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読書をつづる〔書評と引用〕 by ぼん・ぼやーじゅ > 検索
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全面改訂 超簡単 お金の運用術 (朝日新書)
山崎 元 / 朝日新聞出版 (2013-09-13) / 821円271 users
購入:  2015年12月22日 821円 所有
読了:  2015年12月27日 星5つ
<超簡単 お金の運用法>(1)当座の生活に必要なお金(たとえば生活費三ヶ月分程度)を銀行の普通預金に置く。(2)残ったお金を、リスクを取ってもいいと思う「リスク運用マネー」と、元本割れを想定せずに済む「無リスク運用マネー」に分割する。この場合、「リスク運用マネー」は「無リスク運用マネーよりも平均すると5%利回りが高いが、最悪の場合、一年ンで3分の1が失われる可能性がある」と考えて、好きな金額を割り当てる(残り全額でもいい)。(3)「リスク運用マネー」は「TOPIX連動型上場投資信託」(コード番号1306)、野村アセットマネジメントが設定・運用)と「SMTグローバル株式インデックス・オープン」(三井住友トラスト・アセットマネジメントが設定・運用)に、半々に投資する。(4)「無リスク運用マネー」は「個人向け国債」(10年満期タイプ)または「MRF」(マネー・リザーブ・ファンド)で持つ。あるいは一人一行1000万円未満なら銀行預金で運用してもいい(ただし、外貨預金はダメ)。(5)大きな支出の必要が生じたら、「リスク運用マネー」あるいは「無リスク運用マネー」のいずれかを「躊躇なく」部分解約してこれに充てる。(6)NISA(少額投資非課税制度)及び確定拠出年金を最大限に活用する。 (P16)
TOPIX連動型上場投資信託:これは「ETF」(Exchange Trade Fund = 上場投資信託)と呼ばれる商品の一つで、野村アセットマネジメント株式会社が設定・運用している投資信託だ。東京証券取引所に上場されていて(コード番号は1306)、上場株式のように取引することができる。ネット証券で購入すると、百万円分買っても、数百円の売買手数料で済む。通称「TOPIX」と呼ばれる東証株価指数(東証一部の全銘柄の加重平均で構成された株価指数)に連動するように運用されている商品であり、日本の主な銘柄に実質的に幅広く分散投資されている。TOPIXに連動するETFは他にもあるが、このファンドは最も運用資金量と取引量が大きく、運用が安定している。また、通常の投資信託に比べて、信託報酬と呼ばれる継続的にかかる運用・管理の手数料が安いことが大きな長所だ。投資信託は、特に資産形成のために長期保有する場合、継続的に掛かる手数料である信託報酬を重視して選ぶことが重要だ。 (P18)
SMTグローバル株式インデックス・オープン:株価指数に連動する運用を目指す三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社が設定・運用する公募の投資信託で、インデックス・ファンドのSMTシリーズの中の一本だ。MSCI・KOKUSAIと呼ばれる、日本を除く先進国23ヵ国の株式を指数化した株価指数に連動するように運用されている。外国株式を指数化した株価指数は有名なものが複数あるが、この指数は、公的年金をはじめとする日本の機関投資家の外国株式運用のベンチマーク(運用目標)として、最も広く使われているものだ。SMTグローバル株式インデックス・オープンは、販売手数料の設定を販売会社に任せており、大手のネット証券では、「ノーロード」(販売手数料ゼロ)で買うことができる。信託報酬は、2013年8月現在、年率0.525%で、たとえば同じ指数に連動する海外上場のETFなどに、もっと低コストなものが存在するが、一般投資家が海外ETFに馴染みがないこと、外国株式の購入手数料と、外国為替の手数料が掛かることなどから、今回の全面改定版では、シンプルに、SMTグローバル株式インデックス・オープンだけを選ぶことにした。同じ株価指数への連動を目指す同種の商品として、同じく信託銀行系の三菱UFJ投信株式会社が運用する「eMAXIS先進国株式インデックス」という商品があるが、現在、こちらの信託報酬が年率0.63%とわずかに高いので、SMTシリーズの商品を選んだ。ただし、SMTシリーズとeMAXISシリーズとは、お互いを意識して信託報酬その他を設定・改定することがあるので、興味を持たれた読者は、時々ホームページなどで調べてみて欲しい。日本の投信業界は、新商品開発には熱心だが、既存の商品の改善、特に手数料の引き下げに消極的な面がある。信託銀行系の両社のように、真面目に価格競争する運用会社は投資家にとって大切なので、応援しよう。 (P20)
