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カテゴリ 読書 購入 所有 お気に入り 1 - 30件目 / 34件
史記列伝 5 (岩波文庫 青 214-5)
司馬 遷 /岩波書店 (1975-12-16) / 842円31 users
タグ 歴史 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 更新日:2012年06月16日 06時01分34秒 2012/06/16
所有 読中: 
・日者列伝&貨殖列伝を読む(12/06/16)
芭蕉句抄 (岩波新書 青版 414)
小宮 豊隆 /岩波書店 (1961-04-20) / 756円3 users
所有 読了:  2012年06月03日
・半世紀ぶりに通読、小宮さんの懇切な解説が付されているけれど、結局、一読、吾の感興に響くものだけが心に残る。
解説によって改めて感興を唆られる句は皆無か、一読三嘆、直感に訴える、あるいは感応する擬似体験の共有が前提になるか。
・夜窃かに虫は月下の栗を穿つ
・枯れ枝に烏のとまりたるや秋の暮
・似合しや新年古き米五升
・我がためか鶴食み残す芹の飯
・野ざらしを心に風のしむ身哉
・猿を聴く人捨て子に秋の風いかに
・冬の日や馬上に氷る影法師
歴史 下 (岩波文庫 青 405-3)
ヘロドトス /岩波書店 (1972-02-16) / 1,296円75 users
タグ 歴史 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 更新日:2012年05月11日 16時04分03秒 2012/05/11
所有 読了:  2012年05月11日
巻七、マラトンの戦いの報、ダレイオス及びクセルクセスの対ギリシャ戦争準備;ヘレスポントス海峡の架橋(架橋技術、7-34~36);ペルシャ軍の軍容(遠征軍の内訳、7-61~99);クセルクセスとデマラトスの会話(これほどの大軍を前にギリシャ軍は戦意を喪失せずに済むか?スパルタ人の気性)(7-101~104);ペルシャ軍の行軍に伴う沿道の対応(7-109~128);第三次戦争でのアテネの役割(アテネこそギリシャの救世主にほかならぬ。7-139);ギリシャ勢の同盟勧誘(7-148~;ギリシャ軍の防衛地点(7-172~178);クセルクセス軍(セピアス岬&テルモピュライに集結軍の総陣容、528万3千人、7-184~187);スパルタの闘い、とりわけレオニダスの戦闘ぶり&戦死;テルモピュライの戦い(8-211~239);テルモピュライの闘い直前のデルポイの巫女の託宣、7-220。(巻七読了、12/05/09)
巻八、ギリシャ側水軍;デルポイの怪異現象(8-37~39);サラミスの海戦(8-59~96;ペルシャ側アルテミシアの海戦回避の意見、8-68;テミストクレスの詭計、8-75;サラミス海戦域の地形図、下巻9-193.p参照);アリステイデスとテミストクレスの会話、8-79~81);ペルシャの早馬に依る飛脚制度=アンガレイオンangareion、8-98);クセルクセスの撤退行(8-99~120);マルドニオスと(マケドニアを介した)ギリシャ側との交渉(マルドニオスはWiki参照Mardonius参照、8-132~144)
巻九、ヘロドトスの典拠(9-16);訳について(9-17)に「おこがましくも夷狄の分際でギリシャ人を殺そうと企めば...云々」とあるが、A. D. Godley, Ed.(ペルセウス版)には「No, rather we will teach them that they whose slaying they have devised are men of Hellas.” Thus he exhorted them.」とあり、「夷狄の分際」云々に相当する表現はない!!;プラタイヤの戦い(マルドニオスとアテネ・メガラ&スパルタの陸戦)(9-1~);ギリシャ側兵力及び陣形(9-28~30、重装及び軽装兵総勢11万);ペルシャ側兵力および陣形(9-31~32ペルシャ軍30万及びギリシャ人部隊5万、他に騎兵部隊);スパルタの性情:「As for the Athenians, they stood unmoved at their post, well aware that the purposes and the promises of Lacedaemonians were not alike.」(9-54);マルドニオスの戦死(9-63~65);ペルシャ軍の敗走(30万の総勢のうちアルタバゾスが率いて敗走した4万を除いて生き残ったものは三千に足らぬ云々、9-71);ミュカレの海戦(9-90~
百人一首一夕話 上 (岩波文庫 黄 235-1)
尾崎 雅嘉 , 古川 久 /岩波書店 (1972-12-16) / 1,102円17 users
タグ 文学 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 古典 更新日:2012年04月29日 06時04分53秒 2012/04/29
所有 読中: 
・江戸時代後期の尾崎雅嘉の作。岩波文庫には上下二巻で収録される。第一版は1972年12月に出版され、550円。小生、39歳の時、84年4月発刊の第13刷で購入。
・上巻は巻五、三条院の「心にもあらで憂き世に....云々」までを含む。各詩に挿画数葉を挟み、また作者略伝とともに作者にまつわる話が添えられている。
・この本の価値は、何よりも挿画及び「作者にまつわる話」にあり、冒頭、天智天皇には「大化改新」のクーデターが語られる。
・巻一のうち、天智天皇&持統天皇の詩は、共に庶民を思う心が歌われて良しと思う。山部赤人及び安倍仲麿の抒情歌も好ましいが、他は詰まらぬ。
・数日前から読み始め、巻一を読了(4/29)。
・巻二は、未練気な人を恋する詩ばかり也、但し参議篁の「わたの原八十島かけて漕ぎいでぬと人には告げよ蛋の釣舟」と光孝天皇の「君がため春の野にいでて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ」の二首は出色。巻二読了(5/1)。なお「蛋」は蛋人または蛋民で、福建地方の舟を住処とする漁労民。国字では「あま」と読み、海人また漁夫の意味。
復活〈上〉 (岩波文庫)
トルストイ /岩波書店 (1979-05-16) / - 16 users
所有 読了:  2012年05月30日
・「教材」に載っているものを別にすれば、本格的な文学作品の中で(探偵小説やら宇宙冒険物語などはさんざん読んでいたが)初めて読んだ記憶のあるのはトルストイの「戦争と平和」と「復活」だったようだ(中学1年の頃)。「戦争と平和」は、冒頭の長ったらしい宮廷会話にうんざりして面白そうな場面だけを拾い読みして、次第に読む範囲を広げていった。「復活」には階級社会の不条理を描いたとの印象だけが残っている。
・岩波文庫版の本書は1984年改版だから、やや三十年ぶりの再読になる。その時の記録はない。それから再びやや三十年して手に取ってみた。尤も、この三十年は単なる偶然だ。
・売春宿での商人スメリコーフ毒殺事件を巡る裁判で、陪審員に指名されたネフリュードフは、被告人席にかつて自分が誘惑したカチューシャ(マースロワ)を見出し、「自分と気づかれるのではないか」と愕然とする。
・長々と続く裁判の茶番ぶり;検事補「ひとり遺伝から犯罪を帰納しうるばかりではなく、犯罪から遺伝を帰納しうる」云々
・陪審員の審議、長々と続く審議にうんざりして、一刻も早く結論を出して終わりにしたいという気分に覆われ、最後はまるで丁半勝負同様(ラブレーの風刺小説をあげて)に結論をだした。マースロフについては「略奪の意志なく」「殺害の意志なく」何の目的もないまま殺人を犯したことにされてしまい、裁判長はその不条理を充分に承知しつつ、「殺人」に対して身分権を剥奪し余年の徒刑と決定される。一方、陪審員は、当然、情状酌量されるものと思い込んでいたので、ことの意外さに一驚する。
・コトの結果にいたたまれず、ネフリュードフは過去の懸念を捨てて弁護士に相談し、上告手続きを取る。
・ネフリュードフの一方的な懺悔のマースロフとの信条のすれ違い。ネフリュードフの懺悔の思いは「自己満足」から発するものかどうか?
