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超薬アスピリン―スーパードラッグへの道 (平凡社新書)
平沢 正夫 / 平凡社 (2001-09) / 799円13 users
タグ 科学 医学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 薬学 更新日:2012年03月25日 14時47分18秒 2012/03/25
所有 読了:  2012年03月24日
・僕は目薬・傷薬以外の薬は、殆ど使ったことがないけれど、09年3月からバイアスピリン100mgだけは抗血栓薬として服用している。医者から服用を勧められた際に、服用するかどうか色々調べた結果、低容量の服用では(特定の場合を除き)ほとんど副作用が無いこと、抗血栓作用のみならず、ガン予防やアルツハイマー病・歯周病への効果など、新たな効用の可能性も認められるなどの知見があり、対費用効果として最大値に近いということもあって(三ヶ月で700~800円、年間3000円内外)常用している。というわけで、以来、何かとアスピリンには関心を持っている。ちなみにバイアスピリンは、バイエル社のアスピリンの商品名だ。
・本書は01/9月に初版発行、00年9月まで日本ではアスピリンは「抗血小板薬」として認定されなかったそうだ。著者は、この認定について「あまりにも遅すぎた」「諸外国並みに、十数年前に承認していたら、心筋梗塞や脳卒中の患者が少なくとも数十万人は救命されていたと思われる」と書いている。
環境と文明の世界史―人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ (新書y)
タグ 歴史 科学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 世界史 更新日:2012年02月26日 16時23分56秒 2012/02/26
読了:  2012年02月26日
・三人の対談形式が非常に生きている。一人一人の著作を読むよりも論点が明確に提起されている感じだな。
・一般論として云えば、世界史なり歴史を考える際に、われわれは「環境」をいわば与件として扱ってきた。これからの人類の歴史を考える際には、「環境」を不可分の一構成要素として考慮しなければならない、ということかな。
読了:  2012年02月14日
進化に見るヒトの「違い」の物語との副題のついた遺伝学的立場から見た人類進化の物語で、著者は人類遺伝学分野の第一人者とのこと。
・違い、遺伝的「違い」と文化的相違、言語の違い
・人種的違い;優生学、遺伝子工学、
脳と心の進化論
澤口 俊之 / 日本評論社 (1996-10) / - 3 users
タグ 科学 医学 歴史 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 更新日:2012年02月11日 08時31分18秒 2012/02/11
読了:  2012年02月11日
・脳全体に占める大脳新皮質の割合は、食虫類10~15%、ニホンザル70%、ヒト80%...19p
・脳は様々な脳部位の複合体なので、脳を全体として扱っているだけでは脳の進化要因の分析は進まない。...方法的には、主要な脳部位を選んで、それの脳全体に対する相対的大きさを計算し、それがどんな生態的・社会要因と結びついているかを明らかにする云々、85p
・(澤口の研究では)果実植生の真猿類のほうが葉食制のものより大脳新皮質の相対的大きさは大きく、また多妻型社会のほうが一妻型社会の真猿類より大きい(またムレが大きいほど大きい。94p)。89p
・大脳新皮質の相対的大きさが、食生に関係するか(深餌戦略仮説)、基礎代謝量に関係するか(エネルギ=戦略仮説);食生は消費エネルギーに関係するので、両者はパラレルの関係で同じ事象の二側面、93p
・機能単位の集合体&階層構造、モデュラリティと階層性...云々104p
・大脳新皮質はニューロン大陸のようなもので、2~3㍉の暑さでニューロンが集まって出来ている。層構造になっていて、大きく4つの脳葉に分けられる。夫々、セクターに分けられ、現在は概ね「明瞭に区別できる」72のセクター(領野)に分けられている。大脳新皮質は140億個のニューロンが含まれる。各々、出力ニューロン、内在ニューロン、求心線維の3つが結合してコラム(幅0.5~1㍉、高さ2~3㍉)を形成し、特定の要素的機能を担うICの役割を果たしている。一個のコラムは数万個のニューロンを含む。104~109p
ニューロンーコラムー領野ー脳葉、という階層構造
・多重フレームモデル:大脳新皮質に代表される脳の特徴・原理はモデュラリティと階層性にあり、コラムを単位としたモデュール(領野)が作るフレームが多重して脳を形成している。138p
・各種感覚情報は最初に第一次感覚野で処理されて、その後別々の領野群で並列かつ階層的に処理される。...視覚野は30個以上あり、大脳新皮質の半分から2/3を占めている。霊長類は視覚にまさる動物で、「視覚動物」とさえ云われるのは、脳レベルで見ても納得が行くところだ。151-2p
・進化の過程で、領野が付加され・重合的に・積み重なってきた。142、144、154p
・食性・社会関係・性競争の多重した要因が互いに密接に関係しながら、脳への選択圧として働き、同時に脳活動の産物としての「形質」としての性質を併せ持つ。211p
・ヒトの脳は、形態進化としては例外的に速い速度で巨大化した。212p
・「森に残ったチンパンジー」と「サバンナに出たチンパンジー」の違い;初期人類は「二本足歩行をするチンパンジー」みたいなもの、220-221p
・ヒトとチンパンジーとの違いは二点;「言語野・言語フレーム」の存在、及び「前頭連合野」の発達の程度、言語の獲得がヒトの脳の「爆発的進化の鍵になる。

◆非常に面白い、啓発的。惜しむらくは参考文献が載ってないこと。
人類の足跡10万年全史
読了:  2012年02月03日
・ミトコンドリアDNAは母親からのみ伝えられ、Y染色体は男性からのみ伝えられる。性に関連する二種の遺伝子は混ざり合うことなく、又変化せずに次世代に受け継がれるために、それに依って先祖までたどり着くことが出来る。16p
・遺伝子系統樹に依って明らかになったことは、
1.現在、アフリカ以外に住むすべての現生人類は10万年前以降にアフリカから移動してきたものの子孫である。⇒「現生人類」は20万年以内にアフリカで一つの遺伝子系統として誕生したものに由来し、世界の他地域で個別に進化したものではない。66p;出アフリカを規定したのは気候変動
2.オーストラリア先住民とヨーロッパ人は、7万年以上前にアフリカからイエメンに移動した直後の祖先を共有している。
3.8千年前、トルコからヨーロッパに新石器文化が広まった。現代ヨーロッパ人の80%は旧石器時代の狩猟農耕民の遺伝子型に属し、20%が中近東の農耕民に由来すると分かっている。
・脳の発達;200万年前から約70万年間に約2.5倍になった。その後の120万年間にわずか6%増加したに過ぎない。33p
・世界植民の主な出来事(年表)、102-03p(cp)
・ヨーロッパ人の起源は南アジアにある。108-11p(cp)
・ネアンデルタール人と現生人類の共存の可能性と時期、但し交雑はなかった。126-29p(cp)
・ヨーロッパ人の故郷は二つのアジア、地図とまとめ、162-3&180-81p(cp)
・Ch.5は「アジア人の起源」
痛快!頭を良くする脳科学
タグ 科学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 更新日:2012年02月03日 18時01分57秒 2012/02/03
読了:  2012年02月05日
・成人の脳の重さは体重の2-3%、消費する血液量は約20%、37p
・脳の信号伝達;電気的信号⇒化学的伝達⇒電気的信号に再変換、並列処理、50p
・年齢に伴うニューロン数の変化、誕生直後が最大で半年後に激減し、その後は上々に減少する。一方、シナプス数は誕生後八歳くらいまで爆発的に増加し、その後は二十歳くらいまで誕生時のレベルまで減少して、その後は漸減する、54p(グラフ参照)
・イルカは、左右まったく同じ構造の脳を持っていて、交互に眠らせている。イルカが眠らずに泳げる秘密、55p
・モーツアルトの後期ピアノソナタ、特にK.400番以降のピアノソナタ、取分けK.448が空間的知能の向上に役立つと実験的に証明されている。94p
・ガードナーの「多重知能」論、脳の働きを7~9つの分野に分けて捉えると同時に、夫々の機能をいろいろに組み合わせて、頭を働かせる;脳の「多重フレーム」構造⇒多重フレーム構造をコントロールする情報分析・発信センターが前頭連合野に局在している。95、105p
・多重フレームの夫々の機能は、小さな脳。多重フレームの機能を投合・管理する機能が大きな脳。107p
・言葉の発祥についての仮説;多妻制から一夫一婦制に移行する不可欠の条件は、性行為の相手を力ではなく言葉でつなぎとめる必要があり、言語知能の獲得が必要条件になる。..ある種の性病を引き起こすウィルスの遺伝子解析から150万年前に登場した新種ウィルスが特定された。此のウィルスはサルにはなく、正常位でセックスするヒトにのみ感染する。150万年前頃から夫婦の単位が明確になり、セックスでの正常位と言葉が必然的に生じたのではないか。120p
