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カテゴリ 読書 購入 所有 お気に入り 1 - 26件目 / 26件
万葉集 全訳注原文付(一) (講談社文庫)
中西 進 / 講談社 (1978-08-28) / 745円53 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 更新日:2012年06月06日 21時30分21秒 2012/06/06
所有 読了:  2012年06月10日
・巻一(素朴な心情が詠われており、好ましい印象を受ける。12/06/05)
・冬ごもり 春さりくれば 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ 咲かざりし 花も咲けれど 山を茂み(もみ)....云々(1-16)(ちょうどこの時期にあたるか)
文字通りの素朴さが良い。
・巻ニまで読了、中でも次の一句は勇壮な叙情的感慨に溢れている。
・熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな(1-8)(12/06/06)。
・1-50、「あらたへの藤原がうへに 食す国を 見し給はむと...」⇒「食す」「見す」が「統治」の意味に使われるのはなぜ?後者は理解できる。
「食す(をす)」と「統治」とはどう結びつく??

・5-892、風雑じり 雨降る夜の 雨雑じり 雪降る夜は 術もなく 寒くしあれば 堅塩を 取りつづしろひ 糟湯酒 うち啜ろひて 咳かい 鼻びしびしに しかとあらぬ 髭書き撫でて 我を措きて 人は在らじと誇ろへど 寒くしあれば麻衾引き被り...
芭蕉句抄 (岩波新書 青版 414)
小宮 豊隆 / 岩波書店 (1961-04-20) / 756円3 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文芸作品 更新日:2012年06月03日 17時03分24秒 2012/06/03
所有 読了:  2012年06月03日
・半世紀ぶりに通読、小宮さんの懇切な解説が付されているけれど、結局、一読、吾の感興に響くものだけが心に残る。
解説によって改めて感興を唆られる句は皆無か、一読三嘆、直感に訴える、あるいは感応する擬似体験の共有が前提になるか。
・夜窃かに虫は月下の栗を穿つ
・枯れ枝に烏のとまりたるや秋の暮
・似合しや新年古き米五升
・我がためか鶴食み残す芹の飯
・野ざらしを心に風のしむ身哉
・猿を聴く人捨て子に秋の風いかに
・冬の日や馬上に氷る影法師
- 1 users
タグ 文学 カテゴリ:Web Web 更新日:2012年05月12日 09時07分20秒 2012/05/12
読中: 
百人一首一夕話 上 (岩波文庫 黄 235-1)
尾崎 雅嘉 , 古川 久 / 岩波書店 (1972-12-16) / 1,102円17 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 古典 更新日:2012年04月29日 06時04分53秒 2012/04/29
所有 読中: 
・江戸時代後期の尾崎雅嘉の作。岩波文庫には上下二巻で収録される。第一版は1972年12月に出版され、550円。小生、39歳の時、84年4月発刊の第13刷で購入。
・上巻は巻五、三条院の「心にもあらで憂き世に....云々」までを含む。各詩に挿画数葉を挟み、また作者略伝とともに作者にまつわる話が添えられている。
・この本の価値は、何よりも挿画及び「作者にまつわる話」にあり、冒頭、天智天皇には「大化改新」のクーデターが語られる。
・巻一のうち、天智天皇&持統天皇の詩は、共に庶民を思う心が歌われて良しと思う。山部赤人及び安倍仲麿の抒情歌も好ましいが、他は詰まらぬ。
・数日前から読み始め、巻一を読了(4/29)。
・巻二は、未練気な人を恋する詩ばかり也、但し参議篁の「わたの原八十島かけて漕ぎいでぬと人には告げよ蛋の釣舟」と光孝天皇の「君がため春の野にいでて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ」の二首は出色。巻二読了(5/1)。なお「蛋」は蛋人または蛋民で、福建地方の舟を住処とする漁労民。国字では「あま」と読み、海人また漁夫の意味。
復活〈上〉 (岩波文庫)
トルストイ / 岩波書店 (1979-05-16) / - 17 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文芸作品 更新日:2012年03月25日 06時08分39秒 2012/03/25
所有 読了:  2012年05月30日
・「教材」に載っているものを別にすれば、本格的な文学作品の中で(探偵小説やら宇宙冒険物語などはさんざん読んでいたが)初めて読んだ記憶のあるのはトルストイの「戦争と平和」と「復活」だったようだ(中学1年の頃)。「戦争と平和」は、冒頭の長ったらしい宮廷会話にうんざりして面白そうな場面だけを拾い読みして、次第に読む範囲を広げていった。「復活」には階級社会の不条理を描いたとの印象だけが残っている。
・岩波文庫版の本書は1984年改版だから、やや三十年ぶりの再読になる。その時の記録はない。それから再びやや三十年して手に取ってみた。尤も、この三十年は単なる偶然だ。
・売春宿での商人スメリコーフ毒殺事件を巡る裁判で、陪審員に指名されたネフリュードフは、被告人席にかつて自分が誘惑したカチューシャ(マースロワ)を見出し、「自分と気づかれるのではないか」と愕然とする。
・長々と続く裁判の茶番ぶり;検事補「ひとり遺伝から犯罪を帰納しうるばかりではなく、犯罪から遺伝を帰納しうる」云々
・陪審員の審議、長々と続く審議にうんざりして、一刻も早く結論を出して終わりにしたいという気分に覆われ、最後はまるで丁半勝負同様(ラブレーの風刺小説をあげて)に結論をだした。マースロフについては「略奪の意志なく」「殺害の意志なく」何の目的もないまま殺人を犯したことにされてしまい、裁判長はその不条理を充分に承知しつつ、「殺人」に対して身分権を剥奪し余年の徒刑と決定される。一方、陪審員は、当然、情状酌量されるものと思い込んでいたので、ことの意外さに一驚する。
・コトの結果にいたたまれず、ネフリュードフは過去の懸念を捨てて弁護士に相談し、上告手続きを取る。
・ネフリュードフの一方的な懺悔のマースロフとの信条のすれ違い。ネフリュードフの懺悔の思いは「自己満足」から発するものかどうか?
