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フレドリック・R. ディキンソン
/ ミネルヴァ書房
(2009-09) /
2,625円
/ ISBN:9784623055616
大正時代って15年しかないし、近代明けてから一番短い時代ですが、中身凝縮でめっちゃ面白いんよー! と話してたんですけど、ワタクシ大正天皇のことはあんまりよく知りませんでした。 あ、原敬の発表するまでね。(まだハラケイ関係で読んだものが整理できてない…) それした後に突然興味が湧いたのでざっとあらうつもりで読んだのですが、 物凄く開明な、進歩的な人だったんですね…! 以前、「病弱とか云うのは実は…」的な話は聞いてたのですが、いやこのお方むしろ元気です…よね? 双眼鏡、カメラに車や活動写真って当時の文明機器を喜んで使っていたことや、 現在も残る東京の近代的建築物が、実は大正天皇のために作られたとか 知らないことばかりだったので、ひたすら感心するばかり。 この本、更に外国の方が書かれているので、 大正時代の「海外:日本」の関係を焦点に書いてある部分が多いのも特徴です。 天皇が皇太子時代から外国の方と接していた、など海外交流が盛んだったと云う情報がたくさん! 最近だと、原さんなんかが「新・大正天皇論」みたいなのをお書きになってましたが、 あれと合わせて読むと更に面白いかもしれない。 大正天皇は、東京生まれ東京育ち、東京で埋葬された最初の天皇で、 近代教育制度や近代的皇室を自らの成長と共に作っていった 「近代国家日本における華麗な象徴であった」ようです。 帝国・日本の象徴と云うかね。 現代的家族の理想像が大正天皇一家だったというのも興味深いです。 理想像を作り上げたといった方がいいかもしれない。 それまでの前近代的な「皇室(天皇)」の在り方、から大正天皇は欧州標準の「皇室(天皇)」の在り方へと その生涯を通して変えていった、まあある意味進化していったということです。 そういった中で「夫婦、そして子供達と一緒の円満な家庭」が発生してもそれは何も不思議なことではないなあ。 その「円満」の要素が「平和」を世界に発信する姿勢に影響してなかった、とはいえないだろうなあ。 「大正天皇の病気の時の様子からこの第一家族の『繁栄』を特に指摘してる。 皇后節子が我を忘れて看護していたが、 『その時分の東宮さま、東宮妃その他ご兄弟であらせられる内親王様方が 皆詰めて御看護あそばされた』 ことに大正天皇の真の幸福が見られる」(本多) 「新天皇を始めとし、お子達は寔に心身共に立派なお方で、国民尊崇の的となってをるところを観られては、 定めて御満足であったらう」(竹越)
中村直吉
/ (自家出版か?)
(1922) /
原敬が外国で人気だよ!って云うのが書いてあったので、参考までに読みました。 タイトルが「大好評の原敬」。 え、ごめんなさい笑っちゃいました、ちょ、上野のパンダじゃないんだから! ロ氏と云うのはうちのサイトではお馴染み(笑)ロイド・ヂョーヂです。 後、「英米では故伊藤公以上だと、到る處好評であるには全く驚いた。」そうです。 ついでに後藤新平も期待されてるとか何とか。 ところでこの中村さんは冒険家だそうです。 私はあまり知らなかったのですが、結構世界各地を冒険してるようで、 加えて、こう云う資料も珍しいのでなかなか面白いと思いました。
安藤実
/ 朝日新聞社
(1972-12) /
