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世界経済の成長史1820‐1992年―199カ国を対象とする分析と推計
タグ 経済 統計 歴史 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2011年01月08日 18時00分32秒 2011/01/08
読了:  2011年01月08日 お気に入り
・11/01/05、岩槻図書館で借りる。一読思わず惹き込まれる素晴らしい業績だ。最近170年間の世界全体を対象とした俯瞰的観察は、様々な示唆を与えてくれる。
・所得成長、経済成長に影響を及ぼした諸要因、経済発展の諸段階の三章に分けられ、地域別・各国別に主要統計が提示されている。このような分析部分は本書全体の三分の一で、残り三分の二は典拠及び統計資料で占められている。
・本書は、いわば汲めども尽きない地下資源のようなもので、本書から「何を汲み出すか」は(提示された統計資料は、もちろん荒削りの鉱物資源のようなもので、実際にはいろいろな精錬過程が必要かも知れないが)読者自身に委ねられている。

・長期的に見た世界の格差は拡大傾向にあるが、1950年以降は、逆に、かなりの格差縮小傾向が見られる。10.p
・アジアの全世界の産出量に占める割合は1820年の58.3%から1950年の19.3%に減少したが、その後1992年には36.7%に急上昇した。西ヨーロッパの割合は1820年には19.1%であったが、18710~1913年の期間には27%と頂点に達した。その後減少し1992年には18.9%である。アフリカの割合は1820年は4.7%から1992年は3%に減少した。20.p
世界の地域的統合、1820年には輸出は世界産出高の1%、1913年までに8.7%に上昇、1913年から1950年までは新重商主義の時代とも呼べる最悪期、50年以降は急上昇して、1992年の世界の輸出/GDP比は13.5%、31.p
・(1820~1922年の)170年余りの間には、1820~70、1870~1913、1913~50、1950~73、1973~92というそれぞれの特徴を持つ五つの「局面」が見られる。71.p
マルクスの『資本論』 (名著誕生)
タグ 経済 思索 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2010年12月19日 06時04分38秒 2010/12/19
購入:  2010年12月11日 1,575円 所有
読了:  2010年12月14日
◆訳者の中山元の語り口が好きで、中山さんの著作一覧を見ていて、たまたま目についた本書を読んでみた。Amazonの「資本主義」という怪物を主人公とした小説として読みなおし、という紹介も興趣をそそる。
・この書物のテーマは、まだ私たちの生活を支配している問題でもある。「資本主義が生き続けているのに、『資本論』が死ぬなどということがあり得るだろうか」というマーシャル・バーマンの疑問はもっともなのだ。10.p
・マルクスは生まれ落ちた瞬間から、既にアウトサイダーだった。14.p
・(弁証法の使用価値)予測が外れて嘲笑されるかも知れない。その場合には、弁証法を活用すれば、抜け出せるのだ。事態がどちらにころんでも、上手くいい抜けられるように言葉を選んでおいた。89.p
・マルクスのお気に入りのモットーは、全ては疑いうるだったが、共産主義のロシアでこのモットーを実践して生き延びた人はいない。マルクスが実践したマルクス主義とは、イデオロギーと言うよりも、批判的なプロセスであり、弁証法的な議論を継続していくことであった。138.p(マルクスの名のもとに生み出された体制が、マルクスの精神とは本質的に相容れないある種の神政国家に堕してしまったのは、歴史的必然の体現という認識そのものに胚胎している。
パックス・アメリカーナの形成―アメリカ「戦時経済システム」の分析
河村 哲二 / 東洋経済新報社 (1995-04) / 3,990円2 users
タグ 経済 社会 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2010年09月28日 17時50分48秒 2010/09/28
購入:  2010年02月 3,990円 所有
読了:  2010年10月01日
・GNP及びGNPデフレーターの変化率(四半期別前期比、1875~1983年)、10.p⇒戦時を境に景気循環(のパターン)は変化する。⇒「資本蓄積体制の変容」という認識
・戦時期の連邦政府財政(40~48年度)、60-61.p⇒日本のそれと比較せよ。
・第一章は、軍需生産(自国のみならず、レンド・リース計画による連合国援助、54.p参照)による国民総生産に占める国家の比重の著しい肥大化を金融・財政面から裏付ける。
・軍需生産の拡大と共に、それに対応する社会的な生産管理体制の整備が不可欠の要請となる。資源及び労働力の社会的配分の計画的調整ないしは統制(第三章の分析課題)
1.生産能力に余剰がある場合、「40年5月以降の再軍備プログラムの定式化とそれに伴なう軍需発注の拡大は、供給体制の制約や限界をすぐには顕在化させなかった。30年代以来の過剰生産能力・余剰労働力が存在しており、概ねこうした余剰部分の吸収で対応できた」135.p
2.余剰能力が解消するに伴い、インフレーションの顕在化及び「優先支援」(または個別的「優先統制」方式、134.p参照)の膨大化、事務煩雑化、136.p⇒物資フローの統制面で、41年後半期に、単なる優先統制の手法を超えて、「基礎資材の全般的配分統制が導入され、参戦期の後半にかけて確立されていった」136.p
・戦時生産の拡充に伴う労働力の再配分(1941年末と42年末の比較)、戦時生産の従事者数は480万から1130万に+630万(総労働者数の29%)、軍隊は210万から700万に+490万、合計1120万。これは労働力の新規追加+390万(うち170万は女性)、民生産業からの転換375万、失業者の減少で230万、自営業からの転換で100万などによってまかなわれた。175.p
・第二次大戦期のアメリカ戦時経済の特徴は、次の二点に要約される。1、基幹的な重化学工業で支配的地位を確立していた戦前来の大企業・巨大企業に直接依存するものであった。2、そのような産業体制を前提にして機能する「市場メカニズム」を、かなりの程度利用して「戦時経済システム」は機能した。228.p参照(かなり常識的な指摘、実証分析以前に一般論として予想しうる内容のように思われるが、さて、どうだろう?
