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バルザック全集 第8巻
バルザック / 東京創元社 (1974-06) / 5,250円1 users
タグ 文学 バルザック カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文学・評論 更新日:2012年01月21日 11時42分49秒 2012/01/21
所有 読了:  2012年01月21日
バルザック全集 第4巻
バルザック / 東京創元社 (1973-11) / 5,250円1 users
タグ バルザック カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文学・評論 更新日:2010年03月26日 05時39分57秒 2010/03/26
購入:   5,250円 所有
読中: 
【田舎医者】1832/10-33/07
宗教的思想、他の社会でも同じことですが、ここでは善行を行おうとすれば他人に逆らわねばならず、それも彼らの利害ではなく、もっと危険で扱いにくいもの、すなわち迷信にまでなった宗教的思想という、思想の中でももっとも破壊しにくいかたちの思想に逆らわねばならないのです。27.p
政府の啓蒙、悲しいかな、そもそも政府というものは、啓蒙することなど出来なものです。なかでももっとも啓蒙しにくい政府というのが、ほかでもない自ら光明をもたらすと自負している政府です。50.p
・要するに行政の本質というものは、多かれ少なかれ正しい思想や方法をこちらから大衆に強制することではなく、良きにつけ悪しきにつけ、これら大衆自身の思想に、一般的な福祉と合致するような有用な方向づけを行うことなのです。53.p
裕福になった地所もち農民、日雇い時代のタブローは律儀な、親切な気さくな人間で、誰にでも頼めば喜んで手を貸してやったものです。ところがそのタブロー先生も、稼ぎが多くなるにつれて、訴訟好きで屁理屈ばかりいう、傲慢不遜な人間になってしまいました。金持ちになればなるほど、人間が腐っていきました。農民というものは、純粋な勤労生活から裕福な生活に移ったり、あるいはまた地所を所有したりするようになると、がまんできない人種になるんですね。58.p
(The moment that the peasant forsakes his life of toil pure and simple for the leisured existence of the landowning classes, he becomes intolerable. )
貧民の公債登録台帳、労働というか耕作というか、これが貧民たちの公債登録台帳のようなもんでしてね。あの爺さんは、病院に入ったり乞食をしたりするなんて、とんでもない恥さらしだと思っているんです。彼は、どうせ死ぬなら、野良仕事をしながら、日のあたるところで、鶴嘴を握ったまま死にたいと云ってます。いやはや、大した勇気の持ち主ですよ!84.p
善行、それじゃ、あなたは、あの感謝という途方もない利子を取り立てるために善行をほどこされたんだすか?」そういいながらベナシスは笑った。「それじゃ、まるで高利貸ですな」88.p
・自然に対する愛だけは、人間の希望を裏切ることのない唯一の愛ですからね。ここだと幻滅を感じることもありません。....都会の人間には思いもよらないような、なんと色々な感動に満ちていることでしょう。109-110.p
・もし才幹ある人物を登用すれば、彼らはこの自然の掟に服従し、国民をもそれに服従させますが、凡庸な人間ばかりを集めれば、彼らは遅かれ早かれ、卓越した精神の持ち主に牛耳られるに決まってます。才能ある代議士は国家の利害を感じ取りますが、凡庸な代議士は力に出会うと妥協しますからね。要するに議会というものは、恐怖政治下の国民議会のようにひとつの観念に屈服してしまうか、ナポレオン治下の立法院のように武力に、あるいは今日のように特定の政治体系もしくは金権に屈服するかに決まってます。131.p
バルザック全集 第3巻
バルザック / 東京創元社 (1973-01) / 5,250円1 users
タグ バルザック カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文学・評論 更新日:2009年10月21日 03時59分24秒 2009/10/21
