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都市と消費とディズニーの夢  ショッピングモーライゼーションの時代 (oneテーマ21)
速水 健朗/ 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-08-10) / 782円144 users
読了:  2013年12月15日
グローバリゼーション下における近年の世界の大都市の変化を「ショッピングモーライゼーション」と名付け、分析した良書。日本における都市開発の歴史と、世界のショッピングモール、そしてディズニーが果たした役割などを加えて、社会論として見事にまとめあげている。
既に起きている現象をニュートラルな立場から、リアルに概念化するという著者の得意技が炸裂していると思う。
日本人の近未来のあるべき姿を考えるのだめにも必読。

以下、読書メモ。
●最適化する都市=ショッピングモーライゼーション
公共性の高いスペスの収益化を行う場合の選択肢が、ショッピングモールとして施設を作り直すという手法です。こういった一連の減少を筆者は、ショッピングモーライゼーションと名付けています。
背景には、事業者の民営化、流通や観光、交通といった産業における国際都市間競争が存在。(P47)

日本では、なぜかショッピングモールは下層階級の消費と結びついているような誤解が生じている麺がありますが、世界的にはショッピングモールとはアッパーミドル層の消費の象徴です。(P51)

「マクドナルド化」なとの言葉を生み出したジョージリッツァという社会学者が、「消費の殿堂」という概念を提示しているが、「行き過ぎた消費社会」の親玉と捉える立ち位置は、筆者とはまるで違います。(P56)

ウォルト・ディズニーは、ディズニーランドの次に構想していた都市は、SPCOT(実験未来都市)となづけられていた。犯罪も交通渋滞もない、和気あいあいと暮らせる都市。(P92)

●街と消費のかかわり、パサージュ(19世紀半ばのパリの中心部の街路)から百貨店へ。(P108)

●ルート66の廃線とアメリカ人のノスタルジー
ルート66はシカゴやデトロイトのある五大湖周辺から西海岸へと向かうハイウエイ。移住者達の特別な思いをかきたてる存在。上野駅が東北の農村から上京した人が特別な場所である感じに近い。
映画「カーズ」もルート66をモチーフにした映画の一つ。(P121)

ルート66が廃れ、新しい道=フリーウエイが使われるようになった。インターステイトハイウエイ工事は、自然を破壊し人の生活を画一性をもたらし、アメリカの地方都市を無個性にしたという批判がアメリカでは常套句になっている。日本の1970〜80年代の郊外化を、三浦展が「ファスト風土化」と同じ状況。(P122)

日本におけるショッピングモールの歴史は、二子玉川の玉川高島屋ショッピングセンターから始まったというのが定説になっている。(P163)
ラーメンと愛国 (講談社現代新書)
速水 健朗/ 講談社 (2011-10-18) / 821円218 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / グルメ 登録日:2013年12月01日 10時58分07秒 2013/12/01
読了:  2013年11月25日
日本でもっとポピュラーな食べ物「ラーメン」を軸に、日本の戦後史を俯瞰した好著。
中華料理をルーツに持ちながら(支那そば)日本独自の発展を遂げたこと、米国の小麦輸出政策の受け皿となったこと、高度成長による地方都市一律化の中での「ご当地化」など、日本文化の象徴的な存在である事がよくわかった。
筆者が「戦後の日本の社会の変化を捉えるのに、ラーメンほどふさわしい材料はない。ラーメンの変化は時代の変化に沿ったものである。」(P4)と前書きに書かれているが、本書を読むとよくわかる。そして「ラーメンの変遷を追って見た日本の現代時の記録」としても、秀逸だと思う。

以下、読書メモ

日本における大量生産の勃興期は、戦後復興の時代と共に訪れた。筆者はチキンラーメン(日清食品)を、その時代に登場した、アメリカにおけるT型フォードにあたる象徴的な商品として捉えている。(P70)

大量生産の思想、技術を日本にもたらしたのは、アメリカの数理物理学者、統計学者のエドワード・デミングである。(P73)
太平洋戦争での敗北は、経営者、技術者たちからすれば、自分たちの生産した製品の敗北であった。研究開発のレベルは高くても、それを生産する技術が十分に育っていなかった。日本産業界の弱点は、生産技術にあったのだ。生産の現場に無知だった軍部の無益な要求や介入が原因とはいえ、敗戦はものづくりにたずさわる人間たちのプライドを傷つける出来事だったに違いない。(P75)
実はドラッガーとデミングは研究者時代の同期であり、お互いに影響を請け合う関係にあったという。1950年代の日本のものづくり、企業の経営学には、デミングを通し、自然にドラガーの経営哲学が植え込まれいたということになる。(P77)