投資の科学 あなたが知らないマーケットの不思議な振る舞い
タグ 経済 市場 金融 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2010年01月10日 08時54分50秒 2010/01/10
読了:  2010年01月09日
◆さいたま市図書館、10/01/07
投資の哲学、投資の心理学、イノベーションと競争戦略及び科学と複雑系理論の四部構成。理論的支柱は第四部の「複雑系理論」で、前半は金融、投資市場の豊富な具体例をあげて、無数の集団的行動の集積が「ある種の秩序」を形成していくかを挙証している。お陰で、マンデルブロの『禁断の市場』では、市場分析でのべき乗法則の意味合いが、いま一つ曖昧だったが、やや具体的に理解できたようだ。(10/01/09)
○「現実の世界は平均値ではなく、異常値に支配されている-ウォール街が注目する米経済界の俊英が、生物学、統計学、心理学などの幅広い知見と独自の視点で、ファイナンス理論の常識を覆した話題のエッセイ」という日経BP社の既刊案内が面白そう。殊に世界は平均値ではなく、異常値に支配されているという一節が興味深い。
○Amazonの「愚かな投資家がたくさん集まれば、株式市場は正しく機能する」という著者からの内容紹介はもっと面白い。はたして「愚かな政治家がたくさん集まれば、国の政治は正しく機能する」と言えるだろうか??偶然性と必然性の関係を如何に読み解くかは、量子力学の課題の一つだけれど、へーゲルは「必然性とは、認識された偶然性である」と喝破した。なにやら、対立物の統一を思い起こさせるアイロニーを感じさせる。トルストイは「戦争と平和」の中で、ナポレオンのモスクワ撤退の場面で、戦争の大きな必然的な流れは無数の偶然の出来事の集積の結果だと描いていた。
◆第四部、科学と複雑系理論
一見無秩序でランダムな集団的行動がもたらす秩序、分散化されたシステムでは、たとえ個々の構成要素の能力が限られていても、複雑な問題を極めて効率的に解決することがある。知識を組織全体にまんべんなく分配することにより、安いコストで、集団の知恵を活用できるのである。また、我々は分散化された問題解決システムを十把一絡げにしてしまいがちだが、システムごとに特徴があり、その特徴がシステムのパフォーマンスを左右する。例えば株価は、投資家がそれぞれの多様な行動をとるときに効率的な値動きを示す傾向がある。ひとたび多様性が失われ、投資家の誤りが同じ方向に向かうと、株価が極端に高くなったり安くなったりする。187.p
・投資家は二つの理由から、集団行動の正確性に注目すべきである。一つは、情報の集積力こそマーケットの効率性をもたらす中核的機能だという点である。ここで効率性と言うのは、ある特定の投資家が、合理的な方法を用いて市場平均よりも優れたリターンを手にすることが出来ないことを意味する。もうひとつは、集団に蓄積される情報を活用する企業が、競争優位にたつことができるかもしれないという点だ。189.p
・株式市場を複雑系ととらえれば、投資家は二つの罠を避けることができる。一つはすべての結果に対して個別の原因を探そうとすることである。複雑系では、小さな混乱や動揺が集まって大きな変化が生じる。原因と結果が直ちに結びつくわけではない。..もうひとつの罠は、マーケットそのものを理解しようとせずに、個別の情報にこだわってしまうことである。213.p
・複雑系は、そこに含まれる異質の構成要素の一つ一つを分析しても、全体の性質や特徴を理解できない。複雑系は線形ではないので、部分を足しあわせても全体と等しくならない。原因と結果という文脈で考えると、納得の行く説明が出来ない。このようなシステムの代表例が株式市場である。217.p
・ジップの法則(べき乗法則)は、順位×サイズ=定数という単純な数式で表される。
マンデルブロは、ジップの法則に二つの修正を施し、より一般的なべき乗法則を導いた。一つは、1位から3位までのサイズを、1/(1+C)、1/(2+C)、1/(3+C)としたこと。二つ目は分母を(1+C)乗すること。その結果、1位から3位までのサイズは、1/(1+C)^(1+C)、1/(2+C)^(1+C)、1/(3+C)^(1+C)...
アクステルは、企業規模の分布は、政治や規制の状況、企業買収の増減、新興企業や企業倒産の動向、労働人口における大規模な人口学的推移(例えば、女性労働者の大量増加)などの要因では左右されないことを示した。
べき乗法則をもたらすメカニズムはまだ完全には解明されていないが、べき乗法則を発生させるモデルやプロセスは多数存在する。225-227.p
・企業規模の分布と成長率の研究から、以下の四つの法則が抽出できる。
1.企業規模の分布はジップの法則に従う。
2.企業成長率の分散は企業規模の増大とともに減少する。
3.大企業の成長はしばしば失速する。
4.多くの企業が同じライフサイクルをたどる。232-235.p
世界を不幸にするアメリカの戦争経済  イラク戦費3兆ドルの衝撃
タグ 経済 政治 社会 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2010年01月04日 10時49分22秒 2010/01/04
購入:  2010年01月04日 1,785円 所有
読了:  2010年01月04日
・こういうと奇妙に聞こえるかもしれないが、戦争とは巨大なビジネスだ。現代の企業なら、優れた会計システムから得られる正確で時宜を得た情報なしに、ビジネスを営もうとするはずがない。しかし、政府が行った会計実務はあまりにもずさんであり、一般企業なら間違いなく粉飾決算に関与した疑いで証券取引委員会に召喚されるだろう。8.p(当初予算見通しは「ずさん」というも愚かなほど膨張し⇒「膨れ上がる戦争コスト」51.p参照、そのコスト見積もりをスティグリッツは、10のステップに分けて⇒44~51.p参照、かなり「控えめな想定」によって三兆㌦と算出している。これは単なる誤算なのか、それともある程度まで承知の上で、経済的合理性を超えたブッシュ政権にとっての政治的合理性のある判断だったのか?そこが不可解だ。
第4、5章は戦争による間接的コスト、すなわち「社会にのしかかる戦争のコスト」&「原油高によって痛めつけられるアメリカ」を扱っている。しかし2000年を頂点に下がり続けたNYダウは、この戦争をきっかけに上昇に転じ、03年2月の7900㌦から07年10月14000㌦まで上がり続けた。この点について、
・03年3月から07年10月までのあいだ、アメリカの株式市況はまずまずの結果を出し続けた。これを見る限り、私たちが示してきた懸念は外れに思えるかもしれない。しかし同じ期間に、賃金は順調な伸びを、企業収益は急激な伸びを記録した。この事実を踏まえると、株価の伸びはいかにも鈍い。(イラク戦争勃発依頼、時価総額は4兆㌦分減殺されたとの試算もある。)FRBは戦争のマイナス効果を相殺するため、金利の引き上げを見送り、金融機関の貸出基準の緩和に目をつぶり、当時のFRB議長は事実上、変動金利型の住宅ローンを推奨し、「更なるリスクを取れ」と国民を焚きつけてきた。変動金利型は初期の利払いを低く抑えられるため、同じ抵当物件でもより大きい資金が借りられる。こういうカラクリがあったからこそ、アメリカは身の程を超える消費を続けてこられたわけだ。..歴史的な低金利がいつまでも続くはずなどないのだ。おそらく、本書が出版される頃になっても(08年3月)、サブプライム危機の全貌はまだまだ見えてこないだろう。すでに成長は鈍化し始めており、アメリカ経済は再び大きな余剰生産力を抱え込もうとしている。163.p
サブプライム金融危機―21世紀型経済ショックの深層
タグ 経済 金融 市場 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年12月05日 21時54分02秒 2009/12/05
購入:  2009年11月30日 1,575円 所有
読了:  2009年12月05日
◆第一章、サブプライム(世界の金融市場が直面した07年危機)は日次記録、『実録世界金融危機』の項に追加補足する
◆第二章、米国住宅市場問題の深層、住宅金融史を扱っており、これは他では見ない。『ベーシックアメリカ経済』3章-2「住宅ブームとその背景」で、住宅バブルの可能性を指摘する一方、「住宅に対する根強い実需の拡大があることから、住宅価格の調整が一時的に生じたとしても、それが長期間かつ深刻なものになる可能性は大きくないのではないかと考えられます」95.pと書いている。
・20年前の米国ではサブプライム層に対する住宅ローンの提供はほとんど見られなかった。73.p