個人向け国債は、証券会社、銀行、ゆうちょ銀行などの窓口で買えるが、固定金利で満期が三年、五年のものと、変動金利で満期が十年のものがある。これらのうちで、お勧めするのは、変動金利の十年型だ。この商品は、半年ごとに十年国債の流通利回り(いわゆる「長期金利」)の66%を目処に決定されるクーポンが支払われる変動金利型で、十年の満期を持つ。利回りは特別に魅力的というほどではないが、相対的には「まあまあ」である。この商品には、利回り以外に二つ長所がある。まず、国債なので、銀行預金よりも信用リスクが小さいことだ。預金は、「一人、一行、一千万円迄の預金の元利金」が預金保険で保護されることになっているが、この金額を超えるお金の置き場所を考えると、個人向け国債は、個人が手軽に買えて有力な対象となる。銀行の経営状態の判断は、個人には難しい。率直に言って、日本には、必ずしも「大丈夫!」とはいえない銀行や信用金庫などが存在する。財政赤字がこれほど大きな日本政府の発行する国債で大事なお金を運用して大丈夫なのか、という疑問を持つ向きがあるかもしれない。あるいは、金融機関のセールスマンの中にも、そのようなことを言う者がいるかもしれない。しかし、日本国債の元金利がスケジュール通りに支払われないような状況になった場合に、もっと危ないのは日本の金融機関の経営状態だ。財政赤字の弊害は一般に、「長期金利の高騰」、「インフレ」、「通貨安(円安)」の三つだが、現在、日本の長期金利水準は国際的に見ても著しく低く、インフレよりもデフレからの脱却が課題となっており、そのためには円高よりも円安が望ましい、といった状況にある。世の中に起きている現象を率直に見て、日本国債がデフォルトする(元利金の不払い等に陥ること)公算は極めて小さい。政府債務残高の対GDP比率だけを見て、「日本円は紙屑同然になる」と慌てるのは賢くない。二番目の長所は、このタイプの個人向け国債が、いわゆる「国債暴落」に強いことだ。どういうことか? 個人向け国債は、保有一年目以降、利払い二回分、つまり過去一年分のクーポン(利子。税引き後)をペナルティとして支払うと、満期以前にいつでも元本で償還できる。「国債暴落」とは、長期金利(十年国債の流通利回り)が急上昇することだ。たとえば、本書執筆時点で1%未満である長期金利が、4%に上昇すると、十年満期の国債の価格はざっと三割ほど下落する。この価格下落規模は、暴落と言っていいだろう。こうした事態が起こった場合に、金利の変動リスクに対する管理をやり損なって破綻する金融機関が現れる可能性は十分ある。しかし、4%という金利水準は、実質成長率が2%で物価上昇率が2%といった、実は理想的に望ましい経済状態が達成された場合には、十分あってもおかしくない水準だ。また、長期国債利回りは、基本的に市場で決まる「相場物」であって、1980年代後半には7~8%くらいが普通だった時代もある、大きく変動しておかしくないものなのだ。長期金利が上昇した時に、「変動10年型」の個人向け国債は変動金利なので、金利上昇に約三分の二ほどついていくことができるが、「ここが長期金利のピークで、チャンスだ!」と思うような金利水準の上昇があれば、直近の利払い二回分のペナルティを払って元本を引き出して、長期国債を買うこともできる。個人向け国債(変動十年型)が、銀行預金よりも安全で、国債暴落に強いということの意味をお分かり頂けただろうか。この商品は、銀行・証券会社のいずれでも買えるが、募集が三ヵ月に一度であることと、窓口で素直に売ってくれない場合があることに注意が必要だ。素直に売ってくれないかもしれない理由は、金融機関の募集取扱手数料が安いことと、10年間にわたって顧客のお金が「寝てしまう」可能性が大きいことの二つだ。募集取扱手数料は「100円に対して50銭」、つまり100万円売って5,000円しか販売金融機関に入らない(ネット証券から見ると、十分大きいが)。投資信託を降った場合に、販売額の2~3%の販売手数料に加えて、預かり資産の残高が維持されている限り信託報酬の半分程度の手数料(代行手数料)の収入があるのと比べると大差だ。せっかくお金を持っている客が目の前にいるのだ。「個人向け国債は利回りが低い」とか「巨額の財政赤字がある日本の国債でいいのでしょうか」などと顧客の心を揺さぶって、毎月分配型(通貨選択型を含む)の投資信託(「全て」が投資しない方がいい商品だ!)などに誘導しようと試みる場合があるだろう。対面型の窓口で買う場合は、「いかなる商品のセールスがあっても、はねのける!」という強い決意を持って、窓口を訪れて欲しい(この点、ネット証券で買うと、セールスマンと余計なやりとりをせずに済む)。 (P22)
MRF(マネー・リザーブ・ファンド) 証券会社が扱っている投資信託の一種で、毎日お金の出し入れができて、銀行の普通預金よりも僅かにいい程度の分配金が出る商品だ。資金の出入りが時々あることが想定されるなら、個人向け国債よりも、MRFがいいだろう。MRFは、満期までの期間が短く、元本保証のついた運用対象で運用される。投資信託なので、「元本保証」とはいえないが、元本割れは極めて起こりにくい仕組みだ。特に、一千万円以上のお金を預けるにあたって、MRFが銀行預金よりも無難で安心だと思う理由を説明しよう。一つは、MRFが投資信託であることによる、運用資産の保全効果だ。投資信託では、典型的には販売会社(証券会社、銀行など)が集めたお金を、信託銀行が分離勘定で保管して、この運用資産に対して投資信託運用会社が運用の指図を行う形で運用される。この形式だと、販売会社が破綻した場合でも、運用資産は信託銀行で保護されているので、投資家は、販売会社の経営状態について心配する必要がない。筆者は、1997年の11月に自主廃業を発表した山一證券に勤務していた。当時社長だった野澤正平氏がテレビカメラの前で「社員は悪くありません」と涙を流した記者会見をご記憶の方も多かろう。