購入:   5,250円 所有
読了:  2009年10月20日
【あら皮】1831
訳者は、解説で「倫理的、社会的、哲学的考察は不問に付するとしても、この作品はなおかつ社会の臨床的研究として重要視すべきものであり、更にまたこの物語自身極めて魅惑に富み、「人間喜劇」中でも最も退屈なしに読まれるものの一つ..云々と紹介しているが、そのやや大げさな心理描写、類型化された社会批判と共に、僕にとってはバルザックの作品の中では、最も退屈な作品の一つだ。(09/10/20読了)
賭博の化身、この生気のない顔をした老骨こそは、お決まりのどん底まで追い詰められた情熱の色あせた姿を示しているものに他ならなかった。その皺には、古い苦悩のあとが刻まれていた。それは確かに、僅かな給料を受け取ったその日のうちに、賭ってしまわずにはいられないといった男だった。いくら鞭打っても効き目のない駑馬のように、もう何一つ彼を奮い立たせるものはないのだった。身代限りになって出てくる賭博者の悲痛なうめきも、その無言の呪詛も、そのうつけたような眼差しも、いまの彼にはなんの感慨も起こさせるようなものではなかった。まさに、賭博の化身そのものだった。6.p
・(賭博で、すっかり有金を失った青年は、茫然自失、ただ自殺する他ないと思いつめつつ街中を放浪、とある一軒の古物商に足を引かれる。この古物商の不思議な老人は語る)ひとつ手短に、人生の大きな神秘というものを教えて進ぜよう。人間というものは、本能でやらかす二つの行為によって生活の源をからし、身を弱らせていくものですわい。この、死の原因となるふたつのものの様々な姿は、みんなのぞむできるという二つの動詞によって示されている。この人間行為の両端の間には、賢い人々だけがつかむことのできる、もうひとつの言葉がある。このわしも、そのお陰で仕合せになれたし、長命もできたというわけじゃ。のぞむという気持ちはわれわれを焼き、できるという気持ちはわれわれを滅ぼす。ところが知るというやつがあって、それがわしらの弱い肉体を、常住不断に安らかにしてくれるのじゃ。そうしたわけで、わしの中では欲なり望みなりは死んでしもうた。(28.p)...知るということ、ねえ君、これこそは直感的に楽しむことではあるまいか?物質的な所有からなにが残る?観念だけじゃ。それに比べて、あらゆる現実をわが身の思想のなかに刻み込み、みずからの心の中に幸福の源泉をもち、地上の汚れに染まぬかず限りない理想の快楽を、心の中から引き出せる人の生活はなんと美しいことじゃろう。(29.p)
・王朝という手品鉢の下に伏せられた立憲政治のいかさま手品は、今までにないほど大掛かりに行われている。あの民衆の英雄的行為によって覆された破廉恥な君主政治は、いわば、いっしょに笑ったり飲み食いしたりできる性悪女とでも言うべきものだった。ところが祖国というやつは、気難しい、貞節な女房みたいなものなんだ。...今日国家を動かしている銀行家、弁護士からなる貴族階級が、いまやあらゆる学派の哲学者、あらゆる時代の権力者にならって、新しい言葉と古い思想で、善良なフランス国民を瞞着する必要を感じているということなのだ。33.p
光栄と幸福、「でも君、ナポレオンはわれらに光栄を残してくれたぜ!」
「ははあ、光栄か。情けない代物でね。買うときは高いが、持ちが悪いんだ。光栄なんて、偉大な人たちのエゴイズムのことじゃないだろうか、ちょうど幸福というものが、馬鹿なやつらのそれであるように?」43.p
・国家の出来た初めは、力はいわば、物質的な単一、粗暴なものだった。ところが集団の数が増えるにしたがって、統治は、この最初の力を巧みに解体して、行われてきた。そんなわけで、太古においては、力は、神権政治のうちに存していた。祭司が剣を取り、また香炉を持っていた。それが後になると、司祭職は二つに分かれた、教皇と王がそれだ。今日、文明の最後の到達点である我らの社会は、組織の数に応じてその力を配分し、工業、思想、金銭、言論と呼ばれる四つの力に到達したのだ。こうなると力には統一がなくなるから、絶えず利益以外になんの束縛もないという社会的解体に近づいていくことになる。45.p
【シャベール大佐】1832
・戦死広報によって「戦死」とされたシャベール大佐が、実は生きていた。彼は、いまやフェロー伯爵夫人に収まって、着々と社交界の花形としての階を登り、財産を築いている元夫人を相手に訴訟を起こすため、代訴人デルヴィルを訪ねる。
