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消費するアジア - 新興国市場の可能性と不安 (中公新書)
大泉 啓一郎 / 中央公論新社 (2011-05-25) / 842円49 users
読了:  2012年03月03日
アジアの新興国を経済指標や新しい経済学説を用いて説き明かした好著。
ともすると極論(バラ色かダメか)で語られがちなアジアビジネスの可能性とリスクを鋭くえぐっている。
アジアの大都市が「メガ都市」となり周囲の中核都市や農村地域を巻き込んだ「メガ都市圏」を形成し、それが成長と豊かさの礎になっているという指摘は説得力があった。従来の県や市などの行政区域だけでは見えてこないところがわかる。
前作『老いゆくアジア』でも指摘していた、「アジアは豊かになる前に高齢化する」という人口問題も詳しく説明されている。
タイのタクシン改革やその後の政情不安について、初めて納得のいく解説を読んだ気がする。タイに対する理解も深まった。
アジアビジネスを構築する際に押さえておくべきポイントがまとまってて必読。

以下、読書メモ
・日本企業が中国、タイに進出する理由の一番は「安価な労働力」だが、近年は「現地市場の規模」を理由にすることが増えてきている。(P7)
・経産省の『通商白書2009』がアジア市場を年間世帯可処分所得35001ドル以上を富裕層、5001$〜3万$を中間所得層、以下を低所得層に分けたが、1990年には1.4億人だった中間層が2008年には8.8億人に増えた。
・アジアの富裕層の家計人口は2015年に日本の抜く。現時点ではアジアの富裕層の半分はNIESであり、NIESの一人当たりGDPは既に先進国レベル。他国は中国1850万人、ASEAN5で930万人、インドで810万人。但し、購買力平価レートでみると、新興国の上位中間所得層は富裕層に近い(P20)
・富裕層が集中する大都市で日本製品の評判は高い。経産省の調査でも、「品質が良い」「信頼できる」「技術力がある」「デザインが良い」に加えて、日本のアニメなどを通じたソフトパワー(文化的な影響力)も強い。(P21)
・『通商白書2010』で、アジアの中間所得層は2020年に20億人、富裕層は2億3000万人になるという見通し。
・アジアでは大都市と地方の所得差が非常に大きい。メガ都市やその周辺を含んだメガリージョン(圏)と農村は区別して分析すべき
・2008年、世界の都市化比率が50%に達した。世界全体が「都市主導社会」だ。2025年に57%、2050年には70%に達するという予測も。(P38)
・バンコクは過剰都市(雇用、食料、住環境の供給能力に対して人口が過剰)から、消費市場として期待できるメガ都市に発展した。(P48)
・1992年のAFTA(ASEAN自由貿易地域)構想の合意で、域内を単一市場化し、単一生産基地化することで、中国に対抗しようとした。
・リチャード・フロリダ『クリエイティブ都市論』(2009)で、衛星写真の夜間の光源から世界経済を牽引する地域を割り出した。地域の付加価値生産高が1000億ドルを超える地域を「メガリージョン」と呼んだ。世界中に40のメガリージョンがある。アジアには12地域(東京圏、大阪名古屋圏、九州北部、広域札幌圏、ソウル&釜山、香港、上海、台北、広域北京、デリー・ラホール、シンガポール、バンコク)(P79)
・サスキア・サッセン『グローバルシティ』(2008)で、グローバル化で経済活動が世界中に分散しつつ
機能が地域的に統合されていくという二重性が指摘された。グローバル化の担い手である多国籍企業と多国籍銀行の中枢機能が集中するのが「グローバルシティ」でニューヨーク、ロンドン、パリ、フランクフルト、東京など。
上海とシンガポールはグローバルシティになるのではないか(P110)
・タイやマレーシアなどの中所得国は国内に「南北問題」を抱えている。アジアの新興国のメガ都市、メガリージョンが先進国で、地方農村が途上国と捉えるべき地域間所得格差が存在する(P164)
・地方・農村住民が政治意識を高めて「物言うマジョリティ」になっている。タイのタクシン後の政変などもそれが原因。(P166)
・タイの政治不安の要因と経緯は末廣昭『タイー中進国の模索』、柴田直治『バンコク燃ゆ』、日本タイ協会『タイ国情報』などに詳しい。(P169)
・タクシンの政策は「中進国の課題」を見事に射貫いていた。医療サービスと債務猶予、資金貸し付けなど方法は支持され、実際、農民の生活が豊かになった。(P170)
・タクシンは、都会の「物言うマジョリティ」都市の低所得者層を軽視して、支持を失った。(P171)
・日本は「課題先進国」の立場を強みにするべき。
アメリカ型成功者の物語―ゴールドラッシュとシリコンバレー (新潮文庫)
野口 悠紀雄 / 新潮社 (2009-04-25) / 679円65 users
読了:  2012年03月01日 星3つ
名著。150年前にカリフォルニアであった「ゴールドラッシュ」とシリコンバレーのITベンチャーの成功の共通点を描きだし、その上で、共通する理由に、ゴールドラッシュの成功者、鉄道王のスタンフォードが大学をつくって、その遺伝子が受け継がれたことだということを鮮やかに、証明してみせている。個々の事象は知っていた部分もあるけれど、このような構図になっていたのは、目からウロコだった。
手に汗握る歴史小説としての面白さと、ビジネスに対する考え方を学べる教科書の機能が共存している。ビジネスパーソン、IT関係者は必読。