タイトル通り原と陸奥の出会いから、陸奥がどのような影響を原に与えたか また、外交官・原についても書かれているコラム(って云うんですかねこういうの) 「たとえば、原敬の政治生活において、おおむね原敬をとりたて、支持し、 後援してきた人物のなかでとくに重要な井上馨、伊藤博文、西園寺公望などの場合をみても 陸奥に対するような全面的傾向はみられないのである。 それどころか、これらの人たちは、時として原敬の鋭い批判の対象にさえなっている。 しかも原敬の人物評は、個人的評価などではなく、いわばその人物に対する政治的評価なのだから そういう批判を受けていない陸奥の、原にとっての位置の高さが思われるのである。」 原にとって陸奥の存在は大きかったんだなあと此処でも確認。 陸奥の答弁の原案も作ってたみたい。(日記で読んだような読まなかったような…) まあ『原敬日記』読んでも陸奥に対しての傾倒は解りますけれども、 「確固たる決心」のもとに「断然たる処置をなすに至るの順路」を選択するってのは 漸進的中間策志向ってことですよねー。 どうでも良いですけど、日曜出勤大変だなあ。 それと、対中国外交観(「清国に対して常に友誼を表すると同時に、又常に我国の権利利益を忘れないこと」)や 露骨なことしても何にもならないよ、と云うスタンスは大体天津の頃に固まってきたと云うことが解りました。 あ、でも、その最後の、 「原敬の『統一論』は、日本の中国における勢力の維持、拡大のための体裁のよい口実であったということ」 「取る者と取られる者とのあいだの『親善』を偽善的に説く白頭の首相へ変身」 なんかは所謂従来の、原の対中政策は、中国における勢力の拡大のため「中国親善」を偽善的に説く体裁のよい口実だった、 と云う原の評価そのまま。(書かれたのが40年前なので当然ではありますが) まあ、実際はどうだったか解りませんけどねー。どうだったんでしょうねえ。
原敬
/ 警醒社
(1900) /
「外交官及領事官試験規則閣議提出案」なるものがあって、 つまり、外交官と領事官の任用試験規則のことです。 それまでは、割とコネや留学経験者ばかりだった外交官・領事官の任用に 本格的に試験制度を導入する試みがはかられました。 結果、国際法が必須科目、また体格なども審査の対象になり、 改正を加えながら100年近く続く制度になったそうです。 これが施行されたのが明治26年。ちょうど、立憲政友会に入る前辺りのようです。わー 明治26年に施行されて以降、この制度について原の私見が伺える一冊ですが、 やっぱり「亞細亞地方を輕視したる傾ありし弊習をも矯正」しよう!的なことが書かれてます。 まあ今回もざっとしか読んでないわけではありますが、 特に「あ、此処は…」と思ったところはp100最後の部分。 「又此制度は、本論の初に於て記しゝ如く、陸奧伯非凡の伎倆を以て外交を料理せし際に創始し、……」 「陸奧伯非凡の伎倆」。 うん、兎に角、陸奥を褒めたかったのね。^^^^
犬塚 孝明
/ 吉川弘文館
(2009-09) /
1,785円
/ ISBN:9784642056809
「畝傍」の話や黒田清輝との話、そして井上馨との話など 面白いなあと感じるものが幾つも紹介されてました。 いやー、原くんは勉強熱心ですよねえ。 パリ時代には公務の余暇を使って政治学院へ通ってたそうです。 40歳から英語を勉強してマスターした、とか。 どこぞの公家とは大違いですね☆ ところで原くんはパリからの帰り道にこんなことを書いてます。 「すべて社会のことは器械の如く看るべからず。器械ならは与へられたる発動によりて無心に動くべけれども、 社会のことは俄に動かせば目的の他に奔馳して不測の禍害を醸すべし。 世に社会の風習を改むるほど難しきものなきなり。 しかるに改良とやらん熱を与えて急遽の変化を求むるは識者の最も恐るる処なり。」 欧化主義を真っ向から批判する内容ではありますが、「急遽の変化を求むるは」の部分を読むと、 原はやっぱり漸進主義なんだなあと納得いきました。 こういった人間性が政治・外交スタイルに影響してるんですねえ。 あと、明治外交官物語、ってだけあって、明治初期の外交の流れがざっとおさらいできました。
川田 稔
/ 未来社
(1995-02) /
2,940円
/ ISBN:9784624300821