・第二編は、広大な領地を平均地代よりはるかに安い地代で「百姓」に貸付、彼らを農奴的身分から解放する試みから始まる。百姓の暮らしぶり。
幸田 露伴 /岩波書店 (1978-12) / 3,240円3 users
読了:  2012年03月24日
・一切経の伝、史記の作者、漢書の作者を読む(12/02/17)
日本的霊性 (岩波文庫)
鈴木 大拙 /岩波書店 (1972-10-16) / 842円129 users
所有 読中: 
・89/01/13に「いつ読了するか不明だが、線引跡を見るに読了。この日再読」とある。95/03/19に「再々読、非常に能く了解する」とある。
・改めて解説を読む(12/03/22)。
・「即非の論理」が仏教的思惟の根本である。
・いわゆる知識は、主客の分裂を前提とする。分別知の所産である。主客が分裂する以前の状態=「有りのままのある」、言い換えれば主観による変容を受ける以前の「物の真実を直感」する能力、分別知を排斥した直感する能力、これを知恵という。「般若」または「般若の知恵」と称する。
・人間の全存在は「知性の世界」だけでは尽くせない。我々の存在の根底をなし、知情意を働かせる原理となるもの、それが霊性である。霊性的自覚は、分別の否定によってのみ可能である。
・日本民族の中に普く日本的霊性が覚醒されたのは鎌倉時代である。この時代に、二つの方面において、すなわち禅と浄土系思想において自覚された。
陶淵明全集〈上〉 (岩波文庫)
陶 淵明 /岩波書店 (1990-01-16) / 713円21 users
所有 読中: 
史記列伝 全5冊 (岩波文庫)
司馬遷 /岩波書店 (1995-07) / 4,320円10 users
タグ 歴史 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 更新日:2012年03月02日 08時52分13秒 2012/03/02
所有 読中: 
・冒頭に小川環樹の「はじめに」(1975年5月記)が載っている。それによると本書は筑摩書房【世界古典文学全集第20巻】所収の一冊とわかる。「原文の一字ももらさず翻訳するようにつとめた」とあるから、本文の字句の一字一句の意味を丁寧に考えるには便利だが、原文は載ってない。また「扁鵲倉公列伝」と「亀策列伝」のみは医学及び亀卜に関する記述で「私ども訳者の学力甚だ浅く、正確に訳しうる自信がないから」「省略」したとある。ほぼ全文翻訳にあたる。
・奥書に、「1980年4月第9刷」とあるから、35歳の頃読んだと分かる。それ以降、
啓蒙の弁証法―哲学的断想 (岩波文庫)
ホルクハイマー , アドルノ /岩波書店 (2007-01-16) / 1,360円83 users
読了:  2012年01月31日
・図書館から借りる。
・池田信夫Blogの紹介で知る(参照)。
・論旨は、ある意味で、単純にして明快。野蛮は啓蒙の契機を内包し、啓蒙もまた野蛮への契機を内包すると共に、やがてそれへと転化するというのが、本書の題名の含意と理解する。序文の「なぜに人類は、真に人間的な状態に踏み入っていく代わりに、一種の新しい野蛮状態に落ち込んでいくのか」という問いかけに、すべてが要約されている。
・課題は明瞭であり、かつ深刻でもある。しかし内容は、難解と言うより晦渋、豊かな歴史的・具体的事実を踏まえた分析と云うより、形式的・抽象的分析にすぎるとの印象。
・僕には、この時期、併読していた【白い道】やツヴァイクの【エラスムスの勝利と悲劇】のほうが、人間解放の思想として登場した革命的思想が、大衆の間に浸透し、一つの宗派を形成し、やがて思想信条として固定化され・定式化されていくと共に、内部分裂し、分化と対立を生み出し、反対物・対立物へと転化していくかの過程を活き活きと描き出しているように思われる。
レオナルド・ダ・ヴィンチ /岩波書店 (1985-07) / 2,243円2 users
読了:  2012年01月25日
・岩槻図書館から借り出し。
・No.1から50までの通し番号を付された素描画、その内、何点かはチョークで描かれたままの写真が掲載されている。老人、殖物、花、風景(山脈、岩石)、水、奔流、大洪水等々。
・1489~90年頃の作品集と推定されている。
・デッサンの対象を描くにあたって、対象をいかに深く研究し、かつ対象の研究を通してデッサンのタッチがどのように変化していったかが分かるような編集。
・ダ・ヴィンチにとって、デッサンはそれ自体が研究であり、「水の運動と互いに混ざり合う細かい岩石の破片や、塵や煙によって視覚化される風の運動とは、画家の関心事であるに違いないが、それにもかかわらずレオナルド自身は、効果に対する画家としての興味と、原因に対する哲学者としての関心との間に明確な境界線を引くことをためらっているように見える」云々⇒もっと積極的に肯定していたのじゃないか」と感じるな。
断腸亭日乗 〈第5巻〉 昭和十五年−十九年
永井 荷風 /岩波書店 (2002-01-07) / 5,670円1 users
所有 読了:  2012年01月16日
◆以下「作業日誌」(12/01/16から転載)
・昭和15年2月20日に「尿中タンパク質顕著。かつまた血圧やや高しとて、院長頻りに菜食の要あるを説く。余窃かに思う所あり。余齡
すでに六十を越えたり。希望ある世の中ならば節制節慾して残生を愉しむもまた悪しきにあらざるべし。されど今日の如き兵乱の世に
ありては長寿を保つほど悲惨あるはなし。平生好むところのものを食して天命を終わるも何の悔いるところかあらん。浅草にいたり松喜
食堂に鶏肉を食し玉の井を歩みて帰る」云々、17p⇒単に高等遊民の繰り言に過ぎず
・8/01、「街頭には贅沢は敵だと書きし立て札を出し、愛国婦人連辻々にたって通行人に触書をわたす噂有りたれば、その有様を見んと
用事を兼ねて家を出しなり」。また欄外に「贅沢は敵なりという語はロシア共産党政府樹立の際用いたる街頭宣伝語の直訳という」、54p
⇒この日、「国民精神総動員本部、東京市内に〈贅沢は敵だ!〉の立て看板1500本配置」(近代日本総合年表から)
・9/27、日独伊三国同盟締結に際し、「自ら辞を低くし腰を屈して侵略不仁の国と盟約をなす国家の恥辱これより大なるはなし其の原因
は....畢竟儒教の衰滅したるに因る云々」74p(下線は引用者)
・10/03、旧約聖書を読む。日本人排外思想の拠って来る所を究めんと欲するのみならず....云々、76p
・11/10、専ら人のうわさする巷説、「新政治家の中の末信中野橋本その他の一味は過激な共産主義者...軍人中この一味に加わるもの
少なからず。而して近衛公は過激な革命運動を防止せんと苦心しつつあり。近衛の運動費は久原小林などより寄付せし...云々」98p
・11/16、花電車、「病院内にて花電車を見たることなしと云うもの三分の二以上にて、これを知るものは四十余りの者ばかりなりとの事より
推測して、現在東京に居住するものの大半は昭和十年以後地方より移り来たりし者なることを知れリ。...今回の新政治も田舎漢のつくり
出せしものと思えばさして驚くにも及ばず。フランス革命又明治維新の変などとは全く性質と品致とを異にするものなり」101p
⇒花電車は紀元2600年祝賀行事の一環か、「新政治」とは言うまでもなく「大政翼賛会」の事。
・12月、贅沢は敵だ」の緊縮世情の中、贅沢三昧の軍人壮士の振る舞い、貧富の懸隔広がる様を風刺する戯れ詩、104、115-118p
・12月末、「今年は思いがけぬことばかり多かりし年なりき。米屋炭屋、菓子など商うもの又金物木綿などの問屋、全て手堅き商人は商売
立ちゆき難く先祖代々の家蔵を売りしものも少なからざるに、雑誌発行人芝居興行師の如き水商売をなす者一人として口腹を肥やさざるは
なし。石が浮かんで木の葉の沈むが如し」125p
