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タグ 経済 金融 市場 歴史 カテゴリ:Web Web 更新日:2010年07月02日 05時10分54秒 2010/07/02
読了:  2010年07月02日
・30年代前半、急激なデフレからのV字型脱却、特異な物価変動の定量的分析が狙い
・この時期の物価変動の主要な要因、日本の物価に対しては、海外物価要因や為替レートが相対的に強い影響を与えていたことが確認できる。これに対して、残りの3つの変数が及ぼすインパクトは、いずれもプラスの方向で有意ながら、前2者に比べれば格段に弱く、おのおのの影響度の強さは、output gap、金融変数、財政変数の順になるとの結果が得られた。
・高橋財政」期のデフレ対策、具体的には、①金輸出再禁止(31年12月13日)と銀行券の金兌換停止(金本位制離脱、同年12月17日)後の為替レートの下落放任、②日銀による金融緩和の推進8(32年3月以降)、③32年6月の32年度(昭和7年度)補正予算案の提出9と赤字国債の日銀引受け表明10、の3つである。
・物価面から見た「高橋財政」期の時期区分
(イ)第1期(1931年12月~32年12月)デフレ脱却期
(ロ)第2期(1933年1月~35年9月) 相対的安定期
(ハ)第3期(1935年10月~36年12月)物価じり高期
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タグ 経済 金融 歴史 カテゴリ:Web Web 更新日:2010年07月01日 20時03分14秒 2010/07/01
読了:  2010年06月30日
◆金本位制~国債の日銀引受実施へ・中央銀行の対政府信用に関する歴史的考察」と題する副題の付いた「金融研究」01/09月号所載のものと、その後、この論文を要約し、加筆・修正した02/10月「日本財政学会」での報告版(⇒http://www.imes.boj.or.jp/japanese/kouen/h0210.pdf)とがある。
・中央銀行にとっての「財務の健全性」とは何か?
・物価の長期的推移、1831~1999年までを、幕末維新期、金属本位制度期、管理通貨制度移行期、管理通貨制度定着期の四期に分けて、その特徴を分析。215-218.p(216.p図表1物価の推移グラフを見ての感想、戦後80年代までの約半世紀の物価の推移グラフを見慣れている目から見ると、長期的推移グラフは奇異な印象を受ける。というのは高度成長期、特にその後半はケインズ政策に基づくインフレ成長の時期と見なしていたが、高度成長と物価の相対的安定をもたらした安定成長期と見るのが当たっているように思われるから。同様に、長期的視点から90年代以降を考える際には、日露戦争後&第一次大戦後、特に20年代後半のデフレ期を参照すべきではないか?
・日銀のバランスシートと物価との関係(219.p図表2のバランスシート残高対GNP比率の長期的推移に注目すると、急激に上昇する時期は、日清戦争期、日露戦争期、第一次大戦期、第二次大戦期と90年代以降の五回しかない。前四回はインフレ期で、概ね実質GNP成長率はプラスなのに対して、今回はデフレ期で低成長期だという違いがある。この違いを、どう評価するか??要するに、日銀のバランスシート残高の急上昇にもかかわらずインフレにならないのはなぜか?⇒この最後の点に関連して第3節「中央銀行の対政府信用を巡る論点整理、242.p以下を参照
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タグ 経済 金融 歴史 カテゴリ:Web Web 更新日:2010年06月30日 11時32分39秒 2010/06/30
読了:  2010年06月28日
・「日銀レビュー」(09/04月所載)、鎮目論文
・前半は、20~30年代の簡単な総括、後半は「高橋財政」開始前後の人々のインフレ予想も主要な契機となったのは国債の日銀引受けではなく、為替レートの切り下げだったとの論点(「世界恐慌と経済政策」参照)
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タグ 経済 金融 市場 歴史 カテゴリ:Web Web 更新日:2010年06月30日 11時05分24秒 2010/06/30
読了:  2010年06月30日
・「経済研究所年報」第23号所載の鎮目論文(09/12/05の成城大学経済研究所第68回講演会)
・副題の「開放小国」の意味は「自国の政策運営が海外の動向に影響を受け易い経済」ということで、「開放」の意味は、必ずしも金本位制下には限定されないようだ。
・「高橋財政」の本質は為替・財政・金融の「マクロ経済政策全体」として捉えるべきだが、デフレ&不況から脱却するうえで、最も効果的だったのは、どの政策か?