作業日誌(12/02/04)も参照
ひとはどこまで記憶できるのか ―すごい記憶の法則― (知りたい!サイエンス)
田中 真知 / 技術評論社 (2011-04-22) / 1,706円25 users
読了:  2012年01月31日
・記憶の想起とは、脳のどこかに(完全な形で)保存されている生のデータを引っ張り出すのではなく、パーツを集めてコラージュのように再構成するプロセスなのである。2p
・動物は生きるために、不要な情報は忘れる必要があった。忘れることに依って人間の記憶は作られる。69p
・記憶は思い出すたびに、その時の自分の視点に応じて再構築される。162p
・走っている汽車を追いかけるシーンをイメージすることで心拍数を上げたり、覚醒しているのに眠っている自分を想像して心拍数を下げたり....192p
・共感覚を呼び起こす強烈な視覚イメージ、193p
現代物理学における因果性と偶然性 (1969年) (科学技術選書)
D.ボーム / 東京図書 (1969) / - 3 users
タグ 科学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 古書 更新日:2010年03月26日 17時51分26秒 2010/03/26
購入:   714円 所有
読中: 
◆第一章、自然法則における因果性と偶然性
・必然的因果関係は、更に幅広い関連事象から生じる新たな非必然的事象に影響される。従って実際には、非必然的自称は決して排除出来るものではない。むしろ、必然的因果関係と偶然的事象は、あらゆる過程の二つの側面を表現するものと考えられる。だから両側面の内の一方だけでは、常に、無制限に適用出来ない一つの近似であって、結局は他の側面を考慮に入れて、補正、或いは補足されねばならないものである。48.p
◆第二章、古典物理学における因果性と偶然性
・機械論は、一つの理論に固有なものではなく、その理論に対する一つの哲学的姿勢である。従って、ニュートン力学が機械論的であるというのは無意味であって、特定の科学者がニュートン力学に対して機械論的な姿勢を取ったことに意味がある。
・最初の機械論の形式は、デモクリトスとレウキッポスの原子論的哲学であり、宇宙のあらゆるものは、空間内の運動の結果に集約されると過程された。ラプラスの決定論の基礎にある思想は本質的には、これと同一であるが、それに加えて、これらの原子の運動は、ニュートンの法則に支配されているものと仮定されたのである。60.p(科学の発展とは別に、機械論的決定論は新たな科学的形式の粉飾を伴って、絶えず再生産される可能性がある点に注目せよ。
機械論的自然観は、究極的には、科学の進歩に重大な拘束を課したのであるが、その当時においては、中世を通じて普及していたアリストテレスのスコラ哲学から前進するための巨大な一歩であった。スコラ哲学においては、あらゆる事物及びその様々な性質や質はすべて、他のものと分離され、完全に区別されるものと考えられていたからである。61.p
・一つの物体系の特性的な振舞いを決める多くの基本的性質は、物体と同様、場にも依存していることは確かである。このようにして、物質の概念は、事実上拡張され、場は、物体系のある種の顕現が、広範囲に空間に充填されたものであると考えて、場の概念は物質の概念に含まれるに至ったのである.69.p
・場の理論が、近代物理学の一部を構成するものであると認められるようになると、多くの物理学者は、その本質においては機械論的な解釈を、場の理論に与えるようになった。70.p
・気体運動論は、自然法則の質的に新しい様相が現れた最初のものである。この新しい様相とは、原子段階で起こっている複雑で不規則な運動の詳細には殆ど無関係に、巨視的段階では、大規模で、総合的な統計的規則性が現れ得るということである。75.p
無限の話
ジョン・D. バロウ / 青土社 (2006-03) / 3,024円17 users
ウィッシュ ウィッシュ 読了:  2010年02月18日 星5つ
◆さいたま市図書館、10/02/15
・ザッと通読するが、再読候補に入れる。哲学、神学、数学、物理の対象としての「無限」
・無限の問題を、具体的に考えるということは、結局、どういう事か??
ミクロへ,さらにミクロへ―量子力学の世界 (物理読本 (2))
戸田 盛和 / 岩波書店 (1998-02-25) / 2,520円6 users
読了:  2010年02月17日
◆さいたま市図書館、10/01/06
・『シュレーディンガーの猫』(上)を読んでから、改めて読み返してみる。ほぼ同一内容を扱っているが、展開方法はこっちの方が遥かに、分かりやすいな。
読了:  2010年02月17日
◆さいたま市図書館、10/02/14
・第一部量子は、光、原子、光と原子、ボーア原子の4章から構成される。特に新しい論点ないし注目すべき説明はない。
・第二部量子力学
・訳者「あとがき」から、学問もしくわ真実には階層性があり、化学はまさしく量子力学の法則を抜きにしては理解しえないものであるが、だからといって、量子力学さえ理解できれば化学の法則はすべて自明であるというわけにはいかず、化学には化学の独自の見事な法則がある。つまり古典物理学、量子力学、化学、生物学と、それぞれの階層に適した言語もしくは法則が存在する。220.p
カオス的世界像―非定形の理論から複雑系の科学へ
イアン スチュアート / 白揚社 (1998-10) / 4,536円13 users
ウィッシュ ウィッシュ 読了:  2010年02月13日
◆さいたま市図書館、10/01/31(再読候補という意味で「ウィッシュ」に入れて置く)
決定論、ないし自然科学の法則性の限界、たとえばマルクスが彼の歴史法則を、それをもとにモデル化しようとした「物理学の冷酷な諸法則」などというものは、実際には決して存在してはいなかったのである。ニュートンには三個のボールの振る舞いを予測することなど出来はしないということを知っていたら、はたしてマルクスは三人の人間の振る舞いを予想しようとしたであろうか?54.p
・もしも諸君がある公式を使って、ある方程式を解くことができるものとすれば、その時その解は事実上、規則通りの解析可能な仕方で振舞うはずである。これが、公式というものが諸君に語りかけるすべてである。そして、もしも諸君が微分方程式の解の公式を発見することをもって力学が面白いというお題目を唱えているとしたら、諸君のやっている数学とは、単に規則的振る舞いを研究するためのものに過ぎないのである。諸君が一生懸命やっていることは、そのような方法が適用できる問題ばかり探しまわって、(適用出来ない)残りの問題には目をつぶって無視してしまうことなのである。76.p(ペンローズが『心は量子で語れるか』で「私たちの住む、この世界の有様や動きを観察していて驚くことの一つに、世界が、全く異常なまでの正確さで数学に基づいていると思えることがある。」(参照)と指摘している点に関連して「この物質的世界は、なぜ数学的概念で記述できるのか」という疑問を提出したが、むしろ数学的概念で記述できるもののみを、我々は「理解」出来ると考えているというべきかも知れない。
カオス制御、技術的にどんな角度から見てもカオス的でないシステムに、安定で規則的な振る舞いを作り出すという意味で、「カオス制御」がしばしば有効であるというのもはっきりしてきている。脳の組織断片ヘの作用については、たぶん、それが当てはまる。(この場合の「カオス制御」の意味が、今ひとつ理解し難いな?!)425.p
ライプニッツの普遍計画―バロックの天才の生涯
E・J・エイトン / 工作舎 (1990-01) / 5,767円11 users
タグ 科学 数学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 人文・思想 更新日:2010年02月02日 09時45分32秒 2010/02/02
読了:  2010年02月02日
◆さいたま市図書館、10/01/31
・通読、当面の関心からはやや遠い、但し、いつか熟読には値する書物だ。哲学史または数学史との関連。
・ルネッサンス的天才の生涯、その関心の広さと深さは真に驚嘆に値する。
自然の中に隠された数学 (サイエンス・マスターズ)
イアン スチュアート / 草思社 (1996-10) / 1,944円31 users
読了:  2010年01月29日
◆さいたま市図書館、10/01/27
繰り返される事例が、必ずしも恒常性を保証しない例、素数は、4の倍数から1を引いた数と、4の倍数に1を足した数と二つに分類される。2を除いた素数の数は、4の倍数から1を引いた素数のほうが1を足した素数よりも多く見える。このパターンは、少なくとも100万兆までは続く。ところが素数が充分に大きくなると(10の10乗の10乗の10乗の46乗より大きなると)パターンが変わり、「4の倍数に1を足す」素数の個数の方が多くなるのだ。72.p
◆第6章、破れた対称性の美学(殊の外面白い!!
