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カテゴリ 読書 購入 お気に入り 1 - 30件目 / 77件 日付
沈まぬアメリカ 拡散するソフト・パワーとその真価
渡辺靖 /新潮社 (2015-10-23) / 1,728円22 users
読了:  2016年01月31日
アメリカ社会の研究家による力作。
アメリカのコミュニティを宗教や思想、価値観という軸で、アメリカ国外を視野にまとめている。アメリカ型民主主義、アメリカ的価値観が国外でカスタマイズされている様子を描いていて、興味深い。ユニークで意味のある視点だと思った。
アメリカ内のコミュニティに関する著書も読んでみようと思う。
キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)
久松 達央 /新潮社 (2013-09-14) / 756円101 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 産業研究 登録日:2013年11月03日 14時20分30秒 2013/11/03
読了:  2013年11月04日
日本の農業に興味がある人には必読の素晴らしい本。
筆者の脱サラで有機農業を始めたという経歴だと、肩に力の入った正義が書かれているように思われがちだけれど、実践的かつ、理知的そして、相対的な価値観で俯瞰して書かれている。
特に「農家は弱者では無く、法律で守られた資産家で、優遇税制は、日本の農業を強くすることに寄与していない」という鋭い指摘や、原発事故の風評被害に対する考え方は、素晴らしい。
そして、何よりも久松農園の野菜を食べてみたくなった。

以下は、読書メモ
有機だから美味しいというのは神話。
野菜の美味しさの三要素は、栽培時期(旬)、品種、鮮度で8割方決まる。この3つが満たされていれば、栽培方法にかかわらず、誰でもある程度、美味しい野菜が育てられる。(P20)

有機野菜は、安全な野菜では無く「健康な野菜」であるべきだ、「その個体が生まれ持っている能力を最も発揮できている野菜」そういう野菜は、栄養価も高く、美味しい。(P31)

中田英寿曰く、
日本人は何でも"道"にしてしまう。武士道や茶道、華道に始まり、はては野球道など。一つのことをとことん追求するのは質の向上にはいいことだし、現場のカイゼン主義で進化を続けるのは、日本人の良さだ。このやり方では、ものづくりに終わりが無い。最後はカイゼンのためのカイゼンに陥り、どうでもいいような細かいところをほじくるようになってします。

競争力とは総合満足度のこと。小さい規模(の農家)ならば、大手が拾いきれないようなコアなお客さんを総合満足度で上回ることが可能です。そのためにも、意図的に、安売りの土俵にのぼるのを避けることが大事です。(P102)

おいしいと感じる仕組み
1)身体に必要なものをおいしいと感じる「生理的なおいしさ」
2)慣れ親しんだ味をおいしいと感じる「文化的なおいしさ」
3)「通の味」のように、学習でつくりあげる「情報によるおいしさ」
4)とまらくなるほど悩ましい「やみつきになるおいしさ」
2,3は動物に無い、人間特有で、4も人為的に精製した食べ物に強く表れる(P119)

農業も失敗の多い仕事だからこそ、理詰めで考えられることは徹底的に考えた方が、勝率が上がる、と思うのです。(P142)

美味しいと言われると「してやったり」という快感なのです。農業生産者というよりも芸人やミュージシャンに近い感覚かもしれません。まずは、自分がやりたくて、やっている。しかし、喜んでくれる相手がいないと成立しないので、自分と自分の野菜を支持してくれるお客さんを探している。(P160)

(放射能汚染の風評被害について)
結論から言えば、「自分の野菜に、放射能納心理的リスクを上回る質的な魅力がなかったので、一部の顧客から支持されなくなった」と考えています。(P164)