自主廃業の発表の後しばらくの間、山一證券の支店にはご自身の資産を引き出そうとする顧客が殺到したが、当時の山一投信が運用していたものをはじめとして、山一證券が扱っていた投資信託の資産は全て無事であって、山一證券の債務の弁済に流用されるようなことはなかった。他方、理屈上、銀行が破綻した場合に、預金保険の限度を超えるよきんを持つ預金者は、その銀行に対する債権者の一人として、債権の弁済が完全に行われるか否かを気にしなければならない。そして、率直に言って、日本の全ての銀行に対して、「将来とも、大丈夫だ」とは言いにくい。加えて、MRFは、多数の運用対象に分散投資されている。この中に万一元本割れするようなものがあったとしても、損害は小さいだろう。他方、一つの銀行の預金に多額のお金を集中することは、一社の社債にだけ投資するような信用リスクを負うことを意味する。預ける金額が大きくなると、銀行の預金よりもMRFが無難であると考えられる場合があることがお分かりいただけよう。なお、MRFよりも少しだけ運用対象の制限が甘いが、MMF(マネー・マネージメント・ファンド)もほぼMRFに準ずる信頼性がある。ただし、MMFでは、かつて大手証券系の投信会社が運用するもので僅かながら元本割れを起こした実績があることを付記しておく。しかし、筆者が大金を持っているなら、それなりに大手であっても経営が不安な銀行に預けるよりは、MMFの方が安心だと思うだろう。ところで、対面営業の証券会社だと、MRFやMMFに多額のお金を持っている顧客はセールスマンのターゲットになりやすい。ここで、肝心なのは、決してセールスマンの相手をしないことだ。この自信がない場合には、少し心配だ。この点、個人向け国債であれば、小さいとはいえ解約にペナルティが掛かるので、他の金融商品を購入したくなる誘惑を跳ね返すことが気分的に容易だろう。筆者のお勧めはネット証券のMRFを利用することになるのだが、ネット証券の場合、セールスに晒されるということはないが、いつでも投資できるお金がMRFの形で口座に貯まっていると、ついついいろいろなものを売る介してみたくなるかもしれない。それはそれで楽しい場合もあろうが、本書の趣旨から外れる。先にも述べたように、筆者は、現在、ネット証券に在職しているから、読者に対して、ネット証券の利用をお勧めしたいと思う利害を持っている。しかし、本書でおすすめしているETFの売買もネット証券が便利だし、売買に掛かる手数料も対面型の証券会社よりも断然安い場合が多いはずだ。書いていることに嘘はないつもりだが、読者は、用心深く個々の証券会社の条件を比較して自分で納得して取引して欲しい。痛くもない腹を探られるとくすぐったくて苦しいので、念のため、ご注意申し上げておく。 (P26)
金融機関やマネー誌のようなメディアは、金融商品の優劣にことさら注目させようとする傾向がある。たとえば、「全て!」がダメな毎月分配型の投資信託にも「お勧めのファンド」があったりして驚くこともあるが、率直に言って、同じような内容の商品に、より高い手数料を払わないということにだけ気を付けていれば、まずは十分だ。また、「TOPIX連動型上場投資信託」と「SMTグローバル株式インデックス・オープン」への投資比率は「大まかに半々」で結構だ。4対6から6対4の間に入っていればいいというくらいの大らかさで構えてもらっていい。 (P33)
銀行は、1998年に行われた通称「日本版ビッグバン」の規制緩和によって、窓口で投資信託の販売を行うようになったが、ETFはまだ扱っていない。加えて、銀行が店頭販売用にラインナップしている投資信託は、ほとんどが手数料の高いものだ。筆者は、個人のお金の運用に適していると判断できるものをほとんど見たことがない。読者は「投資信託は、決して銀行で買わない」と、決めておいて結構だと思う。ついでに「個人型年金保険」などと称することが多い変額保険も買わないと決めるといいだろう。銀行で購入してもいい商品は、ある程度の金額までの決済用の普通預金を除くと、せいぜい個人向け国債だけだ。この点、ネット証券の場合は、取引口座を開いて、売り買いする対象を自分で分かってさえいれば簡単だ。売買手数料や為替レートの実質的な手数料も、ほとんどの場合対面型の証券会社よりも大幅に安い。ただし、これらは、小さくないメリットなのだが、普通の人にとっては、たぶんそれ以上に、セールスマンと直接相対する必要がないということが、ネット証券を利用する最大のメリットだ。 (P34)
解約には、儲けの場合も、損の場合もあるが、それらはしょせん過去に起きたことの結果であり、現在の判断が重要なのだ。この点を心から納得できると素晴らしい! 現時点で売買可能な価格が投資の判断の前提なのであって、自分の過去の買値は判断に関係させない方が正しいのだが、これができない人が多いのが現実だ。とはいえ、多くの人が、保有している対象を自分の取得価格よりも安く売ることに対して心理的な抵抗感がある。2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンと共同研究者であるエイモス・トヴェルスキーが考案した「プロスペクト理論」(の一部)によると、投資家の買値から同幅で儲かったり、損したりする場合、精神に与えるインパクトは(プラスとマイナスの逆方向の違いはあるが)損の場合の方が、儲かる場合よりも二倍以上大きいという。つまり、投資家は、自分の買値よりも安いときに投資対象を売却するのが精神的には非常につらいのだ。その気持ちは分かる。しかし、この心理的な傾向は、個人の努力でぜひ「克服」して欲しい。