川田さんは原より雄幸のイメージが強いですが、 原の政治・外交の折衝がこと細かに書かれていて、解りやすかったです。 特に、大隈・寺内各内閣に対する原の政治方針については参考になりました。 私、割と勝手に原に親中的なイメージがあったのですが、まあそうじゃないんだなあ、とか。 「中国と親善をはかることによって、満蒙権益を安定的に維持する」 って矛盾していないんですかね?なんて云う疑問も残りましたが、 原の対中国外交って非常にアンビヴァレンスだから、 恐らく原にしか青写真が見えてなかったんじゃないのかなあ。 「一貫した意志」のようなものは何となく解るのですが、 何処がアウトで何処がセーフか微妙な匙加減がね、 たぶん、原にしか解らなかったんだと思います。 「内政不干渉」ってのは解るんだけど、中国国内で米国の影響が強まると中枢の人たちと何やら始めたり、 まとめてみると本当に「権益維持」って話になってしまいます。 それに加えて欧米協調。あ、そうか、協調主義の始まりは原って考えてもおかしくないかも。 つらつら思ったことを書いてみましたが、原の外交政策は漸進的だし、 そして原は常にリスクを最大限に回避する中間策を選択してるので、 相当実力のある政治家だったんだなあ、なんて思ったり。 視野が広いですよね、陸奥は良い後輩を育てたなあ。(え……。)
高橋 正
/ 不二出版
(2002-01-30) /
2,940円
/ ISBN:9784835031200
もう徹底的に雨声会、な高橋さん。どうやら桂月と中江(?)の研究してる方だそうですねえ。自然な流れで西園寺、か。良いなあ… 出典元も細かく書いてあって索引もついてて、凄く便利な本ですが、なぜ何処にも売ってない…!!! 雨声会だけじゃなくて、社会主義と西園寺内閣についてもキムラキの本より丁寧に書いてあって便利なのに! フランス時代の中江と西園寺の交流についても徹底的に調べてあって便利なのに! あ、そうなんです、最期に「補章 中江兆民と西園寺公望」と云う項があります。 これが、中江と西園寺の交流について多角的な視点から論じたものなのですが、 中江側フランス時代の資料ってあんまり残ってないんですね、知りませんでした。 西園寺の方は手紙(欧州なんとか…って云う)や回顧談があるんで幾らか全体像は掴めるけど、 中江は何を勉強していたかすら曖昧って、意外でした。 知名度では西園寺より中江の方があるからって訳ではないですけど、 知名度がある人でも研究が難しかったり進んでなかったりあるんだなあと今日この頃。 んでーんでー、松本清張の中江評伝の批評が面白かったけど、あれってそんなに知名度のある本なんですかね? 実は中江評伝ってこれしか読んだことないんで、ちょっと読んだ方が良いですよね?ね?しかもあんまり覚えてないし。 これでは確か、中江と西園寺の仲良しさがやんちゃ兄弟みたいな感じだったと、思う。(違ってたらごめんなさい、いや違ってる確率のが高いな。) さっきから云ってる清張の中江なんちゃらって云うのはこれです。↓ 「(前略)西園寺が金のかかるカッフェ遊びをしている際、篤介は下等職人の仲間と交わって安酒を呑んでいたというわけです。 これからしても篤介の生活が苦しかったことが分ります。 また同時に、わざと下等職人とつき合って、下等な酒を呑んでいるというところに、 あるいは篤介の裕福な在留邦人への反撥がうかがわれる。 (中略)倶楽部や劇場に出入する高踏的な西園寺の生活をどうも快く思わなかったのじゃないか。 貧乏だったせいもあるが、そういう反撥が手伝って西園寺にそれほど近づかなかったと思うのです。…」 私はその後の中江と西園寺の交友が長く続くことからも(東洋自由新聞時代だけじゃなくて、後々また新聞スクープされてるし) 清張考察はちょっと甘いんじゃないかなーと思うんですけど、中江西園寺不仲説なんてのを初めて読んだので新鮮でした。 だいたいその後、仲良くなるから別にどうでも良いじゃん、とか思ってたのですが、 考えてみたら、只でさえパリ中江資料が少ないのに実はあんまり西園寺と仲良くなかったってことになったら、 西園寺側の資料も曖昧な記述ってことになっちゃうんで本書けなくなりますよねえ。それは困った。 あと、社会主義と西園寺はこれくらいの程度で纏まっていた方が私は良いなあ(何様) 雨声会を含め、西園寺が好きだった作家とか、協力した本が発禁処分とか、 そういう小ネタを出しながら首相時代を書く本はなかなか貴重なので取扱書店を探すかなあ…。 ところで疑問なんですけど、何で夏目漱石ってあんなに西園寺キライなんですかね? やっぱり情報伝達が巧く行ってなかったのかなあ、その辺りの。 それとも桂の方がネコっぽい顔してるから良かったのか。(んな訳ない)