日本の販売農家は約200万戸ですが、そのうち7%でしかない販売金額1000万円以上の農家の売上が、全生産額の6割を占めています。こうしたプロの農業者の多くは、「先祖代々の土地を守り、食糧自給の指名を帯びて納的な暮らしを続ける貧しい農家」ではありません。普通のマインドを持った社会人で有り、さらに言えば、多くの場合は農地法に守られた資産家です。社会的な弱者ではありません。
間違った農家増を持つ事は、人々に現実を見誤らせます。「かわいそうな農家」を支援するための税制の優遇措置が、農業生産に寄与していない「名ばかりの農家」の資産形成を助ける一方で、やる気のある農業者の規模拡大や新規参入を阻害することもあります。これは、都市化に伴って、農地が不動産としての勝ちをもってしまう局面において、日本中で起きていることです。
(P183)
中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい?
NHK_PR1号 /新潮社 (2012-10) / 1,257円190 users
読了:  2013年04月29日
「軟式」アカウントとして話題を呼んだNHK広報のTwitter担当者による本。「成功」の実態がよくわかる。
書籍の中でも、氏名や年齢などパーソナルな情報を出していない。
ハーバード白熱日本史教室 (新潮新書)
北川 智子 /新潮社 (2012-05-17) / 734円296 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 日本史 登録日:2012年12月24日 10時51分39秒 2012/12/24
読了:  2012年12月24日
ハーバード大学で独自の視点で日本史を教えて、人気を博している著者。アメリカの大学、大学院の状況と彼女が掲げる「日本史論」が語られている。
正直、「Lady Samurai」という概念は、アカデミックな視点は無理があるように感じた。秀吉の本妻ねねが、秀吉の「ペア・ルーラー」として機能していたという論理は、ジャーナリスティックには面白いけれど、「Lady Samurai」という観点で日本通史を語るってどうなのだろう?アメリカ人が好きなのはわかる気がするけれど。米国では研究と講義(teaching)は、別の分野というのが、わかった気がした。
ただ、第5章で語られる、日本人が自国とその歴史を語るときに「大きな物語」が無い、なんらかの「イデオロギー」を持つべきと言う主張には強く同意。
日本は世界で最も古い王朝を今も持っている。その事が諸外国からの尊敬にも繋がっている。もっと、海外に日本の価値観や文化を発信していくべきで、その意味で筆者の講義は素晴らしいと思う。
とてつもない日本 (新潮新書)
麻生 太郎 /新潮社 (2007-06-06) / 734円280 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 政治 登録日:2012年12月08日 10時06分24秒 2012/12/08
読了:  2012年12月08日
元首相の日本論。日本人が国際的な自分たちの価値を過少評価していて、もっとポジティブであるべきという主張は強く同意。ポップカルチャーへの認識含めた、その他の部分も概ね賛同できる。
高齢化についてもネガティブばかりとらえずに、年齢関係なく元気なら仕事をしてもらい、安全な日本に海外の富裕な老齢者には住んでもらえばよいという発想も斬新だが、賛成。
よく見たら2007年の著作で首相になる前に書いている。その割りには、自己宣伝が少ないところにも好感が持てる。その後の知見で続編を書いて欲しい。

・アジアにおける「ソート・リーダー」は日本だ。「成功のみあんらず、むしろ失敗例を進んでさらけ出す」「実践的先駆者」である。
「ナショナリズムの扱い方」についても失敗を経て、成熟したのは、まさに「ソート・リーダー」になり得るのでは無いか?
⇒アジアに対する日本の位置づけの論理として優れていると思った
・環境問題も日本は「ソート・リーダー」たり得る。GDP1単位を産み出すのに。アジア主要国は原油を1必要とするのに、北米はは0.5、日本は0.25。日本経済のエネルギー効率はアジアの4倍、北米の2倍である。
・日本は「ビルトイン・スタビライザー」=安定化装置の役割も担っている。アジアに対する経済援助、ODPは多額。2007年までの11年間で合計300億ドル。
・Peace and happiness through Economic Prosperity and Democracy.(よくつかう言葉)
・九州工業大学情報学部を創設させたのが1985年。九州のIC生産のシャアは4割りになった。九工大はつんベンチャー企業数が25社で全国で8位。
・江戸時代の日本は、世界的に見ても珍しく平和に、ガバナンスがうまくいっていたから、民主主義、平和、自由、人権といった「普遍的な価値」が定着しやすかった。
オーディション社会 韓国 (新潮新書)
佐藤 大介 /新潮社 (2012-06) / 756円36 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 社会学 登録日:2012年08月02日 18時47分55秒 2012/08/02
読了:  2012年08月02日
共同通信社のソウル特派員による韓国社会のレポート。
韓国と韓国人に愛情を持ちながらも、現状の問題点を鋭く抉っている。
日本には伝わってこない内容が多く、勉強になった。