お金はしょせん「手段」に過ぎない。加えて、個々の投資対象での損得を自分の価値に対する評価のように考えることは間違っている。お金は、あくまでも合理的に、セオリー通りに淡々と扱うのがいい。この点について深く納得できると、大げさにいうと人生観が変わる。お金に心まで縛られなくなるための、第一歩だ。行動指針を繰り返すと、株式や投資信託などは、当初の自分の買値よりも上昇していようが下落していようが、そのときの価格「だけ」に基づいて、自分の買値には、無関係に売却の可否を決定することが適切なのだ。仮に、自分の買値よりも値下がりした価格で投資信託を売るとしても、それまでは投資信託の期待リターンがリスクに見合う程度以上に高いと思っていたのだから、過去の意思決定自体は正しい。前提の判断が結果的に違っていただけだ。売却によって確定したたまたまの結果を「残念に思う」のは仕方ないが、「後悔する」のは無意味だ。なぜなら、過去に自分が持っていた情報と判断力では、これを改善することができなかったからだ。改善できないことについては、諦めてもいい。そう思って生きると人生は楽になるし、改善できることに集中する結果、パフォーマンスが向上することを期待できる。 (P36)
現在、日本の銀行は良い貸出先を十分見つけることができずに苦しんでいる。彼らの目下のビジネス上の基本方針は、お金持ちからは投資信託などの手数料収入を獲得し、貧乏人からは系列のカード会社や消費者金融会社も使って小さな借金による金利収入を稼ぐ、というものだ。クレジットカード機能付きのキャッシュカードなどが、初歩的な「罠」なのだ。多額でなくて借金の残高が維持されると金利が掛かるし、顧客が借金になじんだ金銭管理をしていると、やがてはもう少し大きな借金をするようになる可能性もある。 (P52)
普通預金と投資信託を合わせた「流動性の高い金融資産」は、保険会社に儲けられることなく、掛け捨てにもならない「無駄のない保険」だ。保険の全てを否定するわけではないが、民間の多くの保険、特に医療保険や年金保険は無駄であり、かつひどく不利だ。これらに振り向けるお金があれば、自分で管理して増やすことを考えたい。 (P53)
「リスクがあって、リターンが大きいかも知れない(!)投資対象」として紛らわしいのは、外国の金利と為替レートが絡む外国債券、外貨預金、FX取引(外国為替証拠金取引)といったものと、現物・先物を問わず、金などのコモデティ(商品)投資だ。~(中略)~ 結論を言うと、外国為替のリスクや商品取引のリスクは、賭けが当たった人の儲けを賭けが外れた人が支払うような「ゼロサムゲーム的なリスク」なので、長期的なリスクを負担することを通じて、リスクに見合う追加的な収益を得ようとする長期投資の対象には不適切だ。外国為替やコモデティ取引は、お金の運用対象ではなく、ゲーム対象だと考えるべきなのだ。お金を簡明かつ着実に増やすことが目的の人は、これらの対象について検討する必要はない。 (P55)
外国株式に対する投資では、外国にあって日本にない「ビジネス」に投資できるという大きなメリットがある。外国株式の投資でも為替リスクを取ることになるので、外国株式に加えて、外国の債券・預金で更に為替リスクを取ると為替リスクが過大になりやすい。言い換えると、為替リスクは、外国債券よりも外国株式に割り当てる方が得だということだ。また、外貨預金や外国債券に、いい投資対象商品がないということもこれらを除外した理由の一つだ。外貨預金の場合、為替の手数料が大きい。加えて、債権の場合、よほど大きな運用金額(少なくとも数十億円レベル)でないと分散投資ができないし、個別債権の投資判断は専門的で難しい。さらに、外国債券を証券会社を通じて小口(一億円以下は債権の世界では小口だ)で投資する場合、債券価格と為替レートの双方で証券会社に実質的な手数料を取引価格に含まれる形で取られることになる点も不利だ。上場されている株式やETFと違って、債権は大半が店頭取引なので、価格をごまかされやすい。はっきり言うと、対面営業の証券会社にとって、外国債券は、小金持ちから手数料を稼ぐ上での格好のツールになっている。外国債券で分散投資をしようと思うと、投資信託を通じて投資する手があるが、外国債券を組み入れた投資信託のほとんどは手数料が高く、たとえば債券投資なのに信託報酬だけで年率1%を超えるような「話にならない」レベルのものが多い。 (P62)
外国為替市場は、基本的に金利とセットでゼロサムゲームになっており、特別に有利な情報がない限り何らかの通貨・金利での運用が有利になるようにはできていない。外国為替市場は「世界最大のカジノ」だと理解し、投機だと割り切って楽しみとして参加すべきものだ。FXに関して、特に注意して欲しいのは高金利通貨(目下、円に対して外貨はみな高金利通貨だ)にレバレッジを掛けて買い持ちした際のスワップ・ポイントを利息と考え、差し入れた証拠金を元本に見立てて「安定した高利回りの運用だ」と勧める向きがあることだ。こうした運用は、円で借金して外貨預金を持っているのと意味的に同じであり、決して「安定した有利な運用」などではない。 (P64)