・第二編は、広大な領地を平均地代よりはるかに安い地代で「百姓」に貸付、彼らを農奴的身分から解放する試みから始まる。百姓の暮らしぶり。
- 1 users
タグ 伝記・評伝 文学 カテゴリ:Web Web 更新日:2012年02月17日 15時55分24秒 2012/02/17
読了:  2012年02月17日
白い道〈第1部〉―法然・親鸞とその時代 しかも無間の業に生きる (1982年)
読了:  2012年01月26日
・吉川英治「親鸞」を読んで後、法然に関心を持つ。
・「水田耕作が実は差別の元凶になった」118p
・法然の思想、230p
・加持祈祷と合理的施術、252p
断腸亭日乗 〈第5巻〉 昭和十五年−十九年
永井 荷風 / 岩波書店 (2002-01-07) / 5,670円1 users
タグ 文学 社会 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文学・評論 更新日:2012年01月16日 12時26分14秒 2012/01/16
所有 読了:  2012年01月16日
◆以下「作業日誌」(12/01/16から転載)
・昭和15年2月20日に「尿中タンパク質顕著。かつまた血圧やや高しとて、院長頻りに菜食の要あるを説く。余窃かに思う所あり。余齡
すでに六十を越えたり。希望ある世の中ならば節制節慾して残生を愉しむもまた悪しきにあらざるべし。されど今日の如き兵乱の世に
ありては長寿を保つほど悲惨あるはなし。平生好むところのものを食して天命を終わるも何の悔いるところかあらん。浅草にいたり松喜
食堂に鶏肉を食し玉の井を歩みて帰る」云々、17p⇒単に高等遊民の繰り言に過ぎず
・8/01、「街頭には贅沢は敵だと書きし立て札を出し、愛国婦人連辻々にたって通行人に触書をわたす噂有りたれば、その有様を見んと
用事を兼ねて家を出しなり」。また欄外に「贅沢は敵なりという語はロシア共産党政府樹立の際用いたる街頭宣伝語の直訳という」、54p
⇒この日、「国民精神総動員本部、東京市内に〈贅沢は敵だ!〉の立て看板1500本配置」(近代日本総合年表から)
・9/27、日独伊三国同盟締結に際し、「自ら辞を低くし腰を屈して侵略不仁の国と盟約をなす国家の恥辱これより大なるはなし其の原因
は....畢竟儒教の衰滅したるに因る云々」74p(下線は引用者)
・10/03、旧約聖書を読む。日本人排外思想の拠って来る所を究めんと欲するのみならず....云々、76p
・11/10、専ら人のうわさする巷説、「新政治家の中の末信中野橋本その他の一味は過激な共産主義者...軍人中この一味に加わるもの
少なからず。而して近衛公は過激な革命運動を防止せんと苦心しつつあり。近衛の運動費は久原小林などより寄付せし...云々」98p
・11/16、花電車、「病院内にて花電車を見たることなしと云うもの三分の二以上にて、これを知るものは四十余りの者ばかりなりとの事より
推測して、現在東京に居住するものの大半は昭和十年以後地方より移り来たりし者なることを知れリ。...今回の新政治も田舎漢のつくり
出せしものと思えばさして驚くにも及ばず。フランス革命又明治維新の変などとは全く性質と品致とを異にするものなり」101p
⇒花電車は紀元2600年祝賀行事の一環か、「新政治」とは言うまでもなく「大政翼賛会」の事。
・12月、贅沢は敵だ」の緊縮世情の中、贅沢三昧の軍人壮士の振る舞い、貧富の懸隔広がる様を風刺する戯れ詩、104、115-118p
・12月末、「今年は思いがけぬことばかり多かりし年なりき。米屋炭屋、菓子など商うもの又金物木綿などの問屋、全て手堅き商人は商売
立ちゆき難く先祖代々の家蔵を売りしものも少なからざるに、雑誌発行人芝居興行師の如き水商売をなす者一人として口腹を肥やさざるは
なし。石が浮かんで木の葉の沈むが如し」125p
・昭和16年正月、「去年の秋ごろより軍人政府の専横一層甚だしく世の中遂に一変せし今日になりて見れば...不便なる自炊生活その折々
の感慨に適応し今はなかなか改めがたきまで嬉しき心地せらるること多くなり行きけり。...斯くの如き心の自由空想の自由のみはいかに
暴悪なる政府の権力とても之を束縛すること能わず」129p
年表上からは日独伊三国同盟締結、大政翼賛会発足及びそれに伴う各種団体政党の「自発的」解散、内務省図書課・警視庁検閲課
などの新聞雑誌の整理統合などの出版統制強化などが伺われるが、「軍人政府の専横」とは具体的に何を指すか。昭和15年1月に成立
した米内内閣は倒閣のため陸軍首脳部が画策した畑陸相の単独辞職に拠って総辞職に追い込まれ、代わって近衛内閣が登場した。明ら
かな陸軍の「専横」だが、このような内部事情は当時一般に知られていたか。

