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なおきの本棚 (Naoki’s Bookshelf)
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「学力」の経済学
読了:  2017年03月26日 星5つ
<目次>
はじめに
第1章 他人の“成功体験”は我が子にも活かせるのか?
    データは個人の経験に勝る
第2章 子どもを“ご褒美”で釣ってはいけないのか?
    科学的根拠に基づく子育て
第3章 “勉強”は本当にそんなに大切なのか?
    人生の成功に重要な非認知能力
第4章 “少人数学級”には効果があるのか?
    科学的根拠なき日本の教育政策
第5章 “いい先生”とはどんな先生なのか?
    日本の教育に欠けている教員の「質」という概念
補論:なぜ、教育に実験が必要なのか
あとがき
参考文献

2016.09.25 「林先生が驚く初耳学」で著者が出演
2016.10.25 東洋経済
2017.03.26 読了
定説
・ご褒美で釣っては「いけない」
・ほめ育てはしたほうが「よい」
・ゲームをすると「暴力的になる」
実際は
・ご褒美で釣っては「よい」
・ほめ育てはしたほうが「いけない」
・ゲームをすると「暴力的にはならない」 (P3)
西内啓氏「自分が病気になったときに、まず長生きしているだけの老人の秘訣を聞きに行く人はいないのに、子どもの成績に悩む親が、子どもを全員東大に入れた老婆の体験記を買う、という現象が起こるのは奇妙な事態だとは思わないだろうか」 (P14)
教育経済学では、たった一人の個人の体験よりも、個人の体験を大量に観察することによって見出される規則性を重視する。 (P17)
日本ではまだ、教育政策に科学的な根拠が必要だという考え方はほとんど浸透していないのです。 (P18)
経済学者は教育政策の因果効果を明らかにするため、教育の分野で「実験」を行っている。 (P25)
教育生産関数
インプット(家庭の資源と学校の資源)>生産関数>アウトプット(学力) (P33)
ご褒美は「テストの点数」などのアウトプットではなく、「本を読む」「宿題をする」などのインプットに与えるべき (P36)
ご褒美を与えることは、必ずしも、子どもの「一生懸命勉強するのが楽しい」という気持ちを失わせるわけではない。 (P39)
お金というご褒美を頭ごなしに否定するのではなく、金融教育も同時に行えば、子どもたちは、お金の価値に加えて、貯蓄することの大切さまでも学んでくれるのです。 (P40)
フロリダ州立大学のバウマイスター教授らが過去の研究をまとめた丁寧なサーベイによって、「自尊心が高まると学力が高まる」というそれまでの定説は覆されました。バウマイスター教授らは、自尊心と学力の関係はあくまで相関関係にすぎず、因果関係は逆である、つまり学力が高いという「原因」が、自尊心が高いという「結果」をもたらしているのだと結論づけたのです。 (P46)
悪い成績を取った学生に対して自尊心を高めるような介入を行うと、悪い成績を取ったという事実を反省する機会を奪うだけでなく、自分に対して根拠のない自信を持った人になってしまうのです。 (P48)
子どもをほめるときには、もともとの能力でなく、具体的に達成した内容を挙げることが重要 (P51)
(コロンビア大学ミューラー教授の研究について)子どもをほめるときには、「あなたはやればできるのよ」ではなく、「今日は1時間も勉強できたんだね」「今月は遅刻や欠席が一度もなかったね」と具体的に子どもが達成した内容を挙げることが重要です。そうすることによって、さらなる努力を挽き出し、難しいことでも挑戦しようとする子どもに育つというのがこの研究から得られた知見です。
小学校低学年の子どもの学習に対する両親のかかわりの影響
母親:勉強する時間を決めて守らせる>>勉強したか確認している>勉強を見ている>>勉強するように言っている(女の子は負の相関)
父親:勉強を見ている>>勉強する時間を決めて守らせる>勉強するように言っている>>勉強したか確認している(男の子は無関係) (P51)