落合 功
/ 日本経済評論社
(2008-07) /
2,625円
/ ISBN:9784818820111
授業で使用したので結構がっつり読み込みました。 特に面白かったのは主題にもなってる経済政策(勧業農政策)の部分だったかなあ。 色々な官→民事業を展開するんですけれども、大久保さんがジャムを作っててしかも成功したとは驚きでした。 缶詰にするには何が良いかと云う実験をこの時代にやってたなんて面白い。 そうじゃなくても、常にどうやって国を動かすか考えてるから、 見るもの全てをアイデアに変えていく手法が見事。 大久保が展開した事業ってその後のことを見てもだいたい成功してると云っても良いのではないのかなあ。 ですが、経済政策の評価って時局によって難しいんで、 読み終わって、あそこで死んでしまったのが惜しいなあ… とかそんな簡単な感想しか浮かびませんでした……。すみません。 ただ、そんなに厚くない本なので人となりがイマイチ解らなかったのがなあ。 ちゃんとした大久保さんについて書かれた本を読むのが初めてだったので、 分かり難いところもちらほら。 で、前田正名が出てきて吃驚!最近この名前と縁があるなあ。 あのあれです、フランスで園様に最初の塾を紹介した人です。農商系の人だったんですねえ! 内地に戻ってきた後に、原&陸奥に追い出されるっていう(笑) 何か、歌舞伎(?)を書いて万博で上映してるらしい。
久世 光彦
/ 中央公論社
(1992-08) /
920円
/ ISBN:9784122019232
久世光彦展(@世田谷文学館)へ行った帰りに古書祭で買ったこの本。 もう、1頁に1つ名言がある勢いです。 「最も軍服の似合う男は、同時に最も女装が似合う男だ」 とか。これはもうタブーだと思います。 誰もが知っているけれど、話してはいけないこと。 だから、隙間からあちらをそっと覗くように久世さんは私たちに語りかけるのだ。 久世さんのお父さんと二・二六の話は他でも読んだ記憶があったのですが、 そうか、安藤や栗原たちと祥月命日が一緒なのか…。 久世さんは不思議な人で、戦争を体験していてそれでいて過去の禍々しい記憶を 全て退廃的耽美の世界にすり替えてしまうんですね。 いやあ離れ業やってのけてる、と。 それにしても不思議な話ではあるが、久世さんが選ぶ懐かしいものは、 それと同時に私の好きなものたちなのである。 決して懐古趣味では無いと思っているのですが、 時折私も、「忘却」の2文字に巣喰う密やかな幻を夢見てしまうのです。 望みは何かと訊かれたら 幸せ、と答えはするが 望み叶って幸せになったら すぐに昔が懐かしくなるだろう あんなに素晴らしく 不幸だった昔が--- (「If I could wish for something」)
佐々木 克
/ 講談社
(2004-11-11) /
1,103円
/ ISBN:9784061596832
マキノの談話が入ってたり、大久保さんを知ってる人の談話がいっぱいの本です。 鉄血冷酷!みたいな一面、子供に優しい一面、 確かに仕事一筋の真面目な人なんですけど、何だかもっとガチガチかと思ってたら、 意外と生き生きとしてる人なことが解りました。 好きな食べもののこととか、細かい気配りとか。 政治をするために、情念を挟まないその凄みも文字を通して伝わってきましたし。 ってか動乱の時代って傑人を生むんですねえ。
小谷野 敦
/ 中央公論新社
(2008-12) /
2,940円
/ ISBN:9784120039980