・デルヴィルは、フェロー伯爵及び夫人の立場を調べ上げ、伯爵が王党派の最も有能な人物の一人を見なされながらも、上院議員の仲間入りが出来ないでいる理由が、フェロー夫人の(ナポレオン寵愛のシャベール将軍の元夫人という)前身にあることを嗅ぎ付け、ここに「示談」への鍵を発見する。
・「示談」成立直前までたどり着くが、夫人の類い稀な演技と抜け目のない計算及びシャベール大佐のお人好しの寛大さと高潔によって、事態は思わぬ進展を遂げる。
・ナポレオン敗退後のルイ18世治下の貴族社会の、さもありなんと思わせる一挿話を巧みに描く傑作のひとつ。(09/10/21読了)
バルザック / 東京創元社 (1973-01) / 5,250円1 users
タグ バルザック カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文学・評論 更新日:2009年08月11日 21時01分39秒 2009/08/11
購入:   5,250円 所有
読了:  2009年08月11日
【ふくろう党】1827/08
総裁政府の混乱、王党派の策動、イギリスの干渉、わが軍はあらゆる地点で敗れたんだ。ふくろう党は、もうニ度も郵便馬車を途中で押さえた。わし宛の速達便や最近の法令などがわしの手に届いたのは、ベルナドットが大臣を辞める際に派遣した特使によってなんだ。幸いにも、パリにいるわしの友人たちがこうした危機の内情を、こっそりと手紙で知らせてくれた。パリの裏切り者らが暴君ルイ十八世に、国内の彼の手下どもに指導者を送り込むようすすめたということを、フーシェが発見した。バラスが共和国を裏切っているらしい。要するに、ピットと王公たちがこの地方に、旧貴族の出で才能に富んだ、屈強な一人の男を派遣したんだ。その男は、ヴァンデの王党派とふくろう党との勢力を結びつけて共和派を屈服させようという魂胆らしい。21.p
チュルゴチーヌ(1775)、ルイ十四世時代にある会社が、フランス全土にわたる旅客運搬権を独占したのを、チュルゴーが有償で取り戻し、あらたに「チュルゴチーヌ」と呼ばれる乗合馬車の制度を設けた。42.p(チュルゴーのほかの自由主義的改革から類推するにギルド的独占を廃止し、通行権の自由を拡大する意図があったか。「世界歴史事典、第6巻、参照
フリュクチュドール14日の法令、反革命、「あなた方はどんな法令によってふくろう党を死刑に処するのですか?」「去るフルクチュドール14日の法令によってです。それによれば、反乱を起こした県は一般の法令の外に置かれ、それにかわって軍事裁判が設けられることになっています」117.p
守銭奴の型(ドルジュモン)、老人はこんな色恋にも多くの打算を見せて目を光らせたので、ヴェルヌイユ嬢は頭をふって拒絶しながら、この守銭奴が結婚を考え付いたのは、ただ、その秘密を自分の妻以外の人間にもらしたくないからだと、思わずにはいられなかった。174.p
農民、今日でもなおこの地方では、多くの農民が領主の館だけを《住宅》と呼んでいるが、それほど戦争と封建時代の慣習のため、この地方の生活は農奴的な風俗に支配されてきたのである。..
蝶番をきしませて扉を開けると、あばら家の中から、ひどいアルカリ性のガスが噴き出してくるのを感じた。家畜が居間とのさかいの壁の内側を足でけっていためつけた跡がある。この農家の内部は外側と似たり寄ったりだった。こんなどうしようもない泥沼みたいなところに人間が暮らせるだろうかと疑った。181-2.p
ゲリラ戦争(ブルターニュ地方)、一歩一歩、ここの土地のようすを分析すれば、ゲリラ部隊に対する正規軍の戦いは必然的に不成功に終わるということは、はっきり理解できる。というのは五百のゲリラでも一王国の軍隊に負けないから。そこにふくろう党の戦術の秘密がすべて潜んでいたのだ。こうしていま、ヴェルヌイユ嬢は、共和国政府が軍事力を無駄に使うよりも、警察と外交によって、反乱を鎮圧せねばならぬ理由を理解した。実際、都市を占領することなど問題にせず、難攻不落のとりでを備えた原野を確保している悪賢い連中をあいてに、どうしたらいいか?197.p
東京創元社 (1960) / - 2 users
タグ バルザック カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文学・評論 更新日:2009年06月30日 13時34分30秒 2009/06/30
購入:   0円 所有
読了:  2009年06月30日
