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情緒と日本人
岡 潔 / 研究所 (2008-02-01) / 1,050円 / ISBN:9784569695525
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 登録日:2008年05月15日 11時49分15秒 2008年05月15日 ソーシャル 1 users
タグ 土井英司 書評 哲学 未読 未読
コメント・土井英司
本日の一冊は、世界的数学者にして憂国のエッセイスト、故・岡潔
さんによる珠玉の言葉集。

氏の著書から現在に通ずる教訓を集め、一冊の本にまとめたもので、
内容は、「情緒」の大切さとその育み方に関するものが主となっています。

「情緒」というと、道徳教育ととられるかもしれませんが、著者が、
そして本書を選んだ土井が問題にしているのは、この「情緒」が、
人の生き方や働き方、さらには社会にまで影響を及ぼしているので
はないか、ということ。

本書を読む限り、現在のさまざまな企業不祥事や殺人、自殺などの
社会問題が、すべてここから来ているのではないかと思われるのです。

現在の世の中で、「愛」を否定する人はないと思いますが、著者い
わく、「愛は自他対立する。愛を連続的に変化させるといつの間に
か憎しみに変わる」。

だからこそ人には「情」が大切であると著者は説いているのです。

ほかにも、現在のわれわれが過度に重視している「時間」に対し、
「時間とは時の簡単な模型にすぎない」と説き、現在ブームとなっ
ている社会貢献に対しても、「このくにの善行は『少しも打算、分
別の入らない行為』のことであって、無償かどうかをも分別しない」
と説く。

いささか古い本ではありますが、それだけに現在の社会にはない価
値観を教えてくれる、貴重な一冊だと思います。

個人的におもしろかったのは、巻末にある著者と松下幸之助の対談。

「私はすべてを肯定するのですよ」と語る松下に対して、「さすが
に実業家らしいですね」と岡が皮肉を言うなど、価値観の違う2人
のバトルは一読の価値ありです。

人間にとって最終的に問題となるのは、どんな理想を掲げて生きる
のかということ。本書は、そのヒントとなる一冊だと思います。

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悩める生物学系大学院生
<<2008年7月>>
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