梅田説では、国内物価に対しては海外物価と為替レートの影響が大きく、財政&金融政策の影響は相対的に弱かった。(⇒「1930年代前半における日本のデフレ脱却の背景: 為替レート政策、金融政策、財政政策」参照)
飯田・岡田説(岩田「昭和恐慌の研究」所載「昭和恐慌と予想インフレの推計」参照)では、金本位制からの離脱&国債の日銀引受による金融政策のレジーム転換によってインフレ予想が転換されたことの影響が大きい。⇒「実際に観測された卸売物価が事前に予測されていたであろう」と前提していると批判しているが、要するに前提に結論を忍び込ませているとうことだ。86.p
・金本位制からの離脱は、人々の予想がデフレからインフレに変わる大きな契機になったが、長期国債の日銀引受はインフレ予想とは結びつかなっか。88.p
・(金本位制からの離脱によって)「高橋財政」期には制度として財政規律を課すメカニズムは失われた。長期的な観点から見れば、国債の日銀引受け制度の導入は財政規律の弛緩に繋がったが、国債の日銀引受けが人々のインフレ予想を惹起させた証拠はない。92.p
・高橋個人の能力と意思に依存した財政規律は、高橋の暗殺と共に失われた。90.p
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タグ 経済 金融 市場 歴史 カテゴリ:Web Web 更新日:2010年06月30日 09時46分45秒 2010/06/30
読了:  2010年06月30日
・「金融研究」21巻2号(02/06)所載(鎮目論文)
◆要点は、戦間期までの金融政策は、1.インフレ率との関連では増幅させる方向に作用、2.通貨体制と密接に関係し金本位制&20年代の管理フロート制のもとでは、国内経済を犠牲にして為替レートの目標達成を主眼にした。金本位制離脱後は国内経済の安定を中心に据えた金融政策運営が可能であったが、必ずしもそうなってない、というもの(何故、国内経済の安定を目指す金融政策が運営できなかったか、との問題提起をしてはいるが、明示的には応えていない。「裁量的な政策運営の弾力性が確保されていたかどうか」云々、58.p参照)
20年代の評価、土屋の「慢性的不況」の時代評価と、中村の「不均衡成長」の時代評価
金輸出再禁止(金本位制離脱)後、「高橋財政」は狭義の財政政策のみならず、為替レートの円安放任、日銀引受国債を財源とする財政支出拡大、金利低下の三つを柱とする政策と捉えるべき。38.p
・金本位制のゲームのルールによる貿易収支の自動調整メカニズムに関連して、(金本位制下、1898~1914年の日本の金融政策運営の実証分析では、日銀は必ずしも「金本位制のゲームのルール」に従っていたとは見えない。⇒註22参照)日銀は国内経済の安定に配慮しながら公定歩合操作をしていたが、結果として国内経済の変動を緩やかにする作用をしたとは言えない。41.p
投資の科学 あなたが知らないマーケットの不思議な振る舞い
読了:  2010年01月09日
◆さいたま市図書館、10/01/07
投資の哲学、投資の心理学、イノベーションと競争戦略及び科学と複雑系理論の四部構成。理論的支柱は第四部の「複雑系理論」で、前半は金融、投資市場の豊富な具体例をあげて、無数の集団的行動の集積が「ある種の秩序」を形成していくかを挙証している。お陰で、マンデルブロの『禁断の市場』では、市場分析でのべき乗法則の意味合いが、いま一つ曖昧だったが、やや具体的に理解できたようだ。(10/01/09)