学力が優秀な子どもに影響を受けるのは、上位層だけ。「学力の高い友だちといさえすればよい」は間違い (P66)
最近の研究では、習熟度別学級は、ピア・エフェクトの効果を高め、特定の学力層の子どもたちだけでなく、全体の学力を押し上げるのに有効な政策であることを明らかにするものも出てきています。 (P69)
学校としては、悪影響の広がりを抑えるため、問題行動を起こす子どもへの介入はなるべく早い段階で行うべきでしょう。 (P71)
(シカゴ大学ヘックマン教授によると)高校に通わずに一般教育修了検定に合格した生徒は、高校を卒業した生徒に比べて、年収や就職率が低い傾向にあることがわかりました。 (P86)
非認知能力とは何か
自己認識(Self-perceptions)
意欲(Motivation)
忍耐力(Perseverance)
自制心(Self-control)
メタ認知ストラテジー(Metacognitive strategies)
社会的適性(Social competencies)
回復力と対処能力(Resilience and coping)
創造性(Creativity)
性格的な特性(Big 5):神経質、外交的、好奇心が強い、協調性がある、誠実 (P87)
ダッグワース准教授は、「成功する人」を事前にかなり高い精度で予測することができました。「やり抜く力」が高い人は、いずれの状況でも成功する確率が高かったからです。 (P92)
重要な非認知能力のひとつとして紹介した「自制心」は、「筋肉」のようにい鍛えるよいと言われます、筋肉を鍛えるときに重要なことは、継続と反復です。腹筋や腕立て伏せのように、自制心も、何かを繰り返し継続的に行うことで向上します。 (P93)
(スタンフォード大学の)ドゥエック教授らの研究によれば、「しなやかな心」を持つ、つまり「自分のもともとの能力はうまれつきのものではなくて、努力によって後天的に伸ばすことができる」ということを信じる子どもは、「やり抜く力」が強いことがわかっています。 (P94)
逆に、「やり抜く力」を弱める「心の持ちよう」もあります。「ステレオタイプの脅威」です。(中略)「年齢とともに記憶力は悪くなる」とか「社会的な身分が低いと成功できない」といステレオタイプを刷り込まれると、まさに自分自身がそれを踏襲してしまうのです。 (P94)
4つの基本的なモラル
ウソをついてはいけない
他人に親切にする
ルールを守る
勉強をする (P95)
しつけは勤勉性という非認知能力を培う重要なプロセス (P96)
学力を上昇させる費用対効果の高い政策とは
・教育の収益率に対する情報提供
・教育委員会と自治体政府の協力
・習熟度別学級 (P106)
日本の研究でも、少人数学級の因果効果は小学校の国語以外の科目では確認されていない (P113)
海外の政策評価では、まず「学力の上昇」のように、教育政策の目的を明確にし、それを実現するためにどういった政策手段の費用対効果が高いのか、という検証を行っています。一方、日本では、「2020年までにすべての小中学校の生徒1人に1台のタブレット端末を配布する」という政策目標が掲げられていることからも明なように、本来、政策目的ではなく「手段」であるはずのものが政策目的化してしまっています。 (P116)
(シカゴ大学のレヴィット教授)は「ヤバい経済学」の中で、公立学校に成果主義を導入(子どもの成績と教員の給与を連動させる)すると、教員が子どものテストの結果を改ざんした、という論文を紹介しています。 (P125)
東京都教委育委員の乙武洋匡氏は、文部科学省参与の鈴木寛氏との対談で、個人情報を保護するという目的から、学校が家庭の情報を十分に得られていないことを問題視しています。(中略)学力は学校だけでは決まりません。子どもが1日のうち少なくとも半分以上を過ごす家庭は、学校と同様に、ときには学校以上に大切な場所なのです。 (P126)