以下、読書メモと感想。
・1949年に黄金を求めて人々が殺到したので、「フォーティナイナーズ」と呼ばれている。(P25)
・カリフォルニアのゴールドラッシュは、自由競争だった。理由は金脈が地表に近かったことと、土地所有権が確立してなかったこと。その証拠に同時期のオーストラリアは土地所有の政府管理が確立していたので、大金持ちを生まなかった。(P28)
・「誰にもできる。規制が無い」という意味でITとゴールドラッシュが酷似している。ITを21世紀のゴールドラッシュと言うのは「新しい情報通信偽実が金のように価値がある」という意味では無く「誰にも使えて規制の無い新技術はカリフォルニアのゴールドラッシュと同じ性質を持っている」ということ。だから、カリフォルニアのゴールドラッシュやインターネットを「アメリカ型資本主義」と形容するのは全く間違っている。金を掘るのにスコップとふるいだけで十分だったように、インターネットで仕事をするのに必要なのはパソコンだけ。巨額の資本と無縁で、原始的自由主義経済の典型で、資本主義とは全く違う。」(P29〜30)
・リーバイスのジーンズは金鉱堀に破れないズボンを提供するためにテント用のキャンバス地を使ってつくったのが、始まり。ポケットがほつれないようにリベットを使うのを思いついたヤコブ・デイビスが特許申請費用がないので、リーバイ・ストラウスに提案して共同特許にした。二人は金を掘る人が必要な者を供給した(mining the gold minners)ゴールドラッシュの成功者。
・サンフランシスコの新聞発行者ヘンリー・ジョージが唱えた説。「開発による利益が少数の土地所有者に帰属するのは不公平だ。土地への税金を重くして、労働や資本に対する税金は軽くすべき」1879年に掻いた『進歩と貧困』は全世界で200万部以上売れた。1986年にNY市長選に出馬したが惜しくお落選。
・トロイ遺跡を発掘した考古学者シュリーマンは、弟がカリフォルニアで死んだので、立ち寄ったが、サクラメントで金粉の取引で9ヶ月で40万ドルの利益をあげた。(日本に立ち寄って「平和と満足感。豊かさと秩序。そして世界のどこよりも耕された土地がある」と高評価をしてくれた)
・ジョン万次郎も金鉱に来て、70日間で600ドル蓄えて、日本に戻った。ゴールドラッシュのおかげで日本帰国の費用が手に入れられた。
・アメリカ横断鉄道ができて、時刻表を使うようになったので、アメリカに4つの時間帯ができた。それまで駅馬車で1ヶ月、通常の移動だと6ヶ月掛かっていたのが、6日間でアメリカ横断が可能になった。費用も1100ドルから70ドルになった。
・アメリカ横断鉄道のアメリカ人にとっての3つの価値。
1)絶大な経済利益への期待。貿易の通路など。2)南北戦争で分裂した国家が再統一される喜び
3)アメリカはいかなる困難にも立ち向かい、克服するということが証明された。
但し、アジア人から見ると独善的で差別的な意識である。建設労働者は、差別対象の中国人とアイルランド人だし、手放しに賛美できることでは無い。(P111〜113)
・鉄道王たちは高名(で違法)な(トンネル会社をつかった)仕組みをつくって、巨万の富をつくった、政界有力者にも富が分配されていたので、最後まで追求はされなかった。いまだに真相は闇。作家マーク・トウェインは「The Golden Age」ではなく、「The Gilded Age」(うわべだけ金箔をはった時代)と評した。(P138)
・日本が江戸中期で鎖国を解き、太平洋に乗り出して、アメリカ大陸に進出していたら、世界史は違っていただろう。150年ぶりの怠慢のツケをその後払うことになる。IT革命も同じではないか?(P154)
・共和党は奴隷制反対を掲げた北部産業資本の利益を代表する党だった。カリフォルニアは州に昇格する時に、板挟みになり、「自由州にするが逃亡奴隷の取締法はつくる」という妥協が結ばれた(P163)
・19世紀のゴールドラッシュにおける最高の成功者がその理念を結実させた大学(スタンフォード大学)をつくり、それによって、ITの世界が開けた」(P190)
・Yahoo!の語源は、「Yet Another」という言葉が新しいソフトの頭文字に使われていたからyaで始まる言葉を探して、ガリバー旅行記の人間によくにた愚かな動物の名前から。(P236)
・シスコのビジネスモデルは「技術開発を社内で行わず。技術を開発したスタートアップ会社を買収して、その技術を自己の商品群に加える」というもので、目的は「規模の拡大」ではなく「時間の節約」。「市場を見つめるときに必要なのはカレンダーの7倍で進むインターネットイヤー」(P307)
・シリコンバレーの様々な組織は、「自由、革新、チャレンジ、チャンス」という独特の空気を有していて、米国全体の弁護士や政治家が強い、エリート達のパワーポリティクスとは全く違っている。(P343)
・スタンフォード大学の役割は人と人との出会いの場を提供したことも大きい。(P351)
・「競争否定」「平等化志向」「国依存」「組織依存」というメンタリティは日本人の伝統では無く、1940年頃に太平洋戦争に対する戦時体制としてつくられたものである。高度成長では役に立ったが、これからはマイナスだ。(P374)
・ゴールドラッシュでは過去に執着して、変化の本質を読めなかったのが失敗者。日本は教訓にするべき。一方成功者は、経済条件が大きく変わることの意味を理解して適切に対処した。(P376〜378)
儲けたいなら科学なんじゃないの?
堀江貴文 , 成毛 眞 / 朝日新聞出版 (2011-03-18) / 500円144 users
読了:  2012年02月29日 星3つ
素晴らしい本!過去のホリエモン本の中で、別格の面白さと意義深さがある。
堀江さんと成毛さんの識見と考え方がよくわかる。非常に卓越していると思った。科学や技術と人、ビジネスの関係性に対する考え方が素晴らしい。科学への興味の有無に関わらずオススメです。

以下、興味深かった&共感した語録メモ
ホリエモンのまえがき「科学技術が人間の規模を拡大してきたと思っている」(P13)
ホ「青色LEDを発明した中村修二氏が特段優れた技術者とは思えない。もし僕があのLEDに関する話を知っていたら、僕も何か作ったかもしれない。〜同じように次世代の産業基盤になる技術は山ほどあり細分化されている。つまり、いろいろなところにチャンスは眠っている。だから、誰にでもチャンスはある」(P16)
成「(安価で宇宙に行くためのロケット開発も)インターネットも同じで、だいたい科学技術に関しては、一般人からバカにされるものが、いつかは凄く儲かる。素人がわからない技術というのは、非常に筋がいい」(P52)
成「日本がデファクトスタンダードを取れない最大の理由は、技術者がつい考えれる限りのベストのものを作ってしまうから」
ホ「そう。携帯伝もたとえば原価が1000円や500円で作れるスペックのものを作って売ろうとしないから、もったいない」(P68)
ホ「木星側にある星は氷の形で水が残っている。そこに穴を掘って植民するのは現実的になってくる
」(P97)
ホ「6年前に、電機自動車産業がPC産業とおなじようになってDELLみたいな会社が出てくると確信していた。〜リチウムイオンバッテリーが安く供給されるようになると家庭用の蓄電池ができ、そうなると夜間電気を最大限活用できて、電力需要の平準化ができる。」(P107)
ホ「iPadの優れているのは、見た目と創世が良くて速い気がするところ。速い気がしているだけで、たぶん日本のガラケーの方が、本当は性能が良いと思う」(P127)
ホ「テレビも最初から3Gやwifiをつけておいて、受信料契約みたいにしちゃえばよい。番組情報とかのメタデータはネットからDLするようにしておけば、リアルタイム視聴率もとれる」(P134)
成「ハードディスクの値段がクソみたいに安くなる。2,3年以内に10テラが数千円の世界になる可能性が高い。そうなるとクラウド要らないとかなるんじゃ無い?家の中に10テラあれば、24時間地上波を全部録画できる。」(P138)
ホ「炭水化物って体に悪いんじゃないか」
成「人間が炭水化物を中心に食べはじめたのは、3000〜4000年前から」(P184)
成「合計特殊出生率は限りなく1に収束すると思う」
ホ「だから人口問題は無い」(P191)
成「農業はもう完全に技術。植物学などの基礎的科学を通り越している」
ホ「アグリが伸びる理由は簡単。中国人一人当たりが食費に掛けるお金賀増える。1兆円単位で世界市場が伸びる」(P195)
ホ「ウエブマガジンは『WIRED』が一番。」
成「23andMeっていう遺伝子解析サービス」
ホ「グーグルのセルゲイブリンの奥さんがやっている会社」(P232)
新興国20ヵ国のこれからがわかる本 (PHP文庫)
株式会社レッカ社 / PHP研究所 (2011-10-05) / 741円11 users
読了:  2012年02月20日
2050年までには、世界のGDPを独占すると言われている経済「新興国」をわかりやすくまとめた本。BRICs、VISTAに加えて、全20ヶ国をとりあげている。
世界のトレンドとしては間違いないんだろうな。
日本や日本人が持っている優位性を新興国と組んで、どう活かしていくのかを考えるのが、僕らの一番大事な仕事だと思っている。

BRICs:ブラジル・ロシア・インド・中国
VISTA:ベトナム・インドネシア・南アフリカ・トルコ・アルゼンチン
NEXT11:バングラデシュ・エジプト・イラン・韓国・メキシコ・ナイジェリア・パキスタン・フィリピン・マレーシア・アラブ首長国連邦・サウジアラビア