大まかに言って、すべての運用商品は、株式市場や債券市場、為替市場といった一般に存在する市場から素材(投資対象)を選んでパッケージングして、売り手が何らかの手数料を抜く形で、顧客に販売するものだ。基本的には、全て、素材に分解できる。加えて、市場から得られる収益を、投資家と売り手(運用会社と販売会社を総称して「売り手」と称する)が分ける構造になっている。ちなみに、この分け方は、売り手側が自分の取り分を先取りして、残ったリターン(収益)と、リスクの部分は丸々全部を顧客に押し付ける形のものが多い。さりとて、売り手の取り分が運用成績に連動する「成功報酬」ならいいかというと、成功報酬はそれを通常の固定報酬ベースに計算し直して評価すると結構大きいことが多く、しかも、運用者が成功報酬の権利を持っている場合には、運用者が運用のリスクを拡大しようとする効果がある。成功報酬型の手数料は顧客側にとって健全なものでも得なものでもない。運用商品の基本的な構造を考えると、同様の運用対象に投資する商品を比較する場合、売り手側の利益、すなわち実質的な手数料が小さなものを選ぶのが正解となる。これが商品評価の基本原理だ。 (P65)
運用商品は、曖昧さのほとんどない、明確な優劣が付くものなのだ。マネー誌などには、同一カテゴリーの投資信託(たとえば国内株式に投資するもの)が同時に複数紹介されたりしているが、あれは無意味だ。率直に言って、マネー誌は、運用会社から広告が入る可能性があるので、商品の優劣をはっきり提示できないのだろう。はっきり言って、世の中の金融商品の大半が(自信を持って9割以上が!)、検討にすら値しない「ダメな商品」なのだ。 (P67)
アクティブ・ファンドに投資するということは、相撲のタニマチのようなある種の道楽であり、少なくとも、会費が有料のファンクラブに入るようなものだということがわかる「大人の理解」をもって、運用に興味がある人が「遊び」として行うべきことだ。運用の素人や、自分は良いファンドを事前に選ぶことができると思っているような「子供(精神的な)」に、アクティブ・ファンドを勧めるのはいけないことだ。 (P71)
NISA投資の四原則:原則その一、NISA枠は最大限に使う。原則その二、NISAではリターンの高い資産の運用に利用する。原則その三、NISAではバランス良く分散投資した商品を選ぶ。原則その四、NISAは低コストで運用する。 (P88)
「NISAは、ご利用されないと、もったいないですよ。」というセールス・トークは、顧客の立場から見ても正しいアドバイスだ。 (P89)
NISAは、運用益に対する課税を免除する優遇措置だ。非課税のメリットを最大限に活かすためには、自分の運用資産全体の中で、リターンが高いと思うものをNISAの運用に割り当てるのが正しい。~中略~ 投資信託でいうと、通常は、株式の比率が高いファンドの方がリスクはあっても期待収益率が高い。バランス・ファンド(株式と債券の両方を含むファンド)よりも、株式100%のファンドを選ぶ方がいい。 (P89)
現在のNISAの制度設計では、売却してしまった資金を再投資して再び税制優遇の対象にすることができない。したがって、長期間持ち続けることが可能なものを投資対象に選ぶことが望ましい。 (P90)
NISAの場合は、長期で持ち続ける投資を行うべきなので、投資信託でいうと信託報酬に該当する継続的に掛かる手数料の大きな運用商品ははっきり損だ。この点は、利用者と金融機関で利害が対立するポイントだが、利用者の立場から考えると、株式投信でおアクティブ・ファンドは手数料が高過ぎてダメだし、個人年金保険も実質的な手数料が高いので避けた方がいい。NISAの口座は、運用商品に必要十分な選択肢があって、手数料コストが小さな金融機関で開くのがいい。 (P91)
NISAでの典型的な運用プランはどのようなものか? 内外の株式のインデックス・ファンドを組み合わせて買うのが、多くの場合いいだろうと筆者は考えている。本書にあってリスク資産への標準的な投資プランである、「TOPIX連動型上場投資信託」と「SMTグローバル株式インデックス・オープン」に50万円ずつ投資すればいい。二年目以降も同じでいいが、全体として50%、50%の比率になるように投資金額を調整するといい。特に、ETFは、証券会社でなければ扱っていないので注意したい。別法として、全世界の株式に広く投資して手数料が安いバンガード社の「バンガード・トータル・ワールドストックETF」(海外上場のETFだ。ティッカー・シンボルは「VT」)と、「TOPIX連動型上場投資信託」に6:4で投資するのでもいい。海外ETFへの投資に抵抗感のない人にはこの組み合わせが手数料的に得でかつスマートかもしれない。 (P93)
NISAの口座はどこに開くといいのか? 投資したいと思う運用商品があることが何といっても第一条件だ。次に、同じ投資商品なら手数料の安い金融期間であることが大事だ。NISAについては、証券会社ばかりでなく、メガバンク、地方銀行、信用金庫にゆうちょ銀行まで含む金融機関で顧客の争奪戦が既に始まっている。しかし、たとえば、銀行の多くについては、対象となる投資商品の取り扱いが少ないことと、取り扱う投資信託の手数料が高すぎることとの二点から、NISAには不適当だと断言できる。証券会社の中では、手数料面でネット証券が安い。対面営業の証券会社は手数料が高い傾向があるが、少々の手数料を払ってもこちらの方が安心だという方もいるだろう。筆者は、ノーロード(購入時手数料ゼロ)や信託報酬の安い投資信託の扱いが多いことと、内外のETFなど取扱商品が十分幅広いことからネット証券をお勧めしたいが、筆者はネット証券の社員でもあるので、信用するかどうかは、読者が決めて欲しい。いずれにせよ、NISAに向けて、個々の金融機関がどのような商品ラインナップを用意してくれるかに一番注目したい。自分が投資したい運用商品に投資できる金融機関に口座を開くべきだ。 (P94)