神戸大学の伊藤准教授らの研究では、学校で平等を重視した教育ー「手をつないでゴールしましょう」という方針の運動会などーの影響を受けた人は、他人を思いやり、親切にし合おうという気持ちに「欠ける」大人になってしまうことが明らかになっています。 (P133)
(大阪大学の大村教授)平等主義的な教育は、「人間が生まれながらに持つ能力には差がない」という考え方が基礎となっています。ですから、努力次第で全員がよい成績を取れると考えるわけです。
しかし、残念ながら、現実にはそうではありません。子どもの学力には、遺伝や家庭の資源など、子ども自身にはどうしようもないような要因が大きく影響しています。しかし、平等主義的な教育のもとでは、こうした現実にはあまり目が向けられることはありませんでした。
この結果、子どもは、本人が努力しさえすれば教育によって成功を得られる、別の言い方をすれば、成功しないのは、努力をせずに怠けているからだと考えるようになってしまい、不利な環境におかれている他人を思いやることのないイヤなタイプの人間を多く育ててしまっているのです。 (P133)
世代の子どもたち全員を対象にした政策は、子どもたちの成績、学歴、年収などに対して何らかの効果があったのかなかったのか、後にも先にもはっきりしないのです。これでは次にどのような手を打つべきかがわかりません。この状態は決して、公平であり平等である状態とはいえないでしょう。 (P135)
医学などの自然科学では、同じデータを用いた実験から同じ結果が得られるという「再現性」が保証されなければ、その結果は科学的に妥当なものとはみなされません。これは、経済学を含む社会科学の領域でも同じです。特定の研究者にしかアクセスできないデータでは、再検証はできず、再現性が確保されているとはいえません。また、先にも述べたとおり、文部科学省やその関連機関などが行った調査・研究を「客観的」な政策評価と呼ぶに値するのかどうかにも、疑問が残ります。 (P137)
教育委員会や自治体が、データを外部に公開することを避け、自分たちだけで分析しようとしている例が散見されますが、政策評価は第三者機関が中立性を担保しつつ行うのが望ましいと考えられます。 (P138)
遺伝や家庭の資源など、子ども自身にどうしようもないような問題を解決できるポテンシャルを持つのは、「教員」だということです。 (P142)
少子化が進んでいく中では、少人数学級によって教員の「数」を増加させることよりも、教員の「質」を高める政策のほうが、教育効果や経済効果が高い可能性があるのではないでしょうか。 (P147)
ハーバード大学のケイン教授は、「教員免許を持っているかどうかが子どもの学力に与える影響は非常に小さいのにもかかわらず、教員免許を持っている教員同士の質の差はかなり大きい」ことを指摘しています。 (P157)
私は日本の教育において、もっともエビデンスが必要とされているのは、教員の「質」にかんするものだと思っています。 (P159)
これまで、教員の質にかぎらず、日本の重要な教育政策課題について、教育経済学の知見が活かされることは多くありませんでした。一方、米国ではその知見は政策決定に活かされ、現実の教育をよくすることに大きく貢献しています。その貢献が教育経済学へのさらなる期待やニーズを生み、さらに教育経済学が発展する、という正の循環が生じているのです。この循環を日本でもつくり出していくことができないだろうか。これが、私の問題意識です。 (P160)
教育にエビデンスを。 (P161)
エビデンスには階層がある
ランダム化比較試験
非ランダム化比較試験
分析疫学研究(観察研究)
症例報告(観察研究)
論説・専門家の意見や考え (P164)
米国の教育省は、「落ちこぼれ防止法」の中で「エビデンスとはランダム化比較試験に基づくもの」であると明言しています。 (P164)
慶應義塾大学でまだ若かりし竹中先生と出会い、経済学が社会を分析する「科学」なのだということを知るようになりました。経済学の研究から得られた知見で政策に貢献したいという考えは、紛れもなく竹中先生から受け継いだものです。 (P184)

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