以下、読書メモ
・VISTA五ヶ国は、対外債務残高が少なく、リーマンショックからの即座に回復した。景気回復が早いのは成長への地力がある証拠 (P92)
・ベトナムの成長の大きな要因は個人消費の伸びが大きい (P99)
・ベトナムに進出した日系企業:味の素、アサツーDK、デンソー、古河電気工業、本田技研工業、花王、三井造船、オリンパス、パナソニック、資生堂、TOTO、ヤクルト本社
・ベトナムは労働者の質が高い。人口の1/3にあたる3000万人が35歳以下。識字率も90.3%と高い。ドイモイ政策の成果。
・食生活の向上で新興国で糖尿病患者が急増。アルゼンチンでは高血圧が国民病に。(P142,146)
・バングラデシュは親日国。首都のダッカは人口1464万人(世界9位)の巨大都市。(P151)
・メキシコは世界有数の天然資源国(天然塩田・銀・オパール・モリブデン)。農林水産業も強く。日本が輸入するアボカドの95%、ライムの99%はメキシコ産(P188)
・マレー半島とボルネオ北部は元々は別の国だったがマラヤ連邦として独立、シンガポールは分離独立(P215)
・ヤシ油はインドネシアとマレーシアで世界の80%以上のシェア。
・マレーシアは天然ガス、原油、レアアースなどを産出(P218)
・クアラルンプール近郊に総合開発地域マルチメディア・スーパーコリドーを建設、ルノー(仏)、デル(米)などを誘致。三菱やダイハツと技術提携して国産自動車メーカーを誕生させる
・マレーシアでは人種によって経済力に大きな格差。65%のマレー人を優遇しているのに、マレー系は中華系の半額強の平均年収しかない(P220)
・アラブ首長国連邦の大統領はアブダビ、副大統領はドバイから選出される慣例がある
・サウジアラビアは、1744年に中央アラビアに登場したサウード家が統治する専制君主制だが、オイルマネーで医療費無料、住宅無償、学費支給などがされているので、国民から不満がでることはほとんどない。
・JETRO「ドル建て貿易概況2010」によると中国との貿易額が約20%と突出。インドネシアは輸出2.1%、輸入は4.1%、マレーシアは2.3%と3.3%。韓国は8.1%と4.1%。
 http://www.jetro.go.jp/world/japan/stats/trade/
・経済産業省「海外事業活動基本調査」「外資系企業動向調査」
 http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kaigaizi/index.html
・「日本製品」は世界14都市でダントツ1位(博報堂調査)というブランド力を持つ。中間層、富裕層が増えていく新興国で可能性がある。(P262)
 http://www.viet-jo.com/newsallow/nikkei/120214025814.html
 http://www.hakuhodo.co.jp/pdf/2009/20090115.pdf
・アジア新興国のインフラ整備による成長支援も有効な方法(P264)
武器としての決断思考 (星海社新書)
瀧本 哲史 / 講談社 (2011-09-22) / 886円1492 users
読了:  2012年02月19日
ためになる本。
京都大学で行われている「意思決定論」の授業に基づく本だとか。
古くはギリシャに遡る「ディベート」の考え方にたった「決断思考」を生きていくための手段として身につけようという趣旨に非常に共感する。
日本もこういう授業を中学3年か遅くとも高校でやると良いと思う。
大前研一さんも田坂広志さんも言っていることだけれど、これからは専門家では無く、問題解決力がある新しい形のジェネラリストが必要なんだよね。そういう人材を育てることを教育機関も考えるべきだね。

以下、読書メモ。
・車の運転に「認知・判断・動作」が必要なように、実学にも「知識・判断・行動」という3段階がある。
☞僕もずいぶん前から「わかる」と「できる」は違うというのが口癖だ。

・エキスパートでは無く、プロフェッショナルを目指すべき。特定の分野についての専門的な知識、経験が豊富なエキスパートは、その価値が陳腐化する危険があるのが今の時代。産業構造の変化が激しいから。
プロフェッショナルはエキスパートの上位概念で、横断的な知識経験を持ち、相手のニーズに合ったものを提供できる
☞これも非常に共感。自分の仕事に引きつけて言えば、これからは一つのジャンルのエキスパートではなく。「業界横断型」のプロデューサーが必要だと思うし、自分はそうなりたいと思っている。
再起動せよと雑誌はいう
仲俣 暁生 / 京阪神Lマガジン (2011-11-25) / 1,404円70 users
読了:  2012年02月18日 星3つ
ネット上で話題になってたので気になっていたけれど、すごく良い本だった。
雑誌という存在の意義を、過去現在未来で俯瞰しつつ、愛情を込めて語っている。
時代感が近いなと思ったら、著者は同じ年齢だった。
City Roadの音楽担当だったらお会いしていてもおかしくないけど、記憶は無いな。著者の他の本も読んでみようと思った。
日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか
山田 奨治 / 人文書院 (2011-09-15) / 2,592円139 users
読了:  2012年02月11日
専門家による客観的な分析だと思ったら、かなり踏み込んだ(偏った?)ポジショントークな内容。
筆者は、日本の著作権法が、関係団体の「談合」で決められて、ユーザー(利用者)の意向が反映されてないと強い不満を持っているようだ。
個々の指摘にはもっともなところも多いけれど、学者だけに「産業振興」という観点が欠けているなと思った。

ともかく、この人は「権利者」が日本の文化を悪くしていると思い込んじゃっているみたい。こういう「偏見」を生んだのは、権利者団体やレコード会社などのこれまでの態度や説明に稚拙さが原因なんだろうな。変えていかないとね。

以下、読書メモ。

●2009年7月に岡山県警に逮捕された「着うたキングダム」違法無料DLの量刑は、一人が懲役二年(執行猶予3年)罰金400万円、もう一人が懲役1年六ヶ月(執行猶予3年)罰金250万円。(p9)
この罰の重さが適切かどうか計っている数式が面白い。
合わせて1曲当たり約二分の懲役、約3.3分の執行猶予。違法DLした曲を24時間聴き続けるとちょうど懲役か執行猶予の期間が終わるという計算。
罰金は3050万円を95万4千曲で割ると1曲あたり32円。シングルCD販売の際のJASRACの使用料は約31円。

●無断コピーすることと者を盗む行為の最高懲役刑が同じになり、罰金刑は刑法の窃盗罪をはるかに越えて高額になったことで権利者側は勇気づけられた(P31)

●「キャンディキャンディ」は、原作者水木杏子と漫画家いがらしゆみこで争われ、マンガにも原作者の著作権がおよび最高裁判例が確立(P45)
いがらいは水木の承諾なしにキャンディを新たに描いたり、キャラクター商品をつくることができなくなった。

●「宇宙戦艦ヤマト」原作者の西崎にシリーズの著作者人格権、松本に絵画の著作権があることが確定(P47)
アニメの権利は東北新社。
西崎、松本で「大YAMATO零号」を発売して、CDフィーバーを三共がパチンコ台としてだしたところ、東北新社が三共を訴えた。

●CMバンクシステムができて、CMフィルムのプリント納品が無くなったときに、@3500円の売上が無くなるCM制作会社の主張で、CMに著作権があるという主張が始まった(P57)

●一般の著作物は、著作者の死後50年間保護。映画は公開から70年間に2004年1月から変更。(P64)

●「クラブきっず事件」。児童の遺体写真をあげている男を著作権法違反で告訴した。(P70)
☞筆者は「著作権侵害は文化の発展に寄与することという目的を越えて活用されている」法律の趣旨と違うと怒っているけれど、変態の男が捕まった例をだすのは損だってわからないのは、学者っぽいなと思う。一般庶民の感覚では、「著作権法で児童ポルノも取り締まれてよかったね」だよね。

●海賊版によって、日本製コンテンツへの需要が生まれ、それまで存在しなかった市場があらわれた。つまり、固定された市場サイズを前提にした単純なモデルでは、海賊版がはたす経済的な役割を説明できない。海賊版には市場の創出・拡大という、経済学的にも見逃せない効用がある。しかし、海賊版撲滅を口にする権利者が、その効用を語ることはない。(P180)
☞権利者が海賊版を認める論理が持てないことを理解できない人は、そもそも著作権の現場に関わらない方が良いと思うな。ヤクザがいるから世の中の秩序が保たれるとおなじ論理だからね。個人的には理解できるけど、正義の様にまっすぐ語る筆者は不思議な人だと思う。

●「文化産業」とよばれるものに属する人たちは、文化を商品カテゴリーの一種だと思ってる。彼らは文化を産業の範囲に矮小化し、ときに私欲をむき出しにして、著作権のいじくり。文化の創世と拡散の根本であるコピーを妨害する。(中略)私は、どの傲慢さに意義を申してたてたいのだと思う。(P204)
☞音楽プロデューサーとして襟を正さなくてはいけないけれど、IT事業者が「コンテンツ」と呼び、まさに商品としていることをこの人は何故批判しないのだろう?いろんな意味でバランスの悪い学者さんで惜しい印象。
クラウドが変える世界―企業経営と社会システムの新潮流
宇治 則孝 / 日本経済新聞出版社 (2011-08-26) / 1,728円51 users
読了:  2012年02月07日
クラウド化によって起きる様々な現象を本質的かつ網羅的にまとめた良書。NTTの副社長が書かれただけに、「お堅い」感じだけど、クラウドについて真面目に学ぶ「教科書」が欲しい人には適していると思う。