・オーディション番組が大人気なのは、歌唱力と並んで、参加者の人生模様が評価の対象になり、「代理満足(テリマンジョク)」があるから。自分が目標を成し遂げられなかったときに、第三者がそれに変わる目標を達成することで自分の欲求を満たす行動のこと。競争が激しい韓国社会を反映している。

・韓国社会では人物評価で「スペック」という言葉が使われる。学歴、海外経験、資格、職業、財産、家柄、人脈、容姿などが、価値基準となる。(P71)

・「非正規(ピジョンギュ)」=非正規雇用者が社会問題化している。ベストセラー『88万ウォン世代』では、大卒の就職率が50%を切る中、非正規の平均月収が88万ウォン(11万円)だったという調査からのネーミング。
 左派の金大中、その後の盧武鉉が非正規雇用の労働形態を強化した「戦犯」とされている。(P99)

・「三放世代」=恋愛、結婚、出産を諦めたこと
・「余剰」という名前の雑誌がある

・2011年、釜山の韓進重工業の造船所で整理解雇に反発して、キムジンスクさんが、クレーンにに上って、地上35メートルで抗議行動をした。女優キムヨジンが、ツイッターで支持表明。「ソーシャルテイナー」という造語も生まれた。309日目に労働者側の勝利で終わる。
(P117)

・「45定」=45歳で肩たたきに会うので、定年。「56盗」50代60代で職場にいるのは盗人。という言葉があるくらい、サラリーマンの地位も安泰では無い。
・老後の備えが無い韓国の高齢者は貧困に陥りやすい。高齢者貧困率は45%でOECD加盟国で一番高い。日本(22%)、ギリシャ(23%)、米国(24%)の二倍。(P190)
十字軍物語〈3〉
塩野 七生 /新潮社 (2011-12) / 3,672円104 users
読了:  2012年04月03日
大ファンである塩野七生さんの最新刊。今回も素晴らしかった。
僕の西洋史は、「塩野史観」に思い切り染まっているので、ローマの歴史とルネッサンスの輝き、ヴェネツイアに代表されるイタリア都市国家が軸になっている。今回の十字軍物語で、その間の中世の見方の基準ができた気がしている。
個人的に、この1500年間は、人類史における「一神教暗黒時代」だと思っているのだけれど、ルネッサンス前の数百年前は、その中でも最も暗黒だね。カトリック教会が人間を不幸にしていたとしか思えない。当時の人たちは教会に救われたと思っていたのだろうけれど。キリスト教とイスラム教の争いにユダヤ教徒が絡むという構図は現在にも続いているけれど、はやく人類が絡み合った悪しき糸から早く脱出する知恵を持って欲しいと思う。宗教は本当に信じている人と、現世的な欲得のために建前として利用する人が居て、同一人物に両面あったりしてややこしいよね。先祖と自然を崇拝して八百万の神に祈る日本など東洋の宗教観の方が健全だなと改めて思った。
この本は宗教という面だけで無く、様々な人々の群像としても非常に面白い
第三次十字軍で活躍するイギリスの獅子心王リチャードや、第六次を率いる神聖ローマ軍の皇帝フリードリッヒはリーダーとして非常に魅力的だ。自国の拡大しか考えずに権謀術ばかり長けたフランスのフィリップ王や、どう見ても無能にしか思えないフランス王ルイ。キリスト教史観に縛られた欧州の歴史家評価と塩野さんの評価のずれも面白い。
最後にはモンゴルの脅威が出てきて、自分の中で歴史が繋がった感覚が持てた。読んで良かった。
インテリジェンス人間論 (新潮文庫)
佐藤 優 /新潮社 (2010-10-28) / 594円118 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 政治 登録日:2012年03月10日 16時12分19秒 2012/03/10
読了:  2012年03月09日 星4つ
もう既に、著者のファンだけれど、この本も素晴らしかった。
インテリジェンス(諜報)的な視点からの政治家論や、過去の思想家の分析。クリスチャンである著者による神学的なキリスト論など、含蓄が有り、人生の智恵になりそうな本。
鈴木宗男は優秀で志も高い政治家だけれど、「騙すよりも騙される方が良い」と思ってしまう人柄の良さが、弱点になっているので、政治闘争を勝ち抜けなかった。そこに哀しみをみるという著者の情緒の深さに感動した。