・自然界の驚嘆するようなパターンの多くは対照的だ。しかしほぼすべての対照的なパターンは、そのパターンを生む原因ほどには対照的ではない。(実際)世界には、原因ほど対照的ではない現象が溢れている。その根拠となるのが「自発的な対称性の破れ」として知られている現象である。112.p
・対称性の種類、鏡映、回転、平行移動
・(対称性の破れの例)B-Z反応(参照Wiki)、心臓の規則的な鼓動は同じパターンを描く。但し、心臓には脳からの信号という外的要因がある。B-Z反応には「外からの刺激」を一切受けずに「自発的に」対称性が破れる。123.p
対称性と対称性の破れの弁証法的統一、カエルの胚の発生は一個の球形の細胞から始まる。分割を重ねるごとに対称性を失い、ついには何千個もの小さな細胞からなる一個の胚胞に育つが、この胚胞の総体的な形は球形に戻る。次に、胚胞の一部が凹みはじめる。嚢胚形成と呼ばれるプロセスだ。この崩壊の初期に、胚は一本の軸を中心とした回転対称性を備えているが、軸の位置はしばしば卵黄がもともと卵のなかのどこにあったかによって、或いは時として精子が侵入した点によって決まる。のちにこの対称性は破れて鏡面対称性がひとつだけ残り、やがて左右対称の成体になる。126.p
・(自然界の様々な)パターンの基礎には、一般原理があるはずだ。それぞれの例を個別に研究し、それ自体の内部機構の観点からから説明するだけでは充分ではない。対称性の破れはまさに、様々なパターンを統一的に理解するための一般原理なのである。126.p
・自然が対称性を持つのは、宇宙が大量生産された同一のもので出来ているからだ。電子は他のどの電子とも同じ、陽子も同じだ。何も無い空間は、どの空間区域とも同じ、時間はどの瞬間をとっても他の瞬間と同じ。空間、時間、物質の構造だけではなく、それらを支配する法則も、どこをとっても同じである。しかし、まさにこの点に深刻なパラドックスが生まれる。物理学の法則があらゆる場所、あらゆる時代で同じなら、そもそも宇宙には何故構造が存在するのか。128.p
・アデノウィルスの252個の単位がつながり始めるとき、いずれの単位も特定の頂点に収まることが可能だ。単にには互換性があり、その意味で対称性がある。しかし実際に特定の頂点を占めることができるのはそのうちのひとつだけで、その時対称性は破れる。すなわち、もはや完全に互換性があるわけではない。しかし一部の対称性は残り、その結果として例えば20面体となっている。このような見方からすれば、自然界で見られる対称性は、大量生産された宇宙における、壮大かつ普遍的な対称性が破れた痕跡である。潜在的には宇宙は如何ような対称的システムの状態もとりえたのだが、現実にはそれらの中から一つを選ばなければならなかった。自然界の対照的なパターンの多くは、何らかの形での対称性の破れという一般な仕組みから生まれる。131.p
図解入門よくわかる最新「脳」の基本としくみ (How‐nual Visual Guide Book)
後藤 和宏 / 秀和システム (2009-02-27) / 1,512円23 users
タグ 科学 医学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 更新日:2010年01月27日 09時33分10秒 2010/01/27
読了:  2010年01月25日
◆さいたま市図書館、10/01/24
・高等数学の問題を解く場合は、各要素の意味を明確にする過程で、言語的アプローチを行っているらしく、言語中枢が活性化している。(しかし必ずしも、言語を媒介にしなければ思考出来ないわけではない。逆に言語によって思考が制限される可能性も考えられる。70.p
・記憶の階層(という考え方)、
短期記憶
長期記憶-陳述記憶(エピソード記憶、意味記憶)
    -手続き記憶(技能記憶、プログラミング記憶)、79.p
・記憶の再生、繰り返し記憶の再認を行う度に、記憶が再構成されて、記憶が定着する。(二重の意味があり)記憶回路を構成する軸索が太くなることで、流れる電気信号が強くなる。これによって更に軸索は枝分かれし、いろいろな記憶回路のルートと交叉して、記憶の検索に際して、電気信号が流れやすくなる。
・10×1より、1×10の方が効果がある。
・ある程度周辺知識がが豊富で類推が理解を助ける場合は全習法が効果的、予備知識がなく知識体系を構築する必要のある場合は分習法が効果的。96.p
・複雑な計算の時は、ブローカ野を含む前頭連合野を中心にした左脳の一部分が活性化しているに過ぎないが、単純計算を次々繰り返したときは、左脳も右脳も広範囲にわたって活性化された。(東北大学川島教授の実験)98.p(複雑な計算と単純計算は、どちらが脳にとって「高級な作業」なのか、或いはそもそもそういう区別はないのかどうかは分からないが、一見、予想されるのとは反対に単純計算の方が、脳の全般的な活性化には役立つかも知れないという結論は、極めて興味深い。)⇒(特に川島教授の「学習療法」に対する批判的見解)「元・北海道大学教授の澤口俊之による「この学習療法が認知症患者に対して効果があるのは、その患者の脳血流量が極端に減っているためである」という説がある。/週刊朝日は、久保田競(認知神経科学。京大霊長類研究所時代の川島の指導教官)による「(学習療法の効果を論じた川島論文は)不備な点や論理の飛躍が多く、科学的な根拠を示しているとはとても言えない」という指摘、前掲澤口による「20代の健常者を対象とした、そろばん計算などでは複雑な計算時の方が、より前頭前野の血流量が増えるという検証データもある」という指摘、東京都精神医学総合研究所・星詳子リサーチディレクターによる「単純に脳の血流量の増減だけで脳の機能を論じることは難しい」「前頭前野は習熟した行動には関与しなくなる傾向があるので、その場合は血流量の増加が認められなくなる」という指摘などを報じている。/理化学研究所の加藤忠史は自身の論文の中で心理的ストレス、けいれん、覚醒剤投与などでも血液が増加することが報告されているのを指摘し、『「痛みで脳を活性化」、「ストレスで脳を活性化」と言われても誰も納得しないだろう』と述べている。」(以上はWiki「川島隆太」から引用、参照
・記憶の座、必ずしも脳の特定部位に限定されず、脳以外の臓器が影響を与える可能性(臓器移植に伴う記憶の転移)100.p
心の影〈1〉意識をめぐる未知の科学を探る
読中: 
◆さいたま市図書館、10/01/20
・数学的計算、チェスプレー、日常的動作など、どんな複雑な行動であっても、もし、明確な計算的規則で理解できるならば、現代コンピューターの得意とするところである。しかし、これらの計算的規則の根底にある理解そのものは、計算を超えたものである。56.p
・プラトンによれば、数学的概念と数学的真理は、無時間で物理的場所を持たない独自の現実的世界に宿っている。プラトンの世界は物理的世界とは別個の、完全な図形のイデアの世界であるが、物理的世界はそれを用いて理解しなければならない。それはまた、不完全な心的構成物を超えたところにある。...もっぱら計算に頼って作動する装置で獲得できる以上の力を心に与えてくれるのは、このプラトン的世界との接触に関わる数学的概念に「気づく」能力なのである。59.p
・それぞれの人間が事物について似たような内的経験や感覚を持っていることに気づいているのでなければ、意味を人から人に伝えることは出来ないだろう。「経験」とは、起きたことを記録するある種の記憶装置を構成しているものに過ぎず、ロボットにそれを装置することは容易い、と想像する人もいるかも知れない。しかし、人間であれロボットであれ、経験に実際に気づいていることが決定的に重要である。62-3.p
プリゴジンの考えてきたこと (岩波科学ライブラリー (67))