本格的な大量消費とは、こうしたインフラ整備によって生まれた新しい生活様式である。(P85)

ハーシーは、ミルク入りチョコレートの大量生産をフォードがベルトコンベアーを自動車工場に導入するよりも早く工場に導入した。〜軍の要求したレベルは「茹でたジャガイモよりもややマシな程度」だったという、(P88)
コカコーラの経営者であったロバート・ウッドラフは、「軍服を着たすべての兵士が、どこで戦っていようと、また我が社にどれだけの負担がかかろうと5セントのビン入りコカコーラを買えるようにする」と宣言した。自社のコーラを砂糖の配給制限の適用外となるよう、軍需物資に認定させることに成功。アメリカ軍にコカコーラの技術顧問を同行させ、前線基地に次々とコカコーラの瓶詰め工場を建設し、前述の宣言を実現するのだ。(P89)

ラーメンの語源に定説は無い。しかし、それまで「支那そば」「中華そば」と呼ばれることが多かった麺料理の一般名将が、「ラーメン」に切り替わり、定着したのは、「チキンラーメン」のテレビCMによる影響だった。(P96)

『ラーメンの誕生』(岡田哲著・ちくま新書)によると、北海道の札幌ラーメンと九州の博多ラーメンは、それぞれ別のルートで中国の北方、南方から伝わり、別々に進化した食べ物だというのである。〜札幌ラーメンと博多ラーメンは、「ラーメン」という標準語が生まれたと金、同じ料理のバリエーションであるという都合のいい書き換えが行われただけで、本来は別のルーツを持つ別の料理である可能性が高いのだ(P152)

「チキンラーメン」のCMが日本全国に流れ、「ラーメン」が標準語となった1960年代前後は、沖縄はまだ返還前だった。ラーメンが共通語化した時期に「出版資本主義」の範疇から漏れていたために、沖縄そばはラーメンになることがなかったのだ。(P156)

本書では、ご当地ラーメンが「郷土の気候、風土、知恵が混じり合い、その地域に根ざした」ものであるという言説に異を唱え、観光化のかけ声と共に、あるとき突然、変化したものであって、「地域の個性や特性」を反映したものではないことを指摘したきた。むしろ戦後の日本において、地方が個性を失い、固有の風土が消え去り、ファスト風土化するなかで、観光資源としてねつ造されたのがご当地ラーメンであるというのが、筆者の主張である。(P176)

田中角栄をものさしに日本の戦後を3分割した。インフラ整備と観光課の時代に生まれた札幌ラーメンブーム。中期、角栄が首相となり地方の時代と呼ばれた1970年代から始まる地方の画一化とチェーン系ラーメンと台頭。この時期に地方が個性を失う反動から、フェイクの固有性を強く打ち出すご当地ラーメンも生まれた。
そして後期、バブル崩壊直後に誕生した新横浜ラーメン博物館は、ちりばめられたフェイクの物語を一同にあつめ、偽史としてのラーメン列島神話を形成する。改行した1994年とは、田中角栄が死去した翌年だった。(P182)

ラーメン職人が好んで着る作務衣とは、全集の僧侶が日常的な業務=作務のときに着る作業着とも違い、戦後に甚平とモンペをミックスしたものである。歴史は極めて浅く、日本の伝統ともまったく関係ない。(P209)

スローフード運動は、1986年にイタリアの北西部にあるピエモンテ州で生まれ、90年代に世界的に広がった食文化の保護を訴える運動である。反グローバリズムであり、従来のイタリア左派への反発の意図もあった。(P220)

ラーメンこそ、浅田彰がJPOPやJ文学で指摘した「表層的な模像としたの日本への回帰」を1990年代に果たした代表的な存在と言える。(P257)
タイアップの歌謡史 (新書y)
速水 健朗/ 洋泉社 (2007-01) / 842円42 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 音楽 登録日:2011年08月18日 19時15分22秒 2011/08/18
読了:  2011年09月15日
日本のポピュラー音楽とメディアタイアップの変遷。筆者は業界外の人だし、年齢も若いのに、丁寧に調べていて、好感が持てる。分析もおおむね当たっていると思う。
読書メモ
・「タイアップ」というPRは日本独自のスタイル
・戦前のタイアップは映画。映画音楽はレコード会社が無償で作るという習慣ができた
・「歌謡曲」は、昭和初期に「流行するかどうかわからない歌を流行歌と呼べない」という理由でNHKラジオ局がつくった言葉。

プロフィール

音楽プロデューサー、コンテンツオーガナイザー。『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)上梓。(株)バグコーポレーション代表取締役。(社)日本音楽制作者連盟理事
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