以下、なるほどと思ったことメモ。

権力には魔物が潜んでいる。潜んでいるというよりも、自分の内部にこの魔物を飼っていかなくはならないのである。そこで生き残る二つの方法
一つは自分自身が阿修羅に成り、闘い自体に喜びを感じるようになること。
もしくは、ドストエフスキーが『カラマーゾフの兄弟』で描いた大審問官。
愛と平和を実現するために、自分の優しさを殺して、人々を騙し続けるのが政治家の業。

政治家と秘書の関係は恋愛に似ている。
橋本龍太郎と江田憲司秘書官、小泉純一郎と飯島勲秘書官、安倍晋三と井上義行秘書官、加藤紘一と佐藤三郎秘書官。

ロシアで政局を見るコツは男と男の愛と嫉妬である。

小泉氏が昔から靖国神社に強い想いを持っていた訳では無い。経世会の牙城である日本遺族会をとりこむため。すると、中国、韓国が過剰反応して、結果、日本のナショナリズムが刺激され、小泉氏の権力基盤を強化した。中国、韓国とは喧嘩するが、一番強いアメリカとは喧嘩をしないという「マフィアの技法」が小泉氏が長期権力を維持した秘訣。

トルクメニスタンの指導者があえて時代錯誤の中世王朝ような国家体制を構築するのは、ロシア、アメリカのような帝国主義国、トルコ、イランのような地域大国の恐ろしさを理解しているから。国境を開いて祖国が植民地になるよりも、閉ざして、資源を切り売りしながら、国民に最低限度の生活を保証し、数閏年賭けて、トルクメン人と国家の生き残りをゆっくり考えようとする方が、シルクロードの要衝で諸文明の衰亡発展を目の当たりにしてきたトルクメン民族エリートの英知。

何かのために自分の大切な命を捨てられるようになる覚悟を人間に持たせるのが「思想」。イスラム原理主義、マルクス主義、(北朝鮮の)主体思想、キリスト教思想も、基本的には「人殺し」を正当化する論理を含んでいる。だから、思想を扱うことと殺人は隣り合わせにあることを自覚していない思想家は無責任。戦争もその一つの形。
アメリカ型成功者の物語―ゴールドラッシュとシリコンバレー (新潮文庫)
野口 悠紀雄 /新潮社 (2009-04-25) / 679円65 users
読了:  2012年03月01日 星3つ
名著。150年前にカリフォルニアであった「ゴールドラッシュ」とシリコンバレーのITベンチャーの成功の共通点を描きだし、その上で、共通する理由に、ゴールドラッシュの成功者、鉄道王のスタンフォードが大学をつくって、その遺伝子が受け継がれたことだということを鮮やかに、証明してみせている。個々の事象は知っていた部分もあるけれど、このような構図になっていたのは、目からウロコだった。
手に汗握る歴史小説としての面白さと、ビジネスに対する考え方を学べる教科書の機能が共存している。ビジネスパーソン、IT関係者は必読。