【セザール・ビロトー】1837/11
○かつてブルジョアジーが町人と呼ばれていた時代の名残を未だにいくらか残していた復古王朝の時代に、香料商から成り上がってパリの助役になった男の没落の物語。(99/05/27)/王党派にして香料商人、ヴァンデミエール13日の王党派の暴動で「大義名分」のために武器を取って戦い、復古王朝では商事裁判所判事として働き、やがてパリ市の助役となる。物語の始まる直前、その功績(15.p)に対し、レジョン・ドヌール勲章を授かり、深夜、ベッドから起きだし、祝いの舞踏会の開催の構想に夢中になる。ビロトー夫人は、ふと悪夢に(襤褸を纏った自分の姿が二重写しになる)目を覚ましベッドに夫の姿がないのに驚愕し、恐怖に捉われる。
・事件というものは、決して絶対的なものではなく、その結果は、全て個人次第のものである。同じ不幸にしても、偉人にとっては踏み台となり、キリスト教徒にとっては洗礼泉となり、怜悧な人間にとっては財宝となり、弱い人間にとっては地獄となるのである。27.p
・金があれば、何でも我慢できるけれど、どんな幸福だって、貧乏には参ってしまう。68.p
・もしもセザールの身に何か災難でもふりかかると、こうした馬鹿らしい乱費だけでも、彼を軽罪裁判所の被告人とするのに充分であった。商人は、かどと判定された乱費をした時には、単純破産の憂き目を見なければならないのである。149.p
・あなたの相手は、金が危ないと見たら、きっと防御陣を張りますよ。訴訟手続きの引き伸ばしは、裁判の場合における矢来ですからね。174.p
・パリにおいては、信頼の横溢する動きというものはなかなか決まらないくせに、疑心はたちまち現れて、他人の危機に苛斂誅求を企てるのだった。債権者はひとたび、取引上の懸念や警戒の気持ちに陥るや、彼は債務者にも劣る、痛ましい卑劣な振舞いに及ぶものである。174.p
・新聞の広告料の発生経緯、179.p
・彼には、時勢の相違なんててんで分からず、またその速度、範囲が昔の比べてお話にならないほど急激に商業界を席巻してしまうあの販売方法の力などというものも、いっこうに判断できないのだった。180.p
・銀行家の兄弟、二人の兄弟は互いにおのおのの役割を割り当てていた。光輝ある政治家たるフランソアが、王者のように振る舞い、親切と約束を乱発し、すべての人に愛想を振りまいていた。...階下では、アドルフは、兄が政治に没頭しているのは仕方ないと大目に見て、自分でたくみに熊手で金を掻き集めていた。...豪華な部屋の諾が、アドルフの部屋で無愛想な否になることは一再ならずあった。こうした駆引きが良く熟考してみる余裕を与え、しばしば不器用な競争者を欺くのに役立った。185.p
・不幸に酔わされた人特有の雄弁に駆られて、セザールは、自分の生地をすっかり見せてしまった。187.p
破産者の通る道、247~253.p、パリも破産者がたどる一般的な通り道。
・彼女の父親と母親は、子供らを自分たちの上に置いて子供らの恩知らずを増長させることに汲々としている世の常の成り上がり者と同じように、セザリーヌをば偶像のようにあがめて喜んでいた。
・多くの人々は、幻想によって与えられる安心をエネルギーと誤認した。おそらく希望は勇気の半分であろう。だからカトリック教は希望を一つの徳となしたのである。希望は、これまで多くの弱き者をどもに人生の偶然を待つ時間を与えつつ、彼らの勇気をば支えてやらなかったであろうか。
バルザック全集 12
バルザック / 東京創元社 (1974-09) / 5,400円2 users
タグ バルザック カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文学・評論 更新日:2009年06月15日 20時59分47秒 2009/06/15
所有 読了:  2009年06月14日
*第二部の「新聞記者の一種」以降の引用は、河出書房新社世界文学全集版「バルザック編」から
当時の出版事業、ファンダン・カヴァリ商会というのは、まるで資本なしにつくった出版会社のひとつである。こういう出版屋は当時沢山できたもので、紙屋や印刷屋が出版という運任せの勝負を七、八回やるあいだに信用貸しをしてくれるあいだはいつまでも生まれるだろう。ところで当時においては、今日と同じように、作者の書くものは六ヶ月、九ヶ月、十二ヶ月期限の手形で作者から買い取られた。これは商取引の性質上定められた支払方法だった。というのは出版屋たちのあいだではもっと長期の手形によって勘定が行われていたからだ。出版屋はこれと同じ長期手形で紙屋や印刷屋に支払いをしていたから、事実上はその支払いをするまでの一年間は一文も出資せずに十二冊ないし二十冊の本を売り出していたことになる。これらのうち二、三冊があたればこれで失敗を穴埋めできたから、出版屋はいわば本を接木しながら商売を支えていたようなものだ。396.p
