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Bright-Sided: How the Relentless Promotion of Positive Thinking Has Undermined America
Barbara Ehrenreich / Metropolitan Books (2009-10-13) / 728円5 users
星4つ
イデオロギーとしての「プラス思考」「ポジティヴシンキング」を批判する書。「気持ちや思考をポジティヴに保つことが良い結果をもたらす」という疑似科学的見解のもと、米国では職場や学校、病院や教会などを通してやたらと「ポジティヴにふるまう」ことが日常的に強制される。しかしそれは現実逃避の希望的観測を止められない(止めようとするとネガティヴだと非難される)ことを意味し、また何らかの理由でうまくいっていない人を「あなたの思考がネガティヴなのが問題なのだ」と不当に責めることになってしまう。
 著者が着想を得たのは、乳ガンの診断を受け、心の支えとなる本や団体を探したことから。ガン医療の現場でも「ポジティヴな思考を保った方がうまくいく」という、研究によって否定されている考え方が押し付けられ、不安や怒りを表明すると「いますぐカウンセリングを受けなさい」と、まるで不安や怒りを感じることが異常であるように扱われた。
 著者は、「ポジティヴ思考」の押し付けと現実逃避は、米国文化のあらゆる分野に浸透していると説く。そしてその最も大きな被害の例として、ブッシュ政権におけるイラク侵攻時の展開予測(ブッシュやチェイニーが「戦闘は数週間で終わり、米軍は解放軍として歓迎される」と宣伝したことを、コンドリーサ・ライスは当時から疑問視していたが、ネガティヴすぎると言われるのを恐れて口にできなかったという)や、住宅バブルが永遠に続くかのような幻想によって起きた金融危機を挙げる。
 この本の分析は正しいと思うし、文化論としてとても重要な指摘だと思うのだけれど、こうした近年の政治・経済の出来事を例示することはこの本にとって良いことなのかどうか。確かに近年の事象を挙げた方が、彼女のファンであるリベラルな一般読者にとってはとっつきが良いと思うのだけれど、彼女の主張は、ブッシュ政権の支持者や金融危機の原因について違った意見を持つ人にも、またこれから十年たってブッシュ政権時代の記憶が薄れたあとにも読まれるべきだと思うだけに、個人的には残念。そういう政治的な立場によって判断が別れる例を挙げずとも、「ポジティヴ思考」の弊害は米国文化においてさまざまな場面で見つかるように思う。
 「ポジティヴ思考」の歴史をたどる中、たかだか1960年代とか70年代からはじまるものだと思っていたら、数世紀前までさかのぼり、もともと宗教的決定論を説くカルヴァン主義への抵抗として「ポジティヴ思考」が立ち上がってきたことを示すあたりは、近年の米国文化批判とは別の文脈で、実際の歴史的ルーツかどうかはともかくとして、うまく位置づけていると思う。
Super Crunchers: Why Thinking-by-Numbers Is the New Way to Be Smart
Ian Ayres / Bantam (2007-08-28) / 3,983円8 users
タグ economics カテゴリ:洋書 洋書 / Nonfiction 登録日:2009年06月22日 09時40分46秒 2009/06/22
星4つ
ワインやプロ野球選手の価値の判断にはじまり、映画ビジネスや社会政策、教育、医学などさまざまな分野において、データマイニングと計量的分析が、長年の経験と勘で勝負する伝統的な「専門家」をことごとく凌駕する結果を導き出すことを示し、批評家や医者・教師といった伝統的「専門家」の役割転換が迫られていることを指摘する著者。あまりに話がうまくいきすぎることがかえって信じ難い部分もあるけれども、だいたいの方向性としては正しいように思える。航空機のパイロットが自分の経験や勘にこだわらずに比較的柔軟にコンピュータとの新たな関係を受け入れたのに対し、医者や教師らが激しく抵抗しているという指摘ーーパイロットは飛行機が墜落すれば自分も死ぬが、医者や教師は失敗しても自分は直接傷つかないーーには冷や汗が出る。ただ、専門家に対するデータの優位をこれでもかと誇示するばかりで、データ主導の社会になることでわたしたちの社会が、あるいは自己や世界の認識がどのように変わるのかという点が(社会政策や医療の質が良くなってみんな恩恵を受けるという他には)ほとんど論じられていないのは、著者の専門ではないから仕方がないとはいえ、ちょっとがっかりした。また終盤の「統計を理解すればこんなに生活に役に立つ」みたいな部分は、趣旨からいって別の本にするべきだった気もする。

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