以下、読書メモ。
・(この本における)クラウド定義「ネットワーク上にあるコンピューターリソースやアプリケーションを、利用者がパソコンやタブレット端末、携帯電話などのさまざまなデバイスから使える環境・状態」

・ITの最近のキーワードは(P21)
「パラダイムシフト」=所有から利用へと言う流れが代表的
「サービル融合」  =通信と放送、固定と移動など、業種や業態など既存の事業の垣根を越える
「グローバル化」  =ヒト・モノ・カネ・情報が国境を越える

・クラウド化によって、(P23)
大規模な初期投資がいらなくなる
新たなシステムを構築するまでの時間が削減できる
拡張性が高く、変更に強い
多種大量のデータを低廉なコストで処理できる

・世界の実質GDPが新興国に比重が移っている、そのグラフ(P31)「通商白書2010」から

・日本は、クラウド化のための、インフラ、技術の準備はすでにできている。(P45)
ブロードバンド利用者数は1億6000万契約。普及率は固定で約7割の世帯・携帯は3GやLANで9割を越える。

・著作権管理技術は、デジタル・エンターテインメント・コンテンツ・エコシステム(DECE)という団体がある。ソニー、マイクロソフト、ワーナーなどが参加。

・2011年度から横浜市、豊田市、京都府けいはんな学研都市、北九州市で、スマートコミュニティに基づく「環境未来都市」。柏市、藤沢市なども。
情報の呼吸法 (アイデアインク)
津田 大介 / 朝日出版社 (2012-01-10) / 1,015円602 users
読了:  2012年02月06日
著者久しぶりの単著のわりには、特別に目新しい内容は無い。ソーシャルメディアで発言し続けている人は、ネットワークができる代わりに刺激は下がるんだなと思った。
ただ、彼の考え方や履歴も語られていて、ツイッターが流行った後に、津田大介を知って、興味を持った人には、とてもよいと思う。
専門家だから、当たり前かもしれないけれど、ソーシャルメディアや今の時代の情報流通の状況への認識は的確。
メディアやソーシャルネットワークに関する考え方は、意外に(?)穏健で、自分と感覚は近いなと思った。

以下、読書メモと私感
・IDC(米国のIT市場調査会社)は、2010年に発表したレポートで、今後10年間で世界のデジタル情報量が44倍に増加するとの見通しを示した。

・インターネット発展の前1989年頃「セカンドサマーオブラブ」というカルチャームーブメントが好きだった。
☞知らなかったけど、なるほどなと思った。音楽に関する評論の原点が見えた気がした。ここに憧れがあるんだね。

・ナターシャは社員30人弱、年間売上2億円くらいの会社に成長した
☞個人的なことだけれど、会社を作ったと言って、卓也君と二人で、オフィスまで挨拶に来てくれたときのことを思い出して、感慨深かった。音楽雑誌低調の中、唯一成功した音楽サイトになったね。ナタリーには、音楽プロデューサーとしてもお世話になってます。

・同じ業界で同じ世代の人をツイッターで見つけて、知らない人でもフォローしてみるのがお薦め。問題意識が近く、何気ない情報が大きくヒットすることが多々ある。情報選びが「媒体選び」から「人選び」に変わった。

・検索とソーシャルキャピタルで情報が自動的に最適化されていてても、ハプニング的な部分も大事。ツイッターの「誤配力」に情報格差を埋めるためのヒントがある。
☞同感。僕がツイッターが好きな理由も、このノイズの混じり方にある。

・人間は「物事が動き出す瞬間に居合わせる」と興奮する

・フォローする3つの基準。1)直接関わりのある知り合い、2)メルマガの購読者など興味を持ってくれた人、3)ツイッター内容が面白くて読みたいと思う人

・推奨図書。「グーテンベルクの銀河系」「メディア論」(マーシャル・マクルーハン)、「オバマのつくりかた」(ラハフ・ハーフーシュ)

・自分は、「キュレーター」と言うより「バーテンダー」に近い。メルマガは「カクテル」。
クラウド「超」仕事法 スマートフォンを制する者が、未来を制する
野口 悠紀雄 / 講談社 (2011-11-25) / 1,620円653 users
購入:  2012年02月04日 1,575円
読了:  2012年02月05日
著者のベストセラー「超」シリーズは、ほとんど読んでいる。目的と手段をロジカルに峻別して、痛快でわかりやすい。徹底した功利主義は経済学者ならではだと思う。毎回、いくつかの便利なツール、方法論と、考え方、とらえ方の確認、発見をもらえる。
本書は、「クラウド化」が進んで、「クラウドサービス」が一般化している今、効率よく仕事をするために、どう活かすかをまとめた好著。時代認識、社会認識も的確。こう言っては失礼だが、60歳を過ぎているとは思えない。デジタル適応に実年齢は関係ないんだと言うことを、改めて確認する。

以下、読書メモ
・ITは「一般の目的技術」(General purpose technology)なので、「機器や機能から何ができるか」よりも、「仕事でどう使うか」というノウハウが大切という指摘は、強く同意。最初から目的がはっきりしている「パン焼き器の使い方」と比較しているのが、著者らしく、わかりやすい。
☞日本の製造業は、ここが弱いことが多い。僕が昨年買ったNECカシオのアンドロイド携帯MEDIASは、性能、機能は悪くないのだけれど、操作設計、UIが悲惨で、ユーザーのユースケース(使用状況)のシミュレーションをやっているとは思えない代物だった。この点はアップル社は、圧倒的に優れている。

・ipadのメモは、Gメールのnotesと自動連動しているので、Gメールの受信ボックスに置いておくと、打合せ等のメモが残せる
☞知らなかった。たしかにこれは便利だ。

・写真のサイズと無料保存の容量一覧。
iPhoneの元画像(2MB)☞evernoteで30枚程度、picasaで500枚程度
大(500KB)☞120枚、2000枚、中(150KB)☞400枚、6600枚、小(50KB)☞1200枚、2万枚

・自家製ブックマークをGメールやevernoteつくるとよい
☞クラウドのブックマークサービス「xmarks」を使っていたら、ある日バグって酷い目にあった。自分でつくることにしよう。

・「PDFは(南極探検隊の)インスタントラーメン」との比喩が面白い。海外でつくられた文書をPDFで送られてきて、印刷して読むのは、お湯を掛けて元の姿に戻すこと。
 ITは「中抜き」の手段、電子書籍も輸送費と店舗費用が節約される。大昔は紙と文字が、語り部を不要にするという意味で「中抜き」だった。との指摘も面白い。