○発明家の苦悩
・再び舞台はアングレームに戻る。第一、二部とは独立の物語と見ても差し支えない。リュシアンの偽造手形振出によってダヴィッドとエーブは訴訟沙汰に巻き込まれる。千フランの手形不払い事件が、一万フランの請求に変わるカラクリ
勝利のカラクリ、平等という言葉の下に隠された社会的な反抗心によって混乱されている国では、どんな勝利も、巧妙な陰謀家の協力なしにうまくいかぬ奇跡である--もっとも、これはマシニスト(道具方)の力ではじめてうまくいくミラクルと同じことだが。109.p(どうも余りピンと来ない文章だな、バルザックにしては下手な修辞だ
自殺、自殺の三種類、自殺はいわば自己尊重とでも名づけたい感情(この自己尊重と名誉とを混同してはならない)の結果である。人間は自分を軽蔑するとき、他人から軽蔑されていると思ったとき、生活の現実が自分の希望としっくり合わぬとき、こうしたときに自殺する。そして自殺することによって、社会に対して敵意を表明するのである。147.p
東京創元社 (1974) / 2円1 users
タグ バルザック カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文学・評論 更新日:2009年06月07日 15時28分50秒 2009/06/07
所有 読了:  2009年06月07日
【幻滅】
出世主義者、1793年の夢のような平等についてリュシアンが持っている下層民的な思想を、こうして一瞬のうちに捨てさせ、いままで友人ダヴィッドの冷静な理性でやわらげられていた貴族的な渇望を呼び覚まし、リュシアンの立つべき唯一の舞台として上流社会を指示するのだった。憎悪に燃えた自由主義者はいまや「心の中で」王政主義者になった。53.p
欲望、彼は自分の遁走のために口実になるような理由をいくつも見つけた。欲望ほど偽善者的なものはない。121.p
・リュシアンは、自分の成功のために多大な犠牲を払った妹と友人の結婚式の直前、二人を見捨てて、パリでの成功と名声を夢見て、パジェルトン夫人の跡を追う。その前夜、リュシアンは友人ダヴィッドに向かって、自分の利己心を隠してこう語る。
ダヴィッド、僕たちの高尚な思想も、法のために人間の感情が不自然にされる詰まらぬ儀式など無視させてくれないなら、なんの役に立つのだ?」123.p
この言葉と行動との落差が、何とも云えず可笑しい!!

○第二部パリにおける田舎の偉人
冒頭の数ページで、パリに駆け落ちした二人の将来の破綻が暗示される。
・自分の虚栄心のために相手を愛する女の「愛」127.p
・一方、「リュシアンにはルイーズがまるで別人のように見えた。ふだんの背景になっている人間、事物、場所などからひとたびひき離されると、以前と同じ姿も価値ももたなくなるような人間が、事実いるものだ」128.p
パリでの田舎の偉人、田舎では何らかの尊敬をうけ、一歩行くごとにおのれの偉さの証明に出くわすといった人たちは、パリで自分の価値が急に完全に失われてしまう状態になかなか慣れにくい。故郷ではひとかどの人物、パリでは何者でもない、この二つの状態の間に推移の過渡的なものがあると良い。前の状態から後の方へ一足飛びに移った人間は一種の自己喪失感におそわれる。田舎では自分の感情に一つ一つ応じてくれるこだまを見出し、あらゆる考えの聞き手を持ち、ごく些細な感動をもともにしてくれる魂を持っていた若い詩人にとって、パリは恐ろしい砂漠になろうとしていた。135.p
中身と形式、一つの声がリュシアンに叫ぶ、《才知こそ世界を動かす梃子だ》しかし、また別の声は才知という梃子の支点になるのは金だ、と叫んだ。141.p
貴族と商人、リュバンプレ家出身の婦人の息子さんが、その一族の名前を名のるのを勅令によって許す権利は、王様だけがお持ちになっているのです。もし婦人が貴族でない人身分の低い人と結婚していた場合には、よほど特別の恩恵が必要でしょうよ。莫大な財産があるとか、立派な勲功があるとか、大変身分の高い方の庇護がある場合に限りますよ。153.p