北原 和夫 / 岩波書店 (1999-04-22) / 1,296円23 users
読了:  2010年01月17日
◆さいたま市図書館、10/01/15
・日本では純粋科学である分子生物学上の発見は、研究室中だけのことであり、日常生活に影響を与えるようなものではないと一般的には思われている。/ヨーロッパでは、科学の新発見が、個人個人の存在基盤を揺るがすものとして意識されていたということになる。4.p
・(プリゴジンの言葉)戦争末期まで、アウシュヴィッツへの列車は連日休むことなく動いていた。そして、毎日多数の人々がガス室に送り込まれた。連合国は大いなる罪が行われていることを知りながら、なぜアウシュヴィッツ収容所行きの線路を破壊しなかったのか不可解な歴史だ。44.p
・時間には幾何学的時間と統計的時間がある。力学、相対論の時間は幾何学的であって、光速一定の条件から長さに還元されるものである。そこには発展とか進化の概念がない。しかし、我々の実感からして時間には向きがあって、世界はある方向に発展進化している。不可逆現象と結びついた統計的時間が過去と未来を区別する。50.p
・鉄のような物質が温度によって強磁性になったり、常磁性になったりするのは、一個一個の原子レベルでも大きな変化が起こっているような気がするが、実際にはそうではない。原子の持つスピン自体は質的に変わっているわけではないし、隣り合うスピンの間の力も変わらない。結局、スピンの間の揃おうとする力と、温度によって与えられる揺らぎとの拮抗で、マクロに強磁性状態になったり、磁性を持たない状態になったりするのである。/ところが、本来のニュートン力学の考え方からすると、揺らぎとか温度などという統計的な概念はなく、すべての原子のスピンに関する運動方程式を解けばマクロな状態も説明がつく(べきだ)という論理になっている。57.p
・我々が日常目にする巨視的な系は、平衡状態では静止した均質な状態である。例えば空気のような気体の場合、その存在を敢えて意識しない限り気付かないほど安定した状態である。しかし、一モルの気体はアボガドロ数という一兆のそのまた一兆の莫大な数の分子からなり、それぞれの分子は互いに衝突して複雑な運動をしている。この複雑さは、むしろマクロな安定性を保証する前提となるのである。90.p
・(閉鎖系では)平衡状態とは、エントロピー最大となる状態である。従って、非平衡状態ではエントロピーは生成されて最大値に向かおうとする。しかし外界と接触している開放系では、エネルギー、物資の流入・除去に際して、エントロピーも流入・除去されるが、物質内部で生成される部分のエントロピーをエントロピー生成と呼ぶ。これは物質内部の不可逆過程に伴うものである。/エントロピー生成がゼロという状態が平衡状態である。従って、エントロピー生成が小さいということが平衡状態に近いということである。外的条件を与えて、平衡状態に戻らないような仕掛けをしても、系は出来るだけ平衡状態に近い状態に落ち着こうとする傾向がある。実際に、平衡状態から余り離れていない場合、すなわち、熱流と温度勾配が余り離れていない場合、エントロピー生成速度は次第に減少していく。/ところが、平衡状態から遠く離れた場合、熱流と温度勾配の間の比例関係は破れてくる。何が起こるかというと、流体全体が動き出し、もっと効率よく熱を下から上に輸送する。流体は下から暖められて膨張して軽くなり、浮力によって上昇しようとする。しかし浮力が充分でないと、上昇しようとしても流体の粘性によって上昇は抑えられる。ところが温度差が大きくなると、熱伝導だけでは舌からの温度上昇を押さえられなくなり下方の流体は温まってきて、浮力が粘性に打ち勝って流体が下から上に動き出す。それと同時に、上の流体が下降する。これが対流発生の機構である。このように非平衡状態を強めると、新しいマクロな状態に転移する。この新しい状態においては、対流という秩序あるパターンが形成される。この新しい状態は平衡状態あるいは、その延長上にある熱伝導状態とは著しく異なる。というのは、粘性によって対流の持つ運動エネルギーが内部エネルギーに散逸していて、これがエントロピー生成の原因になる。熱伝導もエントロピーを生成する。つまり、新しい状態ではエントロピーを生成しながら、対流の構造が維持される。エントロピー生成を伴いながら、生成維持される構造を「散逸構造」と呼ぶ。/このような視点で自然現象を見ていくと、むしろ身の周りの大部分の現象は非平衡現象である。つまり、物質やエネルギーの移動が維持されている系である。我々のような生命現象も非平衡系における散逸構造と見なすことが出来る。93-95.p
「無限」に魅入られた天才数学者たち
読了:  2010年01月15日
◆さいたま市図書館、10/01/13
・数はすべて、有理数か、または無理数である。有理数は無限にあるが、ある長さの線分から有理数をすべて取り去っても線の長さは変わらない。無理数は有理数よりも無限に多く存在するのである。
・有理数を係数とする多項式の根になっている数は「代数的数」という。代数的数の集合は、有理数の集合と同じサイズを持っている。
・一方、代数的数でないものを「超越数」(例えばπ)という。数直線上の数のほとんどすべての数は「超越数」である。数直線上に有理数も無理数も無限に存在するが、超越数の無限は「より高次の」無限である。仮に数直線上の数を、無作為に一つ「選んだ」とすると、その数は確率1で超越数になる。尤も、無限にある数の中から、たった一つの数を「選ぶ」ことは出来るのか?98-103.p
・自然数は「数えられる」。問題は、実際に数えるかどうかではなく、数えるというプロセスに注目すれば、自然数は、無限ではあるが数えられるので、これを「可算無限」という。/カントールは、対角線論法を使って、自然数を使って、すべての有理数を対応させられることを示した。すなわち整数と有理数は「同じだけ」あることを示した。言い換えると、整数の無限と有理数の無限は、「同じ階層に属している」123.p
・有理数と代数的数は離散的にしか(言い換えると「飛び飛び」に)存在しない。その隙間を埋めて、数直線に連続性を与えているのは、πやeのような「超越数」である。カントールは、超越数は不可算であり、より高次の無限に属することを証明した。125.p(要するに、「無限」は一つではなく、無限にも階層があることを示した。)
・(次に、次元が異なる場合、無限の順序関係はどうなるかと考えた。当然、平面上には直線上よりも多くの点がある、と直感的に考えていたが、この問題を考え抜いた末)区間0-1の平面上の点は、すべて線分上の点に対応させうることを証明した。すなわち「平面上には直線上と同じ数の点がある」のみならず、同様の方法で「三次元、四次元、更にもっと高次の空間でも、そこに存在する点の数は、直線上に存在する点の数と同じだ」ということが示された。言い換えれば、無限に関する限り、次元には関係がないのだ。すなわち連続空間は連続体と同じ数の点を持つ。カントール自身は、この結果を「我見るも、我信ぜず」と、デデキントへの手紙に書いた。138.p
第11章「悪意に満ちた妨害」は、「無限」をめぐるクロネッカーとカントールの対立がテーマ。カントールの師クロネッカーは、整数を唯一の実在と認め、それ以外の数はすべて虚構と考えていた(「神は整数を作られた。それ以外の一切は人間が作ったものである」というクロネッカーの言葉は、安易には否定できない。)。我々が当たり前の如くに捉えている有理数や無理数、πやe、更には虚数の概念を数学的操作の対象として採り入れるためには、いかに多くの思想的な苦悩に満ちた戦いの歴史が不可欠であったかを、このエピソードは語っている。同時に、常識とは何か、常識を疑ってみるとは、どういう事かをも教えている。一方、カントールが、この時代になって初めて現れたことを、どう理解したら良いか?