・エクセルのブック機能が便利。「挿入」の「テキストボックス」で、テキストファイルを、「図」で写真を、「スクリーンショット」でウエブ画面を貼り付けられる。

・NYtimesの電子版は過去記事の無料検索、閲覧が画期的。世界中の事件を調べることができる。日本の新聞社は大いに遅れている。

・ジョブズとリーバイスを重ね合わせ、ゴールドラッシュの再来との指摘も示唆的。みんなにとってcoolな「夢」を実現したこと、先端的研究所の科学技術の成果ではなく、大企業の大工場でつくられてなく、権威や権力、政治家の庇護や独占的支配力とも無縁など、共通点は多い。
そして、日本企業が、今から「ゴールドラッシュ」に参加するのではなく(そこにはもう儲けは無い)、Mining the gold miners.(金採掘者を採掘する)ビジネスができるかが大切だと説いている。
☞なるほどと思った。そういう視点を持っていようと思う。
もし小泉進次郎がフリードマンの資本主義と自由を読んだら
田代 真人 , 藤咲 ユイ , 池田 信夫 / 日経BP社 (2011-11-25) / 1,296円128 users
購入:  2012年02月03日 1,260円
読了:  2012年02月04日
アゴラブックスで電子書籍版を購入。オフラインでは読めないのが残念だけど、ipadで読んで快適だった。
内容も素晴らしいと思う。小泉Jr.が日本の危機に直面して首相として急告に取り組むという話。読み物として面白いだけで無く、今の日本の問題点の理解としても非常に正しいと思った。
小泉政権の評価も納得できる。
通称「霞ヶ関」と言われる日本の官僚を中心とした統治・富の再配分機能が、高度成長期型から成熟型に転換できてないのが、今の日本の問題の根源。数年以内に解決しないと、この漫画のようなことが起きても不思議は無い。僕は愛国者のつもりだし、日本の文化や伝統を守ることには注力していくつもりだけど、日本の私企業や個人は、日本政府が破綻してもやっていけるリスクヘッジをかけていくべき状況だとも思っている。
iCloudとクラウドメディアの夜明け (ソフトバンク新書)
読了:  2012年01月31日
クラウド化について、著者が語る
「2006年にGoogleCEOエリック・シュミットが使った「クラウド・コンピューティング」という言葉は、その後に世の中の構造を変えてしまうくらいの大きなインパクトを与えた。多くの人に示唆を与え、別の新しい価値が創造される。今、クラウドは多様なアイデアを呑み込み、さらに大きな概念へと成長を続けている。」
というのは、同感。
問題意識や、近未来のイメージについてもおおむね同感だけれど、技術に詳しい人は、どうしても説明がわかりにくくなるよね。もう少し分かりやすく整理されると良いのにと思った。

同じ著者の『これからスマートフォンが起こすこと』(東洋経済新報社)に関しては、以前、ブログに書きました。☞ http://yamabug.blogspot.com/2011/07/blog-post_25.html


以下、読書メモ的に、気になったトピックスとそれに対する感想。
・放送のデジタル化によって、時報が無くなった。ザッピングもぎくしゃくしてしまう。「ダビング10」ルールで録画のやりとりも不自由になった。などは、デジタル化で利便性が後退している例。

・メディアというのは、「何か」を封じ込める媒介役。テレビやラジオ、CD、DVDもそう。インターネット全体は巨大な仮想メディアと言うこともできる

・これからの世代は、コンテンツの持つ付加価値を搬送する「メディア」は絶対的な価値ではなくなる。何故なら、クラウドそのものが、素晴らしいコンテンツを湛えるメディアそのものになろうとしているからだ。
☞言いたいことはわかるけど、ここはちょっと留保をつけたい。消費者に「物語」つきで買わせるというコンテンツビジネスはコミュニケーションビジネスと考えれば、「メディア」や「包装のされ方」も、物語の一翼を担うと思う。著者はデジタル寄りで、そういう視点が欠けている。

・デジタル配信システムに相互運用性が無いのはおかしい。以前は、CDプレイヤーを買えば、どんなCDでも聴けた。ネットワーク化以前は、業界の共通フォーマット上での自由競争だった。(P73)

・民主党政権で円高是正の調整が弱まってから円は韓国ウォンに対する為替が1.7倍になっている。これが韓国電機メーカーに日本の電機メーカーが負けている大きな原因の一つ(P86)
☞この視点は、あまり聞いたことが無い。韓国企業のイノベーションの素晴らしさばかりが語られる中で、貴重な視点だと思った。

・SDMI(セキュア・デジタル・ミュージック・イニシアティブ)は、主に日本の電機メーカーと米国レコード協会で話し合った技術仕様。ユーザー利便性が低くて、広がらずに成果無く解散した(P92)

・iTunesが広まったのには、アップルに幸運があった。SDMIに失敗して、世論の支持も失っていて全米レコード協会が弱気になっていたタイミングに交渉ができたから(P96)

・日本のテレビ局は広告収入で成立していて、日本の視聴者に有料テレビを見る文化が育っていない。米国で有料チャンネルやペイパービューが定着しているのと真逆。視聴者と広告主のニーズは、一致するときもあるが、時には捻れも引き起こす。(P178)
☞分析としては正しいけど、利便性さえ高めれば、日本の視聴者もテレビ番組にお金は払うと思う。ニュースやバラエティはともかく、ドラマや歌番組、アニメなどは可能性が高い。「沢山の人に広く薄く」受け入れられる番組が中心になっているのが、テレビ局の問題点だと思う。

・コンテンツライブラリーのクラウド化=デジタルロッカーは、クラウドメディアという概念とは違う。デジタルロッカー型のサービスは本来、リッチメディアコンテンツではなく、コンパクトなビジネスデータ向け。

・クラウドの時代は、ダウンロードでは無く、レプリケーション(複製)という考え方が良い。コンテンツのオリジナルはあくまで、クラウドの中にある。各機器にダウンロードしても、単体で使えない仕様にする。(P199)

・利用者IDで管理すると、運用次第で、不正コピー大作にも有効。(P225)

・ソニーは、ハードメーカ間の競争環境を促す形でクラウド活用しようとしている。一方、アップルは現在のDL型のデジタル配信での支配的な地位を引き継いでという戦略(P230)
評伝岩崎弥太郎―日本海運界の暴れん坊
山口 幸彦 / 長崎新聞社 (2012-01) / 1,260円1 users
購入:  2012年02月01日 1,260円
読了:  2012年01月30日
三菱グループの創始者、岩崎弥太郎に関する本は、たくさんあるけれど、これだけ詳細に調べて、踏み込んだ本は珍しい。歴史研究としても、明治維新の群像物語としても楽しめる。
スポーツの世界でも同じ年齢に才能が揃って「花の**組」と呼ばれるが、明治維新の担い手は、天保時代の生まれが揃っている。中でも、岩崎弥太郎、福沢諭吉、近藤勇、井上馨、江藤新平らを輩出した天保5年は、まさに「花の五年組という感じがする。坂本龍馬は翌六年の生まれ。
土佐から江戸への旅立ちは、今だと日本からブラジルに行くよりも大変な事だったようだ。当時は18日間掛かったという。
著者は、いくつか独自の「発見」や「推論」をしている。
その中で最も衝撃的なのは、坂本龍馬の暗殺は、土佐藩主山内容堂が黒幕だという説だ。龍馬が作成した、明治新政府の顔ぶれに自分が無かったことを恨んだ容堂が、京都見廻組に龍馬の隠れ場所を教えた、その事を弥太郎はじめ土佐藩関係者はうすうす感ずいていたという推論は、これまで聞いたことの無いリアリティを感じた。信義はわからないが、著者が文献を丁寧に読み込んだ推測だけに説得力がある。

岩崎弥太郎が、明治新政府の幹部になれなかったので、「仕方なく」三菱商会を立ち上げたというのも面白い。明治維新は下級武士達が中心に行われたと思っていたので、下級武士の中でも上士と郷士という違いがあって、郷士出身の弥太郎にはチャンスが無かったというのは、意外だ。確かに農商工から政府に入った人はいないし、思ったほどの「身分のシャッフル」は起きてなかっただね。
西郷隆盛が征韓論を語ったことは無く、大久保利通など新政府の幹部達とはそりが合わなかったけれど、西南の役で政府に武力対立したのは、西郷の本意では無かったというのも知らなかった。
様々な困難がありながら、激動の時代を生き抜いて、現在に繋がる大財閥の基礎を作った岩崎弥太郎の人生は、勇気をもらえるし、デジタル化の進展で産業構造が根本から再定義される現在に与える示唆は大きいと思った。

本筋とはずれる余談だけど、長宗我部盛親が関ヶ原の戦いで西軍(豊臣方)について、領地没収後、大坂の陣で敗れて斬首されたのは知らなかった。戦国の名家の無残な終わり方だね。