ヨーロッパ連邦、バルザックは《セナークル》の一員、ミッシェル・クレチアン(実在かどうか?)の思想に託して「彼はヨーロッパ連邦を夢見ている優れた共和主義者で、1830年にはサン・シモン主義者たちの思想運動に預かって大いに力のあった男だ。...友人一同と同じく貧乏で、しかもディオゲネス的な無頓着さで生活の糧をかせいでいた。..彼の連邦説は共和派宣伝よりも遥かに、ヨーロッパの貴族階級をおびえあがらせたものだ。それは、国民公会派の後継者をもって自任する非常識な青年たちの唱える、無制限の自由などという途方もない思想よりも、もっと合理的で思慮に富んでいた」と語っている。
二つの世界、セナークルとジャーナリズムとによって代表される二つの生き方の中間に自分はいまたっているということに気づかなかった。前者の道は長く、高尚で確実、後者の道はほうぼうに暗礁があり、危険で、良心を汚さねばならぬ泥んこの溝でいっぱいなのだ。213.p
ガリル・ド・ボアの商店街、220-221.p
ジャーナリズムの世界、266-268.p
09/06/07、15:25読了
バルザック全集 23
バルザック / 東京創元社 (1975-01) / 5,400円2 users
タグ バルザック カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文学・評論 更新日:2009年06月07日 11時56分36秒 2009/06/07
購入:   5,250円 所有
読了:  2009年05月11日
【カトリーヌ・ド・メディシス】/国王が、まだ「同輩中の第一位の人」に過ぎなかった最後の時代から絶対王政に変わる過渡期の物語
○背景、11巻「幻滅」の中で、リュシアンがダニエル・ダルテスに自分の作品「シャルル九世の射手」という処女作を読んでもらって、その作品評を聞かされる場面がある。ダルテスの評「あなたはカトリーヌ女王を描きつつ今日なおこの女性に対して抱かれている偏見に従っておられるが、どうです、一つ思い切ってあなたの処女作の中で、このカトリーヌの偉大にして壮麗な姿をよみがえらせて見ませんか。」11巻-180.p
ダルテスの評は、「カトリーヌ・ド・メディシス」の狙いを語っている。
○宗教改革運動
「宗教改革運動というものはな」と、彼は小声で言葉を次いだ。「教会の所有地を市民階級のものにするかもしれんのだ。聖職者どもの特権をなくした上で、課税に対しては貴族も町人も平等となり、万人の上に君臨するものはただ国王様だけになるということを、改革派は要求する手筈になっているのだが、もっとも、これは国家に国王を残しておく場合の話だがね」102.p
○トゥレーヌ州
・土地柄についてのゴズランからの引用。103.p
・「ルイ14世が、ロワール河とシェール川との間にあるモン・ルゥイに王城を建設しようとしたヴォーバンの意見に従っていたら、恐らく1789年の革命は起こらなかったに相違ない。104.p
○ルターとカルヴァン
「当時カルヴァンは、ルターが教理だけしか見なかったところに政府の姿を見ていたのである。でっぷり肥えたビール呑みで、恋に耽ったあのドイツ男ルターが悪魔と戦い、悪魔の顔にインク壷を投げつけていたのに引換えて、病弱な独身男カルヴァンは、戦略を案じ、戦闘を指導し、貴族たちを武装させていたし、市民階級の心に共和主義的思想をまき散らして全国を蜂起させ、こうして戦場における敗北を、諸国民の精神に新しい進歩を齎すことによって償おうとしていたのである」122.p
○ジュネーブとカルヴァン、201~204.p
・「カルヴァンの残忍な宗教的不寛容は、ロベスピエールの残忍な政治的不寛容よりも、精神的に一段と緻密で一段と容赦のないものであった。カルヴァンが、ジュネーブよりも更に広い舞台に立たされたならば、カトリック的平等を真似た政治的平等の恐るべき使徒(ロベスピエール)よりも、更に多くの血を流したことであろう」203.p
○毒物学-イタリア、274.p
バルザック全集 23
バルザック / 東京創元社 (1975-01) / 5,400円2 users
タグ バルザック カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文学・評論 更新日:2009年05月25日 10時47分18秒 2009/05/25
所有 読了:  2009年05月24日
