resources and Organization for Intellectual Property Act 0f 2008」と呼ばれる法律で2008年10月13日に発行している。通称「PRO-IP法」「国家の資源および組織を知的財産権振興に優先的に活用する法」(P53)

 アメリカは、全産業を知的財産権高度集積産業(IP Intensive Industries)と、そうでない産業に明確に二分するのである。〜 石油、石炭関連、化学品、コンピューター関連、輸送機器、医療機器一般、情報ソフトウエア
 その上で結論は、
 知的財産権高度集積産業は、好不況時を問わず、高いスキルを必要とする職を増加させ 〜
 給与レベルは60%高い
 生産量、販売量は2倍以上、
 輸出をリードし、国際競争力が高い
 貿易黒字を産んでいる
 R&D投資は非産業に比べ13倍におよび
 したがって、我が国のイノベーションのたまものである知的財産権を護ることは、多くのアメリカ産業の将来にとってきわめて重要な課題である。
 アメリカは知的財産権高度集積産業に国の将来を見いだした。国策として、知的財産権高度集積産業を育成し、その成果物を徹底的に保護することに決めたのである。  (P64)

 ブルネイとベトナムという、知的財産権侵害の悪質さが高い国で、コントロールできメカニズムをつくろうとしている。(P66)

 中国における知的財産権の保護と行使が進めば、アメリカ国内の雇用情勢は2〜5%の改善が見込まれる。これは923000の新規の職場が創造されることを意味している。(P74)

2006年1月中国は技術立国を目指して、野心的な科学技術開発中長期瀬計画(MLP)を発表した。2050年までに科学技術開発で世界のトップを走るという計画である。〜そこにいたるまたの方策は実に中国らしい、自国に都合のよいプランのオンパレードである。政府調達品は国内開発技術を優先させること、そのために国内企業への融資面での優遇措置をとること、欧米各国は中五国のこうしたやり方を、中国的イノベーション政策(Indigenous Innovation Policy)と呼んでいる。(P77)

 金融サービスの自由化の問題とは、外国資本の金融機関に対しての各種規制の撤廃を目指す者である。〜しかし、これも記述の農業問題に似て、オバマ台頭量がめざす広範囲にわたる産業横断的な輸出増進や職場の創出には繋がらない。(P98)

 日本も中国の知的財産権侵害で、相当な学の損失を被っているはずだ。アメリカの2.5倍と考えれば、1.5兆円となるが、おそらく日本の損失額はアメリカの4兆円を上回る可能性が高い。日本の対中貿易額のほうがアメリカのそれよりも高いからだ。
 知的財産権の輸出は一般の製品の輸出と比べたときに、大きな特徴がある。知的財産権の創造には巨額の開発費がかさむ。しかしそれを消費者に提供する物理的コストはほぼゼロに近い。
 〜アメリカが目指している政府調達システムが導入され、日本も中国の侵害行為を防ぐことができれば、TPPのメリットは十分にありそうだ。
 日本企業のトップも政治家も、中国に強い姿勢はとれない。だから、こういうときこそは、外圧は使うべきなのだ。
(P109)

 ライオンキングの手塚プロダクションからの盗作に代表されるアメリカの悪例は、おそらく彼ら自身がこれからの中国の不法を攻めるときの足かせになっていくだろう。
 〜日本側の注意も必要である。手塚スタジオのように自らの権利を主張しないことは、国際秩序そのものを破壊する可能性がある、「日本的な大人な対応」は、今後、明確な形で否定されていくだろう。〜日本が中国に奪われている知的財産権だけで無く、アメリカに奪われている知的財産権の回復にも繋がる可能性が大いに期待できるのだ。(P113)

 特許のライセンス料の相場は、製品販売価格の5%前後である。(P125)
可能性の大国インドネシア
矢野 英基 /草思社 (2012-12-07) / 1,836円4 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 登録日:2013年04月11日 19時55分14秒 2013/04/11
読了:  2013年04月11日
朝日新聞社の元ジャカルタ特派員によるインドネシア解説著。よくできた新聞の特集のような、わかりやすく、きちんと描かれている。インドネシアの政治、経済、社会が、歴史的な経緯も含めて理解できる。おすすめ。

以下、読書メモ。

携帯電話は人気。親しい人とつねにつながっているのが大好きなインドネシア人には魅力。日本円で3万円と高いが、それがまた新しいもの好きで見栄っ張りのインドネシア人の消費意欲をくすぐる。(P19)

インドネシアでは、カナダのRIMのブラックベリーが人気で、シェアの過半。(P20)

英BBSの調査で、日本も良く思っているひとはインドネシアで85%で世界トップ。悪く思っているのは7%。(P34)

初代大統領のスカルノの専門は土木工学。カリスマ性や政治家としての素質は大きく評価されているが、経済政策はは側近に任せていた。1950年から必需品のライセンスはプリブミ(現地人・非外国系)の起業家に与える政策を採用したが、そのライセンスの多くは華人の輸入業者に高値で転売されたとされている(P37)

日本とインドネシアは、1958年に平和条約で賠償は総額8億ドル。
日本企業にとっては、多様な分野で商社や建設会社が大きなプロジェクトを担って、東南アジアへの経済進出を加速された。(P38)

インドネシア人、特にジャワ人は、口が上手くて反応が早いタイプよりも、能力があるのにそれを出さない実直な人を信頼する傾向がある。ユドヨノは、そのタイプ。(P81)

プロフィール

音楽プロデューサー、コンテンツオーガナイザー。『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)上梓。(株)バグコーポレーション代表取締役。(社)日本音楽制作者連盟理事
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