でも熊あんまり出てなかった…「熊ちゃん」「英ちゃん」の関係なのに! 後、「記録整理を頼まれた」のが「15年晩秋」って原熊日記にも、 戦後の岩波との対談にも書いてあるんですけど、 この本には「16年春」って書いてあってそれが凄く気になった。 え、どこの何から16年春ってなったんでしょうかね。弴の手紙から? ここの引っかかりが気になって仕方ない。 私の手元の資料で弴は「15年で間違いない」って云ってるんですけど、 何で「15年」じゃダメだったんですかねえ。 普通に感想とか。 弴の周りの文化人や政治屋さんは結構見覚えのある人ばかりなのでワイワイ楽しそうだ、と思った。 それより出オチで、弴と志賀の「同性愛的」関係って…。(笑) え?ぶっちゃけそれ、どっからどこまでってとればいいの?と焦った焦った! でも弴と志賀のネチネチした関係が好きじゃないなー、寧ろカップリングとしては鏡k(略) とかヲタク全開で読んでみた。 ってか今の所謂腐女子って、この時代の政治屋さんや文壇さんのあたりに嵌ると思うんだけど…。 と、トモスミから園様への手紙ですらウフウフしてしまったわたくしは思う。 あとあと、栄と仲良かったのは意外でした。(「春めいた日の出来事」) 旅行に行ったとき、芥川とお良が弴を脅かそうとして、客室の窓から「わあ」とやったら人違いだった…、 という話は時期が時期なだけにちょっとホロっときた。 芥川のこういう一面は好きなんだけどねえ… で、加えて鏡花の話がいっぱいだったのは嬉しや嬉や。 山本実彦が、円本のために紅葉の話を聞きたいって秋声を訪ねたら 「鏡花にも聞こう」ってことになって二人で鏡花宅へ行ったそうです。 でその時の談話中に秋声が、 「紅葉は甘いものが好きでたくさん食べたから胃がんで死んだのだ」 と云ったとたんに、痩身で大人しそうな鏡花が、間の火鉢を飛び越えて秋声を殴りつけた って話はいやー、鏡花らしいというか鏡花は美形だから絵になるね!(そこか) どうも弴は鏡花に可愛がられてたみたいなので、そのあたりの話もほくほくしました。 それと、羽左衛門伝説について。 市村羽左衛門って稀代の美男子で有名な人がいたんですね、その出生や活躍の話。 パパがフランス人でママが松平春嶽の落胤(……。)という曰くつきのね、 まー!美形で過去持ちとかステキ! ところで「小暴君」の秋山真之を演じたのって、まさかの光ちゃんの息子じゃない! キャー!活躍してる話を読んだのが初めてなので大興奮! あのイッケメンな光ちゃんの息子なんだからイケメンだとは思うんだけど…実際どうだったのでしょうかね? ホント世間って狭いのね!
内田 樹
/ 医学書院
(2004-09) /
2,100円
/ ISBN:9784260333665
だいたいが他の本で云ってることと同じだったり被ってたり。 「ある場面において整合性があって正しい理説であっても、 一定数以上の人間が採用したり、状況が変わってしまうと正しくなくなることがある。 だから、理論の有効期限、賞味期限、地域限定、期間限定についての節度の感覚をもちましょう。」 で、この後、幽霊の話になります。ひたすら幽霊。 人間の本質的な能力は死者とコミュニケーションできることだよ!って。うわー、オカルト! でもでも上の、節度の感覚って難しいと思う。 こういうことって頭では解ってても実際わーっと波に飲まれちゃうんじゃないかなーとか。 いつでも冷静に分析できるようになっとけ!ってことであるとは思うけど。
内田 樹
/ 講談社
(2007-01-31) /
1,470円
/ ISBN:9784062138277