・昭和16年正月、「去年の秋ごろより軍人政府の専横一層甚だしく世の中遂に一変せし今日になりて見れば...不便なる自炊生活その折々
の感慨に適応し今はなかなか改めがたきまで嬉しき心地せらるること多くなり行きけり。...斯くの如き心の自由空想の自由のみはいかに
暴悪なる政府の権力とても之を束縛すること能わず」129p
年表上からは日独伊三国同盟締結、大政翼賛会発足及びそれに伴う各種団体政党の「自発的」解散、内務省図書課・警視庁検閲課
などの新聞雑誌の整理統合などの出版統制強化などが伺われるが、「軍人政府の専横」とは具体的に何を指すか。昭和15年1月に成立
した米内内閣は倒閣のため陸軍首脳部が画策した畑陸相の単独辞職に拠って総辞職に追い込まれ、代わって近衛内閣が登場した。明ら
かな陸軍の「専横」だが、このような内部事情は当時一般に知られていたか。

・5/11、市中の風聞、いろいろ;築地辺の待合料理店は引き続き軍人のお客にて繁盛一方ならず。公然輸出入禁止品を使用するのみ
ならず暴利を貪りて...」云々、168p
・6月、時局についての意見、日記のこと等、「日支今回の戦争は日本軍の張作霖暗殺及び満州侵略に始まる」云々177p
・昭和17年4月、巷の噂、226事件の反乱の兵卒の戦地にて優遇せられし話、南京占領および中華人のおびただしく殺されしに、戦争の
何たるかにつての無関心等々、267p
・昭和18年1/25、街談録、昭和12年より浪費した戦費の合算は支那人戦死者一人につき二千円...この度の戦争の愚劣なること..云々、
316p
・2/03、町会より本年中隔月に百五六十円債権押売のこと申し来たれリ、318p
・5/04、近県への食料品等買い出しの事、夕刻までに数千人が捉えられるが、その大半は鉄道及び郵便局の役員...云々、344p
・5/17、文学報国会、荷風の名を無断借用、菊池寛が創設し、(余の嫌悪セル)徳富蘇峰が会長、346p
・5/26、近頃物品の闇相場、349p
・9/09、上野動物園の猛獣は毒殺...帝都修羅の巷となるべきを予期..云々、379p
・9/28、10月中には米国飛行機必来襲すべしとの風説...、386p
・10/03、「世の中は星に錨に闇と顔馬鹿な人達立って行列とやら云う落首を口にする者さえなきようになりぬ、388p
・10/09、国民預金の強制勧告...390p
・12/22、世間の噂、いかほど職工を増やしても資材不足でどの軍需工場も夜間業務は中止、この様子では来年6月までには戦争は終局
...416p
・昭和19年4/10、市中至る所疎開空襲必至の貼札を見る。一昨年4月敵機来襲の後市外へ転居するものを見れば卑怯といい非国民など
と罵りしに18年冬頃より俄に疎開の語を作りだし民家離散取り払いを迫る。朝令暮改笑うべき...云々441p
・4/11、食物闇値一覧、442p
・東京の繁華は昭和八九年を以て終局を告げたるものと見るべし...455p
◆「俗と反俗は釘と金槌」
・第23巻「月報」に開高健が書いている。荷風老人は後足で砂をかけ、実人生からオリてしまった。その癖、実人生への興味津々、巷の
風説、街談に耳を済まし、日記に書き留めた。「私に云わせれば、荷風散人は決して実人生からオリ切ることが出来なかった。俗物を離れ
て反俗精神が成り立たないことは、釘を離れて金槌が存在し得ないのと同じである...云々」、この好奇心が最も良く映し出されているのが、
昭和18-19年の日記か。戦時下東京の実相の一面を映し出す良き鏡。
新版 断腸亭日乗〈第4巻〉昭和十一年‐昭和十四年
永井 荷風 /岩波書店 (2001-12-05) / 5,400円2 users
読了:  2012年01月03日
Media Markerの読書日誌としての便利さを思い、一年ぶりに更新を再開する。記事の索引として利用できる使い方。
・昭和33年発行の全集版第22巻で所持する。【日記に読む近代日本】の第4巻(昭和前期)に紹介されている。昔、岩波文庫の摘録で読んだが、この機会に全編を読みたくなり、全集版で改めて購入する。
・「公表」を前提にした日記で、読者を予定した「作品であり商品であるがゆえに、原本・刊本共に複雑な改訂が加えられている」(【日記に読む...】150.p)というが、刊本毎の違いや改訂の後にまでは関心がない。
・47p、11/4/6、手紙封筒に戒厳令云々の朱印
・145p、12/3/13、市会議員選挙の宣伝、浪花節で棄権防止の訴え、抱腹絶倒
・222p、12/10/23、ジイドのソヴィエト紀行修正を読む云々
・223p、12/11/3、大日本中央文化連盟の「辞令風」印刷物来たり、文筆を焚くべき日遠からず云々
・228p、12/11/19、むく鳥通信よみて眠るとあり多分、その一節の引用か?「東京の生活いまだ甚だしく窮迫に至らざる...戦争もお祭り騒ぎの賑やかさ云々」
・254p、13/2/17、中央公論社佐藤氏、支那戦地視察を勧める云々
・402p、14/8/22、日英会談不調で株暴落
・404p、14/8/28、突然の独ソ同盟で平沼内閣倒れる
・同前、14/8/29、独ソ同盟に伴う立て看板などに反映した街の動揺ぶり
・407p、電力不足に伴う不便
・426-428p、炭、白米の不足、コメ不足対策に警察署が率先して犬殺し云々
インカ・ガルシラーソ・デ・ラ・ベーガ /岩波書店 (1985-11) / 5,250円1 users
読了:  2011年01月29日
・11/01/25岩槻図書館で借りる。
・インカ王は新たに王国あるいは地方を征服すると、まず太陽崇拝とインカの規律に従って統治の礎を築き、更に住民の生活様式を定めた後、耕地を増やすように命じたが、この耕地とはトウモロコシのなる畑のことであり、この目的のため灌漑技師が派遣された。....技師たちは、利用しうる土地の広さに応じて、それに必要なだけの水路を開いたが、それというのも、元来ペルーの土地はひどく痩せていて穀物の栽培に適さなかったため、それを開墾して、出来る限り耕地を増やそうと努めたからである。380.p
・こうして拡大した各地方の全ての耕地を、それぞれ町ごとに測定し、それを三つに分けた。すなわち、その一つを太陽に、また一つをインカ王に、残りの一つを住民に属するものとした。この分配にあたっては、住民が自分たちのタネを播く畑を充分に所有するよう、常に配慮がなされ、大抵の場合、むしろ余分に与えられた。そして、ある町の、あるいはある地方の人口が増えた場合、太陽とインカ王に割り当てられた土地の一部が臣下に回された。従って、王が自分と太陽のために保持していた土地というのは、そうでもしなければ所有主を欠き、荒廃に帰してしまうことになる耕地だったのである。段々畑は大体において、太陽とインカ王に割り当てられたが、それというのも、段々畑の造営を命じたのがインカ王だったからである。灌漑されたトウモロコシ畑の他に、水の引かれていない耕地もまた分配され、そこでは乾地農法によって、別の穀物や野菜、例えばパパ、オカ、アニュスと呼ばれる、非常に重要な作物の種がまかれた。このような耕地の分配もまたきちんと三分割によって行われ、太陽、インカ王と同様、臣下に三分の一が与えられた。しかし、こうした土地は水不足故に生産性が低いので、一、二年耕しただけでこれを休ませ、今度はまた別の土地を分配する、ということが繰り返された。このように彼らは、循環的に使用することによって絶えず豊富な収穫が得られるよう、やせ地を見事に管理運営していたのである。381.p
溪内 謙 /岩波書店 (1970-11-05) / 3円3 users
所有 読了:  2010年10月18日
・再読、1926~29年の農村の政治的展開の分析。