アマゾンが在庫切れなので、長崎新聞社の公式ページも紹介。ここで買えます。
交渉術 (文春文庫)
佐藤 優 / 文藝春秋 (2011-06-10) / 767円134 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 政治 登録日:2012年01月28日 21時30分38秒 2012/01/28
読了:  2012年01月28日 星5つ お気に入り
この本は本当に素晴らしい。
僕は佐藤優の大ファンだけれど、この本は、著者の中でも抜群だ。東日本大震災後に文庫化されたのも縁を感じる。今、日本人が読むべき本だ。
ロシアや日本の政界の裏話や、政治家や外務官僚の素顔がわかるというドキュメンタリーとしても抜群に面白い。それ以上に、人間社会で何かを達成するために必要な秘訣が書いてある。普通にイメージする「交渉術」より、ずっと広い人間の真理の本でもあると思う。
僕は1年半ほど前に、酷い裏切りにあったけれど、筆者の本を読むと、その原因が性善説で組み立てていた自分に原因があるとよくわかる。どんなに恩義があっても、自分の心の弱さや目先の利害で簡単に裏切る人がいるのが人間社会なのだ。もちろん、僕がやられたことは、筆者や鈴木宗男氏が外務官僚にやられた裏切りに比べるべくもない、ちいっちゃな話だけど。今後は、仕事上は性悪説で考えようと心に誓っている。
ブルブリス元ロシア国務長官の言葉が心に響いた
1)過去の歴史をよく勉強しろ、現在起きていること、近未来に起きることは、必ず過去によく似た歴史のひな形がある。それを押さえておけば情勢分析を謝ることは無い
2)人間研究を怠るな。その人間の心理をよく観察せよ。特に嫉妬、私怨についての調査を怠るな。
なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか(祥伝社新書226)
若宮 健 / 祥伝社 (2010-12-01) / 821円376 users
読了:  2012年01月25日
パチンコ批判の旗手である筆者の舌鋒は鋭い。
換金する仕組みが違法だし、中毒になって破産する庶民がたくさんいるし、警察などの天下り先だし、北朝鮮に送金しているし、ともかくパチンコは禁止にすべきという内容。
僕はパチンコはやらないからピンとはこないけれど、確かに、あの脱法的な換金システムは止めないとだなと思った。
グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ
購入:  2011年12月29日 1,785円
読了:  2012年01月25日
何よりもエディトリアルデザインが素晴らしい。読みたくなる本になっている。
グレイトフルデッドが、今のフリーやソーシャルを先取りしていたという論理は、一定正しいとは思う。ただ、ヒッピームーブメントやドラッグカルチャーまでひっくるめて、アップル社のジョブズと結びつけて、全肯定するのは、さすがにやり過ぎ。
楽しみとして読むのにはよいけれど、音楽ビジネスをしている者として、若いミュージシャンやマネージャーがこの内容を「真に受けた」らどうしよう?と心配になった。

この本にちなんだトークイベントにパネラーとして出演することになりました。
興味のある方は、こちらから「音楽・アーティスト活動のこれから 〜Direct to Fan (D2F) マーケティング時代のサバイバル術〜」
史上最強の内閣
室積 光 / 小学館 (2010-11-25) / 1,512円72 users
読了:  2012年01月22日
面白い!
日本には実は、影の内閣が京都に存在していて、明治の元勲や貴族の子孫達が、大臣をやっているという設定。北朝鮮の暴発の危機に、遂にその影の内閣が登場して、日本を救うために働くという話。
現代政治と社会を風刺的に、でもリアルに捉えている。
大傑作かと思ったけど、後半少し、停滞した印象が残念。今の現実を反映した話だけに、「着地」のさせ方が難しかったのかも。
著者の他の作品も読んでみたいと思った。
シンガポールを知るための62章【第2版】 エリア・スタディーズ (エリア・スタディーズ 17)
田村 慶子 / 明石書店 (2008-09-29) / 2,160円13 users
読了:  2012年01月22日
この「〜を知るため」シリーズは、とても役に立つし、好きな本。
シンガポールについてもよくわかった。既存の政治体制に批判的なのが、ちょっと意外だった。経済運営はうまくいっているけれど、自由が制限された管理国家ではあるらしい。
発行年が2008年なのが、残念。早く最新版を出して欲しい。
メッシュ すべてのビジネスは〈シェア〉になる
リサ・ ガンスキー / 徳間書店 (2011-02-17) / 1,728円240 users
読了:  2012年01月22日
とても参考にになった。
90年代前半に商用ウエブサイトGNNを、その後写真共有サイトOtotoをシリコンバレーの名物起業家による新しいビジネス論。様々な商品を所有では無く、ユーザーと「共有」することでできる新しいビジネス形態を網の目に喩えて「メッシュ」と呼んでいる。
ソーシャルネットワークの発達で、ユーザーが必要なときだけ、商品を借りて使うことが容易にできるようになった。価格が高くて、使用頻度が低い商品は、所有よりも共有が有効であるという趣旨。
米国と日本は、価値観も生活観も違うとは思うけれど、とても参考になるし、日本でも広まり始めているよね。従来型のコミュニティ(ご近所の助け合い)が薄まっている都会では、ソーシャルメディア上の信頼と、リアルティムな情報共有で、親戚やご近所さんに替わっていくのかもね。

<読書メモ>
・パンドラやラプソディが広まったのはインフルエンサーを活用したから。
・「クラッシュパッド」は、ナパで誰でもワイン醸造ができるようにするサービス。
・旅行中の自宅を人に貸す「ルーモラマ」roomorala.com
・携帯電話のアプリで呼び出せるタクシー配送サービス「taxi magic」がハイネケンと組んで、飲酒後に安全に送り届けるサービスを展開している。
・メッシュでは、1件ごとに顧客と信頼関係をつくるチャンスがある。カスタマイズした提案を行うことができる。「顧客から学び☞試し☞実行し☞顧客を引き込む」=価値を生む信頼の輪
・メッシュ時代に指示される商品は、耐久性、汎用性、修理可能、持続可能社会に貢献するもの。
・メッシュビジネスを可能にしたのは、過去20年以上の情報インフラへの投資と50年以上の交通インフラへの投資のおかげ。グローバルなネットワーク社会には、50億人が携帯電話を持ち、10億人以上がインターネットを日常的に利用している。米国のインターネットによる経済効果は年間1兆4000億ドルと推定。
・メッシュビジネスで信頼を得る7つのポイント。
 1伝える(期待感を抱かせるように努力をして何回となく情報を送る)2試用させる  
 3有言実行  4顧客に喜びを与え続ける  5ソーシャルネットワークに抱き込み深く食い込む  
 6透明性を重視しつつ、プライバシーは守る  7批判的なPRに対処し、素早く巧みにフィードバックする
・カーネギーメロン大学の調査によると、個人情報保護対策をとるサイトが販売する商品には割増料金を働いた人が過半数。金額の6%を払っても良いとのこと。
・ネットフリックスが、延滞料金無料のビジネスモデルにしたことで、ブロックバスターは破綻した。
著作権とは何か―文化と創造のゆくえ (集英社新書)
福井 健策 / 集英社 (2005-05) / 799円152 users
読了:  2012年01月22日
著作権に関する基本的な考え方、現在の問題点などを、実例を交えて、わかりやすくまとめた好著。
著者は知財関係の詳しい弁護士。バランス感覚に優れていると思った。
カジノ解禁が日本を亡ぼす(祥伝社新書255)
若宮 健 / 祥伝社 (2011-11-01) / 821円8 users
読了:  2012年01月15日
日本でのカジノ解禁を断固反対するいう主旨の本。
初めて目にする話がたくさんあった。賭博依存症については、正直、あまりぴんとこないけれど、税収が欲しいならパチンコに課税すればよいというのはもっともだと思った。
パチンコ玉を現金には戻せないという建前があって、実際は換金所があってできるというのは、いくらなんでも今の時代にグレーでダーティ過ぎるよね。朝鮮総連の北朝鮮への送金問題もあるし、カジノ導入にはパチンコ業界の改革もセットでやらないとね。
マカオや韓国でのカジノの問題点のレポートなども具体的でわかりやすい。
これまでは、漠然と、観光にプラスならカジノもいいんじゃない?って思っていたけど、安易な導入には問題があるというのは、わかった。
推進派の人の本も読んでみたいけど。