・5/11、市中の風聞、いろいろ;築地辺の待合料理店は引き続き軍人のお客にて繁盛一方ならず。公然輸出入禁止品を使用するのみ
ならず暴利を貪りて...」云々、168p
・6月、時局についての意見、日記のこと等、「日支今回の戦争は日本軍の張作霖暗殺及び満州侵略に始まる」云々177p
・昭和17年4月、巷の噂、226事件の反乱の兵卒の戦地にて優遇せられし話、南京占領および中華人のおびただしく殺されしに、戦争の
何たるかにつての無関心等々、267p
・昭和18年1/25、街談録、昭和12年より浪費した戦費の合算は支那人戦死者一人につき二千円...この度の戦争の愚劣なること..云々、
316p
・2/03、町会より本年中隔月に百五六十円債権押売のこと申し来たれリ、318p
・5/04、近県への食料品等買い出しの事、夕刻までに数千人が捉えられるが、その大半は鉄道及び郵便局の役員...云々、344p
・5/17、文学報国会、荷風の名を無断借用、菊池寛が創設し、(余の嫌悪セル)徳富蘇峰が会長、346p
・5/26、近頃物品の闇相場、349p
・9/09、上野動物園の猛獣は毒殺...帝都修羅の巷となるべきを予期..云々、379p
・9/28、10月中には米国飛行機必来襲すべしとの風説...、386p
・10/03、「世の中は星に錨に闇と顔馬鹿な人達立って行列とやら云う落首を口にする者さえなきようになりぬ、388p
・10/09、国民預金の強制勧告...390p
・12/22、世間の噂、いかほど職工を増やしても資材不足でどの軍需工場も夜間業務は中止、この様子では来年6月までには戦争は終局
...416p
・昭和19年4/10、市中至る所疎開空襲必至の貼札を見る。一昨年4月敵機来襲の後市外へ転居するものを見れば卑怯といい非国民など
と罵りしに18年冬頃より俄に疎開の語を作りだし民家離散取り払いを迫る。朝令暮改笑うべき...云々441p
・4/11、食物闇値一覧、442p
・東京の繁華は昭和八九年を以て終局を告げたるものと見るべし...455p
◆「俗と反俗は釘と金槌」
・第23巻「月報」に開高健が書いている。荷風老人は後足で砂をかけ、実人生からオリてしまった。その癖、実人生への興味津々、巷の
風説、街談に耳を済まし、日記に書き留めた。「私に云わせれば、荷風散人は決して実人生からオリ切ることが出来なかった。俗物を離れ
て反俗精神が成り立たないことは、釘を離れて金槌が存在し得ないのと同じである...云々」、この好奇心が最も良く映し出されているのが、
昭和18-19年の日記か。戦時下東京の実相の一面を映し出す良き鏡。
みすず書房 (1973) / - 5 users
タグ 文学 政治思想 歴史 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 古書 更新日:2012年01月15日 16時19分56秒 2012/01/15
読了:  2012年01月16日
・最初に読んだのがいつだったか記憶にないが、内容もまたカルヴァンの評伝だったという以外はスッカリ忘れてしまった、ただカルヴァンに対する見方をスッカリ改めた、というよりもルネサンスと共に人間解放への近代的燭光の第一歩であるかに漠然と考えていた”思い込み”をスッカリ改めるキッカケになったことだけは覚えている。
・人間の連帯という考えに酔いしれた民衆は自ら進んで隷属の中に我が身を投げ込んでいったし、彼らが鞭打たれているその鞭さえも賛美した。13p
・一個の教義が国家機構とそのあらゆる弾圧手段を手中に収めるやいなや...19p
・4-23p、コピー(序章)
対立物への転換、「カルヴァンはただ誰でも知っている宗教改革本来の主張を繰り返しただけのように思われる。しかし本当は、宗教改革本来の主張を乗り越えて大きく一歩を踏み出したのであり、そればかりか宗教改革本来の思想から完全に遠ざかってしまったのである。宗教改革はもともと魂と宗教の自由運動として始まったもので、福音を何の制約もなく自由にすべての人々の手の中に置くことを目的とし、キリスト教を形成するのはローマ教皇や宗教会議ではなく、個人の確信でなければならないとしたのである。ところがカルヴァンは、(この自由を)あらゆる形の他の精神的自由と一緒に人々から奪い去って顧みなかった」56p⇒国家の死滅を謳ったソヴィエトが、あらゆる国家組織の中で、最も完璧で・抑圧的な国家組織を産み落としたのにそっくり同じだ。その根底にあるのは一方は「神の意志」の伝達者ないし体現者、他方は「科学的真理」と「プロレタリアートの階級的利益」の前衛という考え方
・60-65p、カルヴァンの肖像
・カルヴァンの座右の銘、「絶望の深い淵から、新たな力をもって抜け出す」64p