以下、読書メモと感想。
・1949年に黄金を求めて人々が殺到したので、「フォーティナイナーズ」と呼ばれている。(P25)
・カリフォルニアのゴールドラッシュは、自由競争だった。理由は金脈が地表に近かったことと、土地所有権が確立してなかったこと。その証拠に同時期のオーストラリアは土地所有の政府管理が確立していたので、大金持ちを生まなかった。(P28)
・「誰にもできる。規制が無い」という意味でITとゴールドラッシュが酷似している。ITを21世紀のゴールドラッシュと言うのは「新しい情報通信偽実が金のように価値がある」という意味では無く「誰にも使えて規制の無い新技術はカリフォルニアのゴールドラッシュと同じ性質を持っている」ということ。だから、カリフォルニアのゴールドラッシュやインターネットを「アメリカ型資本主義」と形容するのは全く間違っている。金を掘るのにスコップとふるいだけで十分だったように、インターネットで仕事をするのに必要なのはパソコンだけ。巨額の資本と無縁で、原始的自由主義経済の典型で、資本主義とは全く違う。」(P29〜30)
・リーバイスのジーンズは金鉱堀に破れないズボンを提供するためにテント用のキャンバス地を使ってつくったのが、始まり。ポケットがほつれないようにリベットを使うのを思いついたヤコブ・デイビスが特許申請費用がないので、リーバイ・ストラウスに提案して共同特許にした。二人は金を掘る人が必要な者を供給した(mining the gold minners)ゴールドラッシュの成功者。
・サンフランシスコの新聞発行者ヘンリー・ジョージが唱えた説。「開発による利益が少数の土地所有者に帰属するのは不公平だ。土地への税金を重くして、労働や資本に対する税金は軽くすべき」1879年に掻いた『進歩と貧困』は全世界で200万部以上売れた。1986年にNY市長選に出馬したが惜しくお落選。
・トロイ遺跡を発掘した考古学者シュリーマンは、弟がカリフォルニアで死んだので、立ち寄ったが、サクラメントで金粉の取引で9ヶ月で40万ドルの利益をあげた。(日本に立ち寄って「平和と満足感。豊かさと秩序。そして世界のどこよりも耕された土地がある」と高評価をしてくれた)
・ジョン万次郎も金鉱に来て、70日間で600ドル蓄えて、日本に戻った。ゴールドラッシュのおかげで日本帰国の費用が手に入れられた。
・アメリカ横断鉄道ができて、時刻表を使うようになったので、アメリカに4つの時間帯ができた。それまで駅馬車で1ヶ月、通常の移動だと6ヶ月掛かっていたのが、6日間でアメリカ横断が可能になった。費用も1100ドルから70ドルになった。
・アメリカ横断鉄道のアメリカ人にとっての3つの価値。
1)絶大な経済利益への期待。貿易の通路など。2)南北戦争で分裂した国家が再統一される喜び
3)アメリカはいかなる困難にも立ち向かい、克服するということが証明された。
但し、アジア人から見ると独善的で差別的な意識である。建設労働者は、差別対象の中国人とアイルランド人だし、手放しに賛美できることでは無い。(P111〜113)
・鉄道王たちは高名(で違法)な(トンネル会社をつかった)仕組みをつくって、巨万の富をつくった、政界有力者にも富が分配されていたので、最後まで追求はされなかった。いまだに真相は闇。作家マーク・トウェインは「The Golden Age」ではなく、「The Gilded Age」(うわべだけ金箔をはった時代)と評した。(P138)
・日本が江戸中期で鎖国を解き、太平洋に乗り出して、アメリカ大陸に進出していたら、世界史は違っていただろう。150年ぶりの怠慢のツケをその後払うことになる。IT革命も同じではないか?(P154)
・共和党は奴隷制反対を掲げた北部産業資本の利益を代表する党だった。カリフォルニアは州に昇格する時に、板挟みになり、「自由州にするが逃亡奴隷の取締法はつくる」という妥協が結ばれた(P163)
・19世紀のゴールドラッシュにおける最高の成功者がその理念を結実させた大学(スタンフォード大学)をつくり、それによって、ITの世界が開けた」(P190)
・Yahoo!の語源は、「Yet Another」という言葉が新しいソフトの頭文字に使われていたからyaで始まる言葉を探して、ガリバー旅行記の人間によくにた愚かな動物の名前から。(P236)