・1977年地域再投資法(CRA)の制定によって、預金取扱金融機関は、中・低所得者や中小企業向けローン、地域社会の開発資金の提供を行い、集めた預金の一部を地域に還元するよう義務付けられた。75.p
・大きな転機は03年頃訪れた。民間ベースの証券化ビジネスと相俟って、サブプライム層への住宅ローンが爆発的に拡大した。06年にはサブプライム・ローンは実行ベースで20%強、残高ベースで13%を占めるにいたった。(ローン件数のサブプライム比率の推移グラフ、98~06年、図表)77.p
・サブプライムの損失推計、貸出債権の直接損失および住宅ローンの証券化に伴う時価評価の低落に伴う損失実際には後者のほうがはるかに多く、かつ信用不安の拡大と共に肥大化する必然性を内在し、この見積り推計の困難が過小評価を呼ぶ)87-88.p
・住宅在庫、住宅価格の推移、90-94.p
・米国家計は、住宅資産の現金化を通して(住宅価格の恒常的値上がりを前提にした「含み益」という仮想的資産に過ぎず、実際には負債を「資産化」して負債に負債を重ねているに過ぎない。住宅価格の低迷と共に仮想的資産は現実的負債に転化する)、消費支出や住宅の修繕費用に充ててきた。住宅金融を通して消費に向かった資金は、個人消費の2%ほどとFRBは推計している(06年)。95.p
・第三章、加速-証券化市場のカラクリ
証券化、一般的には、企業や金融機関などが保有する金銭債権や不動産などの資産を、特別目的会社(SPC)、特別目的信託(SPC)などの特別目的ヴィークル(SPV)に譲渡し、当該ヴィークルで譲り受けた資産が生み出すキャッシュフローに対する信用力を裏付けとする証券に転換して、それを資本市場で売却して資金調達をする方法をいう。105.p
◆第四章、拡大-揺れるマネーフローと金融機関・投資家動向
・サブプライム問題は証券化という金融技術の発展によって複雑化した現代的側面がある一方、近年のいわゆる「過剰」流動性の下で金融・資本市場の随所で発生したリスクのゆがみを再評価という形で修正される、ある意味では古典的な側面がある。136.p(「現代的側面」と称するものは信用という魔法の杖で実態的負債を仮想的資産に見せかける金融技術であり、古典的側面と称するものは実態から著しく乖離し・肥大化した仮想的資産を実態的資産の規模に引き戻す強制的・恐慌的過程である。)
通貨金融危機と国際マクロ経済学
石山 嘉英 / 日本評論社 (2004-03) / 2,100円1 users
タグ 経済 金融 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年11月18日 20時45分51秒 2009/11/18
購入:  2009年11月18日 2,100円 所有
読中: 
世界恐慌 診断と処方箋―グローバリゼーションの神話
ロベール ボワイエ / 藤原書店 (1998-12) / 2,520円3 users
タグ 経済 市場 金融 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年11月18日 18時29分51秒 2009/11/18
購入:  2009年11月05日 2,520円 所有
読了:  2009年11月18日
本書は、98年に出版されたものだが、その大部分は、98年夏の日本でのセミナーの講演に基づく。それから十数年経た今日、本書を読み返してみると、つい最近まで如何にノー天気な経済理論が罷り通っていたか改めて驚かされる。と同時に、最良の分析者でさえも、歴史的・俯瞰的観察を忘れるや、如何に近視眼的な観察に陥らざるを得ぬか如実に示している。十数ページの短い序論は、味読に値する。
・序論、「ただ驚くばかりの90年代」と題して、80年代末以降に相次いで起きた歴史的諸事件は、世界の最良の分析者でさえも、「若干の例外を除けば、分析不可能な事態に直面した」として、ソ連の崩壊、アメリカ経済の復興、日本の経済的沈没、東アジアの新興工業諸国の金融危機、ラテンアメリカ諸国、ヨーロッパの構築の例を挙げている。9-13
グローバリゼーションによる収斂、今日(90年代末のことだが)の経済学者の支配的な考え方は、次の三段論法に要約できる。
イ.グローバリゼーションは不可逆現象であり、市場による調節、特に金融市場による調節が一般化する。
ロ.金融自由化によって、不況もインフレもない、新しい経済体制を生み出せる。(金融主導型成長のマクロ経済回路、107頁の図を参照、要点は信用創造を梃子にした自己肥大化現象
ハ.従って、社会は金融化され、グローバル化されたレギュラシオン様式に収斂される。この様式の模範はアメリカ経済である。
本書の目的は、このような三段論法が詭弁であることを示すことである。21-23
ポール ボルカー , 行天 豊雄 / 東経 (1992-12) / 2,412円5 users
タグ 経済 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年11月02日 11時47分13秒 2009/11/02
購入:  2009年08月15日 49円 所有
読了:  2009年11月02日
◆第4章、浮遊と漂流
・スミソニアン合意後の二年間は、その時点では戦後もっとも経済的波乱に満ちた期間であった。(変動相場制への移行期、現在では「固定相場制を維持できたのは何故か」という問題設定が正しいか?)150.p
・(1973年末当時の)リセッションは当時としては戦後最悪のものとなった。その過程でブレトンウッズ体制下でしばらくの間世界経済の特徴となった固定的体制、安定性、秩序、といった感覚は失われていった。...国際通貨秩序あるいは機構に関するブレトンウッズ的感覚は、米国の支配といった形で要約される特別な状態を反映した一時的なものであったのか?151-52.p
◆第5章、政策協調の試み
・加速するインフレと73年後半の石油ショックとの組合せが、稼動する国際金融システムとしての変動相場制の確立に大きく貢献することになった。..70年代の終わりまでには、変動相場が学問的思考、行政の方針、及び銀行の実務の中にしっかり組み込まれてしまったため、固定相場制を特定の地域や極めて限定的な範囲を超えて求めようとする人々は、議論の主流から追われてしまっていた。200
グローバリゼーションの終焉―大恐慌からの教訓
タグ 経済 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年09月29日 07時52分15秒 2009/09/29
購入:  2009年09月10日 612円 所有
読了:  2009年09月29日
○通読、グローバリゼーションの動きとそれに対する反動期との交代を世界史的潮流のなかで見据えている点が特徴。19世紀後半から20世紀前半までを「第一期グローバリゼーション期」と捉え、その崩壊を戦間期経済分析を通して歴史的に検証している。
・グローバリゼーションは一直線に進む不可逆的プロセスではない、過去二世紀の原動力であった国民国家は、国際的な統合圧力によって分解しつつある。国際統合はそれ自体が持つ力と勢いによって進展してきた。この動きは不可逆のものであり、一直線に将来に向かっていると考えがちである。しかし歴史を振り返れば、もっと冷静で悲観的な評価になる。過去にも高度に発達し、統合が進んだ国際社会があったが、予期せぬ出来事で崩壊した。5.p
・現在の国民国家は、第一回グローバリゼーションの波によって生じた問題に対する一種の答えである。グローバリゼーションに加え、通信手段の発達に伴う技術や経済の変化によって、近代国民国家のインフラストラクチャーが実現した。22.p
・社会的に「保護」への期待が高まるにつれて、国は予算による所得の再分配を強めていった。フランスの中央政府支出に占める社会福祉費の割合は、1912年には4.3%だったが、28年には21.7%に上昇した。ドイツの場合も5.0%から34.2%に上昇している。24.p
・第一次大戦後に各国政府は難しい選択を迫られた。規律ある財政に戻るか、インフレで帳消しにするかのどちらかである。財政規律を回復すると方法をとる場合、国民に犠牲を強いても革命を誘発しないとの確信が必要だった。イギリスでは、S・E・ゲッデスを委員長とする政府支出委員会が1922年に「ゲッデスの大削減」と呼ばれた報告書をまとめ、軍備縮小、教育予算の削減、五つの省の廃止を提言した。これに対し、大陸ヨーロッパでは、左派が強く革命運動が盛んであったため、このような財政引締め政策を採る能力や意思がなく、インフレの道が選ばれた。...こうした政治的な難しさを考えると、財政拡大に歯止めをかけなければならない理由を国民に納得させるには、外部からの制約、すなわち金本位制を事実上の歯止めにする以外にないように思われた。56.p(現在、鳩山内閣が自民党政権の「負の遺産」として相続したのは、これとほぼ同質の課題である。第一次大戦後と異なる点は、戦争によって費消され戦場に消えたのに対して、部分的には国富として、また一部は国民金融資産として形を変えている点である。物余り現象と相俟ってインフレの爆発を免れてはいるが、超均衡財政かインフレか、両者の組み合わせかはともかく、いずれ清算されなければならない。
禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン
タグ 経済 市場 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年09月06日 07時33分45秒 2009/09/06
購入:  2009年08月20日 2,520円 所有
読了:  2009年09月06日
要約、物質の三態に対応する三つの状態、マイルド、スロー、ワイルドという三つの状態が、フラクタル幾何学から生まれた。従来の金融理論は、相場は「マイルド」型のランダムさで変動するという前提でモデル化された。しかし、実際の相場は極めて「理不尽な動き」をしており、ワイルド型のランダムさを想定するマルチフラクタル・モデルを適用すれば、いっそう信頼性の高い金融理論を樹立できる。
効率的市場仮説(価格変化は過去の変化の影響を受けず、価格は正規分布に従う)の前提の誤り、1.価格変化は、フラクタル的な統計に示される「長期記憶」が残る。2.実際の市場価格の変化率の分布は正規分布になっていない。1916年から2003年までのNY市場のダウ平均の変動の分布では3.4%を超える変化は(正規分布に従えば)58日だが、実際には1001日、4.5%以上の変化は6日程度だが、366日、7%を超える変化は30万年に1回程度だが、実際には48日あった。32.p(価格変化は「過去の変化の影響を受けない」などの頓珍漢な仮定を前提にした議論など、最初から全く相手にする必要はない。議論のための議論、数学的形式美を追い求める余り、現実を理論にあわせて切り縮めようとする阿呆の仕草、科学的装いの愚論。
マルチフラクタル・モデルの市場のポイント、1.市場価格の大変動は無視できる例外的現象ではない(価格変動はベキ分布に従う)。2.トラブルは続発する。3.価格は、市場内部の内発的要因と市場の外で起こった外発的要因とで実質的に決まる。内発的要因には継続性がある。4.チャートは欺く。5.市場の時間は相対的であり、トレーディング時間は価格の変動が激しいときには速く進み、そうでないときはゆっくり進みます。40-43.p
・フラクタル理論は、とりわけリスク評価において、ファイナンスと経済学の深層の事実を明らかにしつつある。46.p
伝統的金融理論の阿呆な仮定の実例、124-138.p
乱流と市場とのアナロジー(162と163頁の大気の乱流と市場の乱流のグラフも参照)、風は、乱流と呼ばれる流体現象の典型的な例です。..風の速さを次第にあげていくと、風のエネルギーが上昇し、ある瞬間、それまで滑らかだった流れが急激な変動を起こすようになります。乱流の始まりです。ファンが空気に与えた平行移動のための運動エネルギーが、ぐちゃぐちゃな空気の流れのエネルギーに変換されることになるのです。161.p
・全く異なっているように見える分野の二つの現象が、物理的には何のつながりもないにもかかわらず、数学的には同じ方程式で記述できる、ということが科学の世界ではしばしばあるのです。166.p...なぜ、世の中の貧富の分布と綿花価格が市場で上下する現象と類似性があるのだろうか?202.p
フラクタル幾何学の基本的考え方、これまでの科学者は自然の不規則な形を扱うときは、理想的なユークリッド幾何学の形からのずれという視点を持っていました。(金融でも同じ考え方で)通常、価格変動の凸凹はボラタリティによって計測されます、しかし、そのボラタリティ自体が大小さまざまな凸凹を伴って変動しているのです。私が明らかにしてきたことは、乱流やその他さまざまな世界で起きている現象において、凸凹やゆらぎは理想的な滑らかな形からのずれというようなものではなく、むしろ、滑らかでないことこそが自然の本質なのだ、ということです。これは経済現象にも当てはまります。177.p
・フラクタルは、全体と部分の間に特殊な対称性が成立しています。全体を分解して部分に分けると、その部分が全体と相似形になります。..フラクタル幾何学は、繰り返しの構造に注目します。分析が同時に統合でもあるのです。178.p
・綿花価格の謎を解くためには、三つの異なる考え方を統合する必要があった。ベキ乗則、個人所得分布、もうひとつは高級な別世界の数学である安定分布の理論です。205.p
◆実体験から得た「現実の金融に関する信条」
1.市場価格は乱高下する
・乱流と同じように見なすことが出来る。
・世界全体の経済は、無数の鏡を置いた部屋のようなもの。鏡から鏡に反射するたびに、経済のシグナルは少しずつ歪められたり弱められたりしながら、世界中に広がっていくのです。302.p
2.市場は極めてリスクが高い、既存の金融理論では起こるはずのないリスクが現実に起こる。
・現実の人間にとって意味のあるのは、株式市場からの「平均」収益ではなく、収益や損失がどれほど大きく触れるかという問題です。
・現実の市場リスクの分布はベル曲線では測定できず、もっとワイルドな変動曲線を描く。(保険会社の期待収益の分布曲線の比較、正当な金融理論の仮想想定とマルチフラクタル・モデルの分布曲線、307.p)
3.巨額の利益と損失は短時間に集中して起こる。
・1986年から2003年にかけて、米ドルは日本円に対して、大きく下がった。この下落の半数近くは4695日の内の僅か10日間に集中して起こった。つまり米ドル投資家の被った損失の内46%は0.21%の日数の間に起こった。309.p
4.価格はしばしば不連続にジャンプする。(金融理論は、無意識の内に価格の連続性を仮定している。)
5.市場での時間の進み方は、人によって違う。
・フラクタル解析での価格の変動は、伸び縮みする自動車のアンテナのようなものです。伸ばせば細かいところまで見ることが出来るし、縮めればグッと圧縮した形になる。..このように時間スケールを変えてみるのがフラクタル解析です。一日あたりのリスクも、一週間あたりのリスクも、一ヶ月も、一年もほぼ同じような性質を持っている。但し、価格変動のスケールが時間スケールとともに補正される。
・マルチフラクタルでは、ここの時間を伸ばし、あっちの時間を縮める、という操作をするのです。価格が大きく動くときは、トレーディング時間のスケールも拡大される。価格の変動が鈍いときは、市場の時間もゆっくり進みます。316.p
6.いつでもどこでも市場は同じように振舞う。(下線部の意味は、外的要因によってのみならず、内的要因だけでも、システムの複雑な仕組みによって価格の複雑な変動は持続する、という意味。318.p参照)
7.市場は本来不確実であり、バブルは避けられない。
8.市場は人をだます。
・経済や金融市場の価格の時系列の場合、実際にはありもしないパターンを読み取る傾向がどのくらいあるか?価格の長時間相関は、データにある種の傾向を生み出す。特定の価格に向かうような傾向ではなく、価格変動の方向に関する傾向です。価格の長時間相関は同じ傾向が持続する性質があります。トレンドが強化される性質です。反対に変化が反転しやすい傾向も起こりえます。323.p
9.ボラタリティの予測は可能だが、価格予想は不可能だ。
・10%も価格が下落した翌日に10%も上昇することは大いにある得ることだが、10%の下落になる可能性も同じだけあり、騰がるか下がるかの予測は出来ない、ということ。価格の変位の大きさには強い依存性があっても、価格の変位の相関は0になる。326.p
10.市場の価値は限定された価値である。(その真意は、固有の価値という概念には根拠がなく、金融市場を実際に動かしているものは、価値そのものではなく、価格の変化であり、市場間の不整合を調整する力です。331.p)
熱狂、恐慌、崩壊―金融恐慌の歴史
タグ 経済 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年09月04日 05時25分30秒 2009/09/04
購入:  2008年12月 2,940円 所有
読了:  2009年09月04日