<読書メモ>
マカオ(235億米ドル)で、ラスベガス(58億ドル)を大きく離して、世界一のカジノ売上。
日本のパチンコ業界は2010年に19兆3800億円で、マカオのカジノの10倍。業界一位のマルハン2兆389億円でマカオ以上。
ちなみに、レジャー白書によると、中央競馬2兆4280億円、地方競馬3480億円、競輪6790億円、競艇8970億円、オートレース920億円、宝くじ9200億円
中国文明の歴史 (講談社現代新書)
岡田 英弘 / 講談社 (2004-12-18) / 799円48 users
読了:  2012年01月15日
数年前に読んだけれど、改めて興味がわいて読み直し。
中国の歴史と文化を理解するのには、必読の名著。
今の、中国(中華人民共和国)を、他の国と同じように「中国人の国民国家」と捉えるのは、根本的にまちがっているというのが歴史家としての著者の見解。
中国というのは、元々「首都」という意味で、中国には古来、国という概念が無かった。漢民族も実は、様々な民族の混血。中国人という概念は、19世紀の近代化(清朝の日本への敗北)の中で日本の影響で「中華民族」という概念をつくりだした。
民族も言語も共通で無かった「中国」で基盤にあったのは、漢字という表意文字の体系を利用するコミュニケーションで、それが通用する範囲が中国文化圏である。
要するに、中国って国とか民族では無く、一つの「世界」なんだなと。一様に理解できないのが当然だと思うと少し、頭が楽になる。

以下、読書メモと所感
・中国史の5つの時代区分
 1.中国以前=紀元前221年に秦の始皇帝が統一するまで
 2.第一期=隋の文帝による再統一(589年)まで
 3.第二期=元のフビライハーンによる南北統一(1276年)まで
 4.第三期=日清戦争の敗戦(1895年)まで
 5.中国以後の時代=秦の始皇帝依頼のシステムを放棄して、日本経由での欧米システムによる社会

・洛陽盆地から見た非中国人に対する呼称「蛮、夷、戎、狄(ばん、い、じゅう、てき)」は、
 東夷=低地人の意味。黄河・淮河の下流地帯のデルタ地帯の住民。農耕と漁労をする、
 南蛮=河南省西部、四川省東部、湖北省西部、湖南省西部の山地の焼き畑農耕民
 西戎=陝西省の草原の遊牧民
 北狄=北西高原、南モンゴルの狩猟民(当時は森林に覆われていたが、モンゴル高原の遊牧民が南下して、     家畜に食い荒らされて、森林は13〜14世紀までに消滅した)

・中国人という民族は居ない。人種を問わず、都(=中国)に住んだ人を示す「文化上の観念」である

・歴史的に、中国の官僚は原則として無給。皇帝に税金を納めることと並行して地位を利用して適当に稼ぐものとされ、賄賂は程度がひどくなければ合法だった。裁判も裁判長を務める知見が勝った方から手厚い謝礼をもらうという習慣だった。
 ☞いまだに中国の官僚の地位利用や賄賂が絶えないのは、こういう歴史的な背景があるのかもね。

・中国語は、実は多くの言語の集合体で、その上に漢字の使用がかぶさっているという構造。
・中国文明は商業文明であり都市文明。北緯35度線上の黄河中流域の首都から四方に広がった範囲が中国。その市場で取引された片言を基礎に、書き表すための文字体系が中国語。

・中華思想は、元は入植した遊牧民である北宋が、契丹に負けた時の屈辱で、自分たちは「正当」な「中華」「漢人」と言い出したのが起源。軍事的に負けた屈辱の反動。

・元朝が1314年に朱子学の解釈をした科挙を初めて、新儒教が国教となった。但し、一般人の多くの信仰は、道教とそれに集合した仏教だった。
 ☞宗教観は日本人と近いかもね。日本が影響を受けている側面もあるし。

・モンゴル帝国のフビライ・ハーンがチベット文字のアルファベットの横書きを縦書きに改良して、パクパ文字を作らせた。ただ、既にモンゴル語はウイグル文字で書くことが定着していたので、パクパ文字は広まらなかったが、高麗に伝わり、その知識を元に、朝鮮朝の世宗王がハングル文字をつくり、1446年に書物「訓民正音」で公布した。
 ☞この話は雑学的に感動した。全然知らなかった。言語や文字って、自然発生的な文化史をイメージするけど 政治の影響が大きいんだね。

・現代中国語のルーツは清朝時代にまとめられた「普通話」で、山東方言を基礎とし、アルタイ系諸民族の間で育ったもの。

・1895年以降、中国人のアイデンティティは、先に近代化した日本型を取り入れ、日本の影響と反発で生じていて、中国文明とは切り離された別の文明と見るべきではないか。
 ☞その後の文化大革命も含めて、今の共産党政府は中国文明を都合良く政治的に使うだけで、全然大切にして ないなと思っていたけれど、そういう解釈なら納得がいくな。庶民レベルはまた違うのだろうけれど。
アジアビジネスで成功する25の視点 (PHPビジネス新書)
財部 誠一 / PHP研究所 (2011-04-26) / 864円36 users
読了:  2012年01月14日
日本企業や日本のビジネスパーソンが、アジアでのビジネスについて、どのような心構え、考え方であればよいかを具体例を紹介しながらまとめている素晴らしい本。僕は音楽プロデューサーとしてアジアでどのように仕事していくかという視点で読んだけれど、とても勉強になった。
ASEAN諸国に対する高い評価や中国に対するシビアな視点など、自分の問題意識とも共通する部分も多かった。「HERVEYROAD WEEKLY」という会員誌に連載された内容の再構成らしい。

<以下、気になったポイントを抜粋>
第一章 勃興するアセアンと組む
・日本のODAに対する評価も高く、概して親日的。2015年にはアセアン域内の輸入関税が0になり、高速道路などの整備も進んで、アセアン全体を経済圏として捉えやすくなっていく。

・いすずは、タイとインドネシアで成功している。いすず井田会長の言葉
 「インドネシア、タイ、マレーシアの3国が大きくアジア経済を牽引している。車だとインドネシアは商業用 トラック、タイではビックアップトラック、マレーシアでは乗用車と、国ごとの事情を踏まえることが大切」
 「2010年に東南アジアはリーマンショック前のレベルに戻っている」
・海外戦略と言っても根底の思想は同じ。日本の高い技術とサービスを各国の事情に合わせて合理的に組み合わせることで、上から目線の手向きはあり得ない。
・インドネシアは2億3000万人の人口、石油、ガス、鉱物資源と資源大国。最も可能性がある国。潜在成長率は年5〜6%(暫くは+2〜3%の上乗せ)、親日的と、日本にはチャンスがある。
・インドネシアでは、五輪真弓の「心の友(KOKORO NO TOMO)」が超有名。信頼できる国調査(BBC)でも日本が第一位。車は9割、オートバイは95%が日本製。
・ラフマット・ゴーベル氏(パナソニック・ゴーベル会長・インドネシア日本友好協会理事長)の発言
 「インドネシア経済は日本が基礎を作ってくれた。韓国がその上で家を建てている。中国も建て始めた。日本 が作った基礎の上で二は日本が家を建てるべきだ。我々は好き好んで韓国製品、中国製品のシェア拡大を見て ない。技術力のある日本企業を待ち望んでいる」

・マレーシアも親日的で家電の分野ではパナソニックが圧勝している。マハティール元首相の「ルックイースト」という日本を模範にするという教育。
・浜松信用金庫は取引先にアジアの会社が150社ある。「グローバル中堅中小企業」という可能性。

第2章 知られざる台湾・香港パワー
・自由経済で中国語圏である台湾、香港は、中国本土への架け橋としても貴重。
・日本の新興資本市場は自滅した。株式公開は事業拡大の手段のはずが、目的になってしまった。台湾や香港では新興市場が生き生きしてベンチャー企業に豊富な資金を提供している

第3章 なぜ韓国企業が競争力をつけたか
・ウォン安、政府の手厚い保護も有利だったが、それだけではない。世界標準を意識して、自信喪失するのではなく、日本の強みを活かすべき。