・バルザックからの引用(どこからの引用か載ってないし、僕は初見のような気がする、「カトリーヌ・ド・メディシス」か??)、「荒れ狂うカルヴァンの宗教的不寛容は、ロベスピエールの政治的不寛容よりも、精神的にはるかに緻密で残忍なものだ。もしカルヴァンがジュネーヴよりももっと広い活動範囲を与えられていたならば、彼はあの政治的平等の怖ろしい使徒よりもはるかに沢山の血を流していたことだろう」83p
・「悪魔」(反キリストと言い換えても良い)というキーワードが、当時の人々に与えた恐怖心
エラスムスの勝利と悲劇 (ツヴァイク伝記文学コレクション6)
S. ツヴァイク / みすず書房 (1998-11) / 2,376円8 users
読了:  2012年01月12日
エラスムスの精神の本質は、次の言葉に要約されている。「彼は地上のただ一つのものを、理性の仇敵として心から憎んでいた--狂信である。みずからすべての人間の中で最も非狂信的であり、おそらく最高位とは云えないとしても最も広い知識を持つ精神であり、文字通り人を酔わせる慈善ではないにしても誠実な善意の心情であったエラスムスは、あらゆる形式の不寛容な志向のうちに、我々の世界の禍根を見ていた。」8p
エラスムスの悲劇、「エラスムスの個人的な悲劇は、ほかならぬ彼、あらゆる人間の中で最も非狂信的な彼が、しかもほかならぬ超国民的な理念が初めてヨーロッパを勝利の光で覆った瞬間に、国民宗教的な大衆情熱の、史上で最も凶暴な噴出の一つによって引き落とされたことにある」15.p
・17p、大衆妄想と世界の党派化
・96-123p、コピー
・暴徒はスローガンに拠ってはじめて党派となり、組織に拠ってはじめて軍隊となり、信条によってはじめて運動となる...97p
・人間主義的意向を持つ人は、すべての理念がその本質上覇権を得ようと努めるものである以上、どのイデオロギーにも忠誠を誓うことは許されない。99p

・110-125p、エラスムスとルターとの対照性を見事に表現している。その鮮やかすぎる形象化は、余りに際立ちすぎているために却って作家的造形ではないかと疑ってしまうほどだ。
・155p、精神の権力の現世の権力に対する圧倒的優位
・208p、エラスムスの遺産、現実化に拠って消耗したり妥協したりしない理想だけが、人倫衝動の元素として、あらゆる新世代のうちに働きかけることをやめない。まだおよそ実現したことのない理想だけが、永劫回帰を持つのである。
高見 順 / 勁草書房 (1973) / - 1 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 古書 更新日:2012年01月12日 08時09分49秒 2012/01/12
読了:  2012年01月12日
・何かの本に挟まっていた岩波の広告、「これは厳しい時代を真摯に生きた一人のインテリゲンチャの魂の記録であり、小説・昭和精神史である」との紹介文を見て読んでみたくなった。
・「解説」によると昭和34-38年に雑誌『世界』に連載とある。安保闘争最中の一種回顧的な小説ということになる。全体の感じとしては、【激流】とは言うものの、激流そのものを描いていると言うより、激流の表面に浮かび、その奔流に押し流される塵芥を描いているに過ぎない印象を受ける。
・入隊して間もなく、何も知らされないままに突然、226事件の当事者にされてしまった一兵士(主人公進一の弟・正ニ)の立場から見た事件の内側の部分はちょっと面白い。とはいえ「小説・昭和精神史」というには浅薄だが、それは「厳しい時代を真摯に生きた一人のインテリゲンチャの魂」の独りよがりの生硬さの反映とも言える。
日記に読む近代日本 4: 昭和前期
土田 宏成 / 吉川弘文館 (2011-09-06) / 3,045円6 users
所有 読了:  2012年01月02日
・紹介されている西園寺公と政局、木戸幸一日記、高木惣吉日記、矢部貞治日記、断腸亭日乗、戦中派不戦日記などは、すべて既読のもの。但し、ほとんどが20年以上前で【西園寺公と政局】だけはビックスの【昭和天皇】および【われ巣鴨に出頭せず】を、去年の夏に読んだ際に、関連ヶ所を拾い読みした。
・改めて高木惣吉日記、矢部貞治日記、断腸亭日乗等をこの機会に(1-2月の農閑期中に)読み直したくなり、前二冊は図書館で、荷風日記は全集版で購入して再読(または予定)。
・宇垣日記は拾い読みシたことがあるだけだが、特異な軍人として記憶している。今回、この本で認識を新たにした。
・宇垣&高木のような合理的精神(石原莞爾は合理的精神と云うより、ある種の理想主義が先に立つタイプかな?保留)が、「潰されていく土壌」がどのように形成されたかを探求すべきかな。