・本書は、数理経済学、計量経済学、あるいは両者を包含している「新しい経済史」に対抗するものとして文献経済学と今日呼ばれているものに属する小論である。..私の友人のうちの計量経済学者たちは、恐慌のような稀にしか起こらない現象は、普通の回帰分析技術では処理できないので、「代理変数」として外生的に導入されなければならない現象である、という。..結局、私は計量的手法は採らないことにした。..私の研究は、基本的に定性的なものであって、定量的なアプローチではない。7-8.p(このテーマに関連して、日経onlineの「非線形」を解かねばならない経済学/科学と技術と数学を取り入れよを参照)
ミンスキー・モデル、金融危機を起こす要因として、債務構造の役割を非常に重視し、特に転売を目的とする投機的な資産購入のための借入を重要視した。..危機にまで発展する出来事は、マクロ的な経済に対する何らかの外生的ショックである「異変」から始まる。この異変の性格は、投機的ブームごとに異なる。例えば戦争の勃発あるいは終戦、豊作あるいは凶作、広範な影響を及ぼす発明、何らかの政治的事件あるいは巨額の借款契約の成立、もしくはとてつもなく低い利子率での借り換えなどであろう。..ブームは通貨の供給総量を増大する銀行信用の膨張によって促進される。銀行が通貨量を増加させうる典型的な方法は、昔の制度の下では銀行券を発行すること、その後においては銀行預金への振替の形で貸し出しを行うことであった。..(われわれは更に先に進む)銀行制度が発達する以前も以後も、投機熱をあおる追加支払手段が得られたのは、私的信用が無限に拡大しえたからであった。20.p
投機熱、投機は、しばしば二つの段階に分かれて展開する。最初は、冷静な投資の段階で、家計、企業、投資家、あるいはその他の主体は、異変に対してある限られた合理的なやり方で反応する。第二の段階では、元本の値上がりが中心的役割を演じる。40.p
◆第3章(投機熱)は16世紀から最近までの様々な投機熱の実例、中にバルザックの「セザール・ビロトー」も一例として挙げてある。
◆第4章、火に油-通貨膨張
通貨膨張、投機熱は通貨と信用の膨張を通して、次第に速度を速めるが、ある場合には、通貨・信用の膨張が最初に生じ、それが契機となって投機熱が動き出すこともある。72.p
通貨主義対銀行主義、「通貨」というのは、定義しにくい複合概念であり、経済にとって何らかの望ましい量にそれを釘付けしたり、固定化することは困難である。..歴史的な一般論としては、通貨当局は常に、絶対量か、あるいは前もって定められた傾向線に沿って増加させるという形で、通貨量Mを一定額に安定化させたり、コントロールしたりするにもかかわらず、経済が投機の陶酔状態に陥るときには、予定以上に多くの通貨が創出されることになるであろう。あるいは、通貨の定義が特定の流動資産に限定され、陶酔状態がその定義には含まれない新しい形の信用を「通貨として利用」する場合には、旧定義による通貨の量は増加しないであろう。しかし、その流通速度は速まるであろう。79.p
・すべての信用や債務の合計を計算するなど、通貨の量の概念を明確にするための様々な試みが行われてきた。しかしながら、このような試みによって通貨とは何かを定義する必要からは逃れられるが、どの信用項目を対象に含めるかを決定しなければならなくなると、別の泥沼に陥ることになるであろう。81.p
◆第10章、最後の貸手
・最後の貸手の支援があることを市場が知っていると、市場は次のブーム期に、金融市場と資本市場が効率的に機能するための責任をあまり(ほとんど?まったく?)感じなくなるだろうという基本的ジレンマから生じる。最後の貸手という公益性をもったものの存在は、銀行経営を健全にしなければならないという民間の責任を弱めてしまうのである。しかし、恐慌や商品・証券、その他の資産の投売り、そして限られた量しかない通貨の奪い合いなどに対応する金融仲介機能が充分でない状態を食い止める当局が存在しないならば、合成の誤謬が極端になる。市場参加者は、それぞれ自分だけが助かろうとするが、それがすべての人々を破滅させる原因を作っていることになる。241.p
1844年の銀行条例は、通貨供給量の固定化を主張する通貨主義が、生産や取引の増大と共に通貨供給量を増加させていくことが有益であるとして銀行主義に対して勝利を収めたことを示した。..1847年と1857年に、同条例を一時的に停止し、最後の頼みとして通貨を追加発行しうるような規定設けることが必要になったとき、議会はこの条例に欠陥があるかどうか、その都度、調査を行った。(調査は、条例停止は望ましくないという結論を下したが)条例停止は効果を発揮し、かつ必要なことであった。245.p(資本論、第5編34章「通貨主義と1844年のイギリスの銀行法」参照、また銀行主義については第5編28章「流通手段と資本」参照)
◆第11章、国際的な最後の貸手
・ドルは幾多の問題を抱えつつも、代替となる通貨がないことから、交換手段としての機能は低下しつつあるが、国際的な通貨単位として使用され続けている。日本は国内に多額の不良な不動産担保の債権問題を抱え、ドイツはいまだに旧東ドイツとの経済統合を完了していない。日本とドイツはアメリカのリーダーシップに忠実に追随しているだけで、その座を奪おうとはしていない。
・現時点ではアメリカ以上のものはなく、世界はアメリカに依存している。しかし、そのアメリカは国内の政治や経済問題で手一杯で腰が引けていて、国際的な公共財を提供するためのコスト負担に後ろ向きである。313.p
アメリカ経済がわかる「経済指標」の読み方 (マグロウヒル・ビジネス・プロフェッショナル・シリーズ)
タグ 経済 統計 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年08月05日 06時54分15秒 2009/08/05
購入:  2009年08月02日 990円 所有
読了:  2009年08月03日
・プラグマティズムの伝統というべきか、平凡社の「百科事典」とEncyclopedia Americanaなどを読み比べてみると、後者からは実用的・実践的でなければ意味がないという強いメッセージを明瞭に読み取れる。本書「経済指標の読み方」は、内容的には入門的なハウツウものだけれど、日本のハウツウ本にしばしば見られるような軽薄で・無内容な本ではない。
・公表される「経済指標」は、もちろん、過去の記録である。過去の記録を「読む」のは、一面では「過去」を顧みる意味もあるが、それに止まらず「未来」を見通す糧を得るためである。しかし「未来」は、単に「過去」の延長ではないし、「過去の経験」がそのまま「未来に」活かされるわけでもない。
・第一章「本書で取り上げた統計の選び方」の最後の節「予測情報の信頼性」の中で、次のように書いている。
・改めて強調しておく必要があると思われるのは、確立された経済予測の理論や手法はないということだ。..にもかかわらず、私たちは日々の暮らしの中で、大小さまざまな予測に極めて頻繁にお目にかかる。だがそうした予測には、統計に関する誤解を招く恐れがあふれている。20.p
・毎日のニュース報道で出てくる予測には、極めて価値の高いものが多い。しかしその一方、予測の種類や立て方がはっきりしないために、価値の見出せない情報も多い。また、よくよく見ると予防線やあいまいな言い方のが含まれていたりして、信頼感が急速に消えることも間々ある。最悪なのは、当の予測には不向きな統計が根拠にされているといったケースの多さである。22.p
・40の経済指標を選んで、その「読み方」を解説している。また発表元のWEBサイトが紹介されており、登録すれば、新規公表日程やデータをメールで送ってくれる場合が多い。通読するのみならず、新規データの公表の都度、関連箇所を参照する辞書のように使うのが良い。
株式投資 第4版
ジェレミー・シーゲル / 日経BP社 (2009-07-23) / 3,024円56 users
タグ 経済 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年07月21日 22時29分31秒 2009/07/21
購入:  2009年07月21日 1,500円 所有
読中: 
○Amazonの内容紹介に「200年間の市場価格に基づき株式投資の最適戦略を明らかにした画期的名著」とある。無数にある「投資」に関するハウツウ本は、単なる時間の浪費であり、全く読むに値しない。バーンスタインが「シーゲルはデータを芸術に換えた」と評価するこの本は、単なる「投資戦略」を超えて、景気循環と株価との内的関連を考える上で不可欠の一冊だ。
○09/07/23に第四版の日本語訳が出版されるが、この機会に第三版を古本で購入。