第4章
・世界の超一流企業GEは、「10年前は米国、欧州、日本、その他地域と4つの分けて戦略を立てていたが、今は、中東、ブラジル、カナダ、オーストラリア、ロシアなどの資源大国、中国、インドの人口大国が議論の中心で、米国、欧州、日本がその他地域扱いになっている」
・GEの新戦略「リバースイノベーション」は、新興国で開発して、先進国市場で売るというもの
・中国で成功したコマツの建機ビジネス。建機にGPS機能を使って盗難防止が評価、併せて建機の稼働情報を本社が把握できるシステムにして勝者に。中国作業員は日本人の想像外の不正行為がある。建機の持ち出しやガソリンの横流しなども横行していた。

第5章 アジアで勝つための経営思考
・アジア戦略立てるためには、古い記憶は捨てるべき。アジア新興国はすごい速度で成長している。
・野村證券梅津政信氏いわく「世界は200年前の世界構図に戻り、人口規模がモノを言う時代になってきている」1820年の中国経済の世界シェアは33%もあった。
・中国、ブラジル、インド、インドネシア、ベトナム。タイ、マレーシアの7ヶ国で約10億世帯。その半分の5億世帯が所得1万米ドル以上(中間所得層)になっている。日本平均の4万ドル以上も3600万世帯で、既に日本より多い。
・新興国ユーザーは日本商品への信頼憧れが強いので「PANEL MADE IN JAPAN」が競争力になる
・円高を使って米国や欧州で、魅力的な企業を買収すべき。

<思いついたビジネスアイデア的なもの>
・音楽ビジネスにおいても「リバース・イノベーション」的な発想をもつべき
・アジアは車社会、カーナビ、カーステレオの状況を把握して、アジア各国向けの「ドライブミュージック」を楽曲的にも、インフラ(ラジオなのかストリーミングなのか)的にも考えたい
・IKEAの中国での成功を見ると、雑貨としての音楽ビジネスの可能性を考えたい。日本で言えばビレバンやfrancfrancだし、ハードごと開発して(スピーカー付き的な)ヒット商品はつくれないか?
遠いと思うな、アジアの時代
邱 永漢 / グラフ社 (2011-04-20) / 1,404円5 users
読了:  2012年01月13日
2011年出版と思ったら、内容は2009年にインターネットで連載していたものだった。
読みやすい文体で、ライトに書かれている。読書がおっくうな人でも最後まで読めるでしょうね。
深さや詳しさには欠けるけれど、書かれていることの方向はもっともだと思う。
現代語古事記: 決定版
竹田 恒泰 / 学研パブリッシング (2011-08-30) / 1,836円113 users
読了:  2012年01月05日
『古事記』は歴史の授業で教わっただけで、内容についてはきちんと知らなかったけど、712年に完成した、日本で最初の公式歴史書なんだね。
神話から始まり、代々の天皇の実績が綴られている、まさに日本の「国づくり」の内容だというのがよくわかる。
著者は、平易な現代語に訳しつつ、要所に解説をつけていて、非常にわかりやすい。日本人必読と思った。
「神話は、真実であって、事実かどうかは重要で無い」のはその通りだ。
また、トインビーの「12、13歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は例外なく滅びている」という言葉も重い。
少なくとも1700年以上続いている世界で唯一の王朝である日本と天皇家の価値は、重視し過ぎることが無いくらい重要だね。
神様や天皇関連の人名が膨大で、原文引用も有り、なかなか丁寧には読み切れなかった。今回は図書館で借りたけど、改めて購入して、折に触れて読んでいこうと思う。
フェイスブック時代のオープン企業戦略
読了:  2012年01月04日
ソーシャルメディアの時代には、情報を秘匿することはリスクが高すぎて、オープンにすることでしか守れないという著者の主張は、単純なソーシャルメディア礼賛論とは、違うリアリティがある。実際、企業がオープン戦略をとる時の難しさについても細かく言及されている好著。
原題は『OPEN LEADERSHIP』

以下、読書メモ
・2006年にアメリカ赤十字社にソーシャルメディアマネージャーとして雇われたウェンディ・ハーマンは、ユーザーの声を分析して、「多くの人が赤十字に力を貸したがっている。大きなチャンスがある」と経営陣を粘り強く説得した。本部と地方支部との関係も含め、段階的にオープンにして成功した。
・企業とユーザーの力関係が根本的に変わった。その原因は3つ。
 1.インターネット人口の増加
 2.ソーシャルネットワークの浸透
 3. 共有文化の台頭=自分の知識や感動や創作を大勢の人と分かち合いたいというのは本能に根ざしている
・コントロールを手放すのを勧めるのは、そうすれば結果的にいくらかコントロールを取り戻すことができるからだ。新しい関係の再構築が必要な時代だ
・「open-leadership.com」というサイトで実例が紹介されている
・オープンリーダシップの5つのルール
 1.顧客や社員が持つパワーを尊重する
 2.絶えず情報を共有して信頼関係を築く
 3.好奇心を持ち、謙虚になる
 4.オープンであることに責任を持たせる
 5,失敗を許す
マイレージ、マイライフ [DVD]
カテゴリ:DVD DVD / 外国映画 登録日:2012年01月02日 21時28分57秒 2012/01/02
読了:  2012年01月03日
原題は『Up in the air』。『マイレージマイライフ』という邦題はgood jobだね。
ハリウッドの小品らしく、物語の構成がよくできている。火薬では無く、脚本に手間とお金を掛けたアメリカ映画は好きだな。
ただ、描かれている登場人物のメンタリティは、アメリカ人的で、人物像や悩みの抱え方が類型的な印象。その分、わかりやすいのだろろうけど、日本人的な感覚だと情緒が浅いというか、悩みの方向が違う。ハリウッド映画が観られることで、日本人を含めて世界中の人々がアメリカ人的な人生観に毒されていくのは、あまり歓迎できないと思ったり。
でも、アメリカ人でも、メールで別れる彼氏はひどい男と言われるし、メールだけで退社したことは、失礼って言われてた^^
そんな文化論はともかく、良い映画。
それにしても、ジョージ・クルーニーは、カッコイイ役者だよね。
17歳の肖像 コレクターズ・エディション [DVD]
カテゴリ:DVD DVD / 外国映画 登録日:2012年01月01日 19時43分18秒 2012/01/01
読了:  2012年01月02日
佳作。オックスフォードを目指す16歳の女子高生が主人公。
中年の男と恋するのは、ありがちなパターンだけど、キャリー・マリガンの可愛さと60年代のロンドンの風景に引き込まれる。英語字幕でもう一度観たい。
ラスト、コーション [DVD]
読了:  2012年01月01日
傑作!
日中戦争中の上海と香港を舞台にした大作。アン・リーがアカデミー監督賞をとった出世作。
トニー・レオンはさすがの存在感だけど、タン・ウェイが素晴らしい。綺麗だし、可愛いし、表現力もある。脂の乗った年齢なのに、その後の活躍を目にしないのは、抗日派の愛人役をやったイメージが悪くて中国人から干されたって、噂だけど本当かな?中国資本以外の映画でも通用すると思うけどな。
158分と長いから、観るときは、ちょっと気合い必要だけど、没入して観る価値はある。
タイトルのラストは「Last」ではなく「Lust」
熱情、強い性欲、情欲、〔富・権力などを〕切望する、渇望する、というような意味。
Cautionを戒めと訳すと、昭和初期までなら、『熱情の戒め』という邦題が付いたかも。
誰の何を「戒め」ていると捉えるかで、この映画の見方がわかる気がする。
男視点で「情欲に負けると危険だよ」という解釈だけは与しないな。
スパイとして関わった男と性行為を通じて、愛を確かめていく一途な主人公ワンをリスペクトしたい。

プロフィール

音楽プロデューサー、コンテンツオーガナイザー。『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)上梓。(株)バグコーポレーション代表取締役。(社)日本音楽制作者連盟理事
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