NISAには幅広く分散投資されたインデックス・ファンドのような資産を置いて、長期保有し、個別株はNISA以外の口座で投資するといった組み合わせがいいと思う。同じ理由で、特定の投資テーマに特化した投資信託などもNISAでの投資には向かない。 (P96)
NISA口座以外での運用とNISAの運用はどう関係するか? 両者は深く関係する。個人にとって問題なのは、「自分の運用額全体」の増減であり、それぞれの時点で運用資産が最適な状態にあるか否かだ。NISAには、運用計画全体の中で、①期待収益率が高くて、②固定的に長期保有しやすい、運用部分を割り当てるのがいい。NISAでの投資以外の資産運用の内容は人によって異なるだろうが、「NISAを自分の運用の一部分として位置付けて、自分の運用の全体が最適になるように運用を調整する」という考え方が最適な運用への道だ。 (P98)
「年金」とは、老後の備えとなる資金のことだが、制度としての年金の意義は、煎じ詰めると、(1)節税された資金運用手段、であること、(2)長生きへの保険、の二点だ。ただし、日本では後者を担うのはもっぱら公的年金で、確定拠出年金の加入者にとっての意味は、前者の「節税された資金運用手段」の方だ。 (P101)
確定拠出年金(=DC:Defined Contribution)は、加入者自身が資産運用の対象を選ぶ年金制度だ。企業単位のものと、個人単位のものがあるが、前者を中心に普及している。企業型の場合、厚生年金基金も確定給付年金もない場合、月額の掛金の上限は51,000円になる。各社の制度・規約によって、実際に利用できる額は変わるので、読者がお勤めの会社に企業型確定拠出年金がある場合は、規約を確認してみよう。一方、個人型の場合は、厚生年金に入っている場合で毎月23,000円まで、国民年金だけの場合は68,000円までを上限として、給与の中から、「税金を引かれる前に」積み立てることができ、運用期間中の収益に税金が掛からない。つまり、毎月の積立金に掛かる額だけ、当面の税金を圧縮することができるのだ。この得は、相当程度確実であり、小さくない。したがって、会社の制度にもよるが、確定拠出年金に回す金額を選ぶことができる場合、できるだけ大きな額を回すことをお勧めする。このおカネは、税金が掛かる前に自分の給与から差し引くことができるので、「税金の分だけ得をする」と考えられる。 (P102)
原則として60歳まで換金して受け取ることができないといった不自由はあるが、ある程度以上の安定した所得がある人の場合、確定拠出年金に加入すると、月々の掛け金が非課税になることのメリットだけで「確実な儲け」が計算できる。さらに、確定拠出年金は「ポータビリティー」(加入者が転職独立しても、不利なく、持ち運ぶことができる性質)であることも、大きなメリットだ。金融商品やサービスの中で、顧客に対して「確実に儲かります」と言い切ることができるものは少ない。これだけハッキリ得になる運用方法は他にないので使わないのはもったいない。 (P104)
確定拠出年金の運用の四原則:(1)自分の資金全体の運用計画を決めて、確定拠出年金にその一部を割り当てる。(2)割り当てにあたって考慮すべきは、二点。第一に「運用益非課税のメリットが生きる期待収益率の高いもの」 第二に「通常の運用商品よりも安い手数料で買える商品があればそのメリット」(3)一資産一商品でシンプルなものを選ぶ。(4)同じリスク内容ならコストの安いものを選ぶ。 (P105)
確定拠出年金の運用益非課税のメリットを最大限に活かすためには、自分が運用しているアセット・クラス(資産分類)の中で、最も税制上のメリットが大きな資産クラスを確定拠出年金に「割り当てる」ことがポイントだ。一つは、自分の運用資産の中で期待収益率が高く、したがって非課税のメリットが大きい資産の運用を確定拠出年金の資産に集中すべきだ。これは端的に言って、国内株式か海外株式だろう。もう一つの考慮要素は、確定拠出年金に用意された商品ラインナップの手数料だ。特に、外国株式のインデックス・ファンドに関しては、リテール向けに販売されている公募の投資信託よりも手数料(信託報酬)が安い商品が選ばれている場合がある。こうした場合は外国株式に対する投資を確定拠出年金で集中的に行うと得になる。 (P107)
ライフサイクル・ファンドとは、内外の株式と債券の両方に投資するバランス・ファンドの一種で、顧客の年齢やターゲットとする年限などに応じてアセット・アロケーション(資産配分)を変化させる。投資家がリスクタイプを自分で選ぶ形式のものもあるし、運用会社側がターゲットとなっている年限(通常はリタイアメントの年)に向かって、徐々にリスク資産の比率を落としていくような運用を行うことが一般的だ。「若いうちはリスクを取る運用ができる。高齢になると、リスクは取らずに、安定運用の比率を増やす方がいい」という通念(必ずしも正しくないが)を反映した商品設計だ。しかし、ライフサイクル・ファンドは確定拠出年金に適した商品だとはいえない。はっきり言うと、「明らかにベストではない」。端的に言って、株式と債券の両方を含むバランス・ファンドは確定拠出年金に不向きなのだ。税制上のメリットを最大限に活かしていないのだから、理由は明らかだ。 (P108)