働かない大人と学ばない子供の話でした。 以下、この本の面白かったなーと思うとこの紹介と、 この前の発表でまさか感想で質問が来るとは思わなかったので、 感想でぼやぼや考えていた部分の補完です。 で、働かない大人の部分、「賃金が安くて労働に見合わない」の話。 自分が働いてる量に対して評価(賃金)が低いと感じる苛立ちは、 「時間の流れの中にいる自分」を想像できなくなっていることの徴候だ、ってやつ。 と、いうのも「労働」は実際に働いてみせて、 他者からの承認を得てやっと自らの主体性を確証するものなのだという。 だから、一定の時間が必要だよね、と。 (まあここまでは「みんなが知ってるから改めて聞くことは無いよね」ってことらしい。) で、苛立つ人は、「労働」と「賃金」を等価交換の上に置いてるの。 それの何が大変かって、「貨幣」と「商品(この場合は労働って置き換えてもいいかも)」が等価であるということは 空間モデルによってしか記述出来ないんです。(byマルクス あ、孫引き!) でも「等価性」っていうのは「時間を捨象したときにはじめて成立する概念」なのね。 で、ここからが面白かったんですけど、 賃金って云うのは元々、労働者が作り出した労働価値に対して必然的に常に少なくなるんだそう。 何でかって云うと、その受け取らない(受け取れない)賃金の剰余によって社会の中で「交換」が加速していくからです。 その結果、市場が形成されて、分業が始まって、階級や国家が出来て、人間社会が出来る。 会社は株主に配当して、設備を整えて研究開発してまた利益を上げていくわけです。 人間はいつも環境資源から多くのものを作り出して、それを共同体に返していくわけです。 つまり、労働の本質っていうのは、「働かなくてはいけない」という「義務」です。 そうじゃないと社会はまわっていきません。 この「義務」は人間最古のルール=「交換の基本」によって保障されます。反対給付の義務です。 その「交換」本来の目的は、むしろ「他者」と「交換」する「欲望」にあったとされますが、 「欲望」っていうのは「交換」をきっかけにして 「交換」を可能にする諸々の「人間的価値(人間の魅力から創成されるネットワーク?)」を創出することにあるんだと。 そうすると、「お金じゃないよ!」ってことになりますねえ。 ここまでが、このご本に内田さんが書いたことです。 ちょっと私の解釈も入れちゃってるから純粋に抜粋してないんだけど!(ごめんなさい) で、思ったんですけど、ヴェイユの労働問題解釈ってこれが解ってたんじゃないのかなー、と。 だって、あの方の仰ってることって 「問題なのは労働によって得る賃金より、労働によっていかに個人の価値を上げるか」ってことだったような。 あれ?似てますよね? 『重力と恩寵』の中でヴェイユは 「(努力と努力の結果が)なんらかの思考の中に存在しているのでなく、ひとつのもの、すなわち金銭の中に存在するにすぎないのである」 「ものが思考をして、人間はものの状態にまで押しやられてしまう」 そして、『根をもつこと』では 「人間は金銭を裁判官と死刑執行人とし、金銭は防いで残酷な裁判官にして死刑執行人となった」つってます。 金銭に縛られている状況、についての話です。 で、冨原氏はこのことについて著書の中で、 「金がなければ苦労が多く、金があれば愉しみはふえる。金銭をほしがる心理そのものは断罪すべきではないが、金銭への過剰な欲求は否定すべきであろう」 「人々の思考の中で金銭の占める部分を最小限に食い止め、金銭を裁判官の立場からひきずりおろし、本来の会計係の市にすえなおすことだ。 金銭は何かを手に入れるための手段であって、それじたいとして追求されるべき目的ではないこと」 とまとめてます。(ひ孫引き!) ここで冨原氏を出したのは解り易いっていうの個人的な理由からなのですが、 大切なのは「金銭よりも尊厳だよ」って(尊厳もまた他律的である)何か似てるような…。 「人は自分が捨てるものだけしか所有しない。」 「行動の結果にとらわれないこと。(中略)ある目標のためにではなく、必然によって、行動すること。」 とかも、この労働概念で解釈できるような。 とかとか、別に確固たる確証なんて何にも無いし、ただそんなこともあるかもなーと、思ったまでです。 まっさか発表の感想でこんなこと書けないわよねー(笑) で、この本の感想ですが、 私も雪かきの心遣いや気配りの出来る人間になりたいものです。以上!