ラッセルのパラドックス&カントールの最後の遺産、すべてを含む集合はありえない。従って、最大の基数というものもありえない。197.p
ゲーデルの不完全性定理、任意の系が与えられたとき、その系の内部では証明出来ない命題が常に存在する。204.p
ミツバチの知恵―ミツバチコロニーの社会生理学
トーマス・D. シーリー / 青土社 (1998-09) / 3,456円7 users
読了:  2010年01月13日
◆さいたま市図書館、10/01/11
投資の科学』で、無数の集団的行動の集積が「ある種の秩序」を形成していく一つの例として、この本を取り上げミツバチのコロニーについて関説していたので、興味を覚える。
・本書の主題は、集団レベルの生物的組織化の構築/(ミツバチのコロニーは)自然選択の結果作られた、ある種が独立的な個体から統合された社会構造を持つものへと次第に変化した、その社会協調の仕組みは何なのか、という生物学上重要な問題に対する答えをまざまざと体現している。11.p
・社会性動物が自然選択を経て、独立した一個体から統合された社会構造を持つものへと次第に進んできた社会的協調の仕組みは何なのか?/機能的に組織化された集団に共通して見られる特徴の一つが労働の分業化である。その集団がうまく機能していくために必要なすべての仕事をいくつかに小分けして、メンバーがそれぞれを専門的に受け持つのである。その分業体制は永続的な場合と一時的な場合があり、前者では各個体がそれぞれの異なる労働に合わせて形態も著しく変化させることが多いが、後者では普通各個体の形態に変化は起きず、皆同じような構造である。/恒久的専門化と一般的専従化の違いを考えることで、生物学上の組織についての重要な問題点が浮かび上がってくる。(何故このような違いが生まれるか?)永続的に専門化してしまうメンバーが集団内に居れば、環境に変化が起きたとき、専門化したメンバーは仕事を変更できないので、変化に対応する集団の柔軟性はやや失われる。このような集団が変化に対応するには、各専門メンバーの出生と死亡の割合を変更して徐々に分業体制を調整するしかない。307.p
・分業体制を持ち、統合された機能で動く集団であれば、集団内の専門化したグループを必要に応じて盛んに働かせたり、活動を抑えたりする調節のメカニズムを持っていなければならない。一方、必要に応じて担当する仕事を変更する一時的な専従方式の集団には、異なった労働状況に対してメンバーの配置を調整するメカニズムがあるはずである。308.p
魔術から数学へ (講談社学術文庫)
森 毅 / 講談社 (1991-11-05) / 907円66 users
タグ 歴史 科学 数学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 数学 更新日:2010年01月13日 10時41分18秒 2010/01/13
読了:  2010年01月13日
・和算の未成熟の原因は、普遍理念より個別的現実を重視した東洋文化の現実主義から、コスモロジーに至る妄想力が欠如したからではないか。和算の場合、数学が世界観に及ぶとは、おそらく考えられなかったのだ。117.p
・創造の過程においては、しばしば逆説的な現象が見られるのが普通である。近代科学の黎明期を、合理精神だけが、新しい世界観を作り出したように考えることは、おそらく正しくない。「正しい」方向ではなしに、むしろ「正しくない」方向、一種の非合理的精神もまた、時代の推進力だったのである。118.p
・数量、無限、変化という三つのタームは、近代ヨーロッパ数学がギリシャ数学と異質であることを刻印する。121.p
・17世紀半ばにはすでに、空間とか形式とか法則とかいうキーワードの成立する世界、つまりは近代科学の数学的パラダイムが作られていた。そしてその中で、感覚的な世界が、数学的表現を獲得していいくことになる。145.p
・そもそも、デカルトのように、単純明快な議論のできる男は、その心は複雑晦渋であったに違いない。パスカルは、デカルトが大雑把なことをいうと非難している。しかし几帳面なパスカルの方が、繊細な精神なんてことをいうだけ、心は透明だったような気がする。153.p
・18世紀フランス啓蒙主義者たちを鼓舞したものが、ニュートンの『数学原理』だったことは間違いない。それは旧秩序を壊し、新秩序原理を展望させる革命の聖書でもあった。それゆえに『数学原理』はアメリカ独立戦争を支えた知識人の精神を鼓舞するものだった。そればかりか、フランス革命の原動力だった、とさえ言われる。167.p
数学史でもなし、思想史でもなし、まして歴史書でもないが、そのどれにも該当する。しかし何よりもこの本を面白くしているのは、その奔放な語り口だ。森さんは、この本の最後に「19世紀以降の専門体制下の科学者は「真実」を語ることを強制されている。17世紀の数学者たちは、むしろ多くの誤りを述べていた。おそらく創造のためには、「真実」を語ることが、それほど有効ではないだろう。まだ、真実が保証されていないような、あやふやなことを論じ合う中で、たとえその9割が虚偽として投げ捨てられようと、残りの1割の中から真理が顔を現してきたものである。」と書いている。知的啓発力に満ちた森さんの人柄の面目躍如といったところ。
散逸構造―自己秩序形成の物理学的基礎
G.ニコリス , I.プリゴジーヌ / 岩波書店 (1980-01-18) / 6,804円11 users
読了:  2010年01月12日
◆さいたま市図書館、10/01/07
・本書の目的は「ゆらぎ増幅によって発生する散逸構造の出現を伴う、非平衡系の秩序化の研究」と表現できる。5.p(最も簡略に著者の思想が表現されている。ポイントは散逸構造&非平衡系の秩序化の理解にある。
巨視的レベルと微視的レベルの運動を統一的に扱いうるか?受精卵から成体への発育、高等哺乳動物の脳の機能、高等脊椎動物の免疫反応、さらには生物学の大問題である生体高分子の進化や生命の起源などにおいて生じている現象は、個々の分子レベルの微視的なスケールで生じる一連の出来事の巨視的、超分子的または超細胞的での発現である。/この点において、物理学と物理化学は新しい概念と新しい思想をもたらし得る。物理学や物理化学は共に、原子レベルと巨視的レベルの性質の相互関係を連続的に説明し取り扱うものである。事実、巨視的物体の観測し得る性質を原子の特性と相互作用から説明し、解釈することは、物理学の一分野である統計力学の目的である。我々の議論にとって、巨視的系のこの種の解析から得られるもっとも重要な結論の一つは、巨視的記述がある条件で定性的に新しい様相を持ち込むことがあるという点である。21.p
・今日、ほとんどの物理学者は、物理化学的系は必ず分子レベルで完全に無秩序な平衡状態に向かって進化するということを固く信じている。/エネルギーと物質を環境と交換することの無い孤立系においては、この傾向は熱力学第二法則で表現される。/一方、熱平衡にあって、一定温度の外界とエネルギー交換だけできる閉鎖系を考えると、....充分に低温状態では低エントロピーの秩序構造が形成される。この秩序化原理は結晶構造の発生や、相転移(Wiki、参照)を惹き起こすものである。/この原理は生物の秩序の起源を理解するのに充分であろうか?生命を特徴づける高度な秩序構造、さらには、細胞内における数千の化学反応の統制機能といったものを引き起こす莫大な数の分子の集合が生じる確率は、常温では無視できるほど小さい。例えば、100個のアミノ酸を持つタンパク質といった生体高分子を考えてみよう。天然には20個のアミノ酸がある。アミノ酸の特定配列によってタンパク質の生理的機能は決まるが、初期に任意の配列を与えて、その特定配列をとるまでの交換を行ったとき、必要な交換の数は20^100≒10^130であり、すべての配列は先験的に等確率であるとする。初期タンパク質の一つの構造変化が一回のアミノ酸交換によって生じ、交換に要する時間を仮に10^-8sと仮定しても、望みの方のタンパク質を得るのに必要な時間は、100^122sである(地球の年齢は、たかだか10^17sでしかない!)。/結論的に言うと、生体の秩序と、物理学の法則、特に熱力学第二法則との間の明らかな矛盾は、平衡の熱力学に沿って生体系を理解しようとする限りとり去りがたい。22-23.p
メガブレイン―脳の科学的鍛え方
読了:  2010年01月07日
◆さいたま市図書館、10/01/06
・脳は散逸構造だ、という指摘が面白い!!76.p参照
・脳は無意識に処理するだけの情報を含めて、見聞きする、或いは感じることの大半は、永久に脳に蓄えられ、いつでもすぐに呼び出せる状態にある。114.p
・θ波優生の時は、脳が情報を処理し、記憶するのに適した状態にある。しかし、意図的に多量のθ波を出すのは難しい。通常は、寝入りばなのほんの短い時間にθ波状態を体験しているに過ぎない。119.p
・脳の電気活動と精神状態の関連性は、一定の電気周波数は、個々のニューロン或いはニューロンの集合体に、一定の神経化学物質を放出させる点に現れている。電気をきっかけに放出された脳内化学物質は、我々の精神状態及びそれに基づく行動を、コントロールしている。恐れ、欲望、落胆、恍惚、渇望、愛情、はにかみ、これらのすべてが、一定の神経伝達物質の組み合わせの結果、起こる。脳内化学物質を正確にミックスすれば、暗所恐怖や極度の集中といった、具体的な精神状態を作り出せる。144.p
心は量子で語れるか―21世紀物理の進むべき道をさぐる (ブルーバックス)
ロジャー・ペンローズ / 講談社 (1999-04-20) / 1,123円78 users
タグ 科学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 物理学 更新日:2010年01月06日 08時31分10秒 2010/01/06
購入:  2009年08月02日 1円 所有
読了:  2010年01月05日
議論の基本的な大筋は理解できるが、個々の点については理解できない点が多い。これは量子力学について、ほとんど無知に近いためで、『心の影』と併せて量子力学の入門書を読むこと。
・基本的テーマである「心の働き」を物理法則に還元出来るかという点については、直感的には「還元出来ない」というのが僕の考えで、この点ではペンローズを支持するが、その論拠は「どんなに科学が進んでも、人間は生命を創造出来ないだろう」という直感に基づいているに過ぎないから無いに等しい。と云って、神の一撃を想定しているわけではない。

・もっとも興味を覚えた論点は「私たちの住む、この世界の有様や動きを観察していて驚くことの一つに、世界が、全く異常なまでの正確さで数学に基づいていると思えることがある。物質的世界を理解すればするほど、また自然法則を深く探求すればするほど、ますます物質的世界が消え去ってしまい、結局、数学しか残らないように感じられるのだ。また物理的法則を深く理解すればするほど、ますます私たちは、数学と数学的概念の世界へと追いやられてしまう」31.pという指摘だ。
この物質的世界は、なぜ数学的概念で記述できるのか。逆に、物質的世界の法則性を数学的概念を使って表現するとは、どういう事を意味するのか??
