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玄侑 宗久
/ 文芸春秋
(2005-01) /
400円
/ ISBN:9784167692018
今まで心の中に蟠っていたことを、柔らかく包んでくれるような作品だった。 死というテーマに関して、ありきたりな感動があっても仕方ないのかな?と思っていたが、そんなチンケなことは吹き飛ばして、もっと大局的鳥瞰図的かつ局所的虫の目的に頭にスコンと入ってくる。 読む前は固いイメージがあったので、読むのに時間がかかるかと思っていたけれど、スラスラと美しく文章は流れ、足早に読んでしまうのがもったいなくて、意図的にゆっくり読んだくらいだ。 期待していない本が期待以上に良いというのはいいことだけれど、この本と私の場合、ある程度期待していた本が期待以上に(比べるのもおこがましいくらい)良かったということになる。そっちの方が絶対いい。 収録作 『中陰の花』 『朝顔の音』 解説:河合隼雄
森見 登美彦
/ 角川グループパブリッシング
(2008-12-25) /
580円
/ ISBN:9784043878024
わはは。教養の無駄遣い。でも不毛とも言えない。 うーむ。学生時代を京都で過ごしてみたかった。 文豪文体、あるいは、古典授業文体、森見ワールドの花鳥風月。日本人て、こうなんだよね。 難しい漢字が出てきたら、新しく覚えられてラッキーと思いましょう。読む側も徹底的に楽しめば、新たな地平が開けてオモチロイのであります。 -------------------------------------------------------- 購入。 これと『 新釈 走れメロス 他四篇』を読んでみたくて、森見登美彦を読み始めた。
トルーマン カポーティ
/ 新潮社
(2008-11-27) /
580円
/ ISBN:9784102095089
収録作 『ティファニーで朝食を』 男としての私がホリーを見ると、絶対に付き合いたくない、そして付き合うことさえできない(もちろん手が届かないから)、それなのにとても魅力的な女性に見える。彼女の天真爛漫な振る舞いに眉をひそめつつ、どこかで笑って見守ってしまう(見守らせてしまう)力がある。男はどこか女性に振り回されたいという願望が根底にあるのかもしれない。 ホリーの方を持つなら、彼女に安らぎを与えられない男たちにも問題はある。そういう男性に出会えなかった彼女の責任でもあるけれど。 映画は見たこと無いけれど、先に読んで良かったと思う。ここに書かれたホリーは、ヘップバーンでは無いと思う。 『花盛りの家』 これ、話としては私の好みでないにもかかわらず、とても好きになった。こういう話の書ける日本の作家はいないものか。微笑ましくもウェットにならない可愛らしさ。『ティファニー』もいいけど、これを読めたのも大きな収穫。 『ダイアモンドのギター』 さらっと書いてあるのにしっかり響く。うーむ。 『クリスマスの思い出』 真摯に書かれたクリスマスの物語を読む度に、クリスマスだからと言っていちゃいちゃしている日本の非キリスト教徒のカップルが、憎らしくなってくる。 これを読んでも、憎らしく思った。つまりそれだけ良いということ。 『訳者あとがき』村上春樹 ホリー≠ヘップバーンは私も賛成。って映画は見たこと無いけどね。機会があったら見てみようかな。
石田 衣良
/ 新潮社
(2008-11-27) /
540円
/ ISBN:9784101250526
恋愛小説をなめてかかると、手痛いしっぺ返しを食う。もちろんどんどん食いたいのだけれども。 こんなことを売れっ子小説家に向かって言うのもナンだが、文章がうまくなっている。それと想像力の翼が広がっている。ストーリーはどうでもいいから、終わらずに読みつづけたい気持ちにもなった。 私の中ではIWGPを越えてしまった。しかも恋愛小説だったのが、私の中では驚きだ。 解説は小池真理子。2006年度島瀬恋愛文学賞受賞。そらぁもらうは、賞くらい。こんだけ文句のつけようがなければ。
ジョン アーヴィング
/ 新潮社
(2008-11-27) /
940円
/ ISBN:9784102273142
こんな小説は、アーヴィングにしか書けない。本当にブラボーだ。 『ガープの世界』か『また逢う日まで』がアーヴィングの一番だと思っていたけれど、これはまた検討の余地が出てきた。素晴らしいことに。 インド、ムンバイでのテロなどがあって、タイムリーになってしまったけれど、間違いなく後で読み返すだろう。インドはインドなのだ。ただインドなのだ。 なるようにしかならない人生を、何とかクリエイティブにする為に。
ジョン アーヴィング
/ 新潮社
(2008-11-27) /