シモーヌ ヴェーユ
/ 春秋社
(1998-12) /
2,625円
/ ISBN:9784393325353
義務と権利の話などが書いて有るんですけど、 ヴェイユは「人間および市民の権利宣言」を「義務宣言」に変えて再生させようとさせたんですね。 「人間は、主体としては義務を、客体としては権利を有する!」 らしいです。 ここまでは凄く良いなあと思う、って云うか客体としての権利っていう権利の概念は解り易い。 でも義務の根拠を非人格的なものに求めたのはなあ。 って思ったけど、考えてみればどこの憲法も良心に誓ってるんですか? 考えてみたらそうなりますよねえ、法学概念って難しいわ。 で、根をもつことで更に難解きわまるヴェイユの文章、これどう読めって云う…(笑) 異端の神学って云われますけど、ヴェイユの神さまは謙虚で慎ましいんですよねえ。 私みたいな宗教の門外漢が読んでも面白いのは、やっぱりそこが魅力なのかしら。
シモーヌ・ヴェイュ
/ 勁草書房
(1967) /
714円
/ JAN:
「生涯の生活が学生の延長だと思っているのなら、知識を飽くことなく獲得すべきだ。 それで他人や知的不器用や知的でない大衆を圧伏したり、侮辱したりするためではなく、 知識は〈富〉と同じようにあっても決して恥ではないが、誇るべきほどのものでもないことを、 本当に体得するためにだ。」 厳しいけど、誰しもこうありたいものです。 って云うかインテリ層がこうだったらもっと知識の門は開かれているんだとつくづく思うことがあったり。 アポ取ってるのに門前払いやめてー! こう云う言葉をなんだかヴェイユが云うと陳腐じゃないんです。何故だろう。 たぶん、彼女は体得しているからなんだろうなあ。ストイックだし、強いし。
IMAMURA Junko
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日本におけるヴェイユの受容についての論文です。 西田哲学かー、その発想は無かったです。 絶対無ってことが云いたいのは解るんだけど、何せちょっとしか齧ってないもんでフランス語難しい。 物書くのに役に立ちそうだし面白そうだなあ、と思って探してみたらフランス語だったんです。 人生そう上手くいかないものだ。 吉本氏なんかもおっしゃってますが、禅的って云うか ヴェイユの自己無化ってそんなに東洋思想的ですかねえ。 私は何か、具体的には云えなんですけどちょっと違う気がします。 だって、ヴェイユの自己無化って還って行っちゃうってことでしょ?みたいな。 どうなんでしょうねえ、でも雰囲気ってことで似てるのかな?解らん。
クロード ダルヴィ
, 稲葉 延子
/ 春秋社
(1991-06) /
1,937円
/ ISBN:9784393327036
でも登場人物がね、ヴェイユと女と男だけなの。 ごめん、私だったら寝t(以下略) 内容は、ヴェイユ劇の台本と演出等、兄アンドレへのインタビュー、 吉本さんの話、同時代のヴェイユ評と盛りだくさん。 特に同時代のヴェイユ評で、カミュのヴェイユ好きっぷりに驚き。 カミュとヴェイユって結びつかないんですけど、それはきっと私だけですね。 そう云えばカミュも独特な死に方でしたねえ。(関係ない) バタイユは「醜かった!」とか云ってたので覚えていましたが、『空の青み』がヴェイユモデルだとは知らなかった。 で、またまた本と関係ない話しちゃいますが、 この話をしてたときにチャラ男が「スペインの○○○(私が名前聞き忘れた)とヴェイユって生涯そっくりだよね」 って云い出したりしてきました。 でもその場に居る人みんなその人をしらなかったっていう(笑) 誰だったんだろう…、今度聞くとするか。 あ、後、ヴァレリーのヴェイユへの添削のは好きだなあ。 何だこの優しい文体!ヴァレリーってこんなイメージじゃないんですけど。とか。
吉本 隆明
/ JICC出版局
(1992-01) /
1,427円
/ ISBN:9784796602655
工場日記あたりのにつっこみ入れながら書いてたりして、面白かったことは面白かったんですけど、 この本って一部、問題ありなんじゃないのかな…。 どうなんだろう、こういうヴェイユ観も悪いとは思わないけど。 あ、でも労働問題を今に生かしたらこうなるよねー、って話はよかったし、 日本のお坊さんたちの話も、話が広がるからね、読んでよかったと思います。 と、いうことで面白かったけど、自分の物書きの参考にはあんまり…。 |
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