・シスコのビジネスモデルは「技術開発を社内で行わず。技術を開発したスタートアップ会社を買収して、その技術を自己の商品群に加える」というもので、目的は「規模の拡大」ではなく「時間の節約」。「市場を見つめるときに必要なのはカレンダーの7倍で進むインターネットイヤー」(P307)
・シリコンバレーの様々な組織は、「自由、革新、チャレンジ、チャンス」という独特の空気を有していて、米国全体の弁護士や政治家が強い、エリート達のパワーポリティクスとは全く違っている。(P343)
・スタンフォード大学の役割は人と人との出会いの場を提供したことも大きい。(P351)
・「競争否定」「平等化志向」「国依存」「組織依存」というメンタリティは日本人の伝統では無く、1940年頃に太平洋戦争に対する戦時体制としてつくられたものである。高度成長では役に立ったが、これからはマイナスだ。(P374)
・ゴールドラッシュでは過去に執着して、変化の本質を読めなかったのが失敗者。日本は教訓にするべき。一方成功者は、経済条件が大きく変わることの意味を理解して適切に対処した。(P376〜378)
十字軍物語2
塩野七生 /新潮社 (2011-03-24) / 2,700円134 users
読了:  2011年12月29日
塩野七生は希代の作家だと改めて思う。
イスラム教徒とキリスト教徒の争いである「十字軍」の歴史を著すのには、日本人が向いている事もよくわかる。
第二次十字軍と、第三次の間の40年間を中心としたこの第二巻は、著者が「傑出した指導者は、何故まとまって現れるのか?」と記しているように、魅力的な人物がたくさん出てくる。
聖堂騎士団や、聖ヨハネ騎士団、ハッシシをすう男たちと呼ばれるシリアの暗殺団、ジェノバ、ヴィエネツイアの商人たちなどもイメージできた。
卓越した戦略家で、騎士道精神の持ち主として描かれる、イスラムのスルタン(将軍)サラディンが、クルド人というのは、驚きだった。
中東の複雑な構図は、中世から始まって、今も続いているんだね。
電通とリクルート (新潮新書)
山本 直人 /新潮社 (2010-12) / 778円159 users
読了:  2011年08月11日
マーケティングコンサルタントによる電通とリクルートの比較論。日本の情報産業の双頭というのはその通りだけれど、比較論としての独自の視点や洞察は感じなかった。
それぞれの経歴を日本社会との関わりの中で、わかりやすくまとめているのは、知識の確認としてためになる。
新文章読本 (新潮文庫 か 1-17)
川端 康成 /新潮社 (1954-09) / - 14 users
読了:  2011年06月14日
川端康成の真摯な文章論。この人の文壇の位置が窺えた気がした。ノーベル文学賞は取るべくして取ったということなのかもな。
カラオケ秘史―創意工夫の世界革命 (新潮新書)
烏賀陽 弘道 /新潮社 (2008-12) / 734円41 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 登録日:2011年05月19日 16時22分03秒 2011/05/19
読了:  2011年05月31日 星2つ
素晴らしい。世界的に広まった日本発の「カラオケ」を起源から探っっている。産業史、文化史の側面を持つ。熱い情熱を持った人たちの伝記としても面白い。
カラオケは一兆円産業で、カラオケボックスが9800店、飲食店を含むと22万店の大きな産業。CD業界より大規模。
元祖カラオケが沢山いる理由をカラオケの定義の多様性に求め、
1)歌を抜いたバック演奏。
2)それを録音したソフト
3)ソフトを再生してミキシングできるようにした機械
4)課金等ができるようにした店頭用の機械
5)ソフトとハードのセットのシステム
6)機械のレンタル、ソフトの供給など全体のビジネスモデル
と種別している。なるほど。
カラオケを普及させて海外メディアにも注目された井上大佑氏、機械を発明した根岸重一氏、カラオケボックスを始めた佐藤洋一氏、通信カラオケを普及させたエクシングの安友雄一氏などを、周辺人物含めて、丁寧に取材している。いつもながらの著者の仕事ぶりには感心させられる。
その上で、分析として、カラオケボックスは非大都市、郊外、ロードサイドという形で広まったのは、日本の高度成長期以降の社会情勢とリンクしていること(三浦展氏がTSUTAYAを例に説いたファスト風土化と同じ)や
文化的に日本人と歌うこととの関わりやヒット曲とカラオケの関連性などを考察していて、とてもためになる。