アメリカ経済の歴史 1492‐1993
秋元 英一 / 東京大学出版会 (1995-02) / 2,940円6 users
タグ 経済 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年07月19日 21時34分50秒 2009/07/19
購入:  2009年06月09日 230円 所有
読中: 
○ch11、大恐慌とND政策
大恐慌の原因、Friedman&Schwartzの貨幣仮説(貨幣縮小政策)とTeminの支出仮説(主に個人消費と建設投資)の論争、171.p
・1928~30年12月に工業生産は△30%、価格は△19%、一方、貨幣供給は△5-6%、31年以降、銀行が清算プロセスを開始するとともに実質貨幣供給量は大幅に減少した。173.p
大恐慌の時期区分、31年夏のヨーロッパの金融恐慌の開始が分岐点になる。前期(29/10~31/06)は、株価暴落(30年春に一時的に回復する)の影響で、消費支出、輸出、工業生産の減少、全体としての総需要の減退が投資の減退に導いた時期。この時期の貨幣供給量はさほど減少していないが、物価指数や農産物指数は30%も下落した。後期(31/07~33/03)は、前期の支出減退に加えて、価格、所得の下落が長期に及ぶであろうという人々の期待の決定的な悪化が起こり、支出の一層の減退、金融恐慌の広がりに伴う通貨退蔵も加速される。価格下落が景気回復につながる可能性は閉ざされ、通貨供給量はかなり大幅に減少する(いわゆるマンデル効果)。31年9月以降、イギリスの金本位制離脱に伴う金の流出を防ぐ目的で取られた連銀当局の金融引き締め政策によって、利子率も上昇し、景気のらせん的悪化が始まった。174.p
大暴落1929 (日経BPクラシックス)
タグ 経済 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年06月09日 09時48分37秒 2009/06/09
所有 読了:  2009年05月31日
投機ブームに伴う新たな仕掛け、現実に需要があればいずれ必ず満たされるのが、資本主義の非凡なところである。過去の大規模な投機ブームをみると、投機家が心置きなく自分の仕事に集中できるような仕掛けが必ず登場していることが分かる。フロリダの場合は、それは「手付証書」の売買だった。土地そのものではなく、表示された価格で土地を買うことが出来る権利が売り買いされたのである。土地価格の10%に当たる手付金を払えば、この権利を表す手付証書を手に入れることが出来、この証書は転売可能だった。41.p
・株式市場にも、投機家が全エネルギーを投機に集中できるような仕掛けが用意されている。不動産市場の泥臭いやり方に比べれば株式市場のほうがよほど洗練されていた。それは信用取引、すなわち証券会社から金を借りて株取引をする仕組みである。42.p
・ブローカーズ・ローン(信用取引で買った株を担保に差し入れるローン)残高を見れば、投機がどれほど増えたかがわかる。この指標で見ると、1928年に投機がハイペースで拡大したことがはっきりする。ブローカーズ・ローンは呼べば応えるほど流動性が高いので、コール・ローンと呼ばれることも多い。20年代前半のその残高は10-15億ドルだった。26年初めにはこれが25億ドルになり、年末までにその水準で推移する。27年になると更に10億ドル増え、年末には34億8078万ドルに達した。途方もない額だが、これは始まりに過ぎなかった。28年の初めの二ヶ月は低調でいくらか減ったものの、その後は急激に増え、6月1日には40億ドル、11月1日には50億ドルに達する。そして年末には60億ドルに手が届こうとしていた。44.p(⇒「アメリカ経済の歴史」169.p参照)
新規事業、事業目的ではなく、株を売りさばくためだけの目的で会社を興す。放送と航空関連はことに値上がり期待が強かったため、それだけを頼みに新会社が次々に設立された。..だが全体としてみれば、この年の株式ブームを支えていたのは新種の産業ではなく、ブームは直接間接に既存の産業や企業に依存していた。投機が盛んな時期には、新規な目的のために売り出される新規な株が主役を演じることが多いが29年には端役に過ぎなかった。84.p
投資信託、20年代後半に投機のために考案された仕組みのうち、何よりも特筆に価するのは、投資信託、正確には会社型投資信託である。..アメリカに渡ってくるのは意外に遅かったけれど、発想自体は特に新しいものではない。イングランドやスコットランドでは1880年頃から、会社型投資信託の株を買うという形で投資家の資金をプールする仕組みが出来上がっていた。84-85.p
・28年の一年間で、推定186社の会社型投資信託が組織された。そして翌年初めには一営業日毎にほぼ一社のペースで設立され、年間で265社が誕生した。投資信託が一般向けに販売した有価証券の総額は、27年には4億ドルに過ぎなかったが、29年には推定30億ドルに到達、その年の新規発行額の三分の一をゆうに上回った。そして29年秋には投資信託の総資産額は、27年初めのほぼ11倍に相当する80億ドルを上回っている。88.p
投資信託の魔法の力、レバレッジ効果、魔法の寵児=ゴールドマン・サックス、98-109.p
・フィッシャー教授の予言、株価は恒久的に続く高原状態に達した。ハーバート経済学会は11月に「1920-21年のような深刻な不況が起きる確率は無視できる程度に過ぎない。企業の破綻が相次ぎ、それが長引くような事態は考えなくて良い」と断言した。120.p
・1929年の夏、株式市場がアメリカ人の生活の中で磁石のような存在だったことは疑う余地がない。猫も杓子も株式市場に吸い寄せられた。129.p
・29年の秋までには不況に陥っていたというのが通説になっている。六月には鉱工業生産指数と工場生産指数が共にピークを打ち、下降に転じた(149.p)。投機ブームとその崩壊が重要な役割を果たしたと考えない限り、29年秋以降の経緯について説得力のある説明はできない(151.p)。市場に対する信頼感は、一気に崩れたわけではない。..ナショナル・シティ・バンク会長のC・E・ミッチェルは「米国の産業は極めて健全」と断言。ブローカーズ・ローンに神経質になりすぎていると指摘し、「米国経済の上昇基調を妨げる要因は見当たらない」と述べた。また10月15日には、更に踏み込んで「市場は、現在概ね健全であり、わが国の全面的な繁栄を考えれば株価も妥当な水準にある」と強調している。同じ日の夜、フィッシャー教授が「恒久的に続く高原状態」に関する歴史的発言をし、「ここ数ヶ月のうちに株価は現在よりかなり高い水準に達すると予想している」と言い添えた(158.p)。
暗黒の木曜日10月24日、木曜日、歴史をひも解くと、この日が29年の恐慌相場の始まった日とされている。確かに混乱や恐怖や動揺の度合いから考えれば、そう見なされてもおかしくない。..多くは、持ち主の夢と希望を打ち砕くような値で取引された。株取引を巡る謎は数々あれど、売る人がいれば必ず買う人が現れるというのは最大の謎というべきだろう。だが29年10月24日には、「必ず」ということはあり得ないと誰もが思い知った。買い手がいっかな現れないという事態が頻々と起き、一本調子で下げてからでなければ買いは入らなかった。165.p
・暗黒の木曜日に続く二日間、大勢の人が経済予測の数字を確かめては胸をなで下ろした。..多分に、自己満足めいた楽観論を口にした人も多い。175.p
・NY証券取引所は29年秋には創立112周年を迎えている。112年の間には何度か危機もあった。..ただし過去の危機には、始まったときには終わっているという共通点があった。少なくとも、最悪の瞬間はそれと指し示すことができた。これに対して29年の大暴落の際立った特徴は、最悪の事態がじつは最悪ではなく、さらに悪化し続けたことである。今日こそこれで終わりだと思われたことが、次の日には、あれは始まりに過ぎなかったのだと分かるのだった。182.p
・第7、8章、暴落後の日々(大暴落に伴う様々な社会的波紋(自殺、横領事件、政治的反応、フィッシャー教授の弁解、etc)
原因と結果(第9章)、一般的に云って大暴落の原因を説明するほうが、その後の大恐慌を説明するよりははるかにやさしい。恐慌の原因を究明しようとすると、株の暴落が果たした役割を評価するのが非常に難しい問題となる(274.p)。大恐慌の原因は、いまだにはっきりしていない(分かったような説明..周期的変動説等、ナンセンス)。どんな理由なら妥当といえるか。この問いに答えるには、問題を二つに分けて考えると良い。第一に、なぜ29年に経済活動は下降に転じたか。第二はもっと重要な点だが、この不運な年に下降に転じた経済活動は、なぜ延々と下降線をたどり続け、まる十年にもわたって落ち込んだままだったのか(281.p)恐慌が長引いたことと特に関係の深い問題は、次の五つ。