○「現実の世界は平均値ではなく、異常値に支配されている-ウォール街が注目する米経済界の俊英が、生物学、統計学、心理学などの幅広い知見と独自の視点で、ファイナンス理論の常識を覆した話題のエッセイ」という日経BP社の既刊案内が面白そう。殊に世界は平均値ではなく、異常値に支配されているという一節が興味深い。
○Amazonの「愚かな投資家がたくさん集まれば、株式市場は正しく機能する」という著者からの内容紹介はもっと面白い。はたして「愚かな政治家がたくさん集まれば、国の政治は正しく機能する」と言えるだろうか??偶然性と必然性の関係を如何に読み解くかは、量子力学の課題の一つだけれど、へーゲルは「必然性とは、認識された偶然性である」と喝破した。なにやら、対立物の統一を思い起こさせるアイロニーを感じさせる。トルストイは「戦争と平和」の中で、ナポレオンのモスクワ撤退の場面で、戦争の大きな必然的な流れは無数の偶然の出来事の集積の結果だと描いていた。
◆第四部、科学と複雑系理論
一見無秩序でランダムな集団的行動がもたらす秩序、分散化されたシステムでは、たとえ個々の構成要素の能力が限られていても、複雑な問題を極めて効率的に解決することがある。知識を組織全体にまんべんなく分配することにより、安いコストで、集団の知恵を活用できるのである。また、我々は分散化された問題解決システムを十把一絡げにしてしまいがちだが、システムごとに特徴があり、その特徴がシステムのパフォーマンスを左右する。例えば株価は、投資家がそれぞれの多様な行動をとるときに効率的な値動きを示す傾向がある。ひとたび多様性が失われ、投資家の誤りが同じ方向に向かうと、株価が極端に高くなったり安くなったりする。187.p
・投資家は二つの理由から、集団行動の正確性に注目すべきである。一つは、情報の集積力こそマーケットの効率性をもたらす中核的機能だという点である。ここで効率性と言うのは、ある特定の投資家が、合理的な方法を用いて市場平均よりも優れたリターンを手にすることが出来ないことを意味する。もうひとつは、集団に蓄積される情報を活用する企業が、競争優位にたつことができるかもしれないという点だ。189.p
・株式市場を複雑系ととらえれば、投資家は二つの罠を避けることができる。一つはすべての結果に対して個別の原因を探そうとすることである。複雑系では、小さな混乱や動揺が集まって大きな変化が生じる。原因と結果が直ちに結びつくわけではない。..もうひとつの罠は、マーケットそのものを理解しようとせずに、個別の情報にこだわってしまうことである。213.p
・複雑系は、そこに含まれる異質の構成要素の一つ一つを分析しても、全体の性質や特徴を理解できない。複雑系は線形ではないので、部分を足しあわせても全体と等しくならない。原因と結果という文脈で考えると、納得の行く説明が出来ない。このようなシステムの代表例が株式市場である。217.p
・ジップの法則(べき乗法則)は、順位×サイズ=定数という単純な数式で表される。
マンデルブロは、ジップの法則に二つの修正を施し、より一般的なべき乗法則を導いた。一つは、1位から3位までのサイズを、1/(1+C)、1/(2+C)、1/(3+C)としたこと。二つ目は分母を(1+C)乗すること。その結果、1位から3位までのサイズは、1/(1+C)^(1+C)、1/(2+C)^(1+C)、1/(3+C)^(1+C)...