「金融資産を1000万円持っていて、概ね半分をリスク資産に投資してもいいと思っている人がいるとする。この人は、確定拠出年金に資産が200万円あり、NISAの利用枠が100万円ある。この人は、特にリスク資産運用部分に関して、何に留意して、どのような運用をすればいいのかを600字以内で述べよ」 出題者自ら、解答例を書いてみる。「確定拠出年金、NISA共に運用益を非課税とする制度なので、自分の運用全体の中で期待リターンの高い資産を割り当てることが合理的だ。両者の使い分けを考える上では、一つには、確定拠出年金はスイッチングが可能で、NISAは資産を売却してしまうとその金額だけ非課税枠から外れることの差が重要だ。また、確定拠出年金では、一般のリテール向けに売られている商品よりも運用手数料の安い商品が運用選択肢の中に用意されている場合がある。加えて、運用全体を通じて、極力ローコストな運用対象を選ぶことが望ましい。NISAでは、できるだけ途中で売却したくならないような、分散投資が行き届いた運用対象がいい。一方、確定拠出年金では、しばしば外国株のインデックス・ファンドなどで、リテールにはない割安な手数料の商品が用意されていることがある。こうした場合には、NISAではTOPIX連動型のEYF(上場投資信託)を持ち、確定拠出年金では外国株のインデックス・ファンドを中心に持つのが、全体のリスクとして最適で、手数料コストが最小な運用になる可能性が大きい。両者の合計300万円では足りないリスク資産投資(200万円)部分は、通常の取引口座を使い自分で運用を考えたらよく、資産配分など運用計画の変更に伴う調整は、この口座で行うといい」(550字)確定拠出年金、NISAを全体の中の一部として割り当てて、全体を最適にするという考え方の中で丁寧に損得を考えることが解答のポイントだ。 (P115)
率直に言うと、銀行は、ETFを扱うことができない制約がある以上、投資家から見てNISA講座を開くにあたってベストな場所ではない。 (P117)
現状が、バブル的な状況に移行するか否かを判断する上では、まずは為替レートの動きに注目するといい。アベノミクスの中核は「インフレ目標+金融緩和政策」だと要約できるが、この政策の具体的な効果は、特に初期の段階では、円安の進行に大きく依存している。ただし、日本の金融緩和政策自体に円安をもたらす効果があるが、為替レートは日本の事情だけでは決まらないので注意が必要だ。円安が進むようであれば、景気の回復、資産価格の上昇、インフレ率の上昇、といった効果が徐々にもたらされるし、その過程で何らかのバブルが発生する可能性も十分ある。一方、少し気の早い話だが、政策の効果が十分に出てきた場合、次に注目しておくべきは「長期金利」だ。長期金利とは、10年満期の国債の利回りのことで、市場で決まる重要な「相場」の一つだ。将来、景気が回復して物価が徐々に上昇してくると、長期金利も上昇に転ずる局面が来ることが予想される。長期金利が上昇すると、設備投資や住宅ローンの金利も上昇するし、国家財政の負担も増すし、銀行が大量に抱えている国債の価格が下落する。(債券の利回りの上昇は、価格の下落を意味する)。これらは、いずれも経済にとって好ましいことではない。こうした状況になると、日本の金融緩和政策にも転機が訪れる可能性が大きい。長期金利は、本稿執筆時点で0.8%前後まで下がっている。これが上昇に転じて、2%を窺うような水準まで来たときには、政策の方向性が変わる公算が大きい。長期金利はよく見ておこう。 (P127)
どうしても不動産に投資したいなら、場合によってREITを検討するといいだろう。REITは証券取引所で株式のように売買されているので、いつでも比較的容易に換金できるし、手数料も株式同様程度しか掛からない。しかも、多くの物件に分散投資されているので個別の物件よりもリスクが小さい。中身を分析するには多少の専門知識が必要だが、不動産投資の一手段として覚えておきたい。「アベノミクス」に沸いているのは、株式市場だけではない。不動産市場もムードが変わってきている。確かに、今後「バブル」が再来してもおかしくない経済環境だ。しかし、慌ててローンを組んで住宅を買ったり、投資用のマンションなどを購入したりする不動産の「現物投資」はお勧めしない。不動産の値上がりがいつまで続くかは不確かだし、いったん市況が崩れると、売りにくくて負担となるからだ。不動産ブームに参加したい向きにはREITを無理のない金額で買うことをお勧めする。不動産は借金をしてまで買わない方がいい。REITは次の五点で現物投資よりも有利だ。(1)相手を見つけなくてもいつでも市場で売れる、(2)分割して売却可能である、(3)取引に仲介手数料や税金などが掛からない(株式並みの手数料が掛かるがネット証券を使うと安い)、(4)多くの不動産に分散投資されているので個別物件に投資するよりもリスクが小さい、(5)店子との交渉や管理の手間が掛からない、の五点だ。政府は景気対策としてあの手この手の優遇措置を講じて不動産を買わせようとしている。当面好環境だが、高値掴みのリスクも大きい。不動産とは「手離れ」のいい形でかかわる方が無難ではなかろうか。 (P178)