・27年末からの穀物調達危機を通して、28年1月以降非常措置が実施された(「非常措置」の具体的分析・実施過程の状況は、391.p以降)。非常措置の実施を通して、党組織及び国家組織の組織原則は抜本的に侵犯され、また党と国家との機能上の区分は事実上消滅する。当初、異例の措置として実施された憲法的組織原則の侵犯は、非常措置そのものが常態化していく過程で、ソヴィエト国家と党との新しい組織原則、スターリン政治体制の構造的原理と化していくのである。361.p
・ソヴィエト史における重要な(政策的)転換は、これまですべて穀物問題と密接に結びついていた(戦時共産主義の食料徴発制、ネップの食糧税、24年秋の新政策etc)。穀物問題は経済政策的問題にとどまらず、優れて政治的な問題であった(都市の党であり、農村に社会的支柱を欠いている。農民を体制側に如何に引き寄せるか)。穀物問題の経済的側面と政治的側面は二律背反的に現れてきた。364.p
・(穀物調達危機の性質めぐる)ブハーリン派とスターリン派の分岐は、28年前半には存在したが、表面化せず、外見的にはブハーリン的観点で統一されていた。7月の党中央委員会総会で、初めてスターリンとブハーリンの先鋭な対立が伝えられ(あるいは表面化し)、11月の党中央委員会総会以降は、危機の原因についてのスターリン的観点(もっぱら政治的に捉える)が支配的になる。368.p...ルイコフが原因を「経済的」側面に限定したのに対して、スターリンは、クラーク、調達機関、党、貧農、農村の階級闘争など政治の次元に焦点を収斂させた。374.p
穀物調達危機の深刻化に伴い、調達の自発的・経済的手段に代わって、強制的・権力的手段が「非常措置」として導入された。最初は、一時的・例外的「措置」とみなされたものが、穀物調達危機の常態化に伴って常態化し、やがて原則として定着した。従って、この時期(27-28年)の穀物調達危機をめぐる「非常措置」は、スターリン政治体制(むき出しの暴力的措置を根幹とする権力支配)への決定的な転機とみなすべきか。
・(28年1月以降)都市と農村の結合の基本形態として、これまで維持されてきた原則、経済的には市場関係を媒介にする原則、政治的には農民の大多数に権力的強制の適用を行わず、説得と合意の調達とに基づいて農民との協力関係を確立しようとする原則の否定、420.p
・農村からの「余剰貨幣」の引き揚げ措置、債権の発行&割当、自己課税、租税その他の農民の支払金の徴収。本来的には、工業化のための資本蓄積の必要という観点から発想されていた(いわゆる「社会主義的原蓄」)が、調達危機が深化するのに伴って、当面の危機打開の方策に結び付けられ、それと共に農民の自発性尊重の原則は軽視され、強制力の行使もやむを得ないという観点が優位を占めるに至った。421.p
・自己課税、伝統的な農民の共同体における自治の物質的基礎を確保する手段として古くから発達していた制度で、各農家が村落の管理のための費用、労役を分担するもので、貨幣、現物及び労働の三種類の分担方式があった。この課税を拘束したのは、国家権力ではなく、共同体の伝統的な力であった。..当初は維持されたが、..1924年になって、国家財政の体系化、統一化の過程が農村まで下降していくのに伴い、国家権力との統一性に矛盾する制度として批判された。428.p..1927年8月「住民の自己課税について」の全連邦的立法、432.p..(28年の自己課税カンパニアと共に、自治的・自己管理的性格は否定され、国家財政の一部に組み入れられ、権力的・命令的・強制的・懲罰的な徴発に変わっていく。443-455.p参照)
・土地政策に関する階級的方針、(穀物)調達カンパニアに関連して提起された土地政策に関する階級的方針とは、具体的には、主にクラークの土地利用の制限の強化とクラークの土地余剰の没収(455.p)、地方の活動家にとってクラークとは誰であるかの基準は明確でない場合が多く、たとえ基準が明確にされたとしても、商品穀物の主要な保有者が中農である以上、調達目標の早急な達成という目的からすれば、適応をクラークに限定することは困難であった(458.p)。
・非常措置の核心は、投機抑圧を規定した刑法107条を、穀物調達のために、穀物を隠匿または投機したとみられる農民に広く適用したこと(457.p)、ウクライナでは穀物摘発のための家宅捜索、農民の逮捕、没収の措置が広く適用された。これに併行して、穀物を隠匿または投機した者に対する効率の自己課税その他の賦課、多額の債権の割当、土地の没収などが行われた。このような措置は27年末までは、スターリンを含めた党主流派によって戦時共産主義政策への復活として、左派に対する攻撃の口実に利用され、非難されていた(458.p)。
・非常措置の性格、「行き過ぎ」「臨時的・一時的」をめぐって、「28年以降の党内闘争の重大な争点」になる。463.p
・4月総会の決定は「穀物調達における困難の解消に比例して」非常措置がなくなる見通しを述べたが、4月以降党の予想に反して穀物調達は一層激化した形で再現し、農民の備荒用の貯蔵穀物までも調達の対象とされるにいたり、そのために非常措置が反覆され、行政上の専断行為が行われ、革命的適法性が侵犯され、農戸の戸別巡視、不法な家宅捜査などが行われ、これが国の政治情勢を悪化させ、労働者と農民の結合が危険にさらされるに至った。466.p
28年1-3月の調達カンパニアの中間的、過渡的性格:4月総会の決定の一節(第15回大会のスローガン「クラーク層に対する攻勢をさらに発展させよ」は、大社会主義工業と小農経営との結合の唯一の正しい形態であるところの「新経済政策」を基礎としてのみ、またプロレタリア国家の革命的適法性の厳格な実行に基づいてのみ、実現される)に表現されている。504.p、◆参考:28年1月の調達実績(491.p)、2月の調達実績(495-496.p)
農村における階級関係の実相:1929年末の集団化の急激な展開とそこに至るまでの発展とを農村における階級分化の自然発生的深化もしくは農業生産力と農業生産関係の矛盾の発現として捉えることは、事実を正しく認識するための接近とはなりえない。政治過程に浮上する農村の政治関係は、貧農間の活動に典型的な例を見るように、農村外からの階級的な組織化あるいは抑圧というすぐれて政治的な働きかけに常に関わっていたのであって、上からの政治的な働きかけを別として独立した階級関係の実在を客観的に確認することはほとんど不可能、539p(やや迂遠な表現を取っているが、要するに、クラーク、中農、貧農という階級的区分は農村の社会関係の実相を反映するものというより、政治的要請(ないし配慮)から生じた恣意的分類だ、ということではないか。恣意的性格については、第四章の2、「クラーク」598-626.pで具体的に分析されている。
農村の社会主義化:第15回党大会は「農村の社会主義化」を基本的任務として掲げた。その実際の過程は、「大局的に見て、貧農、バトラーク間の活動の本来的目的、すなわち、農村内部における農業の社会主義化のための主体的勢力を形成し、これを中核として農民の大多数を結集して、彼らの合意と支持を得て漸進的集団化を実現するという目的は、活動が先鋭な危機を打開するための諸方策に連結されることによって後景に退き、さらにこれらの方策実現のための手段、方法がこの活動に浸透することによって、この活動に本来的に含意されていた下からの自発性の契機は、上からの行政的方法、強制にとって変わられいったのであった。545.p
伝統的な農村共同体と村ソヴィエト、ストルイピン改革後、農村共同体は急速に崩壊し、10月革命までに農民経営の半ばが共同体を離れていた。しかし革命後、急速に復活し、農村における支配的な土地関係、社会関係になった。復活の要因として(取り敢えず)考えられるのは、エス・エルの綱領に基づく土地改革実施、共同体的土地再配分、戦時共産主義下の商品流通の制限、革命前の共同体的関係解体の不完全性、ロシア農民のオプシチナ的集団主義の精神、639.p