1.所得分配、29年には、金持ちは途方もなく金持ちだった。あの年には総人口の僅か5%を占めるに過ぎない最高所得層が、個人所得総額の約三分の一を手にしていたことはほぼ確実である(285)(⇒「アメリカ経済の歴史」168.p、消費財部門と生産財部門との不均衡⇒「世界経済と世界政治」64.p)。
2.企業構造、持ち株会社と投資信託という新種の経営形態との係り(287)
3.銀行システム、経営基盤の脆弱な多数の銀行(288)
4.対外収支、
5.専門家の経済知識、
・将来のいずれかの時点で株投機が盛んになり、その後に暴落が起きるとしても、29年と同じような影響を経済に与えることはないと考えられる。..経済の欠陥は、その後かなり修正されたことは間違いない。まず所得の分配は、以前ほど偏っていない。29年のアメリカでは最高所得層5%が個人所得総額の約三分の一を手にしていたが、48年には五分の一以下にまで減っている。また29年には賃金・給与・年金・失業保険給付が世帯所得に占める比率は約61%だったが、50年には71%にあがった。..これに対して配当、利息、賃貸料など富裕層特有のいわゆる不労所得は、絶対額こそ増えたが、世帯所得に占める比率は22%強から12%強まで下がっている。304.p
・所得分配について、「超・格差社会アメリカの真実」(参照)には、
2001年には全世帯のトップ1%が、全米の富の33.4%を保有し、次の4%が25.8%。要するにトップ5%が60%の富を握り、次の15%が25.2%、あわせてトップ20%が84.4%の富を握っている。(51.p)(Surveys of Consumer Finannceによる時系列データから)とある。
市場リスク 暴落は必然か
タグ 経済 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年06月08日 20時09分34秒 2009/06/08
購入:  2008年12月 2,520円 所有
読了:  2009年06月08日
○二つの金融危機
1987年のブラックマンデー、それまでの二年間に世界経済が生み出した市場の富を上回る資産が一日で軽く吹き飛んだ。市場は危険と背中合わせで、自然の力、避けられない経済の不確実性に由来するものと考えがちだ。しかし、そうではない。突然の景気後退や天災が原因で金融危機が発生することはない。過去数十年の危機の殆どすべては、金融市場そのものの複雑な構造に起因している。..現代の金融危機は、危機が悪化し続けることが、もう一つの厄介な点だ。9-10.p..市場の危機や金融の不安定性は、経済の実態を反映していない。..過去40年間にわたって市場は発展を遂げ、実体経済のリスクは50%以上低減しているのにS&P500種株価指数の過去20年間の平均年間標準偏差は、50年前より高くなった。アメリカ経済の外生的リスクは低減しているのに、金融市場の総リスクが増大していることは、金融システム内に構造的欠陥がある重大な兆候である。11-13.p
・(87年)10月16日の取引が終了すると、株式市場を取り巻く環境は一変する。19日の取引が終わるまでに、ダウ平均は22%以上下げ、一日での過去最大の下落率を記録した。S&p先物の惨状はそれ以上だった。..1987年のブラックマンデーに関する検証を見ると、現代経済理論の効率的市場仮説、すなわち「すべての情報は直ちに価格に反映される」という概念に適合させようとする調査結果であふれている。しかし、個々の分析を見ても、分析結果全体を見ても、市場が大きく見直される事態につながるような原因は何一つ見つからなかった。ブラックマンデーは、新しい情報に合理的に反応した結果生じたものではない。27-29.p
・10/19の大暴落は、未来の市場がどのような種類のリスクに曝されることになるかを鮮烈に示した。市場暴落を招いた原因は二つあった。一つは流動性がコンピューターに支援されたこと、プログラム化された現物先物取引が迅速に執行されることによって、市場に流動性が供給された。もう一つは、革新的な商品、すなわちポートフォリオ・インシュアランスの登場だった。57.p(リスク回避のためのプログラム取引が開発され、ある日突然、市場参加者のすべてがリスク回避のためにプログラム取引の指示に従って同一の行動を取るとすれば、市場機能は完全に麻痺する。売り手と買い手が居て初めて市場は成立するが、ある日突然、売り一色・または買い一色になれば市場は麻痺するというのは、最も単純な真理だ。リスク回避のためのプログラムが完璧であれば、完璧なほど、プログラムは機能しない。みんなが同じプログラムを採用するから。
○第4~7章、巨大金融グループの創出に伴う市場構造の複雑性の深まり及びそれに伴う金融リスクの肥大化
市場の機能不全、最近見られる市場の機能不全の多くは複雑性に起因する。同時にそれが制度設計に伴う特性=「密結合」と結びつくことによって避けられないものとなった。密結合とは、プロセスの構成要素同士が強く依存しあっている状態で、構成要素の一部にエラーが生じた場合、組み替えたり、調整を図ったりする余地や時間がほとんどないことだ。245.p
複雑性と密結合の相互作用、金融市場の密結合は、絶え間ない情報の流れと、即時の流動性供給に対する底なしの需要によってもたらされる。密結合はレバレッジによって強化されるが、レバレッジは流動性から直接生み出される。流動性がその所産であるデリバティブやレバレッジと結びついて、複雑性と密結合の相互作用が起こると、破滅の方程式は完成する。247.p
複雑性と密結合の相互作用に基づくシステムに内在するリスク、原発業界と航空業界のケーススタディ、251-262.p
規制や監視の限界、市場が機能停止に陥ると、保護と規制の階層を厚くする動きが起こる。しかし複雑性に絡めとられた市場を規制しようとすると、意図せぬ弊害をもたらす可能性がある。安全装置を加えることで複雑性が増し、更なる機能不全を誘発して、危機を増幅しかねない。248.p..規制や組織的な監視の階層を追加しても、制度設計が生み出した市場の複雑性や密結合のもたらす問題を解決できるとは限らない。問題の要点は、事後的な規制の強化でリスクをコントロールしようとするのではなく、何よりも複雑性を減らすことが望ましい。277.p
タグ 経済 カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / ビジネス・経済 更新日:2009年06月01日 23時17分03秒 2009/06/01
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読了:  読了
・最初に読んだのは1987/02/07、次に去年の年末に再読。今回はキンドルバーガーを読む前提として29年に「何が起きたか?」を再整理するため(実際には29年の分析ではなく、29年に酷似する時期として1983-85年を分析)、またガルブレイスとの対比のため。訳書は、原著の後半部のみの翻訳で、22年前には訳書のみ読んだが、今回は原書も入手(Amazon.comのマーケット・プライスで)。訳書と対比しながら読むも(初めて気づいたが、小さな誤訳ないし誤植が結構ある)、株式市場の専門用語が多く門外漢には難解。
・グランビルは、本書の「前書き」冒頭で29年の恐慌を主題とする幾多のテキストは「本来テクニカル・アナリストによって書かれるべきだったのに、歴史家や経済学者によって書かれた」ために失望せざるを得なかったので「1929年の恐慌についての決定版」を書きたかったと宣言している。というのも「余りにも多くの人々がファンダルメンタル分析によって誤導されてきた」から。言い換えれば、ファンダルメンタル分析によっては見逃されているものが、テクニカル分析によって見えてくるとの宣言。両者の対立は、通貨主義と銀行主義の対立と同様、依然として続いており、決着は付いていない。
・グランビルが「警告」を書いた当時のNYダウの株価はただの1300ドル前後、その後株価は何度か「暴落」を繰り返しながらも07年10月には14000ドルに達した。今日の「高み」から見ると、一面、グランビルの「警告」は杞憂に過ぎなかった。しかし、その後、株価は6千ドル台にまで落ち込み、現在は8千ドル台半ばまで持ち直してきた。これは(グランビルの「警告」に)遅れてやってきた「大暴落」の始まりに過ぎないのか、それとも収束への転機なのか?