・別に「登録」した【高木惣吉 日記と情報】は、高木日記を読み解く重要な基礎資料で、日記と併読すること。
・林芙美子の「北岸部隊」は、初めて読む。作家らしい優れた人間観察だ。異常な環境下での異常な人間心理は、日常性の延長上で理解しようとするには無理がある。とはいえ、日常性の基礎の上に成り立つ一面もあるのではないか。
・巻末の編者による「同時代の日記」;かなりは目を通しているが、初めて知ったものも幾つか紹介されている。
新版 断腸亭日乗〈第4巻〉昭和十一年‐昭和十四年
永井 荷風 / 岩波書店 (2001-12-05) / 5,400円2 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文学・評論 更新日:2012年01月08日 11時09分56秒 2012/01/08
読了:  2012年01月03日
Media Markerの読書日誌としての便利さを思い、一年ぶりに更新を再開する。記事の索引として利用できる使い方。
・昭和33年発行の全集版第22巻で所持する。【日記に読む近代日本】の第4巻(昭和前期)に紹介されている。昔、岩波文庫の摘録で読んだが、この機会に全編を読みたくなり、全集版で改めて購入する。
・「公表」を前提にした日記で、読者を予定した「作品であり商品であるがゆえに、原本・刊本共に複雑な改訂が加えられている」(【日記に読む...】150.p)というが、刊本毎の違いや改訂の後にまでは関心がない。
・47p、11/4/6、手紙封筒に戒厳令云々の朱印
・145p、12/3/13、市会議員選挙の宣伝、浪花節で棄権防止の訴え、抱腹絶倒
・222p、12/10/23、ジイドのソヴィエト紀行修正を読む云々
・223p、12/11/3、大日本中央文化連盟の「辞令風」印刷物来たり、文筆を焚くべき日遠からず云々
・228p、12/11/19、むく鳥通信よみて眠るとあり多分、その一節の引用か?「東京の生活いまだ甚だしく窮迫に至らざる...戦争もお祭り騒ぎの賑やかさ云々」
・254p、13/2/17、中央公論社佐藤氏、支那戦地視察を勧める云々
・402p、14/8/22、日英会談不調で株暴落
・404p、14/8/28、突然の独ソ同盟で平沼内閣倒れる
・同前、14/8/29、独ソ同盟に伴う立て看板などに反映した街の動揺ぶり
・407p、電力不足に伴う不便
・426-428p、炭、白米の不足、コメ不足対策に警察署が率先して犬殺し云々
生きることの意味―ある少年のおいたち (ちくま文庫)
高 史明 / 筑摩書房 (1986-01-01) / 518円70 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 更新日:2010年09月26日 04時12分00秒 2010/09/26
購入:  2010年09月24日 441円 所有
読了:  2010年09月27日
・人間は熱い感情とともに、生きようとする力の本当の姿を理解する知性や精神の力によっても生きていくものです。119.p
・領土を奪われ、歴史と文化を奪われ、言語までも奪われることの意味、176.p
レパントの海戦 (新潮文庫)
塩野 七生 / 新潮社 (1991-06-28) / 562円176 users
タグ 歴史 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文芸作品 更新日:2009年12月26日 17時14分03秒 2009/12/26
購入:   500円 所有
読了:  2009年12月24日
ルイスの「アジア海域におけるオスマン帝国艦隊の敗北と崩壊に比べると大して重要ではなかった。まもなくオスマン帝国は地中海で海軍力を復活させ」(『イスラーム世界の二千年』)の指摘は、レパント海戦についての西洋世界の評価或いは僕の従来の認識とはずいぶん違った印象を受ける。故に「海戦」そのものを復習するため再読。「小説」とはいえ、むかし読んだ印象では史料に忠実な小説仕立ての海戦史と云うべし。なお『世界歴史事典』(9-453.p)では「この海戦はスペイン黄金時代Siglo de Oro を表象する一戦であり」と指摘。
・外交官のいないトルコでは、重要任務でもしばしば、必要から数カ国語をあやつれる非支配民族のギリシャ人を使う。..2月27日、このギリシャ人は元首官邸内(ベネチア)の元老院議場で、スルタンの親書を読み上げ、それへの回答を求めた。親書は実に高圧的な調子で終始し、キプロス島の”返還”を要求した。55-56.p