900円
/ ISBN:9784102273135
その缶詰には、様々な食材や料理が詰められている。あなたは好きな時にその一つを取り出して食べる事が出来る。食べ終わると、あなたは空き缶をまた元の位置に戻す。もしかしたらおいしくないものもあるだろうし、食べた事が無いくらい絶品のものもあるだろう。缶詰は空になるが、あなたには味の記憶が残る。 缶はいつの間にかすべての棚にびっしりと置かれている。あなたは缶詰を食べることに忙しく、アーヴィングがいなくなっているのには気がつかず、壁を離れて眺めることもない。 あなたが気がつくのは、すべての、あるいは、ほとんどの缶詰を食べ終わって余裕のあるころだ。あなたが空き缶を置き直した壁全体が、一つの絵の様に見えてくるのだ。
石田 衣良
/ 幻冬舎
(2008-08) /
600円
/ ISBN:9784344411630
眠気も吹き飛ばして、朝方に読み終わった。こういうのは久しぶりだ。もっと早くに読みたかった(まあ、金がないから文庫で読んでいるのだが)。ドラマは見てなかったが、後で見てもいいかもしれない。 今まで私が読んだ石田衣良作品のなかでもかなり上位に来る。素晴らしい。
カート・ヴォネガット
/ 早川書房
(2008-11-07) /
945円
/ ISBN:9784150116897
ヴォネガットの小説は、こういう材料から出来ていたのだと確認出来る。煮込む前なので、多少アクが強かったりする部分もあるが、それがまたいい。よりはっきりした人間ヴォネガットそのものなのかもしれない。 これであと読んでないのは、『パームサンデー』と "God Bless You, Dr. Kevorkian" の二つ。これらを読んでしまうと、あとはリプレイになる。 そういうものだ。 おそらく後でまた読み返すだろう。何度も。 私は日本で生まれて日本に育った人間だから、ヴォネガットの言いたいことの何割かしか理解できていないだろう。だからといって、ヴォネガットが悪い訳でも、翻訳が悪い訳でもない。私自身が「当時の」あるいは「歴史の」アメリカ社会を肌で知らない所為だ。大丈夫。我々はその気さえあれば、自ら機会を設けてそれらを学ぶことが出来る。いつかそれらについて何か新しい知識を仕入れたならば、もう一度読み返そうと思う。 そういうものではあるけれど、ヴォネガットの言いたいことの核は伝わってくる。『愛は負けても親切は勝つ』とかね。 ---------------- 近所の本屋でどうせ入ってこないなら注文しようかと思ったら、一冊だけ入って来ていた。よしよし。迷わず購入。
カート,Jr. ヴォネガット
/ 早川書房
(1987-01) /
735円
/ ISBN:9784150107000
『スローターハウス5』に出てくるハワード・キャンベル・ジュニアのお話。 内なる自分に乾杯と言いたくなるが、怖さや脆さも併せ持っている。克服せずに付き合っていかないといけないのだと思う。昔読んだ同じ感動が、また違う深さで体に入ってきた。私も以前読んだ時よりも少しは違った人間になっているのだろう。 なんて難しいことを言っているようなふりをしてしまうが、実際のところ悲しくも面白いお話なのは言うまでもない。楽しめる物語として構築出来るところにヴォネガットの凄さがある。 白水社の版も読み直して見ようかな?ヴォネガットはリプレイに何度も耐える数少ない作家だ。嘘だと思うなら読んでみればいい。 以下は読む前に書いたもの。 絶版復活。本屋で見つけて思わず買ってしまった。 前にひとから借りて読んだ記憶では、早川版と白水版は訳者以外にも違いがあり、それは白水版では冒頭の数ページ「読者のみなさん」というのが削られていると覚えていた。 白水uブックスの方は持っているけれど、この早川の版と比べたときの欠落は、私の気のせいかと思っていた。早川の方は今まで絶版で手に入れられずに確認できなかったし。 本屋で見かけて、おもわずそれを持って白水uブックスの売り場へ行き、冒頭部分を読み比べた。やっぱり。白水版には「読者のみなさん」がない。よかった、私の記憶は正しかった。 もちろん購入だ。白水版を既に持っているからって、買わない理由にはならない。それに今手に入れないと、次に手に入るのは何時のことか分からない。もっとも、私の通っているこの本屋でヴォネガットが棚から無くなって、「あ、誰か買って行ったんだな」ってことは皆無なのだけれど。 『死よりも悪い運命』も文庫化されるし、『追憶のアルマゲドン』も出るし、こりゃヴォネガット好きにはいい方向に向かっている? 読むのはまた後で……。でも読む前から評価とお気に入りは決まっている。 で、今読んでる。
広瀬 正
/ 集英社
(2008-10) /
740円
/ ISBN:9784087463668