確実性の終焉―時間と量子論、二つのパラドクスの解決
読了:  2009年12月31日
◆さいたま市図書館、09/12/26
時間は存在に先行する、多くの科学者にとって、宇宙の起源として「ビッグバン」理論を受け入れることは、時間に始まりと、おそらくは終りがあるということを意味していた。しかし、何故そのようなことがあり得ようか?私にはむしろ、宇宙の誕生とは単にコスモスの歴史上における一つの事象に過ぎないと思われ、従って、我々の宇宙を生ぜしめた媒質、いわゆる「メタ宇宙」には、我々の宇宙よりも更に先行する時間を帰属させねばならないと思われるのである。137.p
・不可逆性は我々の宇宙の誕生と結びついた純粋に宇宙論的な起源を持つと云われてきた。時間の矢が普遍的だという事実の説明のためには、確かに宇宙論は必要である.しかし、不可逆過程は我々の宇宙の誕生とともに終わったわけではなく、今日でも地質学的、生物学的進化を含むあらゆるレベルにおいて存続している.また散逸構造は、実験室内で、或いは生態系内で生じるような大規模過程としては日常的に観察されている。しかし、不可逆性を完全に理解することは、伝統的に古典力学や量子力学と同一視されてきた微視的記述を通じてでなければなされ得ない。今や我々の理解したところでは、このことはもはや「確実性」にではなく「可能性」に基づいた自然法則の新しい定式化を要求する。今や中心的役割を果すのは確率である.未来は決定されていない、ということを受け入れることによって、我々は確実性の終焉を迎えたのだ。154.p
・単純な動力学系を取り出して、古典力学や量子力学の法則を立証することができるのは事実である。にもかかわらず、そのような法則は安定な動力学系だけに適用可能な単純化、理想化に対応しているのである。(無限概念を理解するためにも、我々は有限概念を媒介にする他はない、という事実に照らしてみても、これは明白な事実のように僕には思われる。)宇宙は今日においても平衡から遠く隔てられた巨大な熱力学系なのである。あらゆるレベルにおいて、ゆらぎ、不安定性、進化発展するパターンが見いだされる。155.p
DNAとの対話―遺伝子たちが明かす人間社会の本質 (ハヤカワ文庫NF)
購入:   105円 所有
読了:  2009年10月08日
非周期結晶体、シュレディンガーは遺伝子を非周期結晶体と呼んだ。自然界で遺伝子のように大きく、しかも生命と同じくらいの寿命を持つものは、結晶体以外にはないからである。しかし遺伝子は、結晶体と同じくらいの安定性を持たなければならないが、結晶体のように周期性があってはならない。ここにパラドックスがある。...ある種のバクテリア、小さくて、染色体に単一のDNA分子しか持たない単細胞生物たちは、年十億年という時を生き続けてきた。..DNA複製と細胞分裂によって、仲間として存続していくのだ。...地球の表面は、長い間変化を続けてきた。しかし、DNAとその複製機構は、ずっと変わらずに来た。49-51.p
.生きているものは、決して完全ではない。DNAの蔓の主軸は長い時を耐えてきているといっても、その中の情報は、何らかの原因で常に変化してきたのだ。
突然変異は、遺伝子DNAの塩基配列の変化によって起きる。たとえたった一つの塩基対でも、間違って複製されたり作られたりすれば、DNA全体の意味が全く違ってしまい、しかもその後に作られるDNAはすべて、変化後の情報を伝えることになる。このような間違いは時として有害になるので、細胞には、これを防止する手段がたくさん用意されている。52.p
ビッグ・バース論、すべての生物の祖先はたった一つのDNA型生物であるという考え方。57.p
・化石として残った記録を見ると、種はかなり長い間変わらず、ほんの短い間に、突発的とも言える種の爆発が起きたと考えてほうが良い例もある。その場合、たいていその後に、多くの種の大絶滅という厳しい結果を伴っている。57.p(マンデルブローのベキ乗分布の近似、「禁断の市場」の305、319参照)
DNAの組替えは、減数分裂の際に必ず行われる。組替えは、すべての人が独自のゲノムを持つ唯一無二の存在となるために必要な、昔からあるステップなのであって、人間が作り出した技術ではないのだ。69.p
・すべての生き物が共通の遺伝暗号を使っているということは、この暗号が、地球上の生命の歴史の中でかなり早い時期に生じたものであることを示している。おそらく、20種のアミノ酸はいずれも細胞の誕生のために不可欠の要素であり、生き物を構成する蛋白質は、それ以来ずっと20種の暗号を使ってきたのだろう。133p
遺伝子組み換えの意味、遺伝子の場合も、単語と同じように文脈が大事だということがはっきりした。一つの遺伝子が、違う細胞のなかでは全く違う働きをすることがあるのはもちろんのこと、同じ細胞でも入れる時期が違えば働きが違うことが分かった。たとえ一つの遺伝子でも、四次元的ともいえる完全な意味まで解釈しようとしたら、それが働く細胞の様子を知る必要がある。186
ウィルスの特異性、ウィルスは、最も効率の良い寄生体である。彼らは、分子としの自分の適所を完全に確立、占有している。偶々侵入した細胞の中で自分の必要とする分子以外は、まったく無関係。身体の他の部位など無視である。このように特定の分子を狙うので、ウィルスには驚くほどはっきりした特異性がある。189
トランスジェニック細胞、研究室で単離した遺伝子を、出来るだけ発生初期段階で、生きた細胞のゲノムに入れるという方法が、1980に開発され、これはトランスジェニック遺伝子と名づけられた。この遺伝子を一番はたらかせやすいのは、植物である。(動物細胞の場合、シャーレで育てた皮膚細胞は、皮膚細胞になったり、腫瘍になったり、死んだりもするが)植物の茎や根からとった培養細胞は、植物ホルモンの単純な混合物によって、受精卵であるかのようにふるまい、植物を作り始める。植物細胞をバラバラにして、DNAを組替える僅かな努力で、トランスジェニック植物が作り出され、植えられ、取り入れられている。..除草剤抵抗性をもつ植物のおかげで作物の収量は改善されたが、耕地内のほかの植物を殺すための除草剤の使用量は増えることになった。重要なことは、大量の除草剤が結果的に除草剤抵抗性の雑草を増やしてしまうことだ。213-14
分子生物学の不確定性、一度は、生命の世界に関するすべてが本質的に解明可能なように思えた。しかし予測に反して、一組の遺伝子という形で本来予測不可能な人間の心と身体を作り上げるのだとすれば、この遺伝子セットの完璧で究極の意味などとらえらるはずがないことが分かり始めてしまった。遺伝子一個ずつについては、充分理解できる日は来るだろう。ところがゲノムとなると、その意味は一つ一つの遺伝子の意味を足し合わせれば予想できるというものではない。233-34
歴史を変えた気候大変動 (河出文庫)
タグ 科学 歴史 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 更新日:2009年09月28日 18時28分40秒 2009/09/28
購入:  2009年09月26日 813円 所有
読了:  2009年09月28日
小氷河期の二つの教訓、ひとつは気候の変動はゆっくりと穏やかに起こるわけではなく、(その原因は不明だが)ある時代から別の時代に突如として変化する。二つ目は、気候は人類の歴史を左右するということである。ときにはそれが決定的要因になることもある。13-14.p
北大西洋振動(NAO)とは、アゾレス諸島上空の強い高気圧と、同じくらい強いアイスランド上空の低気圧の間で、気圧が変動を繰り返すことをさす。...NAOによって大西洋の低気圧経路の位置と強さが決まり、そこから特に冬季のヨーロッパの降水量に影響が出る。
・NAO指数は、振動の変化を一年単位や十年単位で示すものである。NAO指数が高いときには、アイスランド付近に低気圧が位置し、ポルトガル沖からアゾレス諸島には高気圧があり、常に西風が吹く状態になる。この偏西風は大西洋の海面の熱をヨーロッパの中央部に運び、それとともに大嵐をもたらす。同じ風が冬の気温を穏やかに保ち..南ヨーロッパでは乾燥した日々が続く。反対にNAO指数が低ければ気圧傾度は小さくなって偏西風が弱まり、ヨーロッパの気温はぐんと下がる。北と東から北極やシベリアの寒気が流れ込み、ヨーロッパは雪で覆われる..。65.p