・株式市場の細目にこだわるのは、大局を見失う危険があるが、しかしバルザックを読めば分かるように、真実の面白みは大局よりも細目にこそある。
・1927年、イングランド銀行に始まった国際的協調利下げの動きは米国にも波及し、債券市場の上昇およびピークアウトを引き起こした。ピークアウト後の債券市場の下落は、株式市場で株価を10%以上も上昇させた。債券市場から溢れ出た投資資金は株式市場に向かい、28年から29年に到る投機ブームの主たるエネルギーになった。(日本語版まえがき)
・国中がレーガノミックスの器用な手さばきで催眠術にかけられ、ダウ工業株平均が目の回るような投機スパイラルで、常時記録的高水準に押し上げられていたとき、人々は、史上例を見ない巨大な財政赤字、それも以前の赤字を全部足し込んだ赤字合計をはるかに超える大赤字が実現していたことを、見落としていた。3(これも、これから予測されるオバマ政権の財政赤字に比べると児戯に等しい。ここから何を汲み取ればよいのか?財政赤字には「際限がない」と見るか、予測外の「大破綻がくる」と考えるか)
・NY証券取引所開所来の記録となった1.6億株の出来高は1月5日に発生した。その後の展開は紛れもなく大口投資家主導になった。19
・あらゆる強気相場において優良株は最後に天井をつける。..同じ例は29年9月にも見られた。大部分の株式は28年の年末以来下げ歩調になっていた。ほんの一握りの優良株だけが29年9月まで強含みで取引されていた。22
・ファンダルメンタルズはすべて良好で疑う余地などどこにもなかった。あらゆる障害が株式市場そのもの中にあったと見るべきなのだ(23)。350の優良株のうち64%に当たる224銘柄が83年に配当を増やした。景気が好転する中で、優良株がさらに利益を分配することが期待された。「歴史的にはより高い配当はより高い株価を支える」。しかし明らかに彼らは間違っていた。強気相場のときは正しかったかもしれないが、暴落しようとしている29年型の相場においては違っていた。25
・強気相場の最後にはM&Aが激しく繰り広げられる。25
・84年1月の相場は、大変弱含みになっていた。ダウは朝のうちは上昇するが午後下げるというパターンであった。..上昇相場の頓挫は29年9-10月の相場でも極めて特徴的な部分だった。当時も「魅力的な朝高」があり、恐ろしい引けが待っているという状況が続いていた。28
・27年から29年にかけての大幅な投資家数の伸びが投機の風船を膨らませ取引高の記録的な増加を引き起こした。31
・相場はテクニカルな面で弱くなると、噂に敏感になる。投資家がすでに「神経質」になっている証拠が提供された。噂が正しいかどうかにお構いなく、相場は深く考えることなく、すぐに反応する。..噂が相場の行方を決定することは断じてない。37
・(84年)2月3日、相場が宿命的なポイントに達していることは明白だった。すべては終局に向かって動き出すしかなかった。相場が加速度的に上昇してきたこれまでの展開において、投機が如何に膨張したかは、信用買い残が82年の夏以来二倍以上に増加し、230億ドルに達していることに反映されている。この状況は、29年9月にピークをつけたブローカーズローンの増価ぶりと軌を一にするものである。51
下げ基調での一時的反騰(84/02/27のWSJから)、連邦予算の赤字と最近のマネーサプライの数字に関する好ニュースで、金曜日にはダウ工業株平均は30.47ポイントも上申して以来、最大のものだった。金曜日の活況の株式市場は転換期を迎えており、ダウ工業株平均は、七ヶ月間で一日の上げとしては最大の30.47ポイントの上昇した。63
・82年から84年の景気回復期に、個人所得は空前の高水準に達した。国民の間には新たな繁栄気分が生じ、大きな変化が来るとは思っても見なかった。68
・1929年の企業収益は素晴らしかったが、相場はひどかった。企業収益ではなく、相場を追うべきだ。配当はどうか、これも相場を見るとき、最もだまされやすいものだ。29年には、企業は相場を支えるために、競って増配した。71
弱気相場に関する最初の記事、強気相場が弱気に変わる時に興味深いのは、WSJに弱気相場の記事が最初に載るのはいつかということだ。ダウの最後の高値は83年11月29日の1287ドル20セントであった。そして84年1月、ダウが新高値更新に失敗した時に、この有名な優良株平均は本格的なテクニカル上の困難に遭遇した。しかしWSJに弱気相場の記事が出たのは、84年3月9日になってからであった。73
騰落株線、高値・安値指標、騰落株線は、ダウに八ヶ月先行して28年12月にピークをつけていた。同様にそれらの指標は、83年11月下旬にダウがピークをつける何ヶ月も前の同年春にピークをつけていた。74
超楽観主義者、J・テンプルトンはダウが88年には2800-3150ドルに達すると予想した。更にR・プレテクターは、十年以内にダウは二千ドル台に乗せるだろうと予測している。恐らくこうした超楽観主義の信奉者達は、80年代を20年代の二重写しとし、82年を21年のボトムになぞらえていたのであろう(実際には、何度か浮き沈みはあったけれど87年8月には2662ドルに達し、十年後の94年2月には3832ドルに達した。この点では、グランビルの悲観論は短・中期的には正しかったが、長期的には全く的外れに終わった。しかし超長期的には正しかったと云えない事もない。つまりいかなる予測も時間との相関によってのみ評価される)。75
弱気を強気と取り違える、84年の最初の三ヶ月間をみると、弱気の台頭が一般的にはあたかも強気の台頭のように解釈されているのは明らかだ。通常の市場では、弱気の台頭は強気サイドへの転換を増すもっともな理由だった。しかし、ほんの数ヵ月後に暴落の待っている株式市場では、弱気の台頭が暗示するのはワイングラスが粉々になることが避けられないこと、つまりファンダルメンタルズに関係なく全株式が同時に暴落することなのである(言い換えれば、暴落相場では「通常の指標」は役立たないということ。では、何で判断すれば良いのか??)。81
出来事、いったいどんな出来事が下落相場をもたらすかを正確に予言することは必要でもなく、また大抵の場合、不可能である。しかし緻密なテクニカル分析により相場を予想することは可能である。108

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