ノスタルジアと科学と文学と音楽。段々と引き込まれるよくできたストーリー。変わらぬ広瀬節。洒落た人だったんだなあと改めて思う。 対称性について、分かりやすく書こうと努力している跡が見える。成功しているとは思うが、一般の人が分かるかどうかは判断できない。ここは人によって評価の分かれるところだと思う。もちろん私は良しとする方だ。 SFといってよく低く見られるような傾向があるけれど、良いSFがどうして理解されないのか大変疑問だ。良いSFは良い純文学と基本的には同じだ。裏にある深遠な部分を読み取ってほしいと思う。 収録作 『鏡の国のアリス』(長編:表題作) 『フォボスとディモス』(短篇) 『遊覧バスは何を見た』(短篇) 『おねえさんはあそこに』(短篇) 解説:井上ひさし
石田 衣良
/ 文藝春秋
(2008-10-10) /
570円
/ ISBN:9784167174132
読んでいると、いつしかマコトの隣で池袋の街を並んで走っている気持ちになる。変わらないマコトのスタンスと進化し続けるトラブル。 どんなに時代が進んでも、結局人間は同じことを繰り返してきたのかもしれない。良い、悪いではなく、それが人間なのだと受け止めることから始められたら、世の中結構な数の人が幸せになれるかもしれない。 収録タイトル 『灰色のピーターパン』−しっかし恐ろしい世の中になったもんだ。 『野獣とリユニオン』−難しい問題だけれど、石田衣良らしい解決方法。 『駅前無許可ガーデン』ーみんなうまく生きられる社会が必要。 『池袋フェニックス計画』ー「白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき」向き合おう。
広瀬 正
/ 集英社
(2008-09) /
700円
/ ISBN:9784087463569
作品に書く人の人となりが現れるのは普通だけれど、読んでいて広瀬正の過ごした時間を隣で一緒に見ている感覚になる。 いわゆるトリックは期待しないで欲しい。この本の価値はそこでないところにある。 人を育てるのは環境であるということが分かる。現代の子供たちにとって、いい環境とはなんだろうか?と考えてしまった。とても難しいことだが、習い事や塾に通わせるのがいい環境でないことは間違っていないと思いたい。 もっと大事なことが他にある。そしてこの小説は素晴らしい。
サン=テグジュペリ
, 堀口 大学
/ 新潮社
(1956-02) /
580円
/ ISBN:9784102122013
そもそも文学ってなんだか分からないのだけれど、ひょっとしたらこういうことが文学なのかもしれない。 滋養ある言葉。後で何度も読み返したい。どうしてこんな本を何年も放っておいたのか?早く読めば良かった。 生活とか仕事とか、誇りとか勇気とか、冒険とか日常とか、結構広い範囲の人にとって、心の糧になりそうな本だと思う。『夜間飛行』が有名だけれど、『南方郵便機』も素晴らしい。 収録作: 『夜間飛行』 『南方郵便機』 カバーは宮崎駿。
筒井 康隆
/ 新潮社
(1981-09) /
460円
/ ISBN:9784101171135
壮大なイメージが喚起されて、荘厳な心持ちになる。 七瀬が魅力的なのは、七瀬を作家自身が愛していたからだろう。それほど七瀬は魅力的だ。これ以降新たな七瀬がないのが寂しい。まあ、本作で行くところまで行ってしまっているので、これ以上は無理というものある。 という意見を読んで、それならば書いてやろうではないか、と言う風にあのおっさんがなったら面白いんだけど。
筒井 康隆
/ 新潮社
(1978-12) /
540円
/ ISBN:9784101171074
心象風景を写すテレパスは小説にはもってこいだ。他にもいろいろな能力者が登場して、孤独だった七瀬に急に仲間が出来る。その誰もが魅力的だ。 次の『エディプスの恋人』を早く読みたいが、これを読みきってしまうと七瀬シリーズは終わってしまうので、それは少し寂しい。
筒井 康隆
/ 新潮社
(1975-02) /
460円
/ ISBN:9784101171012
読み終わってどう思ったか? ああ、このおっさんなら偉そうなことを言っても許される。ちくしょう、面白いじゃないか。 時に残酷になれるかどうかが面白いかどうかだと思うのだけれど、かなり残酷なところが出てきて安心。楽しめました。醜悪さも自分を笑っているような心持ちにさせられて、背筋が寒くなる。 小説とは心象風景ということも言えるけれど、テレパスはその意味では小説のための最強キャラクターとも言える。 いつもの自分に対する戒め:エッチな想像をたくさんしているが、ナナちゃんには筒抜け。すこし控えなさい。 | |||||||||||||||||||