・ベネチア大使バルバロは、1570年5月から大使館内に監禁された。しかし外部との連絡は継続された。当時西欧諸国の中で、トルコとの間に定期的な郵便制度を持っていた国はベネチアだけで、その業務を担当する部門はベネチア大使館にあったのである。コンスタンチノープルでいまだ経済活動だけは続けていたベネチア系の商人たちは、本国を始め、ベネチアの他の商業基地や全ヨーロッパの主要都市に散らばる支店にむけて、取引上の通信を送る必要が常にあった。100.p
・対トルコの連合艦隊の実質的な主要国はベネチアとスペインだけだが、両国の関係は敵対的とも言えた。しかしトルコの脅威を跳ね返すには互いに相手を必要とし、法王を仲立ちに辛うじて同盟した。106-111.p参照
・連合艦隊の規模は軍船二百隻、戦闘員五萬。総経費の分担はスペイン3/6、ベネチア2/6、法王庁1/6と決められた。
・戦略目標、ベネチアの真意はキプロス救援、スペインの目標は北アフリカ攻略、法王はイスラム教徒との戦い。ベネチアは「キプロス救援」を明記したかったが、実際には地中海の東西に関わらず敵のいるところに出向き対戦する、と決まった。113.p
・無敵と思われて来たトルコ軍が、無敵でないことを実証した.それも、1453年のコンスタンチノープル陥落から始まった、トルコの攻勢に次ぐ攻勢の前に、全力を投ずる抵抗となるとほとんど一度としてなかったキリスト教勢が、実に118年後にして初めて獲得した、ほんものの勝利だった。203.p(この「勝利」の意義について、解説で高坂正堯はJ・E・C・フラーの言葉を引用して、コンスタンチノープルの陥落以後続いてきた無敵のトルコという神話を打ち破ったことにおいて、「その精神的重要性は圧倒的」なものであったとした。「トルコが自らの不敗に疑いを抱いたことが地中海世界の支配の喪失を生み、それが次の世紀には陸上の支配の動揺をもたらした」269.p)
Sleeper Spy
William Safire / Random House (1995-08-22) / 2,897円1 users
タグ 文学 カテゴリ:洋書 洋書 / Literature & Fiction 更新日:2009年11月11日 21時09分56秒 2009/11/11
購入:   2,897円 所有
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ニーナ・B事件 (中公文庫)
J・M・ジンメル / 中央公論社 (1986-08) / 545円3 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文芸作品 更新日:2009年10月22日 06時57分22秒 2009/10/22
所有 読了:  2009年10月22日
・紹介には「第二次大戦後の西ドイツ。混乱期からようやく経済復興が軌道に乗り始めた時期に、瞬く間に巨大貿易会社を築き上げたユリウス・ブルンマー。しかし、彼の成功の影には人知れぬ陰謀と犯罪の数々が...。」とあるが、陰謀も犯罪も社会的背景から浮いており、まさに下線部の「時代」が描かれていない。半分程度を読んだ時点で、すっかり興を失う。
タグ 経済 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 古書 更新日:2009年09月04日 13時45分12秒 2009/09/04
購入:  2009年08月25日 17円 所有
読了:  2009年09月04日
○「熱狂、恐慌、崩壊」に「通貨を大量に印刷し、ドルの為替相場を自由に変動させることによって金融危機を処理しようとしたために、結局は商品の奪い合いが起こるという話を扱ったP・アードマンのスリラー「1979年の大破局」の筋書きでもある...云々と紹介されている。サブプライム・ローン問題を契機とする今回の金融危機でも天文学的規模のドルによる救済が不可欠になった。これに関連して、「宮崎正弘の国際ニュース」(09/08/25)は、
世界一の投資家として知られるバークシャー・ハザウェイ社会長のウォーレン・バフェットが予言した。
「ドルは崩落が近く、新しい借金によって米国は“バナナ共和国”に転落するだろう」(NYタイムズ、8月19日)。
「輪転機を回しつづけてドルをまき散らす政策を米国は改めるべきだ。ドルの運命は議会が握っている」(米議会は赤字国債の上限を決める)。
バフェットは続けて言う。
「ドルは下落する『かも知れない』ではなく、確実に下落するのだ」
 1942-45年の第二次世界大戦をのぞき、米国が公的債務を積み上げてきたペースは穏やかだった。しかし昨今の債務残高増加ペースは1920年代からのそれより、二倍のペースで突き進んでいる。
...云々と紹介している。ドル体制の「崩壊」が一挙に進むとは考えないが(代わる体制がないから)、一人勝ちの体制は終焉したと考えてよい。その行く末を考える参考になるかな?