自分の仕事との関わりも含めて、日本でカラオケが広まった理由を考えてみたくなった。
実際、売れないミュージシャンの仕事は、キャバレーの店付バンドからカラオケのデータ作成に変わったというのは、気づいていた。音楽業界の人は、カラオケを亜流にとらえがちだけど、産業規模もユーザーの層もカラオケ産業の方が大きいだよね。
自家製 文章読本 (新潮文庫)
井上 ひさし /新潮社 (1987-04-28) / 473円118 users
読了:  2011年03月30日
文章読本は、どれもそうだけど、これも井上ひさしらしさが溢れている。
クドイし、エクスキューズが多いし、ギミックも。もちろん良い意味でだけど。
功利主義者の読書術
佐藤 優 /新潮社 (2009-07) / 1,728円144 users
読了:  2011年02月19日 星3つ
 読書を「功利主義」、何かの役に立つために行うというコンセプトの本。といっても、「役に立つ」の基準は即物的ではなく、理解を深めるとか、考察が広がるとか、精神的な意味。著者の幅広い知見と視野に、改めて感心する。

 『資本論』を理解するために、漫画『うずまき』、私小説『夢を与える』(綿矢りさ)、そしてマルクスを批判的に経済学の視点で論証する宇野弘蔵の『資本論を学ぶ』の三冊を使っていて、驚く。

 論戦に勝つテクニックというテーマで、海外の個展小説『山椒魚戦争』と石原真理子の暴露本『ふぞろいな秘密』と酒井順子のエッセイ『負け犬の遠吠え』を比較する。

 実践的な恋愛術の伝授と題して『孤独の賭け』(五味川順平)『我が心は石にあらず』(高橋和己)という、小難しいタイプの小説を出す。

 交渉の達人になるためには、エリート外交官東郷和彦の『北方領土交渉秘録』とドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』、そして沖縄人小説家の大城立裕の『カクテル・パーティ』を読むように奨める。

 リーマンショックについては、宇野弘蔵『恐慌論』と唯一予言した副島隆彦の『恐慌前夜』、ドイツの経済学者リスト『経済学の国民的体系』を上げた上で、ブームになっていた『蟹工船』で描かれる悲惨な状況は、小林多喜二の想像の産物と看破する。

 「世直し」という考え方の危険性について、新興宗教を舞台にした高橋和己の小説『邪宗門』と、浅間山荘事件を描いた漫画『レッド』(山本直樹)と死刑囚となった坂口弘の『歌集・常しへの道』で語る。

 レイモンド・チャンドラー『ロング・グッバイ』の清水俊二訳と村上春樹訳の比較論も面白いし、哲学者池田晶子と殺人者陸他真志の交流『死と生きる 獄中哲学対話』についてもとても興味深く読んだ。池田晶子が死刑囚陸田に感じているのは、エロースでもアガペー(神の愛)でも無い三つ目の愛「フィロース」(友情の愛)だと学んだ。

 沖縄問題に関する著者のスタンスも共感できる。『テンペスト』(池上永一)は既読だが、『琉球王国』(高倉倉吉)も読んでみようと思った。

 著者の専門分野であるロシアについては、『ソビエト帝国の最期』(小室直樹)、ノーベル賞作家A・ソルジェニーツィンの『イワン・デニーソヴィッチの一日』、独社会哲学者ユルゲン・ハーバマスの『他社の受容』を紹介している。小室直樹をオシント(公開情報によるインテリジェンス)として天才的な洞察力であると褒めているのが印象的だった。
 
 最終章に「日本の閉塞状況を打破するための視点」というテーマで紹介される本は、著者の関心領域を反映して難解そうだ。インド仏教の思想を伝える『はじめての唯識』(多川俊英)、ユルゲン・ハーバーマスの『公共性の構造転換』、吉本隆明『共同幻想論』、そして『新約聖書』を著者独自の論点で語っている。