・(伝統的な農村共同体が存在する。それに対して、革命は階級的・自治的な農民組織を結成し、取り敢えずは伝統的農村共同体を破壊しようとまでは意図しないまでも、それに代わる階級的自治組織を結成しようとした。実質的に成功しなかったことは)第15回党大会以降村ソヴィエトの指導制の強化のため、その物質的基礎の強化、特に村ソヴィエトの独自予算の確立が叫ばれたが、1926-27年に、ロシア共和国の5.7万余の村ソヴィエトのうち独自予算を持つのは3%に過ぎなかった。647.p


◆年表
1927/08/24、全連邦的立法「住民の自己課税について」、432.p
1927/12/02-12/19、第15回党大会、政治報告(スターリン)、五カ年計画作成のための指令(ルイコフ)、コミンテルンのソ連代表団の報告(ブハーリン)。穀物調達危機に関してはルイコフ&ミコヤンが触れる。356.p
1928.02/13、政治局指令、494.p
1928/03/22、全ウクライナ中央執行委員会「不法に占拠された土地余剰の摘発と没収のための措置について」決議を採択、456.p
1928/03/24&6/21、全露中央執行委員会幹部会付属の土地係争最高統制特別参与会総会の決定、クラークの土地利用の制限強化、455.p
1928/04、党中央委員会・中央統制委員会合同総会、466.p
1928/12/15、土地立法の成立、678.p
戦時期日本の精神史―1931‐1945年 (岩波現代文庫)
鶴見 俊輔 /岩波書店 (2001-04-16) / 1,274円27 users
購入:   1,155円 所有
読了:  2010年09月20日
◆10/09/17から再読(精読する価値のあるもの、ないものを分けて、不要な本は処分するため読み始める。この日以降(10/09/18)、原則として、手持ちの全部の本に目を通す。拾読、斜読、通読、精読、熟読の如何にかかわらず。その最初の一冊として、偶然、手にした。)。
戦時下の日本人(特に知的エリート)の精神的有り様を外側から(「戦時下」は米国の捕虜収容所で過ごし、戦後帰国して後、高度成長下という条件の下で描いたという二重の意味での「外側」)描いたものとして制約と非制約性を併せ持っている可能性。その意味で、同時代的記録とあわせ読む必要がある。
本書扉裏の紹介に「ファシズム支配下の日本の知識人の軌跡を通して”転向”の事実と意味を問い直し、それがわが国の精神史を貫く”文化の鎖国性”という特質と通底することを明らかにした」云々とある。この”文化の鎖国性”を、もっとも深いところで認めるべきかどうか、ある特殊な時代の時代精神としてのみ認めるべきか、日本文化の一般的特質として認めるべきかどうか、今の僕には判断できかねる。
・国家宗教の密教と顕教、56-59.p
・明治以後の政府には、民主政治としての性格があるとともに、神政政治としての性格があり、いかに両者が組み合わさっていたか、織り交ぜられていたか、62.p
・日本人の政治活動の三つの役割分担(丸山真男の見解)おみこし、役人、無法者、62.p
・国民を欺瞞し続けた結果、国家指導者自身がその欺瞞に絡めとられ、自己欺瞞に陥った例、あるいは国家宗教の顕教の部分がその密教部分を飲み込んでしまった例⇒太平洋戦争へと踏み切らせた決断の背後にあったもの、66-67.p
・15年戦争、満州事変以降の一連の戦争はそれぞれ別個のものではなく、ひと繫がりの連続的な戦争であったと捉えるべきだが、それにもかかわらず、この長い戦争の背後には戦争指導の設計者というものはいなかった。「この長い戦争が続いたのは、それを止める力を政府が持っていなかったという理由に基づく。...
日本文化の鎖国性という条件がなければ、このような戦争は続けられなかったに相違ない。」82.p
・「非転向の形」の中で、日本人の宗教心を扱っている。一般人の常識的な宗教心とともに明治初期の隠れキリシタンおよび戦時中の隠れ仏教徒(国家至上主義に対する異議申し立て)。
・朝鮮と朝鮮人に対する日本人の態度を見ることを通して、日本人の思想を一種の分光器による分析にかけることが出来ます。118.p
・(ある年代以上の日本人にとって)戦争中の記憶は(特に中国での記憶)、嫌な記憶です。....戦争中に起こった出来事をどのように覚えているか、どのようにそれを心の中ですり替えて別のものにしているか、それを表現しているか、それを調べてみることは、日本文化を理解するひとつの手がかりを与えます。171.p
◆読んで見たい、あるいは読み直してみたい本が、沢山紹介されている。
ミクロへ,さらにミクロへ―量子力学の世界 (物理読本 (2))
戸田 盛和 /岩波書店 (1998-02-25) / 2,520円6 users
読了:  2010年02月17日
◆さいたま市図書館、10/01/06
・『シュレーディンガーの猫』(上)を読んでから、改めて読み返してみる。ほぼ同一内容を扱っているが、展開方法はこっちの方が遥かに、分かりやすいな。
直観でわかる数学
畑村 洋太郎 /岩波書店 (2004-09-08) / 2,052円203 users
読了:  2010年02月13日
◆さいたま市図書館、10/02/12
・レビュー(参照)を見ると評価が両極端に分かれる。「本質をズバッと教えてくれる」という評価のある一方、「著者は良く解ってないのではないかと感じてしまう」との評価もある。僕自身の評価は、ちょっと分かった気にさせてくれるが、いざ本物に自分で立ち向かってみると「やっぱり分かっていなかったと分からせてくれる本」でしかない。
・裏表紙の扉に「この本の読者対象」として7項目あげてあり、「これまでの数学本では飽きたらない人」「なんだ、そんなことだったのか!と溜飲を下げたい人」とあるが、その意味では 「真剣勝負を避けて、本物に触れた気にさせる」紛い物でしかない。要するに上澄みを舐めさせて本物に触れた気にさせる本。とはいえ書いてある中味じたいが紛い物というわけではないし、ちょっと面白い指摘もないわけではない。
プリゴジンの考えてきたこと (岩波科学ライブラリー (67))
北原 和夫 /岩波書店 (1999-04-22) / 1,296円23 users
読了:  2010年01月17日
◆さいたま市図書館、10/01/15
・日本では純粋科学である分子生物学上の発見は、研究室中だけのことであり、日常生活に影響を与えるようなものではないと一般的には思われている。/ヨーロッパでは、科学の新発見が、個人個人の存在基盤を揺るがすものとして意識されていたということになる。4.p
・(プリゴジンの言葉)戦争末期まで、アウシュヴィッツへの列車は連日休むことなく動いていた。そして、毎日多数の人々がガス室に送り込まれた。連合国は大いなる罪が行われていることを知りながら、なぜアウシュヴィッツ収容所行きの線路を破壊しなかったのか不可解な歴史だ。44.p
・時間には幾何学的時間と統計的時間がある。力学、相対論の時間は幾何学的であって、光速一定の条件から長さに還元されるものである。そこには発展とか進化の概念がない。しかし、我々の実感からして時間には向きがあって、世界はある方向に発展進化している。不可逆現象と結びついた統計的時間が過去と未来を区別する。50.p
・鉄のような物質が温度によって強磁性になったり、常磁性になったりするのは、一個一個の原子レベルでも大きな変化が起こっているような気がするが、実際にはそうではない。原子の持つスピン自体は質的に変わっているわけではないし、隣り合うスピンの間の力も変わらない。結局、スピンの間の揃おうとする力と、温度によって与えられる揺らぎとの拮抗で、マクロに強磁性状態になったり、磁性を持たない状態になったりするのである。/ところが、本来のニュートン力学の考え方からすると、揺らぎとか温度などという統計的な概念はなく、すべての原子のスピンに関する運動方程式を解けばマクロな状態も説明がつく(べきだ)という論理になっている。57.p