○どこまでが事実で、どこからが創作なのか判別つかぬ嫌いはあるものの、きわめて面白い。アメリカ、西欧、アラブ、イスラエルの石油を巡る覇権争い、通貨・金融の攻防を臨場感豊かに描き出している。「富の興亡」「通貨の興亡」などで体裁良く・婉曲に描かれた世界の舞台裏の剥き出しの攻防の姿を推し量る素材になる。
・アードマンのものは、「暗号名スイス・アカウント」「日米大不況は来るか」「無法投機」の三冊を読んだことがあるが、いずれも堅実な資料分析を基礎に、該博な金融実務の知識を織り交ぜて興味深い物語を展開している。
・スイスの政治・経済・社会システム、51、65、66(「暗号名スイス・アカウント」も参照)
・イランの核開発計画、132-145、185-192
・国際石油資本(フォー・シスターズ)とサウジアラビアの関係、167-184
・1979、アメリカの金融危機(銀行破産)、195-204
寺田寅彦全集〈第1巻〉随筆 (1960年)
タグ 文学 科学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 古書 更新日:2009年07月12日 23時54分59秒 2009/07/12
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読了:  2009年07月12日
○「方則について」から(大正4年10月)
華厳経に万物相関の理というのが説いてあるそうだ。誠に宇宙は無限大でその中に包含する万象の数は無限である。しかしてこれらは互いに何らかの交渉を有せぬものはない。...厳密に言えば孤立系などというものは一つの抽象に過ぎないものである。例えばいま一本のペンを床上に落とせば地球の運動ひいては全太陽系全宇宙に影響するはずである。142.p
○「時の観念とエントロピー&プロバビリティー」(大正6年1月)を読む。
色々の個体の集団からできた一つの系を考えるとき、その個体各個のエントロピーの時計は必ずしも系全体のものの歩調と一致しない。従って個体相互の間で「同時」ということが余程複雑な非常識なものになってしまう。198.p
分子やエレクトロンの数が有限の間はエントロピーは問題にならず、変化は単義的で可逆であるが、これが無限になって力学が無能になるとき、始めてエントロピーが出てくる。...系の複雑さが完全に複雑になれば統計ということが成り立ち、公算(プロバビリティ)というものが数量的に確定したものになる。そして系の変化の状態はその状態の公算の大なるほうへと進むということが、すなわちエントロピーの増大ということと同義になる。199.p
時、エントロピー、プロバビリティ、この三つは三つ巴のようにつながった謎の三位一体である。201.p
チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
トム・ロブ スミス / 新潮社 (2008-08-28) / 767円440 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文芸作品 更新日:2009年07月11日 10時07分26秒 2009/07/11
所有 読了:  2009年07月10日
・息子の書棚の本。最初の30頁余は、飢餓に見舞われる1933年のウクライナのチェルヴォイ村が舞台。「クラーク」の掃討政策と強制的な集団化政策によって、農業の基幹的担い手が失われ、農村は疲弊し、深刻な飢饉に見舞われ、豊かな穀倉地帯だったウクライナが激しい国家的収奪の対象になったことは「知識」としては知っていた。しかし、この小説を読むまで、この時代にウクライナに生きた「農民」の惨状を具体的に想像して見たことは一度もなかった。この酷薄な物語は、どの程度事実を反映しているのか、調べよ!!
・「歴史」を、そこに生きた人々の現実的生活を通して理解しようとする姿勢に乏しかったことを痛切に思い知る。尤も、この数十頁が物語全体の展開とどのように関係するのかは、いまのところ全く予測が付かない。
○国家保安省の有能な職員レオは、単なる「濡れ衣」と知りながら獣医ブロツキーをスパイとして逮捕する。ところが同僚ワシーリーの姦策で(と、レオは信じていた)ブロツキーの尋問書にはレオの妻の名前が「協力者」として埋め込まれ、自ら妻のスパイ容疑の証拠固めのために自宅を捜索する羽目に立たされた。
ルビヤンカボリシェヴィキの秘密保安部隊に乗っ取られるまでは、ただの保険会社のオフィスビルだった。それでも、造りそのものが人の心を動揺させるこの建物が無作為に選ばれたとは、レオには思えなかった。高層建築ではない。といって、低層建築でもない。幅が広いわけでもない。奇妙にどっちつかずなのだ。正面玄関は用心深さの権化のような雰囲気をかもして、ぎゅっと押し込まれたような窓が横に並び、それが何列にも上に積み重なり、そのてっぺんでは抜け目ない隻眼のような時計が市を睥睨している。更に目には見えない境界線が建物の周りを取り囲み、通行人はみな中に引きずり込まれるのを恐れるかのように、その境界線をよけて通る。その一線を越える者はそこの職員か、有罪宣告を受けた者か、そのどちらかだ。この建物の中で無罪が言い渡される望みはない。この建物の中には有罪に向かう組み立てラインしかない。129.p
○何気ない細部が、全体のプロットの中に上手くはめ込まれ、語りに真実味を加え、驚くほど良く書かれている。まるで、その時代(50年代)を経験したことがあるのではないかと錯覚するほどと言っても過言ではない。