アクステルは、企業規模の分布は、政治や規制の状況、企業買収の増減、新興企業や企業倒産の動向、労働人口における大規模な人口学的推移(例えば、女性労働者の大量増加)などの要因では左右されないことを示した。
べき乗法則をもたらすメカニズムはまだ完全には解明されていないが、べき乗法則を発生させるモデルやプロセスは多数存在する。225-227.p
・企業規模の分布と成長率の研究から、以下の四つの法則が抽出できる。
1.企業規模の分布はジップの法則に従う。
2.企業成長率の分散は企業規模の増大とともに減少する。
3.大企業の成長はしばしば失速する。
4.多くの企業が同じライフサイクルをたどる。232-235.p
金融危機で失った資産を取り戻す方法
中原圭介 / フォレスト出版 (2009-10-22) / 1,620円113 users
購入:  2010年01月05日 1,575円 所有
読了:  2010年01月08日 星5つ
その書名から、一見、株式投資のハウツー本のように見られがちだが、中身(のほぼ八割)は世界経済に対するperspectiveに富んだ分析で、その「地球環境問題」に対する基本的な見方は、僕の見解とほぼ一致する。
・いわゆる「環境ビジネス」は、17-18世紀の産業革命に対して第二次産業革命を狙いとするパラダイム転換が目標ではないか、と僕はみなしているが、どちらかと言えばこれは僕の直感に拠る。
・著者は、この点についてもう少し具体的に分析している。サブプライム危機後の対処問題を扱った本は野口の「危機克服の処方箋」とこの本の二冊を読んだ。分析の緻密さという点では、『処方箋』には劣るけれど、pespectiveの的確さでは遥かに優れている。
未曾有の経済危機 克服の処方箋―国、企業、個人がなすべきこと
野口 悠紀雄 / ダイヤモンド社 (2009-04-17) / 1,728円45 users
購入:  2009年12月06日 1,680円 所有
読了:  2010年01月05日
・経済危機の原因は、サブプライム・ローン問題ではない。世界的なバブルの膨張と崩壊である。バブルはアメリカで住宅価格、消費者金融、消費支出、経常収支赤字、証券化商品投機で生じた。更に、為替レートで円安バブルが発生し、日本の輸出がバブルを起こした.日本は、バブル膨張の過程に深く関わっていた。超低金利と円安によって輸出を増加させ、それで生じた貿易黒字を対米投資でアメリカに還流させた。それがアメリカの住宅バブルを増幅させ、自動車などの耐久消費財の需要をさらに増やした。11.p
・住宅価格の高騰がアメリカの消費を拡大させた。「住宅価格が値上がりし、金融が緩和されると現金が手元に現れる」という魔法のようなことが可能になった。アメリカの所得税制では、借入金の利子が無条件で所得控除されるから、借入をさらに奨励する結果になっている。43.p
・今回の世界経済危機の背景には、世界的な貯蓄・投資のバランスの問題がある。それは「アメリカが過剰消費を行って経常赤字を拡大する一方で、アジア諸国(中国、日本など)が外需依存の経済成長を行い、経常黒字を記録してアメリカに資本供給する」というグローバル経済の構造だ。..アメリカの金融危機と日本・中国の輸出崩壊は、同じコインの表裏だ。228.p
内需中心経済構造への転換が必要だ、輸出で外貨を稼がないと日本は生きていけないという考え方は間違っている。日本の対外純資産は07年末で250兆円ある。仮に経常収支赤字が定着しても、貿易収支と所得収支が08年1月程度の水準に留まるとすれば、対外資産を取り崩しても百二十年以上は持つ。成熟した債権国にとって重要なことは、対外資産の運用を適切に実施することである。234.p
メルトダウン 21世紀型「金融恐慌」の深層
榊原 英資 / 朝日新聞出版 (2009-02-06) / 1,404円19 users
購入:  2009年12月05日 1,365円 所有
読了:  2009年12月06日
・95年から07年までにアメリカの金融資産は約百兆㌦増大した。この間貿易収支、経常収支の赤字は拡大し続け、95年の1136億㌦から06年には7881億㌦に達した。
・一方、消費者は、住宅ローン、オートローン、クレジットカード・ローンなどが潤沢に提供される中で、負債総額を増大させつつ消費を拡大し続けた。95年に三千億㌦だった家計の新規借入額は、1.1兆億㌦にまで膨張した。12-13.p