・我々が日常目にする巨視的な系は、平衡状態では静止した均質な状態である。例えば空気のような気体の場合、その存在を敢えて意識しない限り気付かないほど安定した状態である。しかし、一モルの気体はアボガドロ数という一兆のそのまた一兆の莫大な数の分子からなり、それぞれの分子は互いに衝突して複雑な運動をしている。この複雑さは、むしろマクロな安定性を保証する前提となるのである。90.p
・(閉鎖系では)平衡状態とは、エントロピー最大となる状態である。従って、非平衡状態ではエントロピーは生成されて最大値に向かおうとする。しかし外界と接触している開放系では、エネルギー、物資の流入・除去に際して、エントロピーも流入・除去されるが、物質内部で生成される部分のエントロピーをエントロピー生成と呼ぶ。これは物質内部の不可逆過程に伴うものである。/エントロピー生成がゼロという状態が平衡状態である。従って、エントロピー生成が小さいということが平衡状態に近いということである。外的条件を与えて、平衡状態に戻らないような仕掛けをしても、系は出来るだけ平衡状態に近い状態に落ち着こうとする傾向がある。実際に、平衡状態から余り離れていない場合、すなわち、熱流と温度勾配が余り離れていない場合、エントロピー生成速度は次第に減少していく。/ところが、平衡状態から遠く離れた場合、熱流と温度勾配の間の比例関係は破れてくる。何が起こるかというと、流体全体が動き出し、もっと効率よく熱を下から上に輸送する。流体は下から暖められて膨張して軽くなり、浮力によって上昇しようとする。しかし浮力が充分でないと、上昇しようとしても流体の粘性によって上昇は抑えられる。ところが温度差が大きくなると、熱伝導だけでは舌からの温度上昇を押さえられなくなり下方の流体は温まってきて、浮力が粘性に打ち勝って流体が下から上に動き出す。それと同時に、上の流体が下降する。これが対流発生の機構である。このように非平衡状態を強めると、新しいマクロな状態に転移する。この新しい状態においては、対流という秩序あるパターンが形成される。この新しい状態は平衡状態あるいは、その延長上にある熱伝導状態とは著しく異なる。というのは、粘性によって対流の持つ運動エネルギーが内部エネルギーに散逸していて、これがエントロピー生成の原因になる。熱伝導もエントロピーを生成する。つまり、新しい状態ではエントロピーを生成しながら、対流の構造が維持される。エントロピー生成を伴いながら、生成維持される構造を「散逸構造」と呼ぶ。/このような視点で自然現象を見ていくと、むしろ身の周りの大部分の現象は非平衡現象である。つまり、物質やエネルギーの移動が維持されている系である。我々のような生命現象も非平衡系における散逸構造と見なすことが出来る。93-95.p
散逸構造―自己秩序形成の物理学的基礎
G.ニコリス , I.プリゴジーヌ /岩波書店 (1980-01-18) / 6,804円10 users
読了:  2010年01月12日
◆さいたま市図書館、10/01/07
・本書の目的は「ゆらぎ増幅によって発生する散逸構造の出現を伴う、非平衡系の秩序化の研究」と表現できる。5.p(最も簡略に著者の思想が表現されている。ポイントは散逸構造&非平衡系の秩序化の理解にある。
巨視的レベルと微視的レベルの運動を統一的に扱いうるか?受精卵から成体への発育、高等哺乳動物の脳の機能、高等脊椎動物の免疫反応、さらには生物学の大問題である生体高分子の進化や生命の起源などにおいて生じている現象は、個々の分子レベルの微視的なスケールで生じる一連の出来事の巨視的、超分子的または超細胞的での発現である。/この点において、物理学と物理化学は新しい概念と新しい思想をもたらし得る。物理学や物理化学は共に、原子レベルと巨視的レベルの性質の相互関係を連続的に説明し取り扱うものである。事実、巨視的物体の観測し得る性質を原子の特性と相互作用から説明し、解釈することは、物理学の一分野である統計力学の目的である。我々の議論にとって、巨視的系のこの種の解析から得られるもっとも重要な結論の一つは、巨視的記述がある条件で定性的に新しい様相を持ち込むことがあるという点である。21.p
・今日、ほとんどの物理学者は、物理化学的系は必ず分子レベルで完全に無秩序な平衡状態に向かって進化するということを固く信じている。/エネルギーと物質を環境と交換することの無い孤立系においては、この傾向は熱力学第二法則で表現される。/一方、熱平衡にあって、一定温度の外界とエネルギー交換だけできる閉鎖系を考えると、....充分に低温状態では低エントロピーの秩序構造が形成される。この秩序化原理は結晶構造の発生や、相転移(Wiki、参照)を惹き起こすものである。/この原理は生物の秩序の起源を理解するのに充分であろうか?生命を特徴づける高度な秩序構造、さらには、細胞内における数千の化学反応の統制機能といったものを引き起こす莫大な数の分子の集合が生じる確率は、常温では無視できるほど小さい。例えば、100個のアミノ酸を持つタンパク質といった生体高分子を考えてみよう。天然には20個のアミノ酸がある。アミノ酸の特定配列によってタンパク質の生理的機能は決まるが、初期に任意の配列を与えて、その特定配列をとるまでの交換を行ったとき、必要な交換の数は20^100≒10^130であり、すべての配列は先験的に等確率であるとする。初期タンパク質の一つの構造変化が一回のアミノ酸交換によって生じ、交換に要する時間を仮に10^-8sと仮定しても、望みの方のタンパク質を得るのに必要な時間は、100^122sである(地球の年齢は、たかだか10^17sでしかない!)。/結論的に言うと、生体の秩序と、物理学の法則、特に熱力学第二法則との間の明らかな矛盾は、平衡の熱力学に沿って生体系を理解しようとする限りとり去りがたい。22-23.p
歴史序説 (2) (岩波文庫)
イブン=ハルドゥーン /岩波書店 (2001-08-17) / 972円14 users
購入:  2009年12月07日 945円 所有
読了:  2009年12月07日
◆三、四章を収録、王朝、王権、カリフ位、政府官職及び都市文明の形態が対象(国家、政府、権力、戦争、軍隊、文明、文化などの根源的・本質的・哲学的意味合いを考察するには、我々が眼前に見ている複雑に高度化され、乃至は偽装された形態においてではなく、一度、その単純化され、剥き出しで現れた形態に引き戻して見ることが重要である。その意味で、ハルドゥーンの指摘は多くの示唆に富んでいる。)
四種の戦争、隣接部族や対立氏族の間の戦争、他に対する侵害で起こる戦争、イスラム法による聖戦、離反者または非服従者に対する王朝の戦争、前二者は邪悪で不法な戦争、後二者は正しい戦争である。213.p
圧制とは、ただ所有者から動産や不動産を、補償もなく理由もなく没収することを意味するだけではない。ある人の財産を没収したり、強制労働に使役したり、不当な要求を強いたり、宗教法によって要求されていない義務を課したりする者、財産権を侵害する者、財産を詮索する者、人々の権利を否定する者、一般に暴力によって財産を得る者はいずれも圧制を行っている。255.p
・最大の圧制であり、最も文明の崩壊をもたらす行為のひとつは、労働の不当なる賦課であり、人民を強制労働に使用することである。労働とは貨幣収入価値をとういのがその理由である。257.p
・いかなる王権も二つの基盤の上に設立される。第一は武力と連帯意識であり、その具現は軍隊である。第二は財政資金であり、軍隊を養い、王権に必要な全組織を賄う。王朝の崩壊はこの二つの基盤に発生する。271.p