生命保険というものを一言で要約すると「損な賭け」だ。したがって、なるべく入らないのが鉄則だ。独身者が入る必要はないし、年間支出の二年分くらいの資産があればたいていの場合、入る必要はない。保険料に支払う分を貯金ないし投資する方が賢い。稼ぎ手である夫が亡くなっても、しばらくしたら妻子は新しい生活に馴染むだろう。しかし、いざという時に頼るべき親も親戚もいない若い貧乏夫婦に子供ができてしまったような場合、残された妻子が次の生活を軌道に乗せるまでには、それなりの備えが要る。「こうした時にだけ」生命保険は必要であり、ありがたい仕組みだ。それ以外の保険は、繰り返しになるが、医療保険なども含めて、基本的に不要だ。上記に該当するような場合、期間が10年かせいぜい20年、残される家族の数×1000万円くらいの死亡保険の定期保険に加入しよう。その間に、ある程度の備えを作ろう。 (P181)
民間の医療保険は不要だ。第一に、健康保険に入っていれば、保険診療の医療費自己負担分が高額になる場合、健康保険にある「高額療養制度」を使うと、毎月一定の額(所得によって異なるが最高ランクでも約9万円)を超えた額の医療費は、後から還付されるようになっている。つまり、ある月に手術と入院で自己負担として100万円掛かった場合でも、保険診療であれば、9万円以上のお金は自己負担しなくていい。少々の蓄えがあれば、医療費が払いきれない心配は案外ないのだ。がん保険も含めて、民間の保険会社の医療保険には入らなくていい。医療保険に興味のある方は、何はともあれ、ネットで検索するなりして「高額療養費制度」を調べてみて欲しい。多くの人が別途保険に入る必要がないことが分かるはずだ。第二に、民間の医療保険は、契約者にとってあまりに「損」だ。医療保険の原価は公開されていないが、専門家の推定によると、保険会社から医療費として支払われるのは、平均すると保険料の50%を下回っているようだ。五千円札を一万円で買うという以上の割の悪さだ(反論のある生保はデータを公開すべし)。これなら、民間生保の医療保険に入るよりも、保険料を払ったつもりで貯蓄しておく方が、遥かに効率的でかつ柔軟だ。それに、数日で換金できる形で持っている貯蓄や投資は、将来健康なら医療費以外にも使える。金融の商品やサービスでは、しばしば、将来のお金の使用目的を限定しようとするマーケティングが行われる。医療保険や学資保険などが、その例だ。これらは、受け取ったお金は、医療費や学資以外にも使えるのだが、お金を受け取ることができる状況を制限して、お金の自由度を制約している。ある程度の貯蓄があれば、無駄な保険に入らなくていいことをはじめとして、「お金の自由度」を十分に活かしたい。 (P183)
退職金の運用も一般の運用も何ら違いはない。退職金といってもお金はお金だ。有効に働かせる方がいいし、余計なリスクは取らない方がいいし、コストは少ないに越したことはない。 (P190)
お金というものの大きな長所として、基本的に使途が「自由」であることが挙げられる。自分のお金であれば、食費にしてもいいし、学費にしてもいいし、旅行などに使ってもいい。お金を稼いで、貯めて、願わくは増やして、それを何に使うかは、必要なときに後から決めたらいい。使い途が、病気など将来の不測の事態への備えという場合もあるだろうし、不幸な事態がなければ、今度は楽しい目的に振り向けることもできる。ところが、金融の商品やサービスでは、しばしば、将来のお金の使用目的を限定しようとするマーケティングが行われる。たとえば、医療保険や学資保険だ。これらは、受け取ったお金は、医療費や学資以外にも使えるのだが、お金を受け取ることができる状況を制限して、お金の自由度を制約している。 (P198)
株式投資で覚えるべきことが数多くあるが、具体的な事例を見ながら徐々に知識を増やすといい。最初に覚えるべきで、後々まで役に立つのは、「PER」だろう。PERは株価収益率とも呼ばれる株価の高・安を判断する尺度として最も有名なもので、「一株当たり利益」に対する株価の倍率だ。たとえば、年間の純利益が100億円で発行株式数が一億株の会社の一株当たり利益は100円だ。この会社の株価が千円ならPERは10倍であり、1500円なら15倍だ。PERは、より小さな倍率である方が、「利益に対して、株価が割安なのだから」、これから投資する上では好ましい。これが第一の原則だ。ただし、利益の成長率が大きいと予想できる会社の株価のPERは高くてもいい。これが第二の原則だ。投資家が会社に感じるリスクや人気などによってもPERは上下するが、まずは、二つの原則を念頭に置いて、様々な会社のPERを計算して比べてみよう。特に、同一業界の会社同士でPERを比べて、どうしてそのような差が付くのかを考えることが役に立つ。株式投資を理解するきっかけとしてお勧めだ。 (P207)
株式投資のための決算発表の見方にはコツがある。一言で言うと、「予想と予想を比べる」ということに集約される。株価は、あくまでも「将来の予想」に対して形成される。新しい予想が発表される前の株価は、その前の予想によって形成されているから、「新しい予想」とを比べるのが基本だ。三月期決算の会社なら、翌年三月の決算期の利益予想について、これまでの予想と、決算発表と共に発表された新しい予想と比べる。よくある間違いは、その年の三月期の「実績」と翌年三月期の予想とを比較して、増益率を評価することだ。市場は、既に終わった決算を見ているのではなく、主に現在進行中の決算期を見ている。 (P209)

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©2007-2017 読書をつづる〔書評と引用〕 by ぼん・ぼやーじゅ