・95/1月、ルービン財務長官の就任とともに、アメリカの経済政策は「ドル高有益論」に転換した。すなわち「経常収支赤字削減・ドル安容認」から「ドル高・低金利・インフレなき経済成長促進」に変貌を遂げた。56.p、これはクリントン政権が通商から金融に軸足を移して、金融によるアメリカ経済の再生を図ったことを意味する。強いドルを軸に、世界の金融資産をウォールストリートに集め、投資銀行等を中心にこの資産に更にレバレッジをかけ、金融で世界をリードしていくというモデルだ。58.p
・97年の東アジア通貨危機は、ドルが強くなり、今までアジアに投下されていた資金がアメリカに戻ってしまったことが、重要な原因の一つであったことは間違いない。66.p
・アメリカ金融救済の一覧表(08/11月現在)、A.保証、B.投資、C.貸出の三分野に分けコミット総額8兆㌦の内訳の明細表、126.p(『実録世界金融危機』119-127.pに08年1/04~12/16の米政策対応の日次記録及び金融危機対応策の総体図が掲載されている。比較対照せよ。)
・危機はパラダイム・シフトを呼ぶ、三つのパラダイム・シフトが予測される。市場原理主義の崩壊と公的セクターの役割の増大、アメリカのヘゲモニーの後退、世界的な「多様化」の進展(やや唐突に、300程度の基礎的自治体を作って分権化を進める廃県置藩の実行を薦める)169-170.p
サブプライム金融危機―21世紀型経済ショックの深層
購入:  2009年11月30日 1,575円 所有
読了:  2009年12月05日
◆第一章、サブプライム(世界の金融市場が直面した07年危機)は日次記録、『実録世界金融危機』の項に追加補足する
◆第二章、米国住宅市場問題の深層、住宅金融史を扱っており、これは他では見ない。『ベーシックアメリカ経済』3章-2「住宅ブームとその背景」で、住宅バブルの可能性を指摘する一方、「住宅に対する根強い実需の拡大があることから、住宅価格の調整が一時的に生じたとしても、それが長期間かつ深刻なものになる可能性は大きくないのではないかと考えられます」95.pと書いている。
・20年前の米国ではサブプライム層に対する住宅ローンの提供はほとんど見られなかった。73.p
・1977年地域再投資法(CRA)の制定によって、預金取扱金融機関は、中・低所得者や中小企業向けローン、地域社会の開発資金の提供を行い、集めた預金の一部を地域に還元するよう義務付けられた。75.p
・大きな転機は03年頃訪れた。民間ベースの証券化ビジネスと相俟って、サブプライム層への住宅ローンが爆発的に拡大した。06年にはサブプライム・ローンは実行ベースで20%強、残高ベースで13%を占めるにいたった。(ローン件数のサブプライム比率の推移グラフ、98~06年、図表)77.p
・サブプライムの損失推計、貸出債権の直接損失および住宅ローンの証券化に伴う時価評価の低落に伴う損失実際には後者のほうがはるかに多く、かつ信用不安の拡大と共に肥大化する必然性を内在し、この見積り推計の困難が過小評価を呼ぶ)87-88.p
・住宅在庫、住宅価格の推移、90-94.p
・米国家計は、住宅資産の現金化を通して(住宅価格の恒常的値上がりを前提にした「含み益」という仮想的資産に過ぎず、実際には負債を「資産化」して負債に負債を重ねているに過ぎない。住宅価格の低迷と共に仮想的資産は現実的負債に転化する)、消費支出や住宅の修繕費用に充ててきた。住宅金融を通して消費に向かった資金は、個人消費の2%ほどとFRBは推計している(06年)。95.p
・第三章、加速-証券化市場のカラクリ
証券化、一般的には、企業や金融機関などが保有する金銭債権や不動産などの資産を、特別目的会社(SPC)、特別目的信託(SPC)などの特別目的ヴィークル(SPV)に譲渡し、当該ヴィークルで譲り受けた資産が生み出すキャッシュフローに対する信用力を裏付けとする証券に転換して、それを資本市場で売却して資金調達をする方法をいう。105.p
◆第四章、拡大-揺れるマネーフローと金融機関・投資家動向