・人間はひとりでは生計に必要なものを獲得できない。人間が人間らしい生活を送るためには、みんなが互いに協同作業をしなければならない。人間集団が協業によって得た必需物資は、各個人が作って持ち寄って得られるものより数倍の需要を満たすことができる。458.p
文化とは、人間の社会生活上、必需的(自然的)状態をはるかに脱して、人間の生活活動が反復され発達していくうちに形成される生活様相であって、その程度の差は、文明の富力の差とか、特に人口の多寡が問題となる民族の差とかいった無限の差異から生まれる。このような文化は、文明活動がその種類も豊富なところで生じ、したがって技術と必ず同居する。476.p
歴史序説 (1) (岩波文庫)
イブン=ハルドゥーン /岩波書店 (2001-06-15) / 972円42 users
購入:  2009年10月25日 945円 所有
読了:  2009年10月28日
30年ほど前に読んで、その深い哲学的思索に、「砂漠のマルクスだ!」と痛く感動した覚えがある。
松田「砂漠の文化」を読んで、改めて当時の「感動」の記憶が蘇り、再読したくなった。

・内面的には、歴史は思索であり、真理の探究であり、存在物そのものやその起源の詳細な説明であり、また諸事件の様態とその原因に関する深い知識である。従って歴史は、哲学に深く根ざしており、哲学の一分派と考えるのが適切である。22
・(他の動物から人間を区別する特有の性質)、1.学問と技術、2.抑制力を行使する公権威や強い権力の必要、3.生計のため努力と、様々な方法で生計の手段を獲得するさいの労働、4.文明、これは人間が互いに親しく交わることと、必要なものを充足することのために、町や村で一緒に住まわねばならないことを意味する。129-30
・人類に社会的結合が成立し、世界に文明が確立してくると、人間も動物的な性質から互いの確執や権利侵害を行うことがあるので、抑制力を行使して、敵対する者同士をひき離す者が必要となる。..この抑制力を行使するものは、人間の内から得られねばならないし、他の人々に対する優越性と支配権と強力な権力を持つものでなければならない。..これがすなわち王権というものの意味である。139(王権を「公権力」の意味で捉えれば、今日でもそのまま通用する議論である。というよりも公権力の本質的意味合いを提起していると捉えるべきか
・野蛮な民族ほど支配権を獲得する可能性を持っている。364
・野蛮な民族ほど王権を拡大できる。379
・他の住民が持っているものは何でも掠奪するというのも、ベドゥインのの性癖である。生活の糧は槍の及ぶところどこにでも転がっており、他の住民の所有物を掠奪することにいささかの躊躇も感じない。390
・砂漠のアラブ族はその野蛮な性質によって、諸民族の内でも、お互いに従属関係を結ぶことに最も耐えられない民族である。彼らは粗野で高慢で野心があり、みな指導者になりたがる。393
・砂漠のアラブ族は民族の内でも、最も粗野な遊牧生活をしており、最も奥深く砂漠に入る。彼らは貧しい生活に慣れているので、定着集落を営む丘陵地帯の産物や穀物に余り必要性を感じていない。それで彼らはよその人間と交わらなくて住む。彼らはこのような生活に親しみ、また野蛮でもあるので、お互いに従属関係を結ぶということは困難である。.ある民族を征服すれば、彼らのものを掠奪して満足を得ようとするのがおちで、決して秩序ある公権威を樹立しようとしない。..このような砂漠のアラブ族に征服された民族は、お互いが相克し合うような無政府状態に置かれる。394-95
松田 壽男 /岩波書店 (1994-04-15) / 866円2 users
購入:  2009年10月23日 866円 所有
読了:  2009年10月25日
・農耕地帯では、家族の発達によって血縁集団が崩れ、地縁的集団としての村落が発達してくるのに対して、遊牧地帯では、家族が発生しても、氏族の枠内に留まり、また氏族内に養子・客人・労役者・奴隷などが加わっても、氏族員は共同の祖先を持つとする原始時代以来の信仰は弱まらず、その信仰のもとに強い団結が示された。付随して原始社会の遺制や旧習が根強く支えられた。..モンゴル帝国時代になって、ようやく集団の中での家族の占める比重が大きくなって、一家族一テントが社会の根底に置かれるようになった。145
・選挙制による長老としての「大人」は、遊牧世界のすべての氏族ないし部族に存在した。部族連盟の形式で遊牧国家が誕生すると、大人の会議(クリルタイ)によって「大人の大人」が選ばれる。国家の統制力が強まり、可汗(大人の大人)の地位が上がり、専制化すると共に、クリルタイは有名無実化する。しかし一朝国家組織が崩壊して、黄金部族が滅びさると、クリルタイは再び、本来の機能を回復し、大人はリーダーとしての光を回復する。遊牧社会には、クリルタイと大人の消長に象徴されるような繰り返し現象が続けられ、一進一退が見られた。遊牧社会の歴史は、単に時間的な発展の問題では解決できず、空間的問題を含んでいることを暗示する。147-48(歴史的継起を時間系列で捉えるという無意識の思い込みを、空間的発展系列で捉えるという視点から反省する必要があるだろうか?
・(静態的ないし定常的な経済状態が遊牧社会の常態であって)この基調に較べるなら単于や可汗の専制による強力な国家体制は、いわば擬態である。つまり、遊牧社会の波の高まりは、遊牧民本来の経済から必然的に招来されたものとは云えない。..遊牧民が先天的に運命付けられている商業性こそが遊牧国家の歴史のダイナミックを形作る要因である。150
・万里の長城をはさんで北方の遊牧民と南の中国人との間に継続されていた生産物の交換をもって南北関係の常態と認め、これを特に「絹馬交易」と称する。中国側から穀物や絹を輸出するのに対して、北方から送られる家畜類を、馬で代表させた。..北方の市場で中国特産の絹布は通貨に等しい価値を持っていた。したがって、ある一つの部族にとって、絹の市場を握り、絹貿易のルートを支配することは、とりもなおさず他の部族に君臨する立場に立つことになる。「黄金部族」と表現されるのはこの絹貿易の実権を握った部族に他ならない。151-52
アジアの歴史―東西交渉からみた前近代の世界像 (同時代ライブラリー)
松田 寿男 /岩波書店 (1992-09-16) / 1,155円7 users
購入:  2009年10月19日 386円 所有
読了:  2009年10月21日 星5つ
通俗的世界(史)観を一変するほどに優れた書といって良い。福沢諭吉の「脱亜入欧」以来、われわれは無意識の内に西欧社会本位のやぶ睨みの「世界史」観に、如何に毒されてきたかを、改めて思い知らせてくれたといっても過言ではない。「前近代の世界史は、アジアを主体とし、地中海を中心にして動いていた」(5)という認識は、僕も30年以上前に持っていた。しかし前近代社会を東北アジアから東南アジア、インドを経て、イラン・イラクを仲介にして地中海世界からアフリカへとつながる回廊の如くに捉える世界史観は持っていなかった。改めて蒙を啓かれるの思いを抱く。「前近代の地中海は、アジアの海であり、アフリカの海であって、それへのヨーロッパ側からの攻勢こそ地中海の歴史の骨子に他ならない」という指摘は、云われてみれば、まさにそのような予感はあったものの明示的には認識していなかった。更に東南アジア、インド、中央アジア、パルティア等の地域の一貫した歴史を世界史的視野にたって再認識する必要を強く反省させられた
・世界史の名に値する書物は一冊もない。元来が異質なものを合体した、単なるつぎはぎ細工。このように奇妙な「世界史」が横行している、最大の主要な原因はランケにある。西欧の利害だけで歴史を処理する、切捨てとつまみ食いによる、つぎはぎ細工の「世界史」、西欧世界を基準として、それから得られる尺度をアジアに当てはめて、その尺度に合わないものを「アジア的」と片付ける。不遜もはなはだしい。
