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荻上チキのバインダー
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ぢごぷり(1) (アフタヌーンKC)
木尾 士目 / 講談社 (2009-05-22) / - 98 users
星4つ
木尾士目の最新作。シンママとその双子の妹とで、赤子を育てる話。『げんしけん』の次にこれを持ってくるのがいい。一般には「かわいー」「萌えー」とか言われがちな赤ちゃんだけど、相手は生身の身体で、昼夜問わず欲求を訴え続ける存在。「しっかりしなきゃ」と強迫的に自分に言い聞かせるも、うまくいかず、精神をすり減らしていくギリギリの主人公と、それを間近で食い止めようとする妹。実際、泣きじゃくり手間のかかる子どもに、殺意に近い苛立ちを覚えたことのある親はたくさんいると思うけれど(育児してたという著者も、そうした感情を抱く瞬間はあったことがあとがきマンガで仄めかされている)、その過程が精緻に、執拗に描かれてる。「正しい育児法」(母乳じゃなきゃだめ!とか)に振り回され、固着した狭い家族システムの中で打開が見出しにくい状態は、見ていて痛いのは当たり前。とはいっても「リアルだからいい」というわけではもちろんなく、マンガとしても丁寧に読ませる作品。いつかまたどっかでレビューしよ。
反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)
湯浅 誠 / 岩波書店 (2008-04-22) / 842円427 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 政治 更新日:2009年05月17日 13時05分55秒 2009/05/17
星4つ
某所で「2008年のベスト新書3冊」のうち1冊として書評書いた。
※時間たったから、書評部分掲載。

二〇〇八年は「貧困」を様々な角度から捉えた著作が目立ったが、特に湯浅誠『反貧困』は、もし未読であれば今すぐ手にとっていただきたい一冊だ。具体的な告発の書であると同時に、優れた社会批評となっている。
湯浅は「貧困」と「貧乏」とを区別して説明する。「貧乏」とは単に、お金が少ないという経済的な状態を表すだけの言葉だが、「貧困」は、「人間関係の貧困」を含め、様々な排除をこうむっている状況を指す。そのため「頑張って働けばいいじゃない」の一言では済まされない。貧困の理由は、しばしば「生まれ次第」「運次第」「努力次第」といった言葉で説明され、容易に「個人の問題」へと落としこめられてしまうが、湯浅は「溜め」という概念を使うことで、貧困問題の複雑さを説得的に論じる。教育課程から排除され、企業福祉から排除され、家族福祉から排除され、公的福祉から排除され、最後に、自罰的に自分自身からも排除する――。「溜め」を失ってしまっている状態の人は、こうした「五重の排除」によって、容易に貧困にすべり落ちてしまうのだ、と。
こうした現状に対し、実情を理解しようとしない「自己責任論」が止むことはない。「貧困を脱するにはどうすればいいか」「どのようなセーフティネットが可能か」といったアジェンダを遠ざけるこうした言説は、貧困への共感可能性を下げ、さらには《社会問題からの排除》を招いてしまう。語り合うべきは、どうすれば「溜め」を社会的に分厚くしていくことが出来るのか、だ。社会批評はそのためにこそ機能する必要がある。(以下略)
サブカル・ニッポンの新自由主義―既得権批判が若者を追い込む (ちくま新書)
鈴木 謙介 / 筑摩書房 (2008-10) / - 162 users
カテゴリ:本・雑誌 本・雑誌 / 社会学 更新日:2009年05月17日 13時02分50秒 2009/05/17
星4つ
某所に書いた書評を一部抜粋

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新年早々から「派遣村」へのメディア的関心が高まる中、「運動」や「善意」への形式的な反発の声も、ウェブ上などで多く観察することが出来る。一方で、貧困問題を語る側からして、世代論や「悪い者探し」に激化しがちな言説が観察されることも少なくない。それらは共通して「既得権」を叩くという体裁をとっているが、その論理形式のネガティブな帰結について警鐘を鳴らしているのが、鈴木謙介『サブカル・ニッポンの新自由主義』だ。鈴木は、豊富な事例を元に、「救済の希求」から紡ぎ出される「既得権益批判」が、いかにして「擬似問題」を構築してきたかを喝破する。あらゆる「既得権」は、いくつかの条件が整うことによって歴史的・限定的に構築されたもので、普遍的に引き継がれるものではない。にも関わらず、「特定の権利の形」しか想像しえない状態では、そのパイを奪い合うためにバッシングが過剰化する一方で、多くのプレイヤーが「マシ」に振舞うための「新しいルール」を適切に導入できない。
貧困、ロスト・ジェネレーションといった問題についての「語り」も、場合によっては不適切な議題化による「歴史の反復」を招く可能性もある。いかに現在の問題が苦しくても、その解決を希求する言葉が、年長世代、あるいは次世代を排除し、女性労働者や外国人労働者を不可視化するようなものではまずい。(以下略)
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