・サブプライム問題は証券化という金融技術の発展によって複雑化した現代的側面がある一方、近年のいわゆる「過剰」流動性の下で金融・資本市場の随所で発生したリスクのゆがみを再評価という形で修正される、ある意味では古典的な側面がある。136.p(「現代的側面」と称するものは信用という魔法の杖で実態的負債を仮想的資産に見せかける金融技術であり、古典的側面と称するものは実態から著しく乖離し・肥大化した仮想的資産を実態的資産の規模に引き戻す強制的・恐慌的過程である。)
実録 世界金融危機 (日経ビジネス人文庫)
購入:  2009年11月21日 750円 所有
読了:  2009年11月25日
・青文字は『サブプライム金融危機』からの引用
・06/6月をピークに米国の住宅価格は下がり始める
・06年末、サブプライムに特化した中堅住宅ローン会社が倒産
・07/2月、「住宅市場の調整」に懸念を示すグリーンスパンの講演をきっかけに上海株が急落し、世界連鎖株安
・07年春、サブプライム問題は限定的との見解が一般的(バーナンキFRB議長「サブプライム問題が住宅市場全体に及ぼす影響は小幅であり、金融市場や他の経済分野に波及する可能性は低い」「サブプライム住宅融資市場での信用の引き締まりは、融資基準の過度の甘さに対処することになり望ましい」3/28議会証言、『サブプライム金融危機』19.p)
・07年6月、サブプライム関連資産の値下がりで、ベアー・スタンズ傘下のヘッジファンドの危機が表面化(「ヘッジファンドの経営危機をきっかけに、これまでは経済への波及が中心であったサブプライム問題の注目点が、金融機関の信用リスクに波及していくことになった」、住宅ローンの債務不履行の増加をきっかけにムーディーズなど住宅ローン担保証券(MBS)の格付けを相次いで大量・大幅に引き下げ、同前23.p)
・07/07月、バーナンキFRB議長「サブプライム関連の損失が500-1千億ドルに上る可能性がある」と証言
・07/08月、仏パリパは傘下のファンドの資産凍結を宣言(サブプライム問題によって証券化商品の流通市場が極端に細る中、ファンドからの資金流出によって資産売却を迫られれば、価格が急落して更に資産が悪化する」という悪循環に陥るリスクが高まったとの判断があった。同前28.p)
・07/09/14、BOE、金融サービス機構(FSA)、財務省は英中堅金融会社ノーザン・ロックに緊急流動性支援実施を発表、これを転機にノーザン・ロック取り付け発生(英国での取り付け騒動は百数十年ぶり)、同前39.p
・07/09下旬、各国中央銀行及びFRBによる予想外の大幅利下げを受けて、信用収縮懸念は緩和する。追加利下げの期待からNYダウは年初来高値更新、新興国市場の株価も高成長期待で大幅上昇、同前44.p
銀行間取引金利は高止まり(銀行間リスク・プレミアム評価の変動、7/10~10/23、図表参照、同前46.p)
IMFは、サブプライム関連損失を2千億ドルと見込む、同前47.p(IMFの「国際金融安定報告書」07/09の要約は、参照
・07/10/11、ダウ工業株30種平均が最高値をつける
・07/10月末、銀行間取引金利が上昇し始める
・07年第三四半期~08年第三四半期の米国金融機関の計上した保有資産の評価損・売却損は累計6700億ドル(ブルームバーク推計)、
欧州(2800億ドル)・アジア(300億ドル)を加えて9800億ドルに上る
・08年の金融危機の主な出来事は13頁参照
・08/09月、リーマン破綻をめぐる10日間、36頁参照
米金融機関への公的支援策の一覧(08年)、52頁参照
・政策の迷走、米政策当局の対応、08年一年の軌跡(日次記録)、119-127頁参照(第三章全体は、日次記録の説明)
◆第4章危機の源流
◆第5章株急落 逃げ惑うマネー
金融経済の根底にある「信用」というマグマが、我々の眼に見えぬところでいかに肥大化し、かつ肥大化したマグマが地上部の非実態的な金融経済を実態的な経済から著しく乖離させ、その乖離幅の巨大さに気付くと共に、磐石に見えた地下のマグマは一挙に架空的・非実態的なものに転化する。「信用経済」に内在するこのような本質的脆弱さ(多くの経済学者は、これに気付かないのか、単に気付かないふりをしているのか、その脆弱さを露呈するまで無視している)が露呈していく様を、4章、5章は描いている。
◆巻末、金融危機をめぐる主な動き(07/08/09~08/12/16)
世界恐慌 診断と処方箋―グローバリゼーションの神話
ロベール ボワイエ / 藤原書店 (1998-12) / 2,520円3 users