【コルネリユス卿】/ウォルター・スコットを凌駕する歴史小説家になろうと決意したバルザックが「スコットとの直接的な対決」を意識して書いた数少ない歴史小説のひとつ(その後、同時代を描く「人間喜劇」叢書を構想するに至る)、と訳者は紹介している。青年貴族と老貴族の若妻との情痴の物語という筋展開だが、この物語の真の主人公はルイ11世と彼の老会計役を演ずるコルネリユス卿、すなわち王権とそれに対峙するブルジョアジーである。ルイ11世は実在の王様だが、コルネリユスはバルザックの創作だ。しかしかれは当時、新たに台頭し王権に奉仕した富裕な商人の典型と見てよい。
両者の関係は
コルネリユス・ホーフヴォルストはガンでは最も富裕な商人の一人だったが、ブルゴーニュ公シャルルの不興を買い、ルイ11世の宮廷に避難所と保護とを求めていたのである。王はフランドルやヴェネチアや中近東の名家と縁の深い男から利益を引き出せるとにらんで、彼を貴族の位に列し、帰化させて、ご機嫌を取ったのだが、これはルイ11世にしては珍しいことだった。それに、このフランドルの男が王の気に入ったのと同じ程度に、王がフランドルの男の気にも入ったのだ。ずるくて疑い深く、貪欲で、同じくらい政治家で、同じくらい学があり、共に時代を抜きん出ていたので、二人は互いに驚くほど良く理解し合えた。彼らは同じような気安さで、一方は良心を、もう一方は献身を、忘れたり、思い出したりするのだった」360.p
○高利貸(torconnier)
バルザックは、王の会計士の本質を、次のようなさり気ない一節で見事に突いている。
ルイ11世はコルネリユス卿を親しげにtorconnierという古い呼び名で呼んでいたのだ。この言葉は聖ルイ王の世には高利貸、徴税人、暴力的手段で税を絞り取る男といった意味を持っていた。宮廷にいまもなお残っているtortionnaire(拷問用の、乱暴な)という形容詞は、しばしばtortionnaireと綴られているtorconnierという語の意味をかなりよく説明している。」361.p
○ルイ11世
さてルイ11世だが、フランス絶対王政への端緒を開いた男と評価されている。「彼が少年時代に受けた戦争による傷病は、いつまでも暗い陰影を彼の心に残し、およそ正義や誠実感から離れた現実主義的な性格を形成させ、さらに王者に特有な支配欲と権勢欲がそれに結びついた」、15歳の時には早くも父の命令により、ギイエンヌやランドックの貴族の反乱や各地に出没する野武士を平定した後、17歳の時には「みずから貴族の反乱を利用して、父王の地位を奪い取ろうと考えるに至った」という猛烈な男だ。
様々な紆余曲折を経て王位につくと1480年代に王権による中央集権を達成し、その意味で「最初に近代国家をフランスに樹立した王である」。さまざまな有益な改革を実施し、度量衡の統一、国内の通行税の廃止など商業の発展にも尽くし「絶対王政の進むべき途を築いた」(この項、世界歴史事典、9-379.p)
バルザック「人間喜劇」全作品あらすじ (バルザック「人間喜劇」セレクション)
大矢 タカヤス / 藤原書店 (1999-05) / 4,104円9 users
タグ バルザック カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 文学・評論 更新日:2009年05月07日 23時24分33秒 2009/05/07
購入:   3,990円 所有
読了:  読了
モーツアルトを聴かなければ、モーツアルトのピアノ・ソナタの「あらすじ」(そんなものがあるかどうか??)を聞いた所で意味がないのと同じ、文学作品の「あらすじ」に意味があるとは思わない。とりわけ、バルザックのように細部の描写に懇精を傾け、微に入り細を尽くして描きだし、時に河原に宝石でも散りばめた様に投げ出されている片言隻語に尽きせぬ興趣を抱かせる作家の作品の「あらすじ」など、河原の瓦礫のみを集めたに等しい。
ところが一方、バルザックの「人間喜劇」の作品群に限っては、その全貌が余りに巨大で多岐に亘っているために(もう二三十年は折に触れて付き合っているが、その全貌は未だに見渡していない)地図なしに歩き回るのは、まったくの暗闇を虚しく彷徨する、暗中模索の感を免れない。そんなもどかしい思いを、多少とも和らげるには、バルザックの作品を読む傍ら、地図代わりに、こんな本を参照しながら読むのも悪くない、などと相矛盾したことを平気で書けるのもバルザックの多面性ならではのこと。

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