タラはローマ時代からヨーロッパ人の主要な食糧だった。乾燥させた塩漬けの魚は軽い上に保存がきいので、船乗りや軍隊の理想的な糧食になった。...塩漬けのタラは大航海時代のヨーロッパ人のエネルギー源になり、エリザベス朝時代の船乗りには「海の牛肉」として知られていた。..タラは金よりも価値のある物資として、何世紀もの間すべての国の漁業を支えてきたのである。137.p
ハンザ同盟は加盟都市による強力な商業連合で、ドイツのリューベックを中心として、十四世紀に最盛期を迎えた。商業組織であるハンザ同盟は政治的に強い影響力を持ち、税金を徴収して海賊を取り締まり、それによって必然的に有力な王国間の政治にも関わるようになった(商業同盟から発展した政治的・軍事的都市同盟と見たほうが良い。一定領域を持つ領域国家とは異なるが、商業同盟では実態と異なる。)。加盟都市は北ヨーロッパの貿易を独占したが、十五世紀になると近代国家が台頭してきて、手ごわい競争相手になった。141.p
・昔のイングランドの詩「海ゆく人」によれば、アングロサクソン人が外洋に出て行くのは、初夏に最初のカッコーの鳴き声が聞こえてからだった。143.p
・ペストは1338年から39年に中央アジアで流行し始め、1346年には中国やインドにも広まった。気候の悪化が疫病の伝染を早めたのかもしれない。ヨーロッパが雨の多い時代を迎えている間、中央アジアでは暑く乾燥した日々が続いており、モンゴル族が新鮮な牧草を求めて移動を重ねるきっかけになったこの見方は面白いな)。159.p
・(16世紀末のイングランド)優良な農地では、2ブッシェルの小麦があれば、収穫期には通常8ないし10ブッシェルの収穫が期待でき(播種量の4~5倍!)、それだけあれば、不作のときのための貴重な備蓄分が残る。農民は四割ほどの確率で「良い」収穫を得ることが出来た。181.p
◆第9章、食糧難と革命
・イングランドの農業は、気候変動の著しい、概ね寒冷気候の続く期間に目覚しい変革を遂げた。一方、フランスでは昔と殆ど変わらぬ農法がそのまま続けられていた(270)。厳しい気候変動に伴う食糧不足に対してなんの備えもなかった(279)。ルイ十四世の国民の内一割は、1693年から94年の飢饉とそれに伴う疫病によって死亡した(280)。1739年から42年の急激な寒さ、あらゆる食糧の大欠乏、餓死寸前の農民(283-84)、飢えから来る恐怖は、1788年に気候が大変動を起こすはるか以前から農村に広まっていた(291)、1788年の天候は、フランス革命を起こした最大の要因ではないが、穀類やパンの不足、食糧難による苦境は、革命勃発の時期を決定する上では大きな役目を果たした(294)、パンの価格が20年来なかったほど値上がり(295)、飢えと希望と不安が、1789年の農村の危機を高めた。今回の危機が従来と違ったのは、間もなく代表選挙が実施されるという政治への期待感からだった(296)、1789年の大恐怖は、結局のところ、何世代も前からくすぶり続けた生存の危機が頂点に達したものだった(298)。
◆第10章、夏の来ない年
・1812年から17年にかけて、大きな噴火が少なくとも三度あった(302)、1812年から15年に起こった大噴火は、亜極地帯の低気圧域を北緯60.7度まで移動させた(303)、1805年から1820年までの年月は、ヨーロッパの多くの場所で、小氷河期で最も寒い時期になった(303)、1816年という年は大西洋の両側ですぐさま「夏の来ない年」と呼ばれるようになった。西部及び中央ヨーロッパでは、一番肝心な作物の生育期間に豪雨が降り、それと共に気温が異常に低下した。その夏の各月の気温は、平均気温よりも2.3度から4.6度は低かった。イングランド北部は、記録のある192年間で最も寒い7月を迎えた(304)、1816年には、社会不安や略奪、暴動、暴力事件がヨーロッパ各地で勃発し、翌春にはそれが最高潮に達した。..1816年から17年にかけての穀物騒動は、フランス革命以来の激しい暴動になった(308)。イギリスでの騒動は、食糧難だけが原因ではなかった。商業や製造業の不振、広がる失業、更に工業化の急速な進展で階級意識が芽生え始め社会的な緊張が生じたことが、暴動やラッダイト運動の背景をなす要因であった(309)。生存の危機は、ヨーロッパのいたるところで大量移住の引き金になった(311)、ニューヘイブンでは、1816年は作物の生育期間は例年の155日間よりも55日も短かった。多くの農民は果樹や野菜は救うことが出来たが、主要作物であるトウモロコシの被害が一番ひどかった。1816年のトウモロコシの収穫の内、人間の食用に適したのは四分の一だった(315)西欧では、ひどい寒さに起因する飢えそのものよりも、社会的状況から死ぬ人のほうが多くなっていた。スイスでは1816年の死亡率は、前年の15年よりも8%高く、翌年には56%増になった。..死因の多くは栄養不良から感染症になったためだ(317)。
◆第11章、大飢饉
・アイルランドの「高く盛った畑」はときには「怠け者のベッド」とも呼ばれ、1ヘクタール当たり17トンものジャガイモを生産することが出来た。オート麦と較べると驚くほどの収穫高である。ジャガイモは、極貧の暮らしをしている土地貧乏の農民には、明らかに利点が多かった。..天候を初め、その他の様々な要因から何が起こるとも知れないのに、アイルランドは危険なほど単一栽培に近づいていた(329)。
・アイルランドの商業的農業では、200万人分を養えるだけの牛と穀物を生産していたが、穀物の四分の一と家畜の大半は輸出用に割り当てられていた。アイルランドのオート麦と小麦のおかげで、イングランドのパンの価格は抑えられたが、その一方で、大半のアイルランド人は借地でジャガイモを育てながら最低限の暮らしを送っていた(331)。
・1845年にジャガイモが腐ったことによるアイルランドの損害は平均で約40%(337)、1846年4月には、人々が種芋を食べていることが議会下院で報告された。その結果、ジャガイモの植え付け面積が三分の一ほど縮小し(338)1847年は素晴らしい夏と見事な収穫に恵まれたが、それでも飢饉は続いた。種芋が不足していたため、通常の五分の一ほどしか芋が植えられなかった(342)1841年の人口調査では817万5142人が住んでいた。1851年には655万人余に減少した。通常の増加率では900万人を超えるくらいになるはずだった。ざっと250万人がいなくなった。その内約100万人は移民(345)..。
非線形科学 (集英社新書 408G)
蔵本 由紀 / 集英社 (2007-09-14) / 821円194 users
タグ 科学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 科学読み物 更新日:2009年09月05日 12時30分39秒 2009/09/05
購入:  2009年08月18日 80円 所有
読了:  2009年09月05日
線形と非線形線形システムは理論的には比較的簡単に扱えるが、意外性を持った現象は現れにくい。自己組織化と呼ばれる、システムが生き物のように自らを組織化していく現象は示さないだろう。意外性をはらんだ現象は、構成要素どうしが強く関係しあう非線形システムにこそ生じるのです。16.p(構成要素どうしの関係は、システムそのものの不可欠の要件で、線形・非線形には関わらない。下線部の特徴づけは納得し難いな。
非線形システムは線形システムと違って、それを独立に振舞う要素に分解することは、一般に不可能です。だからこそ要素間の協同作業から、自己組織化現象も現れるのです。71.p(線形システムの場合であっても、分析上の思考手続きとして、便宜的に、あるいは数学的表現形式として「要素間に分解」するけれども、実態は不可分の一体である。非線形システムの場合は数学的表現形式としても「要素間に分解」することは不可能という意味か?自己組織化現象と共に、「要素間に分解」の意味合いを、更に考える必要がある。)
・物質はミクロな要素の非線形な集合体、17.p
・あらゆる現実的過程は、多少ともエントロピーの発生を伴うので、不可逆的過程だといえる。31.p