購入:  2009年11月05日 2,520円 所有
読了:  2009年11月18日
本書は、98年に出版されたものだが、その大部分は、98年夏の日本でのセミナーの講演に基づく。それから十数年経た今日、本書を読み返してみると、つい最近まで如何にノー天気な経済理論が罷り通っていたか改めて驚かされる。と同時に、最良の分析者でさえも、歴史的・俯瞰的観察を忘れるや、如何に近視眼的な観察に陥らざるを得ぬか如実に示している。十数ページの短い序論は、味読に値する。
・序論、「ただ驚くばかりの90年代」と題して、80年代末以降に相次いで起きた歴史的諸事件は、世界の最良の分析者でさえも、「若干の例外を除けば、分析不可能な事態に直面した」として、ソ連の崩壊、アメリカ経済の復興、日本の経済的沈没、東アジアの新興工業諸国の金融危機、ラテンアメリカ諸国、ヨーロッパの構築の例を挙げている。9-13
グローバリゼーションによる収斂、今日(90年代末のことだが)の経済学者の支配的な考え方は、次の三段論法に要約できる。
イ.グローバリゼーションは不可逆現象であり、市場による調節、特に金融市場による調節が一般化する。
ロ.金融自由化によって、不況もインフレもない、新しい経済体制を生み出せる。(金融主導型成長のマクロ経済回路、107頁の図を参照、要点は信用創造を梃子にした自己肥大化現象
ハ.従って、社会は金融化され、グローバル化されたレギュラシオン様式に収斂される。この様式の模範はアメリカ経済である。
本書の目的は、このような三段論法が詭弁であることを示すことである。21-23
- 1 users
タグ 経済 金融 カテゴリ:Web Web 更新日:2009年11月11日 23時23分33秒 2009/11/11
読了:  2009年11月11日
・成長確保のために実施した政策が奏功し、中国経済は内需主導で回復傾向を強めている半面、景気対策の推進に伴う過熱懸念が指摘され、政府はその是正を求められるようになった。
・景気対策重視型の経済運営が続く場合の懸念材料
1.財政悪化に伴う景気対策の遅れである。政府は2009年の国家財政赤字(中央+地方)が9,500億元と、過去最大規模に達す
るとの見通しを示している。地方政府の資金不足が投資プロジェクトの執行を妨げる可能性も指摘されている。しかしながら、国家財政赤字は対GDP比3%以内にとどまるとも、政府は見積もっており、その通りであれば、景気刺激策の執行に支障をきたすおそれは小さいであろう。
2.、不良債権が急増するリスクである。中国銀行業監督管理委員会によると、商業銀行の不良債権総額は5,181億元、不良債権比率は1.77%と、いずれも改善傾向が続いている(6月末時点)。そのため、現時点では、不良債権の増大に伴う金融機関の経営圧迫から、融資の圧縮、企業の資金繰り悪化という悪循環が生じるおそれは小さいとみられる。
3.民間投資の回復の遅れである。
- 1 users
タグ 金融 市場 経済 カテゴリ:Web Web 更新日:2009年11月03日 09時07分26秒 2009/11/03
読了:  2009年11月03日
・米国と敵対する国は、ドル以外の通貨を使い始めています。ベネズエラはユーロを使い始めているし、イランは日本円を使っている。米国の友好国も心配し始めています。
・もし米国が今日海に沈んだとしたら、それ(解決策)はユーロなんでしょう。というのは、代わりとなる通貨がユーロ以外にないからです。今から20年後であれば、人民元かもしれません。
・現時点では馬鹿げた考えですよ。人民元は小さな通貨で、兌換性もありませんから。しかし、今後20年内にこの問題を解決し得るような、大規模な経済と人口、そして十分な外貨準備を持った国の通貨は、人民元しか考えられません
・これだけ多くの不均衡が存在しているので、私は今後1~2年内に、通貨危機、あるいは半ば危機のような「セミ危機」が起きると思っています。
次の危機は恐らく・・・どこで起きても不思議じゃない。ウクライナなのか、アルゼンチンなのか、私には分かりません。もしかしたら今回は、英国で起きるのかもしれないし、米国かもしれない。
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タグ 経済 金融 市場 カテゴリ:Web Web 更新日:2009年10月20日 16時16分01秒 2009/10/20