 自分がいかにモノを知らないか、知識が浅いかを思い知るのは、愉快ではないが良い経験だ。そして一生かかっても著者の知識には追いつかないことも実感できる。終わりのないことを努力するのが人間の精神的な行為なのだろう、と思ったり。
 紹介されている書物の大半は未読だったので、順に読んでいきたいと思った。自分の備忘のために、紹介されていた本は全部書き出した。
腐蝕生保 下巻
高杉 良 /新潮社 (2006-11-15) / 1,944円17 users
読了:  2011年02月12日
日本生命を舞台にしたサラリーマン小説。経営者の堕落ぶりもよく描かれている。高杉良らしいリアリティとエンタテインメントの両立。主人公のキャラクターがこれまれ読んだ作品に比べると戯画的と思った。
腐蝕生保 上巻
高杉 良 /新潮社 (2006-11-15) / 1,944円18 users
読了:  2011年02月11日
十字軍物語〈1〉
塩野 七生 /新潮社 (2010-09) / 2,700円188 users
購入:  2010年10月17日 2,625円
読了:  2010年10月27日 星3つ
さすが塩野さんという感じの、相変わらずの力作。ただ、しらない地名、人名のオンパレードで、読み込むには至らなかった。近々に再読しよう。
夜の私は昼の私をいつも裏切る (新潮文庫)
草凪 優 /新潮社 (2010-08-28) / 2,821円20 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 登録日:2010年09月18日 20時20分11秒 2010/09/18
購入:  2010年09月23日 580円
読了:  2010年09月20日 星2つ
絵で見る十字軍物語
塩野 七生 /新潮社 (2010-07) / 2,376円175 users
購入:  2010年08月14日 2,310円
読了:  2010年08月19日 星3つ
今後の十字軍シリーズにも期待。
わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈3〉 (新潮文庫)
塩野 七生 /新潮社 (2010-04-24) / 529円109 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 世界史 登録日:2010年07月11日 15時33分54秒 2010/07/11
購入:  2010年07月14日 460円
読了:  2010年07月20日 星4つ
わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈1〉 (新潮文庫)
塩野 七生 /新潮社 (2010-04-24) / 497円164 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 世界史 登録日:2010年07月11日 15時33分54秒 2010/07/11
購入:  2010年07月14日 420円
読了:  2010年07月14日 星4つ
わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈2〉 (新潮文庫)
塩野 七生 /新潮社 (2010-04-24) / 529円110 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 世界史 登録日:2010年07月11日 15時33分54秒 2010/07/11
購入:  2010年07月14日 460円
読了:  2010年07月14日
国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)
佐藤 優 /新潮社 (2007-10-30) / 810円489 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 政治 登録日:2010年08月14日 12時22分59秒 2010/08/14
購入:  2010年03月24日 740円
読了:  2010年03月24日 星4つ
自壊する帝国 (新潮文庫)
佐藤 優 /新潮社 (2008-10-28) / 853円204 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 政治 登録日:2010年08月14日 12時22分59秒 2010/08/14
購入:  2010年 820円
読了:  2010年 星3つ
ソ連崩壊の過程を外交官の立場から綴った傑作。
海の都の物語〈4〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)
塩野 七生 /新潮社 (2009-06-27) / 464円158 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 世界史 登録日:2010年08月14日 12時31分43秒 2010/08/14
購入:  2009年08月14日 420円
読了:  2009年08月14日 星4つ
オタクはすでに死んでいる (新潮新書)
岡田 斗司夫 /新潮社 (2008-04-15) / 734円174 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 社会学 登録日:2011年07月22日 03時11分59秒 2011/07/22
読了:  2009年07月22日
本家本元によるオタク論。
オタク的な価値観が大衆化したことに伴う変化をわかりやすくまとめている。オタクじゃない僕には勉強になった
ローマ亡き後の地中海世界(上)
塩野七生 /新潮社 (2008-12-20) / 3,240円160 users
購入:  2009年01月14日 3,150円
読了:  2009年01月14日 星4つ
ローマ亡き後の地中海世界 下
塩野 七生 /新潮社 (2009-01) / 3,240円128 users
購入:  2009年01月14日 3,150円
読了:  2009年01月14日 星4つ
海の都の物語〈5〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)
塩野 七生 /新潮社 (2009-06-27) / 464円151 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 世界史 登録日:2010年08月14日 12時30分32秒 2010/08/14
購入:  2009年 420円
読了:  2009年 星3つ
ベネツィアも晩年は少し寂しくなってくるな。

プロフィール

音楽プロデューサー、コンテンツオーガナイザー。『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)上梓。(株)バグコーポレーション代表取締役。(社)日本音楽制作者連盟理事
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