・現代物理学の目から見れば、自然の活動性の根拠は、ニュートンが思い描いたような「力」に求めることは出来ない。...活動性の源は、「すべてのものを熱平衡に駆り立てる熱力学的な力」そのものといえる。つまり、エントロピーの生成を促し、構造や運動の消失へ向かわせるこの駆動力が、同時に構造や運動を生み出す力なのです。34.p
非平衡システム、貝殻や化石は生命体という非平衡システムが生み出した形の記憶ですし、同様にすべての人工物は人間という非平衡システムが生み出した形の記憶です。さらに、日常的な意味では完全に平衡といえるのに、地質学的な時間スケールでは非平衡と見なされるべき現象もあります。41.p
・自然物、人工物、生命体を含め、絶えず駆動され続ける構造体は、この世界におびただしく存在します。そして、それらはすべて間断なくエントロピーを生産しています。..地球はエネルギーとエントロピー入り口と出口を持ち、生成される分だけのエントロピーを排出しています。そうすることで、全体として定常性を保っている非平衡開放系です。それはあたかも何十億年ものあいだ平坦化することのないポテンシャル勾配に沿って下り続ける一つの車のようです。48-9.p
集団同期現象(個々の要素のランダムな動きが集団としてのマクロ的な同期現象を生み出す)、サーカディアン・リズムは、多くの微小な振動子から構成される集団が生み出すマクロリズム..人間を含む哺乳動物では、サーカディアン・リズムの発生源は脳の視床下部にある視交叉上核という部位です。ここに二万個程度の「時計細胞」があって、それぞれがリズムを刻んでいます。これらの細胞リズムが協調することでマクロなリズムを生み出しています。141.p
○「非線形科学」33.pに引用、読む必要があるかどうか判断保留、但し引用部分の指摘は興味深い。図書館にはない(県立、市立とも)。
脳の時計、ゲノムの時計―最先端の脳研究が拓く科学の新地平
ロバート ポラック / 早川書房 (2000-11) / 1,890円8 users
購入:  2009年08月15日 100円 所有
読了:  2009年08月17日
・科学的知識と英知の違い、列王記上第三章の故事、15.p
生命がDNAにその生存を全面的に依存しているからこそ個体の死すべき運命が必要になったのである。DNAはその複製能のゆえに代々変わらず存続する一方、複製の最中に起こる突然変異と自然選択によって作られる個々の遺伝的変化を生む。自然選択によって、進化を起こすのに十分な素材を常にそろえようとするなら、DNAを基本とする生命形態は常に個体の寿命を限定しなければならない。20.p
免疫系組織として免疫系をみると、脳と脊髄を合わせたくらいの大きさがあるが、免疫系は一ヶ所に集中しているわけではなく、皮膚の下に広がっている(集中管理が任務ではなく、外部からの侵入者に対する遊撃部隊の役割を果たしている)。脳が神経ネットワークの中枢なら、免疫系の中枢は内臓だといってよい。免疫系細胞のうち半分以上は、唇から肛門まで続く管に並んだ湿った表皮のすぐ下にある(一繫がりの管とみると、体表の皮膚も口内も胃壁も腸管の壁もすべて外部に開かれており、その内側は外部とはいっさい接していないという構造を持っている。こういうのを何構造というのかな?)。免疫系はいろいろな意味で神経細胞に似ている。..この細胞の膜にある受容体は、この系全体に身体の状態の変化を感じ、反応する能力を与えている。大きな違いは、神経システムは身体の外の変化を感じるが、免疫系は身体の中の変化を感じ取るために作られたということだ。免疫系は、脳皮質で働く意識に結びついていないので、無臭で無味で目に見えない、つまり感覚のない部分に対して働く。脳は免疫系に直結していないので、私たちには微生物が皮膚を通り抜けたかどうかなどはわからない。103.p
免疫系と抗生物質との相違感染からの回復が免疫系の完全勝利であることは滅多にない。通常それは、武装した免疫系と、遺伝的に不安定でたえずその数が変わり続けるけれど、一時的に飼いならされた微生物との間に結ばれた、相互協定に基づく冷たい平和なのだ。107.p
・抗生物質による反撃戦略の厄介なところは、元々はきれいな身体に微生物が侵入してくるということに、微生物が引き起こす現実の脅威以上の反応をしてしまうことである。微生物による病気の脅威は、それが身体の純粋さを失わせるものだということではなく、それが免疫系で既に交戦中のほかの微生物との間にあらかじめ作られていたバランスをひっくり返すものだというところにある。
121.p
人と微生物の違い科学の夢(自分の内側と外側の時間の区別をなくし、それによって個人の死を超越すること)は、微生物にとっての夢ではない。われわれにとっての内なる時間は、微生物が小さければ小さいほどそのゲノムは単純で、ゲノムが単純であればあるほどその自己複製メカニズムは粗雑でエラーが多くなる。そしてエラーが多ければ多いほど、その子孫が環境的ストレスを大きく生き残るチャンスが増えるわけだ。124.p(下線部の意味合いは、「生命科学の夢」という意味では充分に理解できる。しかし科学一般の「夢」という意味とすれば、理解しがたい点がある。ゲノムが単純なほど自己複製メカニズムのエラーが多く、エラーが多いほど生き残りのチャンスが増えるという、一見したアイロニーは興味深い。)
感染症と腫瘍との違い感染が身体への侵略なら、腫瘍は身体の内からの暴動である。身体の中の細胞たちは、一つの受精卵の子孫としての遺産を共有しているが、身体は決して民主国ではない。ヒトの身体は数十兆個の細胞の集まりであり、細胞一つ一つは、分化したゲノム内の全体主義的コントロールのもとで生きている。自由意志を持つ細胞はひとつもない。128.p
皮肉なのは、がん予防の科学はがん治療の科学よりもはるかに単純で簡単だということだ。予防は効果があるし、医学的な副作用もない。131.p(全く同じことは、糖尿病にも云える。但し、産業としての波及効果を第一に考えるとすれば、予防医学よりも治療医学のほうが、「はるかに」有利ではある。同じことは戦争と平和の産業的波及効果にも、ある程度はいえるかも知れぬ。
老化DNAを壊す分子は、糖をエネルギーに変換する際の副産物として、細胞内でたえず作り続けられている。私たちがものを食べるたびに、食物の一部が細胞内で糖に変わり、燃える。燃焼は糖の炭素原子同士の結合を壊し、炭素原子二つと酸素原子を結びつけて二酸化炭素にする。この変化のほうが、...糖を合成する光合成より少ないエネルギー消費で済むため、エネルギーが残る。..(普通の燃焼に較べて)細胞内でも、エネルギーの幾らかは同様の形で漏れていくが、燃焼エネルギーの一部は、ATPという分子内に保持されて、生きるという作業のために秩序正しく使われる。...ATPと熱エネルギーは、細胞による糖燃焼の安全な産物だが、変異原をどうしても作ってしまうのだ。
炭素と酸素の結びつき方が変化するにつれて、遊離基と呼ばれるまったく不安定な化合物が出来てしまう。掃除屋がすばやく吸い取らない限り、遊離基はDNA中の結合を簡単に壊す。ミトコンドリアの小さな染色体の方が核内の染色体より、このような変異を起こす危険性が高い。ミトコンドリアには細胞の糖燃焼炉が入っていて、遊離基によってもっとも損傷を受けやすいのはそのDNAなのである。
ミトコンドリアの自殺の危険性は、最も激しい燃焼が起きている組織、脳や筋肉で最も高くなる。高齢者に良く見られる衰弱や痴呆は、神経や筋肉のミトコンドリアDNAの損傷が蓄積した結果でもある。...
ミトコンドリアの遊離基は、エネルギーを使う限り必然の産物であり、老化は、生涯を通じて用いるカロリーのために支払われる総経費とも云える。...ミトコンドリアや染色体への損傷を避けるには、積極的に掃除屋を食べればよい。ビタミンCとビタミンEは共に良い掃除屋であり、緑黄色野菜は掃除屋をたくさん含んでいる。細胞内の遊離基汚染は、減食でも減らせる。カロリーを極端に制限し、充分な蛋白質とビタミンを含む食事を与えた動物は、平均寿命を約20~25%長生きする。脳や筋肉の細胞の遊離基量が低く、ミトコンドリアDNAの蓄積損傷も、通常食で生きている老動物のそれに較べて少ない。
163-4.p(厳密に考えてみなければならないが、遊離基によるミトコンドリアDNAの損傷という見地から糖尿病の問題を考えてみると、全く新しい見方が出来るような予感がする。)

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