・近代世界をリードし、現在もリードしているのは西欧の文化であり、ついで欧米の文化である。しかしこの事実を遡らせて、近代以前にまで及ぼすのは全くの錯覚に過ぎない。
・現行の世界史が、バラバラの寄せ集めに終わって、統一ある姿を示さないのは、多元世界の処理が少しも考慮されていないからである。11
・西洋人は、国土を考察する場合に、地理か歴史かのどちらかに視点を置かないと、学問として成立しないかに思っている。しかし私たちは国土の「性」を考え、その上に地理なり歴史なりをを載せて学ぶ。そこに東西両洋の間に考え方の違いがある。14
・風土とは、国土をその地理性と歴史性とを総合して把握したものである。それは決して地理の換え言葉ではない。まして地理と歴史を混合したものでもない。強いて云えば、地理的叙述の基本を作る考え方であり、同時に、歴史もまたこれを基調として考えられねばならない。..風土とは、生命を持たないものに対してさえ、形と共に心を求めるのと共通した考え方の産物で、東洋人の優れた思惟の現われに他ならない。17
・祖先が漢字を輸入した頃、日本は水田が建前であったから、田という耕地を表す文字を水田と受け取り、別にハタケに対して畑・畠という文字を創造した。これは朝鮮が田をそのままハタケとして受け入れ、後に水田の二字を合成した文字(上下につなげた)を造ってタンボを表示させたのと良い対照をなす。(63の註)
・(地中海は、歴史的にヨーロッパの付属地であるかに扱われているが)この取り扱いは、地中海が近代以降には「ヨーロッパの海」となっていることから起こる錯覚に基づく。前近代の地中海は、むしろ「アジアの海」であり「アフリカの海」であって、それへのヨーロッパ側からの攻勢こそ地中海の歴史の骨子に他ならない。(94)奴隷社会の上に海上貿易で繁栄する小集団の散居こそ、地中海の古い姿にほかならない。..地中海は、西欧とは地理的にも歴史的にも、異質な世界なのである。(95)
西尾 実 , 岩淵 悦太郎 , 水谷 静夫 /岩波書店 (1994-11-10) / 2,447円11 users
購入:  2009年09月11日 33円 所有
読中: 
つい昨日まで、1963年発行の初版の「岩波・国語辞典」を使っていた。ちょっと改まって用語を調べるときは、広辞苑や学研の「国語大辞典」を引いてみる。語源や歴史的変遷、あるいは方言にまで手を広げたいと思ったときは(用が足りないことが多いけれど)小学館の「日本国語大辞典」(全20巻)や「大言海」を広げてみる。とはいえ、日常、座右において頻繁に使っているのは、やはり初版の「岩波・国語辞典」だ。もう46年になる。ざっと、僕の全生涯の7割に相当するなと思ったら、なにやら感慨深い。もう表紙もなくなって、厚紙で補強してあり、表と裏の何ページかは擦り切れてなくなっている。意味を調べるというより、やや曖昧な意味や漢字を確かめる使い方がほとんどだから、古くても別段、不足は感じない。(その点、古くなっただけではなく、桎梏となり足枷ともなってしまった自覚さえ持たぬ自民党政権とは違う。)
ふと、昨日の朝、思いついて、気分一新、「国語辞典」を取り替えるのも良いかと第5版「国語辞典」を注文してみた。2000年に第6版も出ているけれど、一歩退けば、33円という馬鹿値で売られている。本質に差はない。
古いのは捨てようかと、読み比べてみたら、初版にしか載ってない言葉もあったりして、捨てがたくなった。
寺田 寅彦 /岩波書店 (1960) / - 4 users
購入:   0円 所有
読了:  2009年07月12日
○「方則について」から(大正4年10月)
華厳経に万物相関の理というのが説いてあるそうだ。誠に宇宙は無限大でその中に包含する万象の数は無限である。しかしてこれらは互いに何らかの交渉を有せぬものはない。...厳密に言えば孤立系などというものは一つの抽象に過ぎないものである。例えばいま一本のペンを床上に落とせば地球の運動ひいては全太陽系全宇宙に影響するはずである。142.p
○「時の観念とエントロピー&プロバビリティー」(大正6年1月)を読む。
色々の個体の集団からできた一つの系を考えるとき、その個体各個のエントロピーの時計は必ずしも系全体のものの歩調と一致しない。従って個体相互の間で「同時」ということが余程複雑な非常識なものになってしまう。198.p
分子やエレクトロンの数が有限の間はエントロピーは問題にならず、変化は単義的で可逆であるが、これが無限になって力学が無能になるとき、始めてエントロピーが出てくる。...系の複雑さが完全に複雑になれば統計ということが成り立ち、公算(プロバビリティ)というものが数量的に確定したものになる。そして系の変化の状態はその状態の公算の大なるほうへと進むということが、すなわちエントロピーの増大ということと同義になる。199.p
時、エントロピー、プロバビリティ、この三つは三つ巴のようにつながった謎の三位一体である。201.p
いやいやながら医者にされ (岩波文庫 赤 512-5)
モリエール /岩波書店 (1962-01-16) / 432円23 users
購入:  1993年11月21日 420円 所有
読了:  2009年06月20日
○1666/08/06に《お色気たっぷりの母親》とともに初演か。
・医者を愚弄し、揶揄する作品の一つ、非常な傑作笑劇という意見とともに、ヴォルテールの次のような評価もある。
「...モリエールは彼の傑作《ル・ミザントロープ》の上演を中断し、しばらく後、《いやいやながら医者にされ》を添え物として公演を再開した。これはきわめて陽気な、きわめて滑稽なファルスであり、素朴な民衆はこのような作品を必要としていたのである。それはあたかも、オペラにおいて、高雅な音楽を聴いたあとで、それ自体大した価値はないけれども俗耳に入りやすい軽いメロディに、人々が喜んで耳を傾けるようなものである」95.p
・僕は、スュブリニーの「世の中にこれほど面白く、人を笑わせる作品はありますまい」98.pという評価は、全く的外れの見当違いな意見だとは思うものの、単なる好みの違いかも知れない。
・モリエールが、作品の中で、医者を愚弄し揶揄した理由の一つとして、訳者は「医学が病気や病人を治すことをないがしろにして、アリストテレス、ヒポクラテス、ガリエヌス等、古代の学者や賢人を盾に取り、愚民をたぶらかそうとして権威主義に対する批判」103.pを指摘している。
医学と呪術とが混交していた時代の医者の社会的地位を考える上で、示唆に富む作品ともいえるか。
タルチュフ (岩波文庫 赤 512-2)
モリエール /岩波書店 (1974-03-18) / 518円31 users
購入:   483円 所有
読了:  2009年06月17日
○1664/05/12、国王ルイ十四世のためにヴェルサイユで上演される。初演と同時に公開上演を禁止された。その間の事情を訳者鈴木力衛は「王権の基礎はようやくにして固まったばかりであり、その頃社会的に大きな発言力を持っていた聖職者や信者たちの秘密結社「聖体秘蹟協会」の動きを考慮せねばならないし、とりわけ晩年ますます熱烈な信仰の道に入った母后ドートリッシュの意向を無視するわけには行かなかった。モリエールの庇護者であったルイ十四世が《タルチュフ》の公演を禁止したのは、政治的に見て止むに止まれぬ措置だったのである」112.p
と解説している。1666年、ドートリッシュが死去してからは、聖体秘蹟協会の勢力はようやく衰え始め、69年に至ってその活動が完全に封じ込められて後、《タルチュフ》上演が許可された。
・眠っている水ほど悪い水はない。6.p

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