読了:  2009年10月20日
◆要点、FT、09/10/19
・今の状況は、表面的には、低い名目金利や物価の落ち着きと相俟って、住宅、信用、コモディティー(商品)、株式市場でバブルが膨らみ始めた2003年や2004年に似ている。違うのは早々に弾けるという点だ。
相場がバブルだと判定する指標として、「景気循環調整後株価収益率(CAPE)」と「Qレシオ」を使っている。
・CAPEは、物価変動を調整した後のPER(株価収益率)の10年移動平均値である。Qレシオは株式時価総額を純資産で除した指数。
・今年9月半ばには、どちらの指標も米国の株式市場が35~40%割高だと示唆していた。株価はその後、企業利益の移動平均をはるかに上回るペースで上昇している。
バブルが再来した理由は、名目金利が極めて低いことにある。金利の低さに促され、人々は、あらゆる種類のリスク資産に資金を投じている。住宅価格でさえ、再び上昇し始めている。
・住宅市場が割高か割安かは、家賃に対する住宅価格比率や所得に対する住宅価格比率などの指標で判断出来るが、米国の住宅価格は今回の危機下で、両指標の長期平均から見て適正と言える水準には一度として下落していない。
・欧州では、通常であれば欧州中央銀行(ECB)がとっくに利上げに踏み切っているはず。にもかかわらず、まだ金利を据え置いているのは、慢性的な自己資本不足に陥っている銀行システムにダメージが及ぶ事態を避けたいからだ。
・我々はこの先、中央銀行のコントロールが及ばなくなり、物価が上にも下にも大きく変動する時代を迎えようとしているのかもしれない。これはまさに、経済学者のハイマン・ミンスキー(1919~1996年)が、金融不安定性仮説で予言していたことにほかならない。
・現在の世界の状況からは、2つのシナリオ(あるいは、それらが組み合わさったもの)が進展する可能性がある。第1のシナリオは、中央銀行が2010年のある時点で「出口政策」を実行に移し始め、それが引き金になってリスク資産の価格が再び下落するというものだ。
・第2のシナリオは、中央銀行が物価の安定よりも金融システムの安定を優先し、マネーをできる限り長期間、じゃぶじゃぶと市場に供給し続けるというものだ。
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タグ 経済 金融 市場 カテゴリ:Web Web 更新日:2009年09月07日 20時49分53秒 2009/09/07
読了:  2009年09月07日
国際資金取引が拡大する過程では、①実体経済の成長以上に信用拡張が進展し、世界的な金融不均衡の拡大に繋がったほか、国際資金取引を仲介する金融機関が短期資金調達に傾倒した結果、②その業容拡大につれて流動性リスクが拡大し、さらには、③国際金融ネットワークが緊密化した。これらの変化はいずれも、今回の金融危機の影響を増幅する方向で作用したと考えられる。1.p(実体経済からの信用膨張の乖離、両者の不均等的発展。あるいは信用膨張に伴う実需を超えた仮需要の異常な膨張は、「投機」の一般的特徴であって、投機のきっかけが何であれ(球根、住宅、土地、石油、金、金融商品etc)、信用膨張は両者の不均等を著しく拡張する。それは必ずしも「今回の金融危機の影響増幅」の特徴ではない。
・今回の金融危機に至る過程で、サブプライム問題が引き金になって証券化市場が混乱し、途上国が投資資金を引き上げ始めたことは、銀行間市場からのドル建て短期資金調達に依存していた欧州の銀行部門に流動性ショックとして直撃した。デレバレッジによってショック自体が増幅されていただけではなく、ハブである欧州金融センターを中心にネットワークの緊密化が一段と進展していたことで、こうしたショックに対して、国際金融市場はより脆弱になっていた。特に、最大級のハブであるユーロ圏と英国の銀行部門が相互依存度を高めていたことから、両地域間でピンポン・ラリーのようにショックが連鎖し、ショックを吸収するどころか、むしろ増幅する形で、その影響は世界各地に広がった。4-5.p
・参考文献の中に、いくつかの面白そうな文献、日銀「金融市場レポート」の08/07月号、09/01月号

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