建前国家の人民警察子供たちはみな学校で、殺人も窃盗もレイプもすべて資本主義社会の病気だと教えられる。だから、民警の役割もそれに準じてランク付けされている。人はものを盗む必要もなければ、暴力的になる必要もない。なぜならみな平等なのだから。だから共産主義社会では警察は理論上必要ないのだ。人民警察が内務省の下部の一分課にすぎず、職員の給料も安ければ、人々の尊敬を集める仕事でもないのはそのためだ。実際、人民警察の大半は小中学校を卒業できなかった者、コルホーズを追い出された農業労働者、退役軍人、ウォッカのボトルを半分空けて決断した者たちで占められていた。318.p
国家の予防策この言葉でどんな死も正当化される。ドイツ軍の兵士にパンを見つけるチャンスを与えるより、自国民を殺したほうがより正しい選択と言うわけだ。それについて良心の呵責もなければ謝罪もない。どんな疑惑も許されない。そういう死に異議を唱えることは即、反逆罪となる。381.p
ジュリアス・シーザー (新潮文庫)
シェイクスピア / 新潮社 (1968-03-27) / 464円100 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 戯曲・シナリオ 更新日:2009年06月22日 20時44分36秒 2009/06/22
購入:   420円 所有
読了:  2009年06月22日
○高潔なるブルータス、ブルータスを利用して個人的野望の実現を図るキャシアス、ブルータスについたかと思えば、たちまち翻身してアントーニアスにつく愚かな民衆、民衆の愚かしさを軽蔑しつつ、それを利用してシーザーの跡を襲うアントーニアス、暗殺・そしてブルータスの敗北と、事態は劇的に進行する。(880724)
・ローマ人たち、今では、その筋肉、五体はなるほど祖先と同じものだが、ふん、情けないご時世だ!父親の魂は既に死んでいまや跡形もなし、今日われわれを支配するはただ母親の心のみ、こうして頸木に耐える俺たちの忍従の姿は、どう見ても女のものさ。31.p
・それなら、なぜシーザーを暴君にさせるのだ?かわいそうに!あの男だとて、好き好んで狼になりはしまい、ローマ人を挙げて羊の群れと思いさえしなければな。獅子にもなるまい、ローマ人が牝鹿でなければな。32.p
・身を低きに置くのも、所詮は若き野心が足をかける梯子のたぐい、高みに昇ろうとするものは、かならずそれに目をつける。が、この梯子、一度天辺を極めてしまえば、もう用はない、素知らぬ顔で背を向けて、目をはるか雲のかなたに預け、それまで昇ってきた脚下の一段一段に蔑みの足蹴を食わせるのだ。36.p
・臆病者は現実の死を迎えるまでに何度でも死ぬものだ。勇者にとっては、死の経験はただ一度しかない。52.p
・油断は策謀に好機を与えん。57.p
いやいやながら医者にされ (岩波文庫 赤 512-5)
モリエール / 岩波書店 (1962-01-16) / 432円23 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 戯曲・シナリオ 更新日:2009年06月20日 21時35分32秒 2009/06/20
購入:  1993年11月21日 420円 所有
読了:  2009年06月20日
○1666/08/06に《お色気たっぷりの母親》とともに初演か。
・医者を愚弄し、揶揄する作品の一つ、非常な傑作笑劇という意見とともに、ヴォルテールの次のような評価もある。
「...モリエールは彼の傑作《ル・ミザントロープ》の上演を中断し、しばらく後、《いやいやながら医者にされ》を添え物として公演を再開した。これはきわめて陽気な、きわめて滑稽なファルスであり、素朴な民衆はこのような作品を必要としていたのである。それはあたかも、オペラにおいて、高雅な音楽を聴いたあとで、それ自体大した価値はないけれども俗耳に入りやすい軽いメロディに、人々が喜んで耳を傾けるようなものである」95.p
・僕は、スュブリニーの「世の中にこれほど面白く、人を笑わせる作品はありますまい」98.pという評価は、全く的外れの見当違いな意見だとは思うものの、単なる好みの違いかも知れない。
・モリエールが、作品の中で、医者を愚弄し揶揄した理由の一つとして、訳者は「医学が病気や病人を治すことをないがしろにして、アリストテレス、ヒポクラテス、ガリエヌス等、古代の学者や賢人を盾に取り、愚民をたぶらかそうとして権威主義に対する批判」103.pを指摘している。
医学と呪術とが混交していた時代の医者の社会的地位を考える上で、示唆に富む作品ともいえるか。
タルチュフ (岩波文庫 赤 512-2)
モリエール / 岩波書店 (1974-03-18) / 2,576円31 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 戯曲・シナリオ 更新日:2009年06月18日 15時10分59秒 2009/06/18
購入:   483円 所有
読了:  2009年06月17日
○1664/05/12、国王ルイ十四世のためにヴェルサイユで上演される。初演と同時に公開上演を禁止された。その間の事情を訳者鈴木力衛は「王権の基礎はようやくにして固まったばかりであり、その頃社会的に大きな発言力を持っていた聖職者や信者たちの秘密結社「聖体秘蹟協会」の動きを考慮せねばならないし、とりわけ晩年ますます熱烈な信仰の道に入った母后ドートリッシュの意向を無視するわけには行かなかった。モリエールの庇護者であったルイ十四世が《タルチュフ》の公演を禁止したのは、政治的に見て止むに止まれぬ措置だったのである」112.p
と解説している。1666年、ドートリッシュが死去してからは、聖体秘蹟協会の勢力はようやく衰え始め、69年に至ってその活動が完全に封じ込められて後、《タルチュフ》上演が許可された。
・眠